第24話:繋がり始めるストーリー　作：ドクダミ2号

ここはネオドミノシティのどこか………

？？？「ねぇねぇ、あいつがまた活躍してるらしいよ。」
？？？「あいつ？」
？？？「ほらぁ、この間確認したでしょ？えっと確か………遊亜翔だっけ？」
？？？「あー！あのイケメン！活躍って？」
？？？「えぇ、私たちの仲間相手にデュエルとリアルファイト、両方で勝ちまくってるの。」
？？？「負け知らずね。」
？？？「負けたらどんな顔するのかな？」
？？？「「ふふふ………。」」

時は戻って翔達のところ。諏訪部から衝撃の内容を伝えられ、途方に暮れていた。
翔「……、アリスが……捕まった……。どうして急に……。」
諏訪部「目的は分かりません。ですが、アリスを連れて行くのが目的だったのは分かります。」
翔「あんたがいながら、連れてかれるとはな。何やってたんだ？」
諏訪部「………。ごめんなさい。」
翔「あー！あー！謝らんでいい！！こっちが変な気分になる！で？俺にどうして欲しいの？」
諏訪部「………お願いします！アリスを救って下さい！！」
翔「りょーかい。引き受けた。報酬は高くつくぜ。」
諏訪部「ほ、報酬………。」
翔「………冗談だ。どこに連れてかれたか分かるか？」
諏訪部「それは………分かりません………。」
翔「使えねぇな。まぁいい。頑張って探すよ。」
諏訪部「ありがとうございます……。」
………とは言ったものの、どうすればいいのか分からない。相手側からやってきてくれれば、まだ楽なんだが………。

それから暫くは、捕まったアリスの捜索に力を入れた。セキュリティも一緒に捜索しているが、どうせこいつらは何も出来ないさ。
翔「………はぁ。こうも見つからないと、神かくしなんじゃね？って思いたくなるねぇ。」
諏訪部「そんな適当な事………！」
翔「冗談だよ！本気にすんな、この真面目が。」
遊星「翔ー！そっちはどうだー！？」
翔「ダメだー！手がかり一つなしだー！」
山崎「なぁなぁ、翔。やっぱりセキュリティに任せようぜ。俺たちの出る幕じゃないって。」
翔「セキュリティに任せる？バカ言うな。そんな事したら見つかるもんも見つかんねぇ。」
山崎「………何でそんなに、セキュリティを毛嫌いするんだ？やっぱり不良時代に何かあったか？」
翔「………ちげーよ。もっと前に色々あったんだ。」
山崎「色々って………何がだ？」
翔「………そーだな。もう話してもいいか。」
翔は深いため息を吐きながらそう言った。誰もが気にしていたその理由………遂に聞けるのかと思うと、心臓が急にバクバクしてきたぜ。
翔「………俺がセキュリティを信用しないのは、妹に関係してるんだ。」
山崎「何？」


あれは俺が小6の頃だ。妹………六花って言うんだが、そいつの誕生日来てな………プレゼントを選びに母さんと俺と六花で買い物に出かけたんだ。んでまず銀行に寄ったんだ。そこで………
奈緒「お金下ろしてこないとだから。」
六花「うん！そこで座って待ってる！」
奈緒「翔。六花の事ちゃんと見ててね。」
翔「分かった！六花、こっちおいで！」
あの頃はまだ幸せだった。何も知らずにいたんだから。でも………
ガシャーン！！
客「！？」
強盗1「オラオラ！伏せろ！！」ガチャ
強盗2「聞こえねぇのか！？撃たれてぇのか！！」
その銀行に強盗が来たんだ。響く怒号と悲鳴。未だに忘れていない。……忘れられないんだ。
翔「……六花。見ちゃダメ。」
六花「うん……！」
奈緒「翔！六花！」
翔「お母さん！僕達はここにいる！」
奈緒「良かった……！」
俺たちはお互いに安全確認をした。お互い大丈夫な事が分かった後は、ただ黙って事が過ぎるのを待った。
強盗1「おら早くしろ！」
強盗2「分かってる！………くそ、金槌寄越せ！」
強盗1「さっさとしろ！ったく………てめぇらぜってぇ騒ぐんじゃねぇぞ！！警察なんか呼んだら皆殺しだ！分かったか！！」
客「うぅ………。」
俺も六花もどんどん怖くなっていった。ましてや六花はまだ小3だ。もう……限界だった。
六花「う、うぅ……うえぇぇん！！」
翔「り……六花！な、泣かないで………！」
六花は泣いてしまったんだ。そしてそれが………強盗の神経を逆なでしてしまった。
強盗1「っち………うるせぇな！」
強盗2「どうする？黙らせるか？」
強盗1「あぁ……ん？いや待てよ。……なるほど。」ニヤ
強盗2「ん？」
強盗の1人がこっちを見てニヤついたんだ。何でこっちを見てニヤついたのかはあの時はわからなかった。でも………今なら分かるかも知れないな。………そして

