第５０話　三日目　「相棒」ＶＳ「師弟」③　作：白金　将

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残り残機
女戦士　２
射手　　１
剣士　　１
訓練生　２
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～夜　死闘場～
射手（夜になったんだし……）
射手（明かりはついたけどやっぱり夜は見えにくくなるんだし……）

射手（とりあえず訓練生さんから離れるように箱の陰に隠れてるんだし）
射手（お互いどこにいるか分からないから鉢合わせの危機……）
射手（もう後がないから音一つ立てることも出来ないんだし）

ｺﾝｯ

射手（……！）
射手（この箱の向かいから……）

ｶﾞﾗｶﾞﾗ

射手（また……！）

ｶﾞﾗｶﾞﾗﾄﾞｯｼｬｰﾝ






射手（……崩れたせいでどっちが上か分からなくなったんだし）
射手（変に出ようとするとまたさっきみたいに叩かれる……）

ﾍﾟｯ

射手（唾の流れはこっち……ということは上はあっちなんだし）
射手（死闘場の松明の明かりはほんの少ししか漏れてこないんだし……）

ｻﾞｯ　ｻﾞｯ

射手（訓練生さんが歩いてくる）



訓練生（自分からは出てこないみたいですね）
訓練生（身動きが取れないから物理的に弓を引くことは無理なはず……）
訓練生（こちらから叩きに行くしかありません！）ﾀﾞｯ

訓練生「この下に……」ﾋｮｲ


射手「やっぱり来たんだし」
訓練生「あっ……」
射手「そいやぁっ！」ｽｯ

ｶﾝｯ

訓練生（矢を持って射手ちゃん自体が突っ込んできた……？）
吹き矢兵「一本！」

射手「実戦だったらこれで敵は動けなくなるんだし」



女戦士「ていやぁっ！」ｽｯ
剣士「おっと！」ﾋｮｲ
剣士「これはどうだ！」ﾌﾞﾝｯ
女戦士「ぐっ……！」ｶﾞﾝｯ

女戦士（このままじゃ埒が明かない……）
女戦士（あと一回だから一気に決める！）

女戦士「てぇぇぇぇい！」ﾌﾞｩﾝ
剣士「……ﾌﾝ」ｽｯ

ﾎﾞﾌｯ

女戦士「当たった……！」
格闘戦士「……」

女戦士（えっ……何で、当たったのに……）
剣士「場所、よく見て見ろ！」ｶﾞﾝｯ
女戦士「きゃっ！」
格闘戦士「一本！」

女戦士「……あ」
女戦士「攻撃を左肩で受け止めた……？」
剣士「ちょいと痛いが……的に当たらなきゃノーカンなんだよ」
女戦士「しまった……！」




賢者「あ ば ば ば ば ば」ｱﾜﾜ
スカ黄「け、賢者さん！？」
スカ青「早くテントに」
スカ黄「うんっ！」



女王「全員が残り一回。面白くなって来たわね……」
聖戦士「流石です」

聖戦士「……酒、次を持って来ましょうか」
女王「なくて大丈夫よ」
女王「それに、あなたが試合を見られないのは残念だから」
聖戦士「女王……」

聖戦士（女王の優しさ……何故だろう。物凄く嬉しい）





女戦士「そいやぁっ！」
剣士「あらよっと！」
女戦士「えいっ！」
剣士「とおりゃぁぁぁ！」ﾌﾞｩﾝ
女戦士「ぐぅ……」ｶﾞｧﾝｯ

２人「そおりゃぁぁぁ！」ﾌﾞｩｩﾝ

ｶﾞﾝｯ

女戦士「ぐにゅぅぅぅぅ……！」
剣士「くっ……！」
女戦士（つばぜり合い……向こうは片腕を負傷してるのに、力で勝てる気がしない……！）





射手（基本に戻って草むらに隠れたんだし）
射手（死闘場には結構な数が設置されてるからしばらくは気づかれないんだし）
射手（訓練生さんがいるのは今はあっち……だけど夜だからなかなか狙えない……）

射手（どこか別の場所におびき寄せて、完全に無防備な背中を狙うしかないんだし）
射手（矢を当てて音を立てる……でもいい感じの物が見つからないんだし）
射手（……でもそうも言ってられないんだし）

訓練生（射手ちゃんは一体どこに……）
訓練生（微かな音を頼りに……）

ｶﾞｻｶﾞｻｯ

訓練生（動いてる音はする……でも正確な場所まではまだ……）
訓練生（一つ一つしらみつぶしに見ていくか……でも、襲撃を受ける可能性も）

訓練生（鎖を振り回しながら行くしかありませんね）ﾌﾞﾝﾌﾞﾝ


射手（そっちの方が好都合なんだし）
射手（あまりこうはしたくないけど……）ｺﾄｯ
射手（気づかれないうちに隠れる草むらの場所を変えるんだし）

ﾀｯﾀｯ

訓練生「……！」
訓練生（確実に分かりました……こっちの草むらです！）

射手（なんとか隠れられた……）ﾎｯ



訓練生（……あ）
訓練生（射手ちゃんの矢筒が見えちゃってますね……）
射手（……）ﾄﾞｷﾄﾞｷ

訓練生（申し訳ありませんが、これは勝負……）
訓練生「頂きます！」ﾌﾞｩﾝ

ﾀﾀﾀｯ

訓練生「えっ……」
訓練生（背後に、足音……）


射手「初心の人、二つの矢を持つことなかれ……」ｽﾊﾟｯ

ｶﾝｯ

吹き矢兵「一本！　訓練生、脱落！」
訓練生「そんな……背中を取られた……」
訓練生「じゃ、じゃあ、この矢筒は……」
射手「それ、なんだし？」

射手「流石に矢筒が見えたらそっちに行くだろうと思って囮にしたんだし」
射手「あと一本で決めなきゃいけなかったから諸刃の剣でもあるんだし……」



女戦士「ぐぐぐ……」
剣士「うおおお……！」
女戦士（疲れてきた……このままだと、体力で負ける……！）
女戦士（剣士さんも左肩を負傷してるのに……）

女戦士（左肩を負傷……そうだ！）ｶﾝｺｰﾝ
女戦士「そいやぁぁぁぁ！」ｸﾞｲｯ
剣士「っ……！」

剣士（まずい、力の入りづらい左方向に力を逸らされた……！）
剣士（体勢が、崩れる……！）ﾌﾗｯ
女戦士「今だぁ！」ﾌﾞﾝｯ

ｶﾞﾝｯ

格闘戦士「一本！　剣士、脱落！　よって、女戦士＆射手の勝利！」

ﾜｰﾜｰ　ｶﾞﾔｶﾞﾔ　ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