第７０話 裁きの龍のお話⑤　作：ハカラメ

ケルビムたちが龍の声を聞く数分前...


ﾊﾞｻｯ
シャインエンジェル「皆さん！ ここが映像の現場です！」

メイデンミネルバ「ひどい...木も森も滅茶苦茶になってる...」
オネスト「裁きの龍・・・凄まじい力だな・・・」
シャインエンジェル「それでは、今から行方不明となっている天使隊の捜索を・・・」


？？？「おぉ～～い！！」


オネスト「あっ、あれは天使隊のサターンじゃないか！！」
シャインエンジェル「無事だったんですね、サターンさん！！」
裁きの代行者サターン「あぁ、何とかな...。他の天使たちも、ケガをしているが全員無事だ。裁きの龍の攻撃がこちらに当たらなかったのが幸いだったよ...」
シャインエンジェル「あぁよかった...きっと大天使様もお喜びになられます！」


メイデンミネルバ（これだけ広い範囲が攻撃を受けているのに、『偶然』天使隊にだけ攻撃が当たらない、なんてことがあり得るのかな...）
メイデンミネルバ（いやいや...きっと偶然だよね...）


シャインエンジェル「それじゃあ、これから大天使様たちと合流して・・・」


『グオオオォォォオオオンンッッ！！！』

シャインエンジェル「！？」
オネスト「まっ、まさか...」

サターン「奴だ・・・奴が来る・・・」ｶﾞﾀｶﾞﾀ

ｺﾞ ｺﾞ ｺﾞ ｺﾞ ｺﾞ...

メイデンミネルバ「！！」ﾊｯ

メイデンミネルバ「皆さんッ！ 上から来まｓ...」


ﾋﾟｶｯ（閃光）
ドカーンッッ！！！

メイデンミネルバ「きゃあっ！」
サターン「くそっ、また攻撃しに来たのかッ！！」


ﾊﾞｯｻﾊﾞｯｻ...
ｽﾞｼﾝｯ！！
裁きの龍「ｸﾞｸﾞｸﾞ...」

裁きの龍「グオオオォォォンンン...！！」


シャインエンジェル「はわ、はわわ わわ...」
オネスト「な、なんて強いオーラなんだ...」

サターン「みんなっ、早くこの場を離れるんだッ！！じゃないと...ウッ！」
メイデンミネルバ「サターンさん、無理しちゃダメです！」
サターン「またいつあの攻撃が飛んでくるか分からない・・・お前らまでやられてしまったら、俺は大天使様に合わせる顔が・・・」
シャインエンジェル「そんなっ、天使隊のみんなを置いて行けるわけないじゃないですか！！」
サターン「しかし...」


メイデンミネルバ「・・・ここは、私に任せてください」

シャインエンジェル「メイちゃん、何言ってるの・・・！？」
メイデンミネルバ「私が、裁きの龍の気を引きますから、その間に皆さんは怪我をした天使隊の人たちと、安全な所へ...」
オネスト「何馬鹿なこと言ってるんだメイちゃん！！ さっきの攻撃を見ただろう！？ あんな攻撃が当たったら、君だって無事じゃ済まされないんだぞ！！」
メイデンミネルバ「映像でも、そしてさっきの攻撃でも、裁きの龍は決して天使隊の皆さんには攻撃を当てていませんでした。きっと裁きの龍は、私たちに攻撃をしないようにしてるんだと思います...」
オネスト「そんなの、確証がないじゃないか！」
メイデンミネルバ「それに・・・」

メイデンミネルバ「・・・やっぱり、苦しいんだね...」

シャインエンジェル「メイちゃん・・・？」
メイデンミネルバ「・・・兎に角！ ここは私に任せて、皆さんは天使隊の人たちをよろしくお願いします！！」ﾀﾞﾀﾞｯ
シャインエンジェル「あぁっ、メイちゃん！！」



ﾀﾀﾀｯ...
メイデンミネルバ「・・・」

裁きの龍「ｸﾞﾙﾙﾙ...」

メイデンミネルバ「・・・どうして、あなたはそんなに苦しんでるの？」

メイデンミネルバ「ずっと、あなたの気持ちが伝わってくるの・・・『苦しい』って、『辛い』って...」

メイデンミネルバ「『助けて』って・・・」

裁きの龍「ｸﾞ、ｸﾞｸﾞ...」

メイデンミネルバ「あなたは、本当はこんな事したくないんじゃないの？」

メイデンミネルバ「だったらお願い・・・どうかもうこれ以上暴れないで・・・これ以上１人で苦しまないで...」

裁きの龍「ｸﾞｸﾞ、ｸﾞｸﾞｸﾞﾜｱｱｱ...」
裁きの龍「ｸﾞﾜｱｱｧ...ｱｧ...」


裁きの龍「グオオオォォォオオオッッ！！！」ﾋﾟｶｧｧｧッ！！


メイデンミネルバ「！！」

オネスト「しまったっ、攻撃が来るぞ！！」
シャインエンジェル「メイちゃん、逃げてェ！！」



メイデンミネルバ「あ、あぁ...」ｶﾞﾀｶﾞﾀ

ｺﾞ ｺﾞ ｺﾞ ｺﾞ ｺﾞ...

（（（クルシイクルシイツライクルシイイタイイタイクルシイイタイクルシイイタイツライイタイツライクルシイツライツライ・・・）））


（（（タスケテ...メイ...）））


メイデンミネルバ「えっ・・・どうして、私の名前を・・・」


裁きの龍「グオオオッ！！！」
ﾋﾟｶｯｯｯ！！！


メイデンミネルバ「きゃあああぁぁぁっ！！！」

オネスト「ぐあああっっ！」
シャインエンジェル「うわあああぁぁぁ！！！」




・・・



その場は、強い光に包まれた。

しかし、その光は、裁きの龍の攻撃から出たものではない。

突然、空間が大きく亀裂が走り、その裂け目からの光であった。

そして、その裂け目は・・・




「そこまでだよ」

（（（！！）））

「それ以上はいけない。その辛さは、それ以上は、君が背負うべきじゃない」

（（（あ、あああ・・・）））

「さぁ、一緒に帰ろう...」

（（（ミカ・・・エル・・・）））



ｼｭﾝｯ！




・・・そして、裁きの龍は、その場から姿を消した。

だが、それを見た者は誰もいない。

ケルビムたちが到着した時には、メイを含め周りにいた天使達は、皆気絶していたのだ。

ケルビムたちは、傷ついた天使隊と、気絶しているメイたちを連れ、水の国を後にした・・・





その後、一か月が過ぎても、
裁きの龍は、ただの一度も地上に現れることは無かったのであった...






第７１話に続く