ドウゥゥン！！

翔「………え？」
強盗1「クカカ……。」
六花「………！？」
響いたのは………銃声だった。俺は六花の方を見た。そこで俺が見たのは………血を流す六花だった。
奈緒「六花！？六花！！」
翔「………。」
俺は………ただ見てるだけだった。何が起きたのかが分からなかった訳じゃない。何故か……体が動かなかったんだ。


その後、六花は病院に運ばれたが結局………ダメだった。

山崎「………そんなことが………あったんだな。でも、それがセキュリティ嫌いと何の関係が？」
翔「……前振りが長かったな。ここからが本題だ。」

結局犯人に逃げられ、セキュリティは捜索を始めたんだ。俺は妹の死を認められずにいて、学校を休んでまで色んなところを回った。ミラがあの子が似ているよとかそれっぽいのがそっちにいたよとか、色々言っていたが今になってその理由はわかったよ。………「俺」を繋ぎ止めていてくれたんだな。
……話を戻そう。セキュリティが色んな所を捜索しているお陰で、歩けば直ぐにセキュリティを見ることができた。その中で………

翔「セキュリティか……何か話してるな。」
セキュリティ1「見つかんねぇな。もうめんどくさいぜ。」
セキュリティ2「やっぱお前も？俺も面倒だわー。」
セキュリティ1「何か、少女が1人殺されたからなんだかんだ上官は言ってたけどさ、はっきり言ってしらねぇよって感じ？ぎゃはは！」
セキュリティ2「だよなだよな！ははは！！」

そう、セキュリティは……やる気がないどころか、命そのものを軽く見ていた。俺は……何より六花が軽く見られたのが許せなかった。

翔「………これが俺のセキュリティ嫌いの理由だ。」
諏訪部「………決して全員がそう思っていた訳ではありません。その捜索には、私も参加していましたが、真剣にやっていましたよ。」
翔「それは分かっている。だがな………やはりあれは許せなかったんだ！………もう、いいか？こんな話、あんまりしたくないからな。」
そう言って翔は足早にどこかへ行った。その後ろ姿は、とても恐ろしかった。
山崎「………あいつ、そんな苦労をしてたなんて………知らなかった。友人失格だな……。」

ほんの少し前………六花を撃ったのがジョーカーとかいう奴だということが分かった時は………怒り通り超して殺意が湧いた。結局逃げられた上、右目の視力を完全に失ったが………ナナリアを失わずに済んだ。……でも自分は成長していない。失っているものがあるから、あの時からナナリアは……自分に責任を感じているようだ。あいつは………何も悪くないのに。





