第27話:報われないから　作：ドクダミ2号

遊亜翔LP4000

清水真LP4000

病院の一室で命を賭けたデュエルが開始された。ベッドの上でデュエルするのは、少しやりにくいが……言ってられない。
清水「俺からだ。俺はモンスターを伏せて、ターンエンド。」
翔「………俺のターン！ドロー！」
ち、やっぱり最初は伏せてくるか。これじゃどんなデッキだかがわかんねぇな。
翔「俺は、……あー、モンスターを伏せてカードを2枚伏せて……ターンエンド！」
お互い伏せただけで、最初のターンが終了した。この後、どう動くか………考えるのが難しい状態だった。
翔(そもそも、俺はあいつのデッキが何だか分からん。………どうすればいい？)
1番の問題はそこだった。しかも今までのデュエルを振り返れば、何となくだがこっちの対策がされているような気がしないでもない。……どうする？
清水「俺のターン！ドロー！」
翔(さぁ、どうくる？ワンターンキルは流石にしてこないよな。)
清水「俺は……永続魔法！武具装備 アイアンメイルを発動！」
武具装備！？それって確か、俺に渡したカードのカテゴリと同じ……！……待てよ？そういや………。

ーー半年程前ーー
大輔「武具装備・・・！まさか、でも・・・！？」
翔「？？ちょっとー、教えてよー」
大輔「すまん・・・その話はまた今度にしてくれ・・・。・・・そうか、あいつの意思はまだ消えてなかったか・・・！」
翔「はぁ・・・。意味がわからん」


あのカードを父さんに見せた時、不思議な反応をしていた！結局それが何かを知る前に……死んじまったが………。
こいつがそれを持ってるという事は………少なくとも何か知ってるはずだ！！
翔「おい。」
清水「何だ？サレンダーか？」
翔「ちげーよ。1つ聞きてぇ。お前のそのデッキと俺の父さんとの関係は何だ？」
清水「………そうだな。今はまだ教えるべきじゃない………か。」
翔「今はだと？………どういう事だ！！」
清水「今のお前は心が弱い。教えるにはまだ早いという事だ。」
翔「………つまり知っているという事だな。」
清水「まぁな。」
………クソ！まぁいいさ、こうなったら力づくで聞いてやる！
清水「続けるぞ。武具装備は、発動後他の同シリーズを持ってくる事ができる。装備せよ！アイアンシリーズ！！」
清水がそう叫ぶと、どこからともなく兜やら、籠手やら……全身の防具が集まり、清水がそれを装備した。
清水「これが武具装備だ！驚いたか？」
翔「そこまでの衝撃はないね。というより、興味ないね。」
清水「ま、それもいいさ。そのまま恐怖を知らずに沈め！」




命を賭けたデュエルが行われているのとは別にに、アカデミアでもデュエルが行われていた。………しかし、それはいつもの授業で行うような生易しいデュエルでは無かった。
山崎「来い！フォーミュラ・シンクロン！！効果！デッキからドローだ！更に、ハイパーライブラリアンと素材にしたチューニング・サポーターの効果で追加で2枚ドロー！！」
下っ端「っけ！アドばっか稼ぎやがって！！」
ツァン「行っくよぉ、ボクのターン！」
下っ端「く！……六武衆だと！？」




山崎「クソ！何なんだよ全く！！あれもこれも翔のせいだな！？」
ツァン「どうでも良いけど、アリスさん見なかった！？前からから見てないの！家にもいないみたいだし………！」
山崎「何だと！？………くそったれ！！翔の奴……とんでもねぇ奴ら相手にしやがったな！？」
雪乃「はぁはぁ……山崎さん。このままじゃ………。」
麗華「持ちません………！」
山崎「どうすりゃ良い！？……ん？何だ！？あいつ！？」
？「お前は……翔の友人か。」
山崎「そうだよ！？だったらどうした！？」
？「俺の名はU。翔に関係する奴は、1人残らず叩きのめす。そう決めた。だから今こうしてお前らを襲っている。」
山崎「あぁ！？急に何だよ！クソが！この騒動、お前らが起こしたんだな！？」
U「そうだ。……じゃぁ、始めるか………。」
そう言うとUはディスクを構える。それに応じるように、山崎もディスクを構えた。
今、デュエルが開始された。しかし………


