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第13話 アルストロメリアの門番 作:白金 将
ここはアルストロメリア本部の地下の地下。アルストロメリアが捕まえた人たちが一時的にその身を拘束される場所だ。ここで事情聴取を受けた後、裁判所に連れていかれたり、ちょっとした品と共に無罪放免となったりするのだ。
今日のかわいそうな人たちは、以前路地裏で遊乃と葵を襲撃した女と二人の男である。両手を上にあげて縄で縛られており、三人は抵抗も出来ないまま一人ずつ防音の効いた個室に閉じ込められていた。調べた所、彼らは動物保護協会のメンバーであることが判明したため、その背後と、襲撃の目的を聞き出そうというのが目的だ。
「……で、どうしてそこにいたの?」
「黙秘権を行使します」
質問者は翌檜だ。ある個室に入り、女性に質問をしていたが、相手はなかなか答えようとしない。もっともそれは翌檜も承知の事であった。そのような相手から情報を聞き出すのが翌檜の仕事である。
女性は両手を上にあげて拘束されていた。足の方も拘束具がはめこまれており、抵抗は一切できない状況にある。
「承知。それでも聞いてる」
「私には話さない権利がある」
「権利……フーン」
翌檜は鼻で笑った後、首を一ひねりし、腰に差していた鞭を取り出した。本来は有罪が濃厚となってから使う物だったが、今回は情報がある程度取れていることから彼女たちはほぼ黒と言っても差し支えないため、翌檜は躊躇することなくそれを取り出し、彼女の目の前にちらつかせる。
「何の真似だ!」
「……怖い?」
壁に鞭を当ててその張った音を鳴らす。相手の顔が一瞬だけ強張った。翌檜は不気味な笑みを浮かべたまま崩さない。
「知ってること、全部教えて」
「だから私は言わないと……ああっ!」
相手方を鞭が襲う。翌檜の顔は先程と一ミリたりとも変わっていない。
シロは受付の所に一人座っていた。伽藍は見回りついでに買い出しに向かっている。受付の他の人たちは何だか別の用事があるらしく、今の受付はシロ一人であった。
ぼんやりと一人座っていると、入り口付近に謎の男3人の集団がやって来るのが見えた。
「……なんだろ」
男たちは無言で合図をすると、2人が入口と近くの大きな窓を見張り、残りの1人が中に入って来てシロの向かいに立つ。その腕にはデュエルディスクが装着されていた。こうしてくる人が要求することはただ一つだった。
「金出しな。悪いようにはしねぇぜ、坊ちゃん」
「……断ります」
その時、シロの喉元にデュエルディスクの先端部分が突きつけられる。
「静かにしろよ……応援呼ばれると面倒だからな」
「らん姉……ごめんなさい」
シロの表情が意を決したような表情に変わった。後ろに下がり、机の引き出しに入っていたディスクを装着すると、カウンターを向かいにして男とにらみ合う。見た目は12の少年であったが、アルストロメリアでの経験が彼を年齢以上の戦士に鍛え上げていたのだ。
「「デュエル!」」
― ― ― ― ― ― ―
シロ 8000
男 8000
― ― ― ― ― ― ―
遊乃と葵は見回りで場所を空けてしまっている。伽藍はいない。翌檜は今は地下で尋問中だ。このアルストロメリアで強盗と戦えるような実力を持つ人はシロしか残っていない。伽藍から認められた特例――アルストロメリア本部に迫る危機を受付の段階で跳ね返す事が、シロの任せられたもう一つの役割であった。
先行はシロだ。彼のディスクが埃から解き放たれ、光をあらんかぎりに反射する。
「僕は2枚を伏せてターンエンド」
「俺のターン、ドロー! 俺は手札から〈トリオンの蠱惑魔〉を通常召喚! そして〈トリオンの蠱惑魔〉の効果発動! デッキから〈奈落の落とし穴〉を手札に加える!」
「くっ……」
― ― ― ― ― ― ―
トリオンの蠱惑魔
星4/地属性/昆虫族/攻1600/守1200
このカードは「ホール」または「落とし穴」と名のついた通常罠カードの効果を受けない。このカードが召喚に成功した時、デッキから「ホール」または「落とし穴」と名のついた通常罠カード1枚を手札に加える事ができる。また、このカードが特殊召喚に成功した時、相手フィールド上の魔法・罠カード1枚を選択して破壊する。
― ― ― ― ― ― ―
「バトルフェイズ。俺は〈トリオンの蠱惑魔〉でダイレクトアタック!」
「ああっ……!」
「そして俺はカードを5枚伏せてターンエンドだ」
「五伏せ……僕のターン、ドロー!」
― ― ― ― ― ― ―
シロ 8000 → 6400
男 8000
― ― ― ― ― ― ―
「嫌な予感はしますが……僕は手札から〈ハーピィの羽根箒〉を発動!」
「フン……」
