第７７話 とある勇者と龍のお話⑤　作：ハカラメ

Q：１ヶ月も更新しないで、何やってたんだ！？
A：蟲惑魔モフモフしてました（それと受験もｒｙ

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目の前に現れたのは、ミカエルと名乗る１人の勇者でした。

彼は、とある国の王に命じられ、裁きの龍討伐のためにやって来たのでした。

これまでも、何人もの人間たちが討伐を掲げ、裁きの龍に向かっていきましたが、裁きの龍は誰にも負けませんでした。

だから裁きの龍は、この男もまた、自分の前で無様に死んでいく愚かな小動物としか思っていませんでした。





しかし彼の強さは、裁きの龍の想像を遥かに超えていたのです。

彼は、今までに戦ったどの人間よりも、強く、勇敢な男だったのです。

裁きの龍とミカエルは、三日三晩、一時も休むことなく、激しく戦い続けました。

これほどまで、全力を出してまで戦ったのは、今まで孤高の存在として生きてきた裁きの龍にとって初めてのことでした...





どれくらい時間が経ったのでしょうか...

長い戦いの果てに、裁きの龍の体は地面へと倒れ込みました。

ついに、ミカエルは裁きの龍に勝利したのです。



彼は、手に持った大剣を裁きの龍に突きつけると、大きく振り上げました。



その時、裁きの龍に、今まで味わったことのない感情が渦巻きました。


初めて負けたことへの悔しさ。

しかも、あれほど憎かった人間に負けるという屈辱。

逃れられない死・・・虚しさ、そして諦め。



薄れゆく意識の中、裁きの龍はそんな事を考えていました。


そして、振り下ろされた大剣は、そのまま裁きの龍へと・・・



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ｶﾞｷﾝｯ


裁きの龍『・・・ナンノ...マネダ？』


ミカエル「・・・やっぱり、駄目だ...俺には出来ない...」

裁きの龍『・・・ナゼダ』

裁きの龍『ナゼ、私ヲ殺サナイ・・・！？』

ミカエル「それは・・・」



「　　　」





・・・「ワタシ」はその時、まるで理解出来なかった。


なぜ、この状況で、そんな言葉が口から出て来るのか。

なぜ、その言葉を「ワタシ」に向けて言ったのか。


今でも時々考えることがあるけど、やっぱり「私」には分からない。

今だって、ちょっと変わり者なんだから、分からないのも当然なのかもしれない・・・

そんな風に、今は「私」の中で納得している・・・




雲の切れ間から、太陽の光が降り注いだ。

それぞれの糸のような光は、やがて１つにまとまると、「ワタシ」とミカエルを包み込んだ。

それはまるで、空から《光の道》が続いているようだった...



「ワタシ」はその時、今まで感じたことのない感情が心の中に広がっていくのに気が付いた。


とても優しくて、暖かいような・・・そんな感情だった。


それは、降り注ぐ太陽の光によるものか、

それとも、さっきのミカエルの言葉によるものなのか...



そんな事を考えながら、「ワタシ」はゆっくりと目を閉じた・・・






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セイントミネルバ「そして、次に目が覚めたとき・・・」



セイントミネルバ「私の姿は、『人間』の姿に変わっていたの...」











第７８話に続く