翔「………はぁ！？」
いつも通りアカデミアに登校した日のこと。つまり今日。担任からとんでもない事が告げられた。
担任「ですから、貴方には隣町のアカデミアに行って欲しいと言っているのです。」
翔「い、いや！何で！？俺なんかやった！？」
担任「いえ、貴方は何もしてません。」
翔「だったら何で！」
担任「ふぅ………。実はですね、今貴方が相手にしているあの教団だか何だかの対策を立てようと多くの学校が講演などをしています。」
翔「へぇ。それで？」
担任「貴方には是非我が校代表として出席して欲しいのです。」
なるほど………言いたいことは分かる。だが……
翔「出席つったって俺が話す事なんかないぜ？他当たってくれ。」
担任「貴方でないとダメなんです。」
翔「何で！」
担任「まず、我が校ではその事について事情を知っている者が少ないから。そして何より貴方の名が多くの学生の間で広がっていってるからです。」
翔「ほー。行けばそれだけで鼓舞になると。ほーほー。わかりやしたよ。行けばいいんでしょ行けば。」
担任「ありがとうございます。」
翔「ったく、アリスはどこにいるかワカンねぇし勝手に講演に参加させられるしで最悪だな。で、その講演はどのぐらいの間やってんの？」
担任「2日間です。講演会場であるアカデミアには寮があるのでそこで寝泊まりする感じですね。」
翔「ま・じ・か・よ！もうどうにでもな〜れ。」
まぁでも、こう言うのも悪くはないかな。少なくとも悪い気分じゃない。


ナナリア「気を付けて行って来てくれ。………奴らの事だ。きっと嗅ぎつけているだろう。何があっても帰ってきてくれ。」
翔「あぁ。行ってくる。安心して待ってろ。家は……任せたぞ。」
ナナリア「あぁ。………じゃ、またな。」
翔「おう。」
そう言い残しバスに乗る。講演って事は色んなとこから人が来るんだよな。……新たな出会いでもあったりして。まぁ……俺はナナリア以外の女の子は興味ないがな。………ん？待てよ。そういやナナリアって女の子って歳じゃなかったな。………まぁいいか。



アナウンス「次は登戸アカデミア前、登戸アカデミア前でございます。お降りの方は………。」
翔「おっと、ここか。」
ボタンを押し降りることをアピールする。長い間座ってたからか若干疲労がある気がする。
翔「う、う〜ん。はぁ、めんどくせぇなおい。」
適当に独り言を呟いて門を潜る。すでに多くの生徒たちが集まっていた。
女子生徒1「ねぇねぇ！あの人イケメンじゃない！？」
女子生徒2「本当だ！すごーい！」
あぁやっぱり。聞こえるのはこういう会話である。そんな中………
？？？「あれ？あの人もしかして……！」
翔「ん？」
？？？「あの！もしかして翔先輩ですか！？」
翔「あ！？何だ急に。」
その女子生徒は俺の顔を見てはっきり言った。俺は見覚えなんか………。
翔「失礼だが……誰だ？」
？？？「あ！ごめんなさい……わからないですよね。一ノ瀬って言えば思い出せますか？」
一ノ瀬？………どっかで聞いたな。えーと、えーっと………。
翔「……っあ！思い出した！」
一ノ瀬「思い出しました！？」
翔「300円返しに来てくれたんだな！」
一ノ瀬「いや、違う。誰それ？あれですよ、ほら2年前………。」
翔「冗談だ。久しぶりだな。今はここのアカデミアに通ってるのか。」
一ノ瀬「はい。親戚が近くだったので………転校する事になったのは残念ですけど。」
翔「よかったじゃないか。あそこは居づらいだろう？」
一ノ瀬「それもそうですね。」
一ノ瀬………3年前、とある事があって知り合った後輩だ。一つ下だな。これはいつか話すとしよう。
翔「さて、……ところでそっちの3人は？」
一ノ瀬「あ！うちのメンバーです！」
麻美々「はーい！麻美々でーす！よろしくね！」
彩香「彩香って言うの。よろしく。」
黒斗「……黒斗。」
翔「ずいっぶんと個性が豊かだな。」
一ノ瀬「ははは………。」
こりゃぁ……何か良い事でも起きそうだな。

次回に続く