第３１話 セイントミネルバのお話⑥　作：ハカラメ

注) ss初心者です！ 二次設定その他もろもろにご注意ください。
長かった、いろいろあったミネルバ様のお話もいよいよ完結です。
ですが、次回もミネルバ様のお話・・・かも？


前回のあらすじ、ミネルバ様は美しい。これはこの世の真理である。


町を見学した、その夜・・・

セイントミネルバ「・・・これで、よし、と」

セイントミネルバ「・・・」


～～～

スタスタ・・・

ケルビム「どこへ行かれるんですか、ミネルバ様？」

ビクッ
セイントミネルバ「あ、あらケルビム。いたのね～」
ケルビム「どこへ行かれるんですか、とお聞きしているのですが？」
セイントミネルバ「もぉ～、散歩よ、散歩！ よく眠れなくって・・・」

ケルビム「・・・またそんな嘘をついて・・・前に帰ってきた時も、散歩だのなんだのと、そんな事をおっしゃっていましたよ」
セイントミネルバ「・・・」
ケルビム「もう、旅立たれてしまうんですね・・・まだ帰ってきたばかりだというのに・・・」
セイントミネルバ「・・・ごめんなさいね、ケルビム。私は、行かなければならないの。外の世界には、私の助けを待つ人がたくさんいるの」
ケルビム「そんな事・・・そんな事は分かっています・・・でも・・・」


ドサッ
ケルビム「うわっ！ な、なんですか、この資料の束は！？」
セイントミネルバ「私が、自分の足で歩き、自分の目で見て、自分の耳で聞いた・・・この町の問題点と改善案よ」
ケルビム「えぇっ！？ い、いつの間にそんな事を・・・あっ、だから今日・・・！」
セイントミネルバ「町のほうには、最近雨があまり降っていないわ。作物に大きな影響が出る前に、魔法を使って雨を降らせた方がいいみたいね。それと、建物や公道の整備を怠ってるわね。点検の回数を増やしなさい。それ以外にもたくさんあるわ。まとめておいたから、しっかり読みなさい」
ドサドサッ
ケルビム「うわわっ、こんなに！」
セイントミネルバ「それと、溜まってた仕事の方も全部済ませておいたから」
ケルビム「あ、あんなにたくさんあったのに、こんなに早く・・・！」
セイントミネルバ「当然でしょ！ だってあたしだもの」フンスッ


ケルビム「・・・申し訳ございません、ミネルバ様。留守を預かっておきながら、このような事に。それに、ミネルバ様のお手まで煩わせてしまって・・・」
セイントミネルバ「それは違うわ、ケルビム」
ケルビム「！？」
セイントミネルバ「私は、長として当然の事をしただけよ。それに・・・自分の領地も変えられない人が、世界をどうこう、な～んて言っても説得力ないじゃない。それに・・・」

ギュッ
ケルビム「！ ミ、ミネルバ様！？」
セイントミネルバ「あなたは、私の代わりにしっかり長として努めているわ。だって、あの子たち、ライトロードの戦士たちは、みんないい子たちだったもの。あなたがみんなを、しっかり導けている証拠だわ。これからも、あの子たちをお願いね、ケルビム」
ケルビム「・・・ミネルバ様・・・」グスッ

～～～

セイントミネルバ「それじゃあ、そろそろ行くわね」
ケルビム「また、お会いできなくなってしまうんですね・・・」
セイントミネルバ「あら、私は意外とあなた達の近くにいるのよ？」
ケルビム「えぇっ！？ それは一体・・・」
セイントミネルバ「そうねぇ。ヒントをだすとしたら・・・」

見えないところにも、道は必ず続いているのよ...。

ケルビム「え、それはどういう・・・」
セイントミネルバ「あ、あともう一つ。もうすぐここに、私の知り合いが訪ねてくると思うの。その時は、良くしてやってね。それじゃあね～！」
バサッ

ケルビム「ああっ、ミネルバ様！！・・・行ってしまわれたか・・・」

ケルビム「・・・」

ケルビム「まったく、あの人は・・・いっつも自由で、自分勝手で・・・なんと、優しい方なのだろうか・・・」


ルミナス「あれ、こんな所でどうしたんですか、ケルビムさん？ あれ、もしかして泣いてます？」
ケルビム「な、泣いてなどいないっ！！」
ルミナス「えー、うっそだ～。ケルビムさんが泣くなんて珍し～！」
ケルビム「な、泣いてないと言ってるだろう！」グスン


その日の夜、ミネルバ様が再び旅に出たというニュースは、人々を大きく驚かせたのであった・・・。


セイントミネルバのお話、完

第３２話に続く