第２６話　側近「アマゾネスの聖戦士」①　作：白金　将

～昼　女王の間～
女王「暇ね……」
聖戦士「そうですね」
女王「飯はさっき喰ったばかりかぁ」
聖戦士「そうですね」
女王「たまには外に出るのもいいかもしれないわね」
聖戦士「そうですね」
女王「女戦士の件も気になるから押しかけてみましょう」
聖戦士「そうですね」

女王「……あなたは相変わらず私には素っ気ないわね」
聖戦士「そうですね」
女王「はぁ」ﾁｯ

聖戦士（相変わらず女王の心の内は読めない……油断大敵だな）



～昼　射手の家～
女戦士「ごろごろするのー」ｺﾞﾛｺﾞﾛ
射手「ベッドの掃除するから起きるんだし」ｶﾞｼｶﾞｼ
女戦士「いたいのー」ｺﾞﾛｺﾞﾛｺﾞﾛ
射手「起きるんだしー」ｶﾞｼｶﾞｼｶﾞｼ

聖戦士「……いるか？」
二人「はうわっ！？」ｶﾞｸｯ

射手「ど、どうして聖戦士さんが来たんだし？」
聖戦士「こちらに」
女王「久しぶりね、射手。身長と胸は大きくなった？」ﾎﾟﾝﾎﾟﾝ
射手「余計なお世話です……」ｼｭﾝ
女王「いやぁ、ちょっと暇だったから様子を見に来ようと思って」

女戦士「お、お久しぶり、です」
女王「大分ここの生活にはなじんだかしら？」
女戦士「おかげさまで……」
女王「射手も大分会話が出来るようになってたわね。あなたのおかげで変われたのかもね」
射手「だから余計なお世話です……」
射手（確かに女戦士さんのおかげで人とお話が出来るようになったんだし）
女戦士（射手ちゃんって最初に会った時は冷たかったなぁ）

女王「私はもう少し里を見て回って来るわ。あなたも好きな所に行ってなさい」
聖戦士「一人で行かれるのですか」
女王「たまにはいいじゃない。じゃ、また向こうで会いましょ」

聖戦士「女王は勝手なお方だ」ﾊｧ
射手「聖戦士さんに会うのも久しぶりだったんだし」
女戦士（この人が聖戦士さん……なるほど、かっこいい）
女戦士「初めまして、荒野の女戦士です」
聖戦士「私は聖戦士だ。いつもは女王の護衛などをしている」

射手「これから昼ご飯作るんだし。せっかくだから聖戦士さんも食べるんだし」
聖戦士「大分優しくなったな……これも貴女のおかげか」
女戦士「あ、う、私のおかげ……？」
射手「私は前から変わってないんだし」ﾌﾞｰ
射手「さっさと作るからそこに座ってやがれなんだし」
聖戦士「分かったよ」
女戦士「はーい」



～２０分後～
射手「昼ご飯なんだし」
聖戦士「感謝する」
女戦士「いただきまーす！」

聖戦士（彼女の料理を食べるのは初めてだな……）
聖戦士（……おいしい。素朴な料理だが、たまにはこういうのも悪くはない）
女戦士「聖戦士さんお顔が硬いよ？」
聖戦士「……？」

聖戦士「ああ、そうか。それは癖だ」
女戦士「癖？」
聖戦士「側近は感情を出してはいけないからな」
女戦士「難しいねぇ」
射手「聖戦士さんも大変なんだし……」
聖戦士（大変だよ）
聖戦士（おそらく、彼女たちが想像している以上に）

聖戦士「おいしかったよ。私は少し市場を見てから帰ろうかと思う」
射手「今度来るときは手紙を送ってほしいんだし」
聖戦士「伝えておく」
女戦士「ばいばーい！」

聖戦士（彼女は変わったが、私は変わったのだろうか……？）