第６０話 ウォルフの昔話のお話②　作：ハカラメ

注）ｓｓ初心者です！二次設定その他もろもろにご注意ください。
戦闘シーンを書こうとしたけど、フェリスの時を思い出して断念...無念！


前回のあらすじ、ウォルフとバスタービーストは結構共通点あるよね。



バスタービースト「・・・ほぅ、そんなに俺は有名なのか」
ライデン「そりゃそうさ。あんたの強さは俺の故郷にも届くくらいだったぜ」
バスタービースト「見たところ、お前はこの辺の奴ではないな。その身のこなしにクナイ・・・お前、東方の国の、『忍者』というやつか？」
ライデン「そうだよ、昔はな・・・いまはコソドロまがいの事しか出来ないけどな」
バスタービースト「お前の国は・・・？」
ライデン「とっくの昔に滅んださ、戦争に負けてな。家族も仲間も散り散りさ」
バスタービースト「そうか・・・」

バスタービースト「・・・それで、お前の目的はなんだ。俺の金品を盗むためか？　それとも、まさかとは思うが俺と戦って名を挙げようっていう魂胆か？」
ライデン「・・・まぁ、それも少しはあったかな。さっきの攻撃で仕留められてたら、逆に拍子抜けだったよ」
バスタービースト「はぁ・・・最近の輩は身の程知らずにも程があるというものだ。この旅で数多の勝負を挑まれたが、そのどれもが己の力量も分からずに、私利私欲のために勝負を挑む奴ばかりだったからな。だが、挑まれた勝負には答えなければならないがなぁ・・・ﾎﾞｷｯﾎﾞｷｯ」ゴゴゴ・・・
ライデン「い、いやいや、俺があんたに勝てるわけないだろ！ 本当の目的があって・・・」
バスタービースト「・・・本当の目的？」


ライデン「頼む、俺をあんたの弟子にしてくれ！」
バスタービースト「！？」

ライデン「俺は強くなりたいんだ。戦争に負けたのも、国が滅んだのも、俺が弱かったせいだ。だから俺は少しでも強くなって、仲間の仇を討ちたいんだ！」
バスタービースト「・・・駄目だ」
ライデン「どうして！？」
バスタービースト「俺はまだ、自分を修行の身だと思っている。この旅を始めたのも、己より強い者と戦いながら、また己もより強くなりたいと考えたからだ。強くなりたいなら、他の奴に頼むんだな」
ライデン「頼む、あんた以上に強いやつなんて、俺は知らねぇんだよ！」
バスタービースト「駄目だと言ったら駄目だ！」


ライデン「・・・じゃあ、勝負して俺が勝ったら、俺を弟子にしてくれるか？」

バスタービースト「・・・フッ、ハッハッハ！ その心意気だけは気に入った。いいだろう、その勝負、受けようじゃないか」


・・・

ライデン「勝負するのは、クナイ投げ勝負だ」
バスタービースト「クナイ投げ勝負！？ ちょ、ちょっと待て、体術勝負じゃないのか？」
ライデン「当たり前だろ。体術であんたに勝てるわけないだろ。それに俺は、何の勝負をするとは言ってないぞ」
バスタービースト「む、むぅ、確かに・・・」
ライデン「反対側の川岸に小さな的を２つ用意したから、こっちの川岸からクナイを１本投げて、より中心近くに命中した方の勝ちってことでいいだろ？」
バスタービースト「特に異論は無いが・・・的は１つしか見えんが？」
ライデン「あぁ、あれは俺が狙う的だよ。あんたのは、その奥にあるアレだよ」
バスタービースト「な、何だと！？ あんな小さな的を狙うのか！？ こんなのおかしいじゃないか！」
ライデン「でも、勝負決めるのもルール決めるのも俺だから」キリッ
バスタービースト「・・・むぅ、確かにそうだな・・・」
ライデン（コイツ、意外と単純なのか・・・？）


・・・

ヒュンッ

ストン！
ライデン「よし、命中だな」
バスタービースト（ほぅ、やはり武器の扱いに関してはかなりの才能があるようだな・・・）
ライデン「ほら、次はあんたの番だぜ」
バスタービースト「む、むぅ・・・あまり武器は使った事がないんだが・・・仕方あるまい！」

バスタービースト（くっ、暗くてよく見えないぞ・・・）
ライデン（ふっ、これで俺は晴れて弟子になれるぜ・・・！）

バスタービースト「・・・」
バスタービースト（・・・感覚を研ぎ澄ませろ・・・己の積んできた修行の力を・・・すべて出し切るんだ！）


バスタービースト「せええぇぇいいいっ！！！」ビュンッ


ヒュルルル～～～・・・　　　スパーーンッ！！


ライデン「(　　ﾟДﾟ)」
バスタービースト「よし、命中！　しかもど真ん中・・・俺の勝ちだな」
ライデン「う、嘘だろ・・・」
バスタービースト「ま、そういうわけで、約束通り弟子の話はナシということだな」
ライデン「くっ・・・ﾁｸｼｮｳ...」

トボトボ・・・


バスタービースト「・・・」



バスタービースト「おい、お前！」
ライデン「！？」

バスタービースト「俺はまだ修行の身、己の事で手一杯だ。だからお前を弟子にすることは出来ない」
ライデン「・・・」
バスタービースト「だが、お前のような才のある若者を捨て置くわけにもいかない・・・だから弟子には出来ないが、旅のお供くらいならさせてやってもいいぞ」
ライデン「ほ、本当か！！」
バスタービースト「あぁ。男に二言は無い」
ライデン「あ、ありがとうオッサン！！」


バスタービースト「・・・ところで、まだお前の名前を聞いていなかったな」
ライデン「あぁ、俺の名はライデンっていうんだ」
バスタービースト「そうか、ライデンか・・・ではライデン、お前に１つ言いたい事がある」
ライデン「何だ？」

バスタービースト「せいやあぁぁ！！！」ｹﾞﾝｺﾂ！
ライデン「痛ってえ！！！」
バスタービースト「お前はさっきから人の事をオッサン呼ばわりしているが、こんなナリでもまだ俺は若い方だ！　お前は社会に出るのに必要なマナーと教養が足りん！　罰として、腕立て伏せ１０００回だ！！」
ライデン「そ、そんなぁ～～！」
バスタービースト「つべこべ言うな！ これも修行の１つだと思え！」
ライデン「ひ、ヒイイィィッ！！！」
１、２、３・・・




～～～




オルクス「・・・なるほど。そんな事があったのだなぁ」
ウォルフ「あの頃はあいつも、そして私自身も、まだまだ未熟でした・・・」
オルクス「それで、その後どうやってライトロードに入ったんだ？」
ウォルフ「あぁ、それは・・・」

ライデン「う、う～ん・・・zzz・・・」

ウォルフ「む、もうこんな時間か。すまないオルクスさん、私はそろそろお暇させていただくとするよ。コイツも運ばなければならないしな・・・」
オルクス「おぉ、スマンスマン。ついつい長話させてしまったな」
ウォルフ「いえいえ。この話は、また次の機会ということで。それではご馳走様でした。ほら、帰るぞ！」
ライデン「う、うぅ・・・ん？」

カランカラーン...


オルクス「・・・相変わらず、仲のいい『師弟』だな、ウォルフよ...」


２人の心暖まる昔話を聞いた店主は、穏やかな気持ちで店先の札をひっくり返した...


[close]




ウォルフの昔話のお話、完

第６１話に続く