第６６話　帰還　作：白金　将

～夜　訓練生の家～

もけもけ「」ﾓｹｰ

訓練生「……異次元に行ったって、本気で言ってるの？」
鎖使い「本気だよ本気。この子が証明みたいな物じゃん」ﾂﾝﾂﾝ
もけもけ「」ﾌｷﾞｬ
訓練生「かわいい……」ﾂﾝﾂﾝ
もけもけ「」ﾌｷﾞｬｰ

訓練生「……あのさ」
訓練生「女戦士さんの体調は大丈夫なの？」
鎖使い「……」
訓練生「いつヴェルズに飲み込まれるかわからないのって、なんか不安で」

鎖使い「彼女は今の所はヴェルズの力を制御している」
鎖使い「だけどそれは普段通りの話……もし、彼女が激情に囚われてしまったら」
鎖使い「ヴェルズの力に頼りすぎると、彼女の身体へのダメージが多いの」
訓練生「そっか……」

鎖使い「女戦士さんがどこに行ったかは私は分からないけど」
鎖使い「ウロボロス……だったっけ。あの竜が消えたとしたなら、もしかしたら」
訓練生「そんな……一人で、あの竜と？」
鎖使い「」ｺｸﾘ
もけもけ「」ﾓｹ

訓練生「私たちには、何も出来ないんですね」
鎖使い「残念だけどね」
鎖使い「それでも……帰ってくるって信じるしかないから」
訓練生「そう、だね」
訓練生「……ねえ」
鎖使い「？」


訓練生「今日……一緒に寝てもいい？」
鎖使い「！」
鎖使い「」ｸｽｯ

鎖使い「おいで」ﾆｺｯ
訓練生「ありがと！」ｷﾞｭ





～異次元～
ヴェルズ・ウロボロス「」ｷﾞｼｬｱｱｱｱ
女戦士「はぁ……はぁ……」ｾﾞｪｾﾞｪ

女戦士（今の今まで生きてるのが不思議なくらい）
女戦士（誰も助けてくれないこの中で戦い続けられるのが奇跡……）
女戦士（ここで死んでも誰も見つけてくれないのに……）

女戦士（……死ぬ？）
女戦士（こんな所で、一人ぼっちで……？）

ウロボロス「」ｷﾞｼｬｱｱｱｱｧｧｧｧ!
女戦士「来る……！」
ウロボロス「」ﾌﾞｩｩｩﾝ
女戦士（しまった、反対側から尻尾が……！）

ﾄﾞｩｩｩｩﾝ

女戦士「かはっ……！」
女戦士（口から、血が……）
ウロボロス「ｷﾞｼｬｱｱｱｱｧｧｧｧ!」

女戦士（声が、出ない……）
女戦士（身体が、動かない……？）
ウロボロス「」ｶﾞｧｧｧｧ!

女戦士（戦わなきゃいけないのに……ここで倒れていられないのに……！）
女戦士（どうなってもいい……私は、私は……）
ウロボロス「ｷﾞｲｲｲｱｱｱｱｧｧｧｧ!」

女戦士（炎のブレスの構え……）
女戦士（ここで、奴を、ぶった切る！）ｶﾝｺｰﾝ
女戦士「……！」ﾌﾞｩﾝ

ｽﾞﾊﾞｯ

ウロボロス「アアアアァァァァ！」
女戦士「……」ﾌﾗｯ

女戦士（ここが……貴様ノ墓場……！）



女戦士（何も考えなクテいい……例エ左腕ガなくなっテモ関係ない……！）ﾌﾞﾝﾌﾞﾝ
ウロボロス「ギャアアアア！」

女戦士「私ハ……私は勝アアアアツ！」ｽﾞﾊﾞﾝ
ウロボロス「イイイイアアアアァァァァ！」ﾎﾞﾄｯ


女戦士「首ノ数はあと二ツ……」

女戦士「そこだああアアアぁぁぁぁ！」
女戦士「」ﾊﾞｼｯ

ウロボロス「ガアアアアァァァァ！」


女戦士「コレデ……全部、終わり……」ｽﾞﾌﾞｯ

ﾎﾞﾄｯ

ウロボロス「……」
ウロボロス「」

女戦士「……」
女戦士（眠イ……）

女戦士（アタタカイ　バショ）ﾊﾞﾀｯ

女戦士「」

ｽﾞｽﾞｽﾞ




～里　夜　水浴び場～
射手「そんな……」ｸﾞｽｯ
射手「うわああああぁぁぁぁ！」ﾎﾞﾛﾎﾞﾛ






～深夜　医療テント～
女王「夜遅くに申し訳ないわね」
エアトス「大丈夫です……問題は」



女戦士だったもの「」



射手「いぐっ……えぐっ……」ｸﾞｽｸﾞｽ
エアトス「ヴェルズにかなり侵食されてます」
エアトス「正直、自力での制御はもはや絶望的です」
射手「そんな」
女王「……」
聖戦士「……」

聖戦士（女王の顔……何かあるのか）
女王（一つだけ、彼らならどうしたらいいか知ってるはず……）