第13話:生きる　作：ドクダミ2号

ここは・・・どこだ？
真っ暗で何も・・・見えない・・・。
・・・？
あんな所に女の子・・・？こんな真っ暗な場所で？一人？・・・。
・・・君は誰だ？
女の子「私？私は・・・六花って言うのあなたは？」
・・・翔、遊亜翔だ
翔「・・・六花か。いい名前だ。」
六花「ありがと。私も好きなの、この名前。お兄ちゃんがよく呼んでくれた。翔・・・私のお兄ちゃんと同じ名前。」
翔「六花っていう名前も俺の・・・妹と同じ名前だ。ちっちゃい頃に死んだ・・・いや、殺されたけど。」
六花「ねぇ。あなたは多分ここへ来るべきではないと思うの。」
翔「何で？」
六花「ここは生死の境目。ここより下は・・・死。私はこの下に存在するもの。」
翔「・・・そうか。俺、死にそうなんだ・・・。でも、もう遅いんじゃないかな？」
六花「え？」
翔「だって、もう上に行く手段がない。もう・・・届かない。」
六花「・・・諦めちゃダメ。あなたは・・・私のお兄ちゃんなんだから。」
翔「やっぱりか・・・。死後の世界でも成長ってするのか？」
六花「ううん。ただ、私が丁度14歳に合わせてるだけ。お兄ちゃんは17だもん。3つ下の私はこれでいいの。」
翔「ふーん。でも死んだはずの六花が何故ここに？」
六花「お兄ちゃんを導くため。」
翔「上に導くのか？」
六花「うん。まだ死んじゃダメ。いや、死なせない！」
その時、上から白いリボンのような物が降りてくる。
翔「これに掴まれってか？」
六花「うん。」
翔「・・・分かった。じゃな六花・・・。今度墓参りに行くよ。」
六花はただ笑ってこちらを見つめていた。やがて、目の前が明るくなっていく。
ーーー！！ーーう！ーーょう！！
翔！！！
その声に目がさめる・・・。ゆっくりと目を開けていく。
翔「う・・・うぅ・・・。」
遊星「翔！大丈夫か！？」
山崎「おい！翔！しっかりしろ！」
仲間たちの声が聞こえる。はっきりとな・・・。
翔「・・・！
がは！がぼぉ！」
何かを吐いた気がした。それと同時に悲鳴が聞こえた。
奈緒「翔！？翔！！？」
大輔「おいおい！しっかりしろ！！」
・・・血？どうやら吐血した様だ。
翔「はぁ・・・はぁ・・・。ふぅ・・・。」
山崎「おい！？大丈夫か！？」
翔「・・・だい・・・じょうぶだ・・・。」
何とか意識を集中させた。気を抜いたらそのまま沈む。
奈緒「よかったぁ・・・。」
大輔「全く！心配かけやがって！！」
翔「ごめん・・・なさい・・・。」
遊星「とにかく無事でよかった。医師によれば、特に大きな致命傷はないらしい。出血多量による貧血が原因で倒れたらしい。」
奈緒「ふぅ・・・よかった。本当によかった・・・！」
どうやら多くの人に心配をかけたらしい。その時、山ちゃんが静かに歩み寄ってくる。
翔「・・・？」
すると山ちゃんはいきなり殴ってきた。
翔「ぐぁ！何・・・しやがんだ！！」
山崎「うるせぇ！こっちがどれだけ心配したと思ってやがる！！一人で勝手に行きやがって！！気持ちがわかるが、勇気と無謀は全くも別物だぞ！！よく考えやがれ！！！」
山ちゃんのこんな表情初めて見た。それだけ心配してくれたのか・・・それなのに俺は・・・！
翔「ごめん。本当にごめん。俺が・・・馬鹿だった！」
それから医師や看護婦さんなどが来て検査してくれた。どうやら輸血が終われば退院するのも遅くはないとか・・・。なんか凄い回復力だとか言ってけど。
そして、みんなが帰ろうとした時、遊星がこっちに来た。
遊星「そういえば、ナナリアから伝言を貰った。」
翔「ナナリアが？」
遊星「ありがとうってな。」
遊星は少し笑いながら言った。
翔「そうか・・・じゃぁ、もしあいつに会ったら伝えてくれ。何かあったら俺のとこに来い。俺は何時でも協力すると。」
遊星「分かった。」
そう言って遊星も出て行った。
遊星「聞こえたか？」
そういう遊星の目の前にはナナリアが居た。
ナナリア「あぁ、聞こえた・・・。あいつは本当に凄いな・・・。ふふっ・・・年甲斐もなく泣いてしまったな。行こう・・・。」


翔「あーあ、けーっきょくかっこ悪いとこ晒しちゃったなー。」
ミラ「いいんじゃない？別に気にするほどのことでも・・・。」
ヴァルキュリア「そうですよ、と言うかかっこ悪くなんかないです！かっこいいですよ！」
翔「そうかぁ？げほ！・・・あぁ、少し寝るか。」
ミラ「ん。おやすみ。マスター。」


噴水広場前。遊星とナナリアが並んで歩いていた。
ナナリア「・・・あいつには話さなかったが・・・。」
遊星「ん？どうした？」
ナナリア「何故私が教団に入ったか・・・その事をな・・・。」
遊星「・・・その話はジャック達も聞いたほうがよさそうだな。呼んでくる。」
ナナリアは一人夕焼け空を見上げた。その時・・・
？？？「裏切るのか？」
ナナリア「あっ！あなたは！」
？？？「ナナリアよ・・・貴様はやはり教育が足りんようだな！！」
遊星「ナナリア。・・・！その男は！？」
ナナリア「遊星！クロウ！ジャック！来ちゃダメだ！！」
？？？「邪魔だ！！」
謎の男が腕を振り払った。それだけで、遊星、クロウ、ジャックは吹き飛んだ。
遊星「何！？お前は・・・一体！？」
？？？「語る必要などない。沈んでいろ。」
男がもう一度振り払う。三人はまたも吹き飛ばされる。
男はそのままナナリアの方を向いた。
？？？「・・・。」
ナナリア「やめろ！！あいつらは関係ないだろ！？これ以上はやめーーーがっ！！」
男はナナリアの首を掴み持ち上げた。
？？？「また、あそこに送らねばな。再教育だ。感謝するんだな。」
ナナリア「嫌だ・・・やめろ・・・お願いだから・・・。」
？？？「俺は一度決めた事は曲げない。残念だったな。」
ナナリア「嫌・・・やめて・・・。」
ナナリアはそのまま気絶した。
？？？「くっくっく・・・5Dsも俺の前じゃ形無しか・・・これなら遊亜翔が落ちるのも遅くはない・・・くっくっく・・・。」
この男は何者なのか・・・
次回へ続く