第五十八話　『眠れる海の美女』　作：怪盗七夜月

・有希の事で校長室へ行く咲夜。有希は映像から誘拐されたと推測。咲夜は一人で行くという決断
　をする。ヨハンと咲夜は押しに負け、納得する。十代は咲夜に2枚のカードを渡す。咲夜は
　寮へ戻ると蓮とイリアと一緒にデッキを強化した。


翌日の朝。目覚めた咲夜。部屋を物色している。

咲「⋯⋯」
　目を付けたのは有希の本。間に何か挟まっている⋯⋯。栞だ。
『sea of sleeping beauty』
　そう書いてあった。

咲夜は校長室へ向かった。

咲「おはようございます」
ヨ「おはよう」
　待ってたよ、と言わんばかりの挨拶。隣には十代が居た。

咲「これ、心当たりはありますか？」
十「『Sea of sleeping beauty』か⋯⋯そんな場所は⋯⋯」
咲「『眠れる海の美女』です⋯⋯」
ヨ「有るとすれば1つ⋯⋯岬の石像の人魚像。」
十「行こう！」
　2人は部屋を出てった。ヨハンが1人残る。

咲「あれですか？」
　見えたのは人魚の像。何かに似ている。だが今はそんな事を考えている余裕はない。

咲「これは⋯⋯！発信機！」
　なんと像の後ろに発信機が隠されていた。

十「よし、戻ろう！」
　2人はまた校長室へ。

咲「先生！石造の後ろに発信機を見つけました！」

ヨ「発信機⋯⋯？」

咲「たぶん有希自身にICチップを付けているのかと」

ヨ「こっちでは食料と金銭を用意してある、あと⋯⋯」
　ヨハンは指紋認証らしき事をし、隠し扉を開けた。

咲「階段⋯！？」
　咲夜、唖然、、しながらも降りて行く。すると、何という事だろうか、鉄道である。何故此処にある？？？
　アカデミアの校長室の地下に鉄道があるのだ。何処に繫がっているのか。
　満員列車みたいの多くの人が乗る訳でも無いのに凄く派手で長い。何両編成だ？？

ヨ「外へ出られる専用電車だよ」
　しかも校長室の地下に、、、こんなの初めてだ。何処に繫がっているのか。
　満員列車みたいの多くの人が乗る訳でも無いのに凄く派手で長い。何両編成だ？？
　よく見ると少し錆びてる様に見える。使わないのに何故あるのか？　よく考えると、運転席もない。
　普通、学校に車掌なんて居る筈無い。つまり自動運転か。スゲェなぁ⋯⋯
　一番知りたいのは「なぜ校長室の地下なんだ！！」
　⋯⋯と頭の中で巡り巡った妄想が蔓延る。

「ウィィーン⋯⋯」ドアが開く。

ヨ「君一人だから2両で十分だね。さあ、乗って」
　1人なのに2両？１両じゃダメなのか。

ヨ「ここから『カサミシティ』に出られる。私の友達が居るから、これを渡して」
　通行手形的な物を手に入れた。乗り込む咲夜。

十「気をつけてな。」
　ドアが閉まる。咲夜は頷く。

ヨ「前方良し、後方良し、側面良し、発砲！」
咲「え⋯⋯？発砲⋯⋯？」
　考える暇もなく電車は発射。大砲から発射された砲丸の様に。
　
咲「よし、待ってて、有希。今から行くから！」

第五十九話へ続く