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第6話 小さなコンビニと遊戯王 作:にしん
翌日。今日から平日だがこの曜日は2限目からなので遅くまで寝る。いつもの如く隣の結花がばたばたするので早めに起きてしまうのはもう慣れた。
要「そういえば今日の夕方だっけか」
例のコンビニでカードショップが開店する。一度引退し、エンジョイ勢として戻った身からすれば興味はある。しかし、客が来るのだろうか。
要「んー、一応デッキ持って行っとくか」
昼。いつも通り学食で今日はラーメンを食べる。値段も安いしおいしいのはいいことだ。これ3食で幽鬼うさぎあたりが買える。そう考えると遊戯王のカードって高いなぁと今更思った。
静流「要くんこんにちは」
要「ん、瀬戸さんも学食か。あれ、結花は?」
静流「選択が休講になったからって帰ったよ」
同じ学科だけど取っている選択講義はそれなりに違う。いわゆる得意不得意ってやつだ。そもそも結花はいつも瀬戸さんと行動しているし、俺も友人と動いているので一緒に行動することはほとんどなかったりする。
静流「そうだ要くん、私ともデュエルしてほしいな」
要「そうだな。今日とかどうだ?久々にカードショップに行くんだけど・・・」
静流「行きたいけど今日は用事あるから無理かな。折角のシノビのユージとデュエルだけどごめんね」
要「その名前はとうの昔にs」
静流「また言ってる。デュエルはまた今度だね。あっ、席ないから隣いい?」
要「いいぞー。俺はただただラーメンを啜る一般人だ」
放課後。俺は自転車を走らせ、いつものコンビニへのゆるやかな坂を上る。意識してみると確かに社会人がそれなりに歩いてるな。こりゃしばらくは開店どころじゃない気がしなくもない。
そういえば結花も行くって言ってたのに真っ先に帰っていったな。
要「・・・あいつなら逆に真っ先に行ってそうだけどな」
コンビニに到着する。案の定今の時間帯は帰りの社員寮のサラリーマンなどで若干忙しいようだ。落ち着くまでしばらく待とう。
俺がレジの方を見るとちょうど恵那さんと目が合った。恵那さんは手を合わせてごめんねのポーズをする。まぁこの忙しさなら仕方ないか。例のカーテンはまだ開かれてないし、誰かいる気配もない。
それよりも朝と同じくどんどん商品が減っていく。お菓子と日用品以外が。やっぱりコンビニって便利だ。
しばらくした時、騒がしい奴らが入店してきた。
結花「やっほーーーきたよーー!」
子供1「ゆうぎおうまだー?」
子供2「つよいひとどこー?」
子供3「そわそわ」
結花が何故か子供たちを連れてきていた。人気者だな、流石は子供っぽいだけのことはある。
恵那「も、もうちょっと待っててください。さっさと発注と整理済ませてきます・・・」
おばあちゃん「発注はわしがやっておくから、そっち開きんさい」
恵那「いいの?ありがとうおばあちゃん」
結花「見て!あれが元九良市最強の“シノビのユージ”よ!!」
要「だからその名はとうの昔n」
子供たち「???」
流石に子供には分からなかったか。昔のことだし。とりあえず黒歴史が再び晒されることは回避できそうだ。
しばらくすると恵那さんが私服姿で事務所から現れる。だがその私服には違和感があった。左腕だ。よく見なくてもわかる。それは・・・
結花「デュエルディスク!!」
子供1「いいなー!」
子供2「アニメみてー!」
子供3「すごーい」
要「恵那さんも割とガチ勢なのか・・・いや、店を開くぐらいだしガチ勢か」
恵那「えへへ・・・か、買ったのは最近ですけどね。さ、さて、ついにオープンしちゃいましょうか」
しかも割と本格的なものだ。流石にアニメのようにドローやシャッフル機能、そしてソリッドビジョンシステムはついていないけど光ったり効果音が出るのは本格的。
