第六十九話　部活　作：怪盗七夜月

・有希と咲夜はアカデミアに帰還する事が出来た。校長室へ行くとそこには蓮達が居た。蓮たちが有希に話している最中、咲夜は十代に２枚のカードを手渡す。すると突然咲夜は倒れ、保健室に救急搬送される。鮎川先生曰く、「椎間板損傷」と「大腿骨骨折」らしい⋯⋯


疲れて寝入った咲夜の頭に誰かの声がする。女の声だ。それに激痛が背中を走る。

咲「おま⋯⋯誰だよ！ってか、降りてくれ！」
？「なんなのよ、こんな怪我くらいで」
　女はそう言うと口をへの字に曲げる。

？「アンタ、度胸⋯⋯あるのね」
咲「なんだ、いきなり。友達助けるんだ。当然の事だろ。この怪我はヘマしたけど」
　そいつは「ふうん⋯⋯」とだけ言った。その反応はなんだ。

？「アンタ、ついて来なさい」
咲「僕はここから動けません」
？「早く来なさい」
　ダメだ、聞いてない。松葉杖１本を手に引っ張られる咲夜。連れてかれたのは部屋の一角で、
　そこには少女が一人、ポツンと窓際の椅子に座っていた。

咲「何をする気だ？」
？「部室を作るのよ」
咲「ここはどこだ」
？「読書部の部室よ」
咲「じゃあ、読書部のものじゃないか」
？「読書部は去年の３年生が卒業して部員が０。廃部になるところに入部したのがこの子。」
咲「じゃあ、廃部ではないじゃないか。休止中ならまだしも、ここに部室って⋯⋯！」
？「あの子が『良い』って言ったわよ？」
　そう言うと咲夜はその子の方へ向かった。

？「『西野白桃』ですの」
　それだけ言った。ソイツは茶色のロングヘアーをたなびかせていて、きれいな人だ。

咲「コイツ、ここを占領して部室作る気ですけど⋯⋯？」
白「構わないですの。一人じゃ寂しいですから。」
咲「何するかわからないですよ？」
白「構いませんですの」
咲「はぁ⋯⋯」
　構わないのかよ。その口癖は高飛車な人がそんな口調を使うんじゃないか？この人は普通であってほしい。

？「アンタ、名前は？」
咲「『水無月咲夜』。あんたの名前はなんだ」
？「私は『早柿ハルヒ』。」
咲「そうか。」
ハ「アンタ、どっかであったことある？」
咲「無いと思うな」
　多分な。過去に行ける『時空旅行者』だったら別だけどな。

ハ「明日の放課後、ここに集合ね！」
咲「僕、ムリだって！」
ハ「来なかったら死刑だから！」
　そう言い放って、部屋を出て行った。まったく、こちらは怪我人なのに。

桃「お送りしましょうか？」
咲「⋯⋯お願いします」
　ここは素直に受け入れておこう。

桃「あなた、早柿さん、覚えてないんですか？」
咲「まったくもって記憶がない」
桃「貴方と早柿さん、一度会ってるじゃないですか」
咲「なぜ知ってる⋯⋯？」
桃「なぜ隠してたんですの？」
咲「面倒事は嫌だからな。で、なぜ知ってる？」
桃「なぜなら私は『時空旅行者』だからです」
咲「ハァ⋯⋯？」
　どういう事だ⋯⋯？


第七十話へ続く