男は特に何もしなかった。男の伏せ5枚が全て破壊されたが、シロの顔は真っ青になった。破壊されたカード5枚のうち、3枚がモンスターカードだったのだ。
更に、破壊された3体のモンスターカードは墓地から蘇る。その蘇った三体のモンスターにシロは見覚えがあった。ドロー加速能力を持つカドケウス、効果破壊から守るアイギス、そして、自分自身のバックを破壊し、更なる展開につなげるベガルタだった。
「アーティファクト……」
「礼を言うぜ坊ちゃん。俺は特殊召喚された〈アーティファクト・アイギス〉の効果を発動! このターン、場の『アーティファクト』モンスターは効果の対象にならず、相手の効果によって破壊されなくなる!」
魔法&罠ゾーンにセット出来る能力を持つアーティファクト。その中の一枚である、効果破壊を無効化するアイギス。また、ベガルタは今回は不発に終わったが、問題は次のカードだ。
「そして〈アーティファクト・カドケウス〉の効果! このカードが自分フィールド上に表側表示で存在している時、相手ターン中に『アーティファクト』モンスターが特殊召喚された時、デッキから1枚ドローする!」
「カドケウスがあるときに特殊召喚されたのはアイギスとベガルタ……」
「この時、俺はデッキから2枚ドローする!」
今はシロのターンだ。だが、あたかも男のターンかのように場は動いている。これがアーティファクトの恐ろしい所だ。相手のデッキは、破壊してはいけない「アーティファクト」と、破壊しなくてはいけない落とし穴系の罠をサーチ出来る「蠱惑魔」を組み合わせた【アーティファクト蠱惑魔】だったのだ。
― ― ― ― ― ― ―
アーティファクト・カドケウス
効果モンスター
星5/光属性/天使族/攻1600/守2400
このカードは魔法カード扱いとして手札から魔法&罠カードゾーンにセットできる。
魔法&罠カードゾーンにセットされたこのカードが相手ターンに破壊され墓地へ送られた時、このカードを特殊召喚する。
また、このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、相手ターン中に「アーティファクト」と名のついたモンスターが特殊召喚された時、デッキからカードを1枚ドローする。
「アーティファクト-カドケウス」は自分フィールド上に1体しか表側表示で存在できない。
― ― ― ― ― ― ―
― ― ― ― ― ― ―
アーティファクト・アイギス
効果モンスター
星5/光属性/天使族/攻1200/守2500
このカードは魔法カード扱いとして手札から魔法&罠カードゾーンにセットできる。魔法&罠カードゾーンにセットされたこのカードが相手ターンに破壊され墓地へ送られた時、このカードを特殊召喚する。
相手ターン中にこのカードが特殊召喚に成功した場合、ターン終了時まで、自分フィールド上の「アーティファクト」と名のついたモンスターは相手のカードの効果の対象にならず、相手のカードの効果では破壊されない。
― ― ― ― ― ― ―
一連の流れが終わり、シロは自分の手札をもう一度見た。彼にはこのアルストロメリアを守るという使命があった。シロは真剣な眼差しになる。
「僕は〈手札断殺〉を発動! 手札から〈H・C ダブルランス〉〈H・C サウザンドブレード〉を墓地へ送り、カードを2枚ドローする! さらに、手札から2体目の〈H・C ダブルランス〉を通常召喚して効果発動! 墓地から〈H・C ダブルランス〉を特殊召喚する!」
「エクシーズの素材を揃えて来たか……」
「2体の〈H・C ダブルランス〉でオーバーレイネットワークを構築!」
シロの背中から一人の大きな身体を持った剣士が現れる。赤の鎧をまとった力強い戦士――シロの決意の象徴とも言えるモンスターがそこに立っていた。
「誇り高き戦士の魂合わさり、一人の剣豪がここに降臨する! エクシーズ召喚! 現れろ、ランク4〈H-C エクスカリバー〉!」
― ― ― ― ― ― ―
H・C ダブルランス
効果モンスター
星4/地属性/戦士族/攻1700/守 900
このカードが召喚に成功した時、自分の手札・墓地から「H・Cダブル・ランス」1体を選んで表側守備表示で特殊召喚できる。
このカードはシンクロ素材にできない。また、このカードをエクシーズ素材とする場合、戦士族モンスターのエクシーズ召喚にしか使用できない。
※「H・C」は「ヒロイック・チャレンジャー」と読む。
― ― ― ― ― ― ―
― ― ― ― ― ― ―
H-C エクスカリバー
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/光属性/戦士族/攻2000/守2000