山崎「んだよそれ！ふざけんな！！」
U「こんなものか。じゃぁな。」
山崎「クソ！クソ！クソ！！くそったれがぁ！」
雪乃「！？山崎さん！？山崎さんーーー！！！」
ツァン「嘘……、そんな！」


翔「……ち、どうすんだ？」
清水「ふむ………。取り敢えず、ターンエンドだ。」
こちらは相変わらず動きがない。お互い、腹の探り合い状態である。つまり、こっちは相手が何を考えてるのか、一切分からないのである。無論、相手側は対策ぐらいはしてあるだろう。どんなメタカードが入っているか………。
翔「くそ、どうすりゃ良い！？俺のターン！ドロー！」
引いたカードは、エレガント・マジシャン。こっちのデッキが回るためには必要不可欠な存在である。しかし、今の状態じゃ出すのは少し……危ない。
翔「……く！ターンエンドだ！」
清水「なるほど、こちらが何をするか分からない以上、下手に動くのは良くないと……、それが甘いんだよ！」
何だと！？……そう言った時には、もう遅かった。
清水「行くぞ！武具装備 名槍十文字槍！！効果発動！デッキから武具装備モンスターを手札に加える！」
翔「レベル制限無しで手札に加えるだと！？くそったれが！」
清水「そうだな……私はデッキから武具装備 バタフライエッジを手札に加える！そしてアイアンメイルの効果発動！」
翔「何！？まさかそれぞれが何かの効果を！？」
清水「気づいたか？もう遅いぞ！こうなってしまった以上、武具装備を止めることはできん！！アイアンメイルは1ターンに1度、武具装備モンスターを手札から特殊召喚できる！バタフライエッジ！！」
翔「く！何で気付けなかった！！」
清水「行くぞ！フィールドの裏側モンスターを反転召喚！！武具装備 ブレイズエッジ！」
翔「く！リバースカードオープン！！トラップ、魔術の落とし穴を発動！！相手フィールドに2体以上モンスターがいる状態で新たに3体目以上のモンスターが召喚された時、発動できる！！相手フィールドのモンスター全てを破壊する！！」
このまま展開を許したら、負ける！その前に終わらせてやる！
清水「賢明な判断だ。だが、相手のカードの効果はよく読んでおくことだな。」
何………？何を言っているんだ？こいつが何を考えてるかが……分からない。
清水「……アイアンヘルムの効果発動。破壊を行う効果を無効にし破壊する！」
翔「な……！？」
読み間違えた………この瞬間。俺はそう思った。次のバトルで、俺のライフは確実に0にされる。
清水「残念だったな。お前が選び間違えた道だ。恨むなよ！ブレイズエッジの効果発動！1ターンに1度、デッキから武具装備モンスターを墓地に送ることができる！俺は武具装備 妖刀塵地螺鈿飾剣を墓地に送る！そして、アイアングリーブの効果発動！！墓地に存在する武具装備モンスターを1体、特殊召喚できる！来い！塵地螺鈿飾剣！」
負ける事はある程度想定していたが、まさか本当に負けるとは………！
清水「塵地螺鈿飾剣の効果発動！相手フィールドのモンスターを破壊し、攻撃力分のダメージをお互いが受ける！」
破壊されたカードは……ファンキーマジシャン。もう……負けだ。

遊亜 翔LP4000→2000

清水 真LP4000→2000

清水「バトルだ！名槍十文字槍で攻撃！」
容赦の無い突きが翔を襲う。止まることを知らない槍は、翔の腹部を突き刺した。病院の純白のベットは一瞬にして、真っ赤になった。

遊亜 翔LP2000→200

翔「ぐは……はぁ！……ふぅ……ふぅ！」
ナナリア「翔！？」
翔「分かってはいたが……やっぱいてぇなぁ。………負け………か。」
清水「さよならだ！バタフライエッジでダイレクトアタック！！」
第2の攻撃が来る。避ける術は……ない。
ナナリア「そうはさせるか！」
翔「！？」
一瞬の出来事だった。ナナリアは俺の盾になろうと清水の前に出てきた。俺は咄嗟に……ナナリアを押した。
ナナリア「え……？」
翔「悪りぃ、死ぬかもな。」
そして、重そうな斬撃が………翔を襲った。