第３０話　旧友「アマゾネスの吹き矢兵」②　作：白金　将

～夕方　水浴び場～
訓練生「無理するからそうなるんですよ」
女戦士「ううっ……頑張りすぎたぁ」ﾌﾗｯ
訓練生「ああ、もう、仕方ないですね」
訓練生「家まで抱えていきますからじっとしててください」
女戦士「ごめんね……」

ﾄｺﾄｺ

吹き矢兵「久しぶりに汗かいたな」
射手「そうなんだし……あれ、あそこにいるのは」
吹き矢兵「訓練生と……」
射手「女戦士さん！？」
吹き矢兵（なるほど、あれが女戦士か……射手もいいお姉さんを持ったものだ）

女戦士「うええぇぇつかれたのぉぉ」
訓練生「トーナメントの事を話したら急に張りきっちゃって」
射手「急に運動したら誰だってそうなるんだし」
吹き矢兵「それはお前の場合、な」
射手「一言余計なんだし」
吹き矢兵「ははは」
女戦士「ＺＺＺ……」

訓練生「眠っちゃいましたね」
射手「なんだかいい顔してるんだし……」
吹き矢兵「口からよだれ垂れてるけどな」
女戦士「ふえぇ……むにゃむにゃ」
訓練生「送っておきますね」
射手「お願いなんだし」
訓練生「先に行ってますよ」ｽﾀｽﾀ

射手「吹き矢兵さん、その……」ﾓｼﾞﾓｼﾞ
吹き矢兵「なんだ？」

射手「……今年は、女戦士さんと組んでも、いいんだし？」
射手（去年までお世話になってたから言いづらいんだし……）

吹き矢兵「別に構わないぞ」
射手「……うぇっ？」
吹き矢兵「お前があの女戦士と出なくて誰が出るってんだよ」
射手「怒ってないんだし……？」
吹き矢兵「怒る理由がない。逆にお前が自立出来てうれしいくらいだ」
吹き矢兵「私は私でいろいろあるから、お前の健闘を祈る」
射手「吹き矢兵さん……」

射手「ありがと、なんだし」
吹き矢兵「気にするなっての。私も応援してるから、頑張れな」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
射手（あとは女戦士さんなんだし……）



～深夜　射手の家～
女戦士「ＺＺＺ……」
射手「爆睡なんだし……」
射手「あまり昼にするお話じゃないから今のうちにしたいんだけど……」ｺﾞｿｺﾞｿ

射手「女戦士さん」
女戦士「ＺＺＺ……」

射手「女戦士さーん」
女戦士「ＺＺＺ……」

射手（起きないんだし）
射手（……これでダメだったら明日の朝に話すんだし）
射手「」ｽｩｰ

射手「お姉ちゃん……？」
女戦士「はうわっ」ｶﾞﾊﾞｯ
射手「わわっ！？」

女戦士「……今誰かにお姉ちゃんって呼ばれたような」
射手「気のせいなんだし」
射手（まさか本当に起きるとは思ってなかったんだし……）ｱｾｱｾ
女戦士「むーっ、なんだか眠れなくなっちゃった」
射手「ごめんなんだし」
女戦士「？」
射手「あ、なんでもないんだし」

射手「……女戦士さん」
女戦士「なあに？」
射手「その……」
射手「トーナメント、ペアを組んでほしいんだし」

女戦士「」ﾃﾞﾝ
女戦士「」ﾃﾞﾝ
女戦士「」ﾃﾞﾝ
射手「」ｺﾞｸﾘ



女戦士「いいよぉぉぉ！」ｷﾞｭｩｩ
射手「はうわっ！？」ｶｧｧ///
女戦士「射手ちゃんとだったら百人力だよ！」
射手「お、女戦士さん、顔が近……」
射手「」ｶﾊﾟｧ
女戦士「あ」
女戦士（気を失っちゃった……？）

女戦士「……かわいい」
女戦士「おねーちゃんとして頑張るからね……」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
射手「ＺＺＺ……」ｷﾞｭ


―旧友「アマゾネスの吹き矢兵」　終わり―