戦士族レベル4モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を2つ取り除いて発動できる。このカードの攻撃力は、次の相手のエンドフェイズ時まで元々の攻撃力の倍になる。
※「H-C」は「ヒロイック・チャンピオン」と読む。
― ― ― ― ― ― ―
「そして手札から〈アサルト・アーマー〉を発動し、〈H-C エクスカリバー〉に装備! そして装備している〈アサルト・アーマー〉をリリース! これで、〈H-C エクスカリバー〉は1ターンに2回攻撃が可能!」
「だが守備力は俺のアーティファクトが上だ!」
「オーバーレイユニットを二つ使い、〈H-C エクスカリバー〉の効果発動! 次の相手ターンの終了まで、このカードの攻撃力は倍――すなわち4000になる!」
「攻撃力4000の二回攻撃だと……!」
「バトルフェイズ! 〈アーティファクト・ベガルタ〉〈アーティファクト・カドケウス〉に攻撃!」
エクスカリバーが大剣を振り下ろし、相手フィールドの2体のアーティファクトを木端微塵に砕く。トリオンがその衝撃で震えているのが見えた。そして、エクスカリバーの攻撃力倍増効果は次の相手ターン終了まで続く。4000を超えるモンスターはそういない。
― ― ― ― ― ― ―
アサルト・アーマー
装備魔法
自分のフィールド上に存在するモンスターが戦士族モンスター1体のみの場合、そのモンスターに装備する事ができる。装備モンスターの攻撃力は300ポイントアップする。装備されているこのカードを墓地に送る事で、このターン装備モンスターは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃をする事ができる。
― ― ― ― ― ― ―
強盗の男はうろたえるかと思いきや、そんなことはなく、逆に笑っていた。シロは一歩後ずさりしてしまう。考えてみればそうだ。シロの切り札とも言えるモンスターを召喚した割にはライフを少しも削れていない。おまけに相手方の手札は4枚。逆転の可能性はいくらでも残っているのだ。
シロは実戦経験は少ない。このようなバトルにおける心理戦ももちろん経験はない。シロ本人その事を分かってはいたが、実際にどう対処するかは思いつきようがない。
「まだ勝負を決めるには早すぎるぜ……?」
「くっ……ターンエンドです」
「俺のターン、ドロー!」
一方その頃、アルストロメリア本部の地下の地下では翌檜が尋問を終えていた頃だった。ほんのかすかにではあるが、エクシーズ召喚の時の音が聞こえてきたため、翌檜は少し不審に思っていた。そんな翌檜の足元では、一番頑固であった女性が転がりながら何やらわめいている。
「……あなたに聞くことはない」
「そんなぁ……もっと翌檜様のお力になりたいんですぅ……」
「全く」
翌檜が尋問した相手は皆こうなってしまう。そのため、大型の犯罪グループを拘束し、翌檜が尋問をした時に至っては、彼らが改心したのち、皆で彼女の事を「翌檜様」と呼ぶようになってしまった。それでは変な宗教のようだからやめろ、と言えば収まりはしたが。
「……嫌な予感」
悶えている女性を尻目に翌檜はエレベーターに乗った。今残っているのはシロだけだ。もしシロに何かあった場合……それは翌檜が一番考えたくない事であった。
今日のかわいそうな人たちは、以前路地裏で遊乃と葵を襲撃した女と二人の男である。両手を上にあげて縄で縛られており、三人は抵抗も出来ないまま一人ずつ防音の効いた個室に閉じ込められていた。調べた所、彼らは動物保護協会のメンバーであることが判明したため、その背後と、襲撃の目的を聞き出そうというのが目的だ。
「……で、どうしてそこにいたの?」
「黙秘権を行使します」
質問者は翌檜だ。ある個室に入り、女性に質問をしていたが、相手はなかなか答えようとしない。もっともそれは翌檜も承知の事であった。そのような相手から情報を聞き出すのが翌檜の仕事である。
女性は両手を上にあげて拘束されていた。足の方も拘束具がはめこまれており、抵抗は一切できない状況にある。
「承知。それでも聞いてる」
「私には話さない権利がある」
「権利……フーン」
翌檜は鼻で笑った後、首を一ひねりし、腰に差していた鞭を取り出した。本来は有罪が濃厚となってから使う物だったが、今回は情報がある程度取れていることから彼女たちはほぼ黒と言っても差し支えないため、翌檜は躊躇することなくそれを取り出し、彼女の目の前にちらつかせる。
「何の真似だ!」
「……怖い?」
壁に鞭を当ててその張った音を鳴らす。相手の顔が一瞬だけ強張った。翌檜は不気味な笑みを浮かべたまま崩さない。
「知ってること、全部教えて」
「だから私は言わないと……ああっ!」
