第7話:翔と講師　作：ドクダミ2号

今日は朝から大変だった。まず起きた感覚で遅刻を感じたんだ。今日は親がいない。起こしてくれる人など・・・いるわけない。
翔「やらかしたーー！ぬおおぉぉおお！」
いつになく情けない姿だと思う。簡単な朝飯を作り、着替えて走り出した。
あと半分ぐらいまで来たところだろうか。違和感に気づく。
あれ・・・？なんか軽いなぁ・・・。
それもそのはず、リュックを背負って無かった。思わずため息が出る。
素直に諦めて俺は戻った・・・
山崎「はーっははは！お前ある意味すげぇな！！」
遅刻の理由を聞いた山ちゃんは大笑いしている。
翔「うるせぇ！ブチ殺すぞ！」
山崎「うわぁ怖い。ゴメンね〜！」
棒読みなのが更に腹立たしかった。
今日もいつも通りの時間が過ぎていく。いつもと変わらぬ風景。こういうの、変わらなければ良いのに、とよく思う。何故なら・・・休み時間になると一変するからだ。
ドドドと足音が響く。まるで闘牛が突進してくるような。
俺は走る準備をした。
女子1「センパーイ！」
女子2「翔さーん！ちょっと、痛いってば！」
女子3「ここは先輩に譲りなさいよ！翔くーん！」
来たな・・・！
山崎「うわぁ〜相変わらずエグいねぇ数が。大体53人ぐらいかな？」
翔「呑気なこと言ってんな！俺は逃げる！」
俺は走り出した。自慢じゃないが俊足には自信がある。
山崎「本当モテるねぇ。羨ましいわぁ〜」
俺の休み時間は大体こうして終わる。悲しい。
いつもの様な日を過ごし放課後になる。ここからは屋上へ行き、「あの事」を考える。相変わらず、進展は無かった。
こんな日々が崩れたのは次の日からだった。



翔「今日は遅刻をしなかった・・・！」
山崎「お疲れ〜、ほらよ、スポドリやるよ。金は貰うけどな！」
うるせぇと一蹴し、席に着く。
ふと何を思ったのか、山ちゃんがこんな事を聞いてきた。
お前って好きな人いるの？
思わず吹いた。
翔「げほ！ごほ！何なんだよ！お前マジで！」
山崎「いやさー、おにゃの子から逃げてるのがいささか腑に落ちなくて」
翔「おにゃの子とかやめて。気持ち悪い。
・・・いるよ、好きな人」
聞こえない様に小声で言ったが、地獄耳。
山崎「ええぇー！マジでー！！？居るんだー！好きな人ー！」
こいつ絶対、わざとだろ。周りに聞こえてんじゃねぇか。
すると一部除いて女子たちが、一斉にこっちに歩み寄ってきた。
「誰なの？」「許すます！マジ許すます！」「その子を潰すしかないわね」「くぁwhiskey:@gajiふじこ」
これだから嫌だった。バレるのは。その後担任が来たので場は一旦収まった。
俺が好きな人、いつも素っ気ない感じで、ピンクの髪を揺らして、俗に言うツンデレな感じの・・・。
翔「ツァンなんだよなー・・・」
山崎「あー、完全に高菜の花だね」
翔「そうなんだよ、不釣り合いだよ。マジで高菜の花」
山崎「高嶺の花だよ、なんで突っ込まねぇんだよ、なんで一緒になって使うんだよ」
翔「あれ高嶺の花だっけ、俺のわかんないからさー・・・」
山崎「じゃぁ使うなよ・・・」
担任「そこ喋るなー、今日はねデュエル協会からね、講師が来てます。何でも実力を測るために、抜き打ちテストをするそうな」
教室はえー！と言う声に包まれた。そりゃそうだ。聞いてないんだもの。そのテストは午後に行われた。
講師「じゃ、出席番号順で行おうと思います。内容は簡単。私とデュエルするだけです」
それなら簡単だ。俺でも合格できそうだ。
・・・だが講師の人は思いの外強く、負ける人が続出した。長い間待った末、俺の番が来た。
講師「君は強いと聞く。対君用のデッキがあるから、そっちで相手するよ」
・・・？それじゃぁテストの意味がないんじゃ？
そう思いつつもデュエルディスクを構える。
講師「へぇー、君のって初期型のデュエルディスクなんだ」
翔「まぁ・・・。こっちの方が見た目が好きなんで。ソリットビジョンはちゃんと最新型っすよ」
講師「自分で改造したのか！君はすごいなぁ！」
何気ない会話の様な気がするが、どことなく違和感を感じる。
講師「それじゃぁやろうか！」
デュエル！！
翔LP4000 講師LP4000
翔「先行は俺だな！俺はモンスターを伏せ、カードを一枚伏せてターンエンド！」
講師「私のターン！ドロー！私は起動重機ブルドリルを召喚！」
起動重機！？聞いた事ないぞ！
生徒1「起動重機てなに？」
生徒2「聞いた事なーい」
講師「起動重機ブルドリルの効果発動！デッキから起動重機と名のついたモンスターを一枚手札に加え、自分の手札から、カードを一枚捨てる！」
一枚のカードで入れ替えかよ。すげぇ効果だ。
講師「更に、今捨てた起動重機パワショベルの効果発動！カードの効果で捨てられた時、墓地から特殊召喚する！」
一気に２体か、しかもパワショベルはチューナー・・・、ブルドリルがレベル4でパワショベルが5・・・一体どうなる？
講師「バトル！ブルドリルでその伏せモンスターにアタック！」
伏せモンスターをドリルが貫く。
モンスターはあえなく破壊された。
講師「ブルドリルは貫通持ちだ！喰らえ！」
翔「何！？貫通だと！？」
ブルドリルの攻撃力は2000、守備モンスターは、守備力500ってことは・・・1500ダメージだと！？
ブルドリルが突進してくる。見事に俺を跳ね飛ばした。
翔「ぐぁ！！実際にイテェだと！？こいつまさか！？」
翔LP4000→2500
俺は吹き飛び壁に叩きつけられた。
生徒1「え！？何！？何が起きたの！？」
生徒2「翔が吹き飛んだ！？何が起きてるんだよ！？」
講師「あれー？何が起きたんだろー？大丈夫かーい？」
翔は意識を失っていた。ように見えたが実際は考え事をしていた。
講師「うーん、デュエル続行不可能だね。翔君とのデュエルは中止だね」
講師がそう言った瞬間だった。
翔「待てよ。まだ終わってねーぞ」
講師「しぶといねー、そのまま死んでしまえば良かったのに」
翔「やっぱりそういうことか・・・！ふん、さっさと続きを始めようぜ・・・！」
次回に続く