第二十六話　『封印玉』　作：怪盗七夜月

・クルト達は翔にぃから世界の統制について色々聞いた。さらにイリアがルシアスの神徒だと言うが⋯!?

「イリアが⋯ルシアスの信徒⋯⋯!?」
皆が驚く。イリアは黙っている。
「正確には『元神徒』かな。」
翔にぃは言う。
「⋯！」
皆が沈黙する。
「クルトが知らないのも無理はないわよ⋯教えてなかったもの⋯⋯」
イリアは言う。
「それに私はルシアス様がこんな事してたって知らなかったし⋯⋯それにしても何で分かったの？」
イリアは翔にぃに聞く。
「持ってるハンドバックだよ。」
翔にぃは言う。みんなはイリアのハンドバックを見る。その鞄は黒と白の模様だった。
「ルシアスは手持ちを黒に決めているんだ。よく見ると、服も白っぽいし、鞄も白模様。だからそうじゃないかなって思ったわけさ。でも、今は神徒じゃないみたいだし。ルシアスの神徒だったら無線機なんて要らないから。」
翔にぃは言った。
「翔にぃは下の名前は何？」
ルカナは聞く。
「俺?いって無かったけ？俺の下の名前はカケルだ。」
翔にぃは言った。
「かけると翔にぃにどんなルーツが⋯⋯？」
イリアが聞く。
「カケルの漢字の音読みがショウなんだ。」
「ふーん⋯⋯」
「おい！あそこ！」
クルトが言うと町が見える。お城みたいな建物も見える
「ああ、そこが『アトラス王国』だな」
翔にぃは言う。
「⋯⋯」
アトロたちとルカナは黙っている。
「どうしたの？」
イリアが聞く。
「落ち込むのも無理ないぜ⋯なぁカケル？」
ジャックはカケルをにらむ。
「ああ⋯ルカナたちの親はアトラス総合管理局の研究施設の職員だったんだ。もちろん俺もだ。ある日、戦争の引き金と成るある物を開発したんだ。それを求めてルシアスが交渉に応じた。しかし、意見が分かれ交渉は決裂。研究施設ごと破壊した。新しい発見はルシアスによって奪われたんだ。俺はその時研究施設に居なかったんだ。でも研究室は大破されてた。皆は研究施設にはいなかったみたいで、探しに行ったんだ。まさかと思ってね。そしたら、ルシアスが親たちを瓦礫の下敷きにしてて⋯⋯ルシアスが去った時、俺は皆のところへ行った。その時、ジャックの母さんが言ったんだ⋯⋯『あれだけは絶対に取り返せ⋯』とね。それでみんな息絶えたんだ⋯⋯」
翔にぃは言った。
「⋯うう⋯⋯母さん⋯∸」
ジャック以外の子供たち、ルカナはその場に泣き崩れる。
「それで、その『ある物』を逆に壊せばいいじゃない？」
イリアが聞く。
「それは無理だ。」
翔にぃは言う。
「なんで？」
イリアが聞くと
「無理なんだよ⋯⋯それは物理では壊せない。そのある物の名は『封印玉』。しかもその最先端を指導してたのが俺だ⋯だから親たちは俺が殺したも同然だ⋯⋯」
翔にぃはっきり言った。
「じゃあどうやって壊すの？」
「封印玉は自壊能力がある。それは持ち主がデュエルに負けたときだ。」
「じゃあ、倒せばいいんだな！」
クルトが言うと
「だから簡単に言わないで！クルト！」
イリアが言う。
「とにかく、アトラス総合管理局に行こうよ」
クルトが言った。


第二十七話へ続く