相手方を鞭が襲う。翌檜の顔は先程と一ミリたりとも変わっていない。
シロは受付の所に一人座っていた。伽藍は見回りついでに買い出しに向かっている。受付の他の人たちは何だか別の用事があるらしく、今の受付はシロ一人であった。
ぼんやりと一人座っていると、入り口付近に謎の男3人の集団がやって来るのが見えた。
「……なんだろ」
男たちは無言で合図をすると、2人が入口と近くの大きな窓を見張り、残りの1人が中に入って来てシロの向かいに立つ。その腕にはデュエルディスクが装着されていた。こうしてくる人が要求することはただ一つだった。
「金出しな。悪いようにはしねぇぜ、坊ちゃん」
「……断ります」
その時、シロの喉元にデュエルディスクの先端部分が突きつけられる。
「静かにしろよ……応援呼ばれると面倒だからな」
「らん姉……ごめんなさい」
シロの表情が意を決したような表情に変わった。後ろに下がり、机の引き出しに入っていたディスクを装着すると、カウンターを向かいにして男とにらみ合う。見た目は12の少年であったが、アルストロメリアでの経験が彼を年齢以上の戦士に鍛え上げていたのだ。
「「デュエル!」」
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シロ 8000
男 8000
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遊乃と葵は見回りで場所を空けてしまっている。伽藍はいない。翌檜は今は地下で尋問中だ。このアルストロメリアで強盗と戦えるような実力を持つ人はシロしか残っていない。伽藍から認められた特例――アルストロメリア本部に迫る危機を受付の段階で跳ね返す事が、シロの任せられたもう一つの役割であった。
先行はシロだ。彼のディスクが埃から解き放たれ、光をあらんかぎりに反射する。
「僕は2枚を伏せてターンエンド」
「俺のターン、ドロー! 俺は手札から〈トリオンの蠱惑魔〉を通常召喚! そして〈トリオンの蠱惑魔〉の効果発動! デッキから〈奈落の落とし穴〉を手札に加える!」
「くっ……」
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トリオンの蠱惑魔
星4/地属性/昆虫族/攻1600/守1200
このカードは「ホール」または「落とし穴」と名のついた通常罠カードの効果を受けない。このカードが召喚に成功した時、デッキから「ホール」または「落とし穴」と名のついた通常罠カード1枚を手札に加える事ができる。また、このカードが特殊召喚に成功した時、相手フィールド上の魔法・罠カード1枚を選択して破壊する。
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「バトルフェイズ。俺は〈トリオンの蠱惑魔〉でダイレクトアタック!」
「ああっ……!」
「そして俺はカードを5枚伏せてターンエンドだ」
「五伏せ……僕のターン、ドロー!」
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シロ 8000 → 6400
男 8000
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「嫌な予感はしますが……僕は手札から〈ハーピィの羽根箒〉を発動!」
「フン……」
男は特に何もしなかった。男の伏せ5枚が全て破壊されたが、シロの顔は真っ青になった。破壊されたカード5枚のうち、3枚がモンスターカードだったのだ。
更に、破壊された3体のモンスターカードは墓地から蘇る。その蘇った三体のモンスターにシロは見覚えがあった。ドロー加速能力を持つカドケウス、効果破壊から守るアイギス、そして、自分自身のバックを破壊し、更なる展開につなげるベガルタだった。
「アーティファクト……」
「礼を言うぜ坊ちゃん。俺は特殊召喚された〈アーティファクト・アイギス〉の効果を発動! このターン、場の『アーティファクト』モンスターは効果の対象にならず、相手の効果によって破壊されなくなる!」
魔法&罠ゾーンにセット出来る能力を持つアーティファクト。その中の一枚である、効果破壊を無効化するアイギス。また、ベガルタは今回は不発に終わったが、問題は次のカードだ。
「そして〈アーティファクト・カドケウス〉の効果! このカードが自分フィールド上に表側表示で存在している時、相手ターン中に『アーティファクト』モンスターが特殊召喚された時、デッキから1枚ドローする!」
「カドケウスがあるときに特殊召喚されたのはアイギスとベガルタ……」
「この時、俺はデッキから2枚ドローする!」
