第４１話　初日　愛とお酒とお姉ちゃん　作：白金　将

～午後　医療テント～
女戦士「大丈夫？」
訓練生「準備運動が少し足りなかったみたいで……」
訓練生「足も少し無理をしてしまったみたいです。一日程で治るのが救いですが」
エアトス「今日は脚を休めた方が良いでしょうね。二回戦に支障が出るといけません」
女戦士「そっか……お疲れ様」
訓練生「女戦士さんは明日でしょ……？　頑張ってね」ﾆｺｯ
女戦士「ありがとね」ｺｸﾝ

射手「大丈夫なんだし？」
スカ青「私は平気」
スカ青「でもこっちは」
スカ黄「ＺＺＺ……」
射手「まだ疲れてるんだし？」
スカ青「」ｺｸﾝ
スカ青「私たちの分も頑張って」
射手「ありがとうなんだし」

女戦士「そう言えば剣士さんは？」
エアトス「賢者さんと一緒に外に出ましたよ」
女戦士「ふーん……」


～宵　水浴び場～
賢者「お疲れ様」
剣士「なあに、いつもの事だよ」
剣士（本当は少し危なかったけどな……）
剣士「お前は見てたのか？」
賢者「ええ。ちゃんと、ね」
賢者「見ているこっちの心臓に悪かったけど」
剣士「ははは」ｻﾞﾊﾟｰｯ

剣士「……来いよ」
賢者「？」
賢者「私は汗かいてないけど……」
剣士「洗ってやるって言ってんだ」
賢者「……それじゃ、そうさせてもらおうかしら」ｸｽｯ

剣士「背中向けてくれ」
賢者「はい」
剣士「……」
剣士「……」ｷﾞｭ
賢者「……！」

剣士「……久しぶりだな。こうするの」ﾎﾞｿｯ
賢者「大分長かったわね……」
賢者（もう暗くなってきた……月も欠けてるから、周りには見えないかしら）
剣士（駄目だ……やり方を忘れてしまっている……）//
賢者「そっちを向いてもいいかしら？」
剣士「あ、ああ」

賢者「本当に、あなたは不器用ね」ｷﾞｭ
剣士「……悪かったな」
賢者「ろくに会いに行けない私の為にたまに来てくれたわね」
剣士「それは……その」
剣士「私だって、お前の顔が見たくて……」
剣士「ああ、言葉が出ない」ｶｧ//
賢者「」ｸｽｸｽ
賢者「そう言う所が好きよ」ｷﾞｭｩ
剣士「うう……」ｷﾞｭｩ

剣士（何故だ……いつも賢者にはかなわない……）
賢者（私の大切な人……いつもありがと）



女戦士（見ちゃったのです）
女戦士（邪魔しちゃ悪いので帰るのです）
女戦士（あの二人ってああいう仲だったんだぁ……）ﾜｸﾜｸ



～夜　死闘場前の屋台～
調理師「これで酒５本目か……まぁ残りはまだ沢山あるけど」
格闘戦士「はっはっは、まだまだ飲むぞー」
エアトス「ういーっ、もうどうにでもなれですーっ」ﾌﾗﾌﾗ
調理師（こいつはフラフラしてるけど大丈夫なのか……？）

調理師「ところでエアトス、何で光の国のお目付を受けたんだ？　お前風の国の住人だろ」
エアトス「知らないですー。翼生えてたから間違えられたんじゃないですかー」ﾌﾗﾌﾗ
格闘戦士「確かに天使に見えなくもないな。間違えても不自然ではない」
調理師「それじゃあどうして毎年来る？」
エアトス「それはねぇ……」

エアトス「女王様にいい子いい子してもらえるからだよぉ」ﾎﾞｫ
格闘戦士「あー、こりゃあ出来上がっちまってるな」
調理師「本音だとは思うが聞かなかったことにしておこう」
？？？「」ｽﾀｽﾀ
格闘戦士「お」

女王「あら、エアトスもいたの」
エアトス「女王様だぁ」//
聖戦士（既に壊れている……結構飲んだのだろう）
女王「明日はちゃんとお仕事できるかしら？」
エアトス「女王様の為に、わたし、がんばっちゃうんだからねー！」
エアトス「だから出来たらほめてね？」
女王「はいはい。期待してるわよ」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
エアトス「やったぁ」
エアトス「……ＺＺＺ」

調理師「……こりゃあ重症かな」
女王「あら、毎年こんな感じよ？」
格闘戦士「明日になると忘れてるのがせめてもの救いか……」
聖戦士「……ですね」
聖戦士（私も酒を飲んだ日の事は覚えてない……何かマズい事をやらかしてないだろうか）
女王「聖戦士も飲むとかわいい事するのよ？」
聖戦士「！？」
格闘戦士「ほーう、女王様の側近がかわいい事をしちゃうのかー」
調理師「そこらへんにしといたらどうだい」
格闘戦士「はいはい」
エアトス「ＺＺＺ……」
聖戦士「……」//

聖戦士（私が……かわいい事……！？）
女王「今夜も楽しみにしてるわよ。さて、飲みましょうか」
女王「私と聖戦士に一瓶ずつくれるかしら？」
調理師「お任せを」
聖戦士（また酔わされる……私は一体どうなってしまうのだ……）



～深夜　射手の家～
女戦士「しゃしゅちゃーん……ＺＺＺ……」ｷﾞｭｩｩ
射手「……」

射手（なんだか懐かしいんだし……）
射手（どうしてかは思い出せないけどずっと昔もこうされてた気がするんだし）

射手（……お姉ちゃんが欲しいんだし）
射手（義理でも何でも、私のお姉ちゃんが……）ｷﾞｭ