そして例のカーテンがついに開かれる。そこに広がっていたのは・・・
要&結花&子供たち「おおーーーっ!!」
狭いながらも壁一面に広がるパックやシングルカード、そしてサプライ。部屋の端っこにはいわゆる格安カードが入った箱がいくつもある。雑誌や店内用サプライなどもそろっていた。中央には安定のデュエルするための長机。そして入り口横に申し訳程度のレジ。
恵那「い、いらっしゃいませ。小さいですけど・・・よろしくお願いしますね」
要「めっちゃ充実してるな・・・」
結花「そこらのカードショップにも負けない品ぞろえだねぇ。お客さんも沢山いるしねっ」
要「・・・いるのか?」
恵那「えと、今日来てくれた子供たちもですけど最近、ここあたりの学区で遊戯王が流行っているらしくて・・・多分休日に沢山くるかも」
なるほどそういうことか。それならエンジョイ勢として楽しめそうだ。
結花「大会とかってどうするの?」
恵那「見ての通り狭すぎて大会なんてできないです」
確かにデュエルできても3組ぐらい。デュエルできる長机は2本で、うち1本は何やら大きいダメージ計算器のようなものが置いてある。ってこのダメージ計算器見たことあるが、もしや。
要「結花、勝手に持ってったな」
結花「ばれたか」
要「まぁ、家に置いてても邪魔だったしこの際譲るのもありか」
恵那「ほ、本当ですか?」
要「うん」
恵那「わあ、ありがとうございます・・・!」
オープンの興奮が落ち着いたところで子供たちは早速カードを漁っていた。そういえばここのシングルカードやサプライ、他のカードショップよりやたら安い気がする。見渡していると壁に注意書きの紙が貼ってある。内容は「表示は小学生~高校生限定金額、一般はおおよそ2倍です」だそうだ。納得。
子供1「ぼく、これかうー」
子供2「おれはこれ!おれのれいんぼーうぃんぐがもっとつよくなるぞー」
子供3「わたしはこれ・・・」
早速小遣いで色々買ってはデッキを編成し、デュエルしあっていた。それを見てなんだか和む。これがフレッシュなデュエリストということか。初心を思い出す。と思いきや子供たちは割とガチだけどファンなデッキを使ってて完全なる初心ではなかったようだ。
結花「んじゃ遊二、デュエルしよー・・・ってデッキわすれちった」
恵那「じゃ、じゃあこの私が作ったデッキ貸してあげます・・・ここにレンタルデッキおいてますので」
結花「おおー、いろんなデッキあるなー。んじゃこれで。遊二は?」
要「俺は一応持ってきたし・・・でもたまには違うデッキ使ってみるのもありだな」
結花「んじゃ遊二はこの<星杯>デッキね。ついでにリンクもあたしが教えてあげる」
要「リンクか・・・」
・・・
外が暗くなる。子供たちが帰り、ショップには俺と結花だけが残っていた。デュエルをし尽くしたので結花は雑誌を読んでいた。
結花「おっ、“遊戯王EM”から<SS>と<チアブルーム>収録かぁ・・・チアちゃんかわいいしバイト代溜まったら組んでみようかな?」
要「音速の燕でバーンダメージを与え、シンクロ召喚で加速せよ!か・・・カッコいいな<SS>」
アニメでの使用キャラが<SS>が何やら白いファーを羽織った女性「白鳥 ソニ子」で<チアブルーム>がそのままチアの格好をした少女「ミミカ=カンナカラー」。最近のアニメのキャラは遊戯王っぽさが若干薄れている気がしなくもないが、同時進行している“遊戯王VRAINS”は遊戯王っぽいようだ。
収録カードを見てもリンクだけではなく融合やシンクロなども含まれている。中には俺がこっそり買った<ライバル・アライバル>のように便利そうな汎用カードもあるのだ。
恵那「あのー・・・そろそろ閉店・・・」
要「ん、もうそんな時間か」
壁に掛けてある時計を見てみると時間はすでに8時すぎ。恵那