今はシロのターンだ。だが、あたかも男のターンかのように場は動いている。これがアーティファクトの恐ろしい所だ。相手のデッキは、破壊してはいけない「アーティファクト」と、破壊しなくてはいけない落とし穴系の罠をサーチ出来る「蠱惑魔」を組み合わせた【アーティファクト蠱惑魔】だったのだ。
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アーティファクト・カドケウス
効果モンスター
星5/光属性/天使族/攻1600/守2400
このカードは魔法カード扱いとして手札から魔法&罠カードゾーンにセットできる。
魔法&罠カードゾーンにセットされたこのカードが相手ターンに破壊され墓地へ送られた時、このカードを特殊召喚する。
また、このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、相手ターン中に「アーティファクト」と名のついたモンスターが特殊召喚された時、デッキからカードを1枚ドローする。
「アーティファクト-カドケウス」は自分フィールド上に1体しか表側表示で存在できない。
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アーティファクト・アイギス
効果モンスター
星5/光属性/天使族/攻1200/守2500
このカードは魔法カード扱いとして手札から魔法&罠カードゾーンにセットできる。魔法&罠カードゾーンにセットされたこのカードが相手ターンに破壊され墓地へ送られた時、このカードを特殊召喚する。
相手ターン中にこのカードが特殊召喚に成功した場合、ターン終了時まで、自分フィールド上の「アーティファクト」と名のついたモンスターは相手のカードの効果の対象にならず、相手のカードの効果では破壊されない。
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一連の流れが終わり、シロは自分の手札をもう一度見た。彼にはこのアルストロメリアを守るという使命があった。シロは真剣な眼差しになる。
「僕は〈手札断殺〉を発動! 手札から〈H・C ダブルランス〉〈H・C サウザンドブレード〉を墓地へ送り、カードを2枚ドローする! さらに、手札から2体目の〈H・C ダブルランス〉を通常召喚して効果発動! 墓地から〈H・C ダブルランス〉を特殊召喚する!」
「エクシーズの素材を揃えて来たか……」
「2体の〈H・C ダブルランス〉でオーバーレイネットワークを構築!」
シロの背中から一人の大きな身体を持った剣士が現れる。赤の鎧をまとった力強い戦士――シロの決意の象徴とも言えるモンスターがそこに立っていた。
「誇り高き戦士の魂合わさり、一人の剣豪がここに降臨する! エクシーズ召喚! 現れろ、ランク4〈H-C エクスカリバー〉!」
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H・C ダブルランス
効果モンスター
星4/地属性/戦士族/攻1700/守 900
このカードが召喚に成功した時、自分の手札・墓地から「H・Cダブル・ランス」1体を選んで表側守備表示で特殊召喚できる。
このカードはシンクロ素材にできない。また、このカードをエクシーズ素材とする場合、戦士族モンスターのエクシーズ召喚にしか使用できない。
※「H・C」は「ヒロイック・チャレンジャー」と読む。
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H-C エクスカリバー
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/光属性/戦士族/攻2000/守2000
戦士族レベル4モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を2つ取り除いて発動できる。このカードの攻撃力は、次の相手のエンドフェイズ時まで元々の攻撃力の倍になる。
※「H-C」は「ヒロイック・チャンピオン」と読む。
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「そして手札から〈アサルト・アーマー〉を発動し、〈H-C エクスカリバー〉に装備! そして装備している〈アサルト・アーマー〉をリリース! これで、〈H-C エクスカリバー〉は1ターンに2回攻撃が可能!」
「だが守備力は俺のアーティファクトが上だ!」
「オーバーレイユニットを二つ使い、〈H-C エクスカリバー〉の効果発動! 次の相手ターンの終了まで、このカードの攻撃力は倍――すなわち4000になる!」
「攻撃力4000の二回攻撃だと……!」
