第７４話 とある勇者と龍のお話②　作：ハカラメ

～天界の間にて～


セイントミネルバ「ケルビム・・・」

ケルビム「お久しぶりです、ミネルバ様・・・」


セイントミネルバ「・・・」
ケルビム「・・・」


セイントミネルバ「いらっしゃ～い！ よく来たわね！！」ﾆｺｯ

ケルビム「！？」

セイントミネルバ「ささ、上がって上がって！ そんな所で立ってないで、せっかく来たんだからお茶でも飲んでいってよ、ね！」
ケルビム「あ、あの～...」
セイントミネルバ「さっ、いいからいいから！！」ｸﾞｲｸﾞｲ
ケルビム「あっ、ちょっと...！！」

ﾄﾞﾀﾄﾞﾀ...



～～～



ｺﾎﾟﾎﾟ...
セイントミネルバ「ごめんなさいね～、今コーヒー切らしてて...紅茶でいいかしら？」
ケルビム「あ、あの、お構いなく...」
セイントミネルバ「いいのよ～！ この家にお客さんが来た事なんてほとんど無いから、私とっても嬉しいの！ それに、ケルビムに会うのも久しぶりだしね～」
ケルビム「・・・そう、ですね...」
セイントミネルバ「・・・」

セイントミネルバ「はい、紅茶。あとこれ、最近おいしいって話題のマドルチェ特製クッキー☆よ、紅茶ととってもよく合うのよね～！」
ケルビム「いただきます」ﾊﾟｸｯ
セイントミネルバ「どう？」
ケルビム「・・・おいしい」ｷﾗｷﾗ
セイントミネルバ「ふふっ、気に入ってもらえてよかったわ～。あ、紅茶のおかわり取ってくるわね～！」ﾊﾞﾀﾊﾞﾀ
ケルビム「・・・」


ケルビム「・・・ミネルバ様」
セイントミネルバ「なぁに？」
ケルビム「私がどうしてここに来たか、聞かないんですか？」
セイントミネルバ「・・・聞いて欲しいの？」
ケルビム「あ、いえ、そういうわけでは...」
セイントミネルバ「そうねぇ・・・じゃあ、どうやって私の家の場所が分かったのかしら？」
ケルビム「この前、ミネルバ様がライトロードの聖域に来たときに、言っていた事を思い出したんです」

～～～


セイントミネルバ『あら、私は意外とあなた達の近くにいるのよ？』
セイントミネルバ『見えない所にも、道は必ず続いているものよ...』


～～～

セイントミネルバ「・・・あぁ～確かにそんな事言ったような...」
ケルビム「それで、この前ホーちゃんが聖域にある『壊れた塔』の傍を飛んで行った時に思ったんです。もしかしたらこの塔は、実は壊れてなくて、どこかに繋がっているんじゃないか、と...」
セイントミネルバ「・・・それで？」
ケルビム「私は、ミネルバ様が残した結界術の資料や文献を読み漁り、この塔は特殊な結界が張られているという確証を得ました。それで自己流で結界術を学んで、その結界の解き方を探したんです」
セイントミネルバ「で、ちゃんと解けたの？」
ケルビム「えぇ。答えは意外と簡単でした。ただ普通に『階段を昇る』、それだけだったんです。みんな途中で階段が途切れているから、それ以上進もうとしなかった。だから誰もその階段の先があることに気が付かなかったんです」

セイントミネルバ「ご名答！ さすがねケルビム！！」
ケルビム「い、いえ、偶然というか何というか...その先にミネルバ様がいるという確証は無かったわけで...」
セイントミネルバ「ふふっ。でも、こうして会えたでしょ？ 良かったじゃない！」
ケルビム「良かったじゃない・・・って...まったく他人事みたいに...、ミネルバ様がいきなり音信不通になるのが悪いんですよ！！ メイちゃんももうカンカンですよ！！」
セイントミネルバ「あーあー聞こえなーいｗｗｗ」
ケルビム「ミネルバ様ァ！！！」（怒）
セイントミネルバ「聞こえなーい聞こえなーい！」ﾀﾞﾀﾞﾀﾞｯ
ケルビム「あ、コラ逃げるな！！」ﾀﾞｯ




～～～





セイントミネルバ「何よぅケルビムぅ、あんなに怒らなくてもいいじゃない...」ｸﾞｽﾝ...
ケルビム「まったく、ここ最近は本当に大変だったんですからね！」
セイントミネルバ「・・・」
ケルビム「・・・ミネルバ様？」
セイントミネルバ「あ、いえ、何でもないわ。そうだケルビム、今日はもう遅いからここに泊まっていかない？ 私お泊り会みたいなのしたことないから、ずっと憧れてたのよ～、どう？」
ケルビム「・・・そうですね、話したいこともまだたくさんあるので...」
セイントミネルバ「じゃあ決まりね！ 今布団とか寝間着とか用意してくるから！」ﾊﾞﾀﾊﾞﾀ
ｶﾞﾁｬﾝ

ケルビム「・・・」


ケルビム「・・・『あの話』、いつ切り出そうか...」







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セイントミネルバ「・・・」

セイントミネルバ「ケルビムの事だから、もう色々と気づいてるのかもしれないわね...」

セイントミネルバ「あの子はきっと、相当の覚悟を持って私を訪ねてきたに違いないわ...」

セイントミネルバ「私は・・・」





セイントミネルバ「私も、そろそろ覚悟を決めなきゃいけない時かもしれないわね...」







第７５話に続く