「バトルフェイズ! 〈アーティファクト・ベガルタ〉〈アーティファクト・カドケウス〉に攻撃!」
エクスカリバーが大剣を振り下ろし、相手フィールドの2体のアーティファクトを木端微塵に砕く。トリオンがその衝撃で震えているのが見えた。そして、エクスカリバーの攻撃力倍増効果は次の相手ターン終了まで続く。4000を超えるモンスターはそういない。
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アサルト・アーマー
装備魔法
自分のフィールド上に存在するモンスターが戦士族モンスター1体のみの場合、そのモンスターに装備する事ができる。装備モンスターの攻撃力は300ポイントアップする。装備されているこのカードを墓地に送る事で、このターン装備モンスターは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃をする事ができる。
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強盗の男はうろたえるかと思いきや、そんなことはなく、逆に笑っていた。シロは一歩後ずさりしてしまう。考えてみればそうだ。シロの切り札とも言えるモンスターを召喚した割にはライフを少しも削れていない。おまけに相手方の手札は4枚。逆転の可能性はいくらでも残っているのだ。
シロは実戦経験は少ない。このようなバトルにおける心理戦ももちろん経験はない。シロ本人その事を分かってはいたが、実際にどう対処するかは思いつきようがない。
「まだ勝負を決めるには早すぎるぜ……?」
「くっ……ターンエンドです」
「俺のターン、ドロー!」
一方その頃、アルストロメリア本部の地下の地下では翌檜が尋問を終えていた頃だった。ほんのかすかにではあるが、エクシーズ召喚の時の音が聞こえてきたため、翌檜は少し不審に思っていた。そんな翌檜の足元では、一番頑固であった女性が転がりながら何やらわめいている。
「……あなたに聞くことはない」
「そんなぁ……もっと翌檜様のお力になりたいんですぅ……」
「全く」
翌檜が尋問した相手は皆こうなってしまう。そのため、大型の犯罪グループを拘束し、翌檜が尋問をした時に至っては、彼らが改心したのち、皆で彼女の事を「翌檜様」と呼ぶようになってしまった。それでは変な宗教のようだからやめろ、と言えば収まりはしたが。
「……嫌な予感」
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77 | 伝言板・修正履歴(3/30) | 1144 | 0 | 2016-01-19 | - | |
95 | 第1話 その少女、黄金の龍と共に有り | 1511 | 5 | 2016-01-19 | - | |
83 | 第2話 スターダスト・ドラゴン消失事件 | 1296 | 6 | 2016-01-23 | - | |
80 | 第3話 誇り高き一族 | 1388 | 7 | 2016-01-27 | - | |
78 | 第4話 勝利は一から積み上げる | 1199 | 6 | 2016-01-30 | - | |
75 | 第5話 絶対支配領域 | 1112 | 6 | 2016-01-31 | - | |
77 | 閑話休題:キャラクター紹介 | 1299 | 0 | 2016-01-31 | - | |
57 | 第6話 溶けていく手札 | 1027 | 8 | 2016-02-05 | - | |
59 | 第7話 手札一枚の戦争 | 1187 | 8 | 2016-02-07 | - | |
143 | 第8話 ネコチャン!? | 1128 | 8 | 2016-02-13 | - | |
142 | 第9話 「帝王」の影 | 1130 | 6 | 2016-02-19 | - | |
131 | 第10話 息の合った二人 | 1112 | 4 | 2016-02-21 | - | |
114 | 第11話 たまにはみんなで温泉旅行! | 1139 | 4 | 2016-02-23 | - | |
136 | 第12話 シロちゃんは二度挟まれる | 1055 | 6 | 2016-02-28 | - | |
151 | 第13話 アルストロメリアの門番 | 1174 | 4 | 2016-03-05 | - | |
111 | 第14話 王者の資格 | 1098 | 6 | 2016-03-09 | - | |
106 | 第15話 Execution | 1127 | 6 | 2016-03-13 | - | |
85 | 第16話 ワン・ナイト・カーニバル | 959 | 6 | 2016-03-17 | - | |
132 | 第17話 キャット・アンド・ドッグ | 1066 | 4 | 2016-03-25 | - | |
59 | 第18話 積み込み・スリ替え・橙一色 | 980 | 6 | 2016-04-02 | - | |
92 | 第19話 孤独への恐怖 | 956 | 2 | 2016-04-10 | - | |
75 | 閑話休題:キャラクター紹介 雑談枠 | 1058 | 4 | 2016-04-19 | - | |
107 | 第20話 アルストロメリアの休日 | 1021 | 6 | 2016-04-29 | - | |
130 | 第21話 「ふつうの女性」になりたくて | 1097 | 4 | 2016-05-01 | - | |
74 | 第22話 翌檜の恋心 | 940 | 4 | 2016-05-03 | - | |
71 | 第23話 シロちゃんぐるぐるハンマー伽藍 | 983 | 4 | 2016-06-06 | - | |
94 | 第24話 ボクっ娘決闘者、リンちゃん | 963 | 2 | 2016-07-03 | - | |
70 | 第25話 政治部の苦悩 | 895 | 4 | 2016-07-09 | - | |
106 | 第26話 モノクローム・プライド | 992 | 4 | 2016-07-20 | - | |
63 | 第27話 あなたのそばで | 1068 | 4 | 2016-07-28 | - | |
60 | 第28話 嫉妬 | 1004 | 2 | 2016-08-31 | - | |
100 | 第29話 分かり合いたくて | 1002 | 0 | 2016-09-15 | - | |
138 | 第30話 Dランド:遊乃&葵√その1 | 964 | 2 | 2016-10-06 | - | |
119 | 第31話 Dランド:遊乃&葵√その2 | 1101 | 2 | 2016-10-09 | - | |
75 | 第32話 Dランド:遊乃&葵√その3 | 1002 | 2 | 2016-11-03 | - | |
74 | 第33話 Dランド:遊乃&葵√その4 | 1034 | 4 | 2016-11-08 | - | |
68 | 第34話 Dランド:伽藍&シロ√その1 | 900 | 2 | 2016-11-25 | - | |
109 | 第35話 Dランド:伽藍&シロ√その2 | 917 | 2 | 2016-12-06 | - | |
71 | 第36話 Dランド:伽藍&シロ√その3 | 967 | 2 | 2016-12-14 | - | |
83 | 第37話 Dランド:翌檜√その1 | 825 | 2 | 2016-12-25 | - | |
126 | 第38話 Dランド:翌檜√その2 | 854 | 2 | 2017-01-12 | - | |
80 | フラワリングタウン広報「アイリス」春号 | 1003 | 0 | 2017-01-12 | - | |
133 | 第39話 フンキー フンキー フンキー | 1188 | 3 | 2017-01-18 | - | |
111 | 第40話 もりのようかん | 946 | 2 | 2017-01-25 | - | |
119 | 第41話 狂植物の叛乱 | 887 | 4 | 2017-02-05 | - | |
124 | 第42話 桜姫降臨 | 984 | 2 | 2017-02-13 | - | |
112 | リンク召喚について ※SSは書き続けます | 1040 | 5 | 2017-02-18 | - | |
140 | 第43話 Dragula | 1025 | 2 | 2017-02-19 | - | |
109 | 閑話休題:キャラクター紹介3 | 1018 | 0 | 2017-02-23 | - | |
132 | 第44話 不穏 | 809 | 4 | 2017-03-19 | - | |
124 | 第45話 BREAK DOWN | 977 | 2 | 2017-03-21 | - | |
126 | 第46話 その少女、黒紫の竜と共に有り | 968 | 2 | 2017-03-23 | - | |
94 | 第47話 おかえり | 947 | 4 | 2017-03-26 | - | |
122 | 第48話 大切な人 | 968 | 3 | 2017-03-29 | - | |
105 | 第49話 炎 | 775 | 4 | 2017-04-28 | - | |
109 | 第50話 Find Your Way | 903 | 2 | 2017-05-17 | - | |
101 | 第51話 Force Your Way | 977 | 4 | 2017-06-17 | - | |
116 | 第52話 四人目の姫 | 1043 | 2 | 2017-07-22 | - | |
123 | 第53話 一寸先は闇 | 930 | 4 | 2017-07-25 | - | |
111 | 第54話 月夜に咲く姫 | 853 | 4 | 2017-08-22 | - | |
145 | 第55話 OVERLAP | 984 | 0 | 2017-09-16 | - | |
127 | 第56話 幽雅に咲かせ、紫毒の華 | 801 | 5 | 2017-09-21 | - | |
106 | 第57話 帰る場所 | 898 | 4 | 2017-10-01 | - | |
138 | 閑話休題:キャラクター紹介4&作者の呟き | 1024 | 0 | 2017-10-01 | - | |
126 | 第58話 前哨戦(△) | 876 | 5 | 2017-11-09 | - | |
130 | 第59話 混沌を制す者(△) | 1064 | 2 | 2017-11-12 | - | |
58 | 第60話 侵略者の領域 | 971 | 4 | 2018-02-20 | - | |
115 | 【報告】現状と暗い見通し【更新できねぇ】 | 1179 | 0 | 2018-05-31 | - |
更新情報 - NEW -
- 2024/06/22 新商品 ANIMATION CHRONICLE 2024 カードリスト追加。
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- 07/01 15:54 評価 6点 《死霊の誘い》「マスターデュエルのデュエルトライアルで、《スキ…
- 07/01 15:50 評価 4点 《イグニホース・ドラゴニス》「フレテキ全振り系バニラ。最近のバ…
- 07/01 15:31 掲示板 カードリストにおける誤表記・不具合報告スレ
- 07/01 15:01 評価 6点 《暗黒の呪縛》「魔法カードが発動される度に、そのコントローラー…
- 07/01 13:29 掲示板 オリカコンテスト(R)計画処
- 07/01 12:58 評価 7点 《カオス・インフィニティ》「当時存在していた「機皇」に関する魔…
- 07/01 10:14 評価 9点 《ヴァンパイアの使い魔》「ヴァンパイアをコストに墓地から自己蘇…
- 07/01 09:50 評価 10点 《閉ザサレシ世界ノ冥神》「《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》から始…
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- 07/01 01:49 掲示板 オリカコンテスト(R)計画処
- 07/01 01:48 掲示板 オリカコンテスト(R)計画処
- 07/01 01:05 掲示板 オリカコンテスト(R)計画処
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Amazonのアソシエイトとして、管理人は適格販売により収入を得ています。
そして同性をも落とす翌檜さんクッソ怖いです。彼女の一番考えたくない事態にならないといいのですが…… (2016-03-05 15:07)
色々な事情がありシロ君のデッキはヒロイックになりました。
今は詳しいことは言えませんがこれまでの出来事は全部繋がっておりまして……
アーティファクトはいざ当たった時かなり面倒ですからなぁ(´・ω・`)
無言無表情で完オチさせる翌檜さんは重要な情報収集係です。
さて、この後は一体……? (2016-03-05 17:43)
アーティファクトはいやらしい戦いかたしますからねぇ(AF先史遺産でマシュマック1キルしながら
AF蟲惑魔で活躍するトリオンちゃん可愛い←ここはごち蟲惑ではない(無言の落とし穴
次回、シロ君はどうなってしまうのか・・・完全体ロンゴミさんが出れば勝ち確なんだが... (2016-03-05 20:00)
翌檜さんにジト目で足蹴にされたい(隠すつもりのない願望
アーティファクトの神智→モラルタで何度逆転の切り札を破壊された事か……
完全体ロンゴミさんもヒロイックの魅力ですよなぁ。
あ、AF蠱惑魔にはティオちゃんもおるで!(ティオちゃんかわ(←ここはごち蠱惑ではない (2016-03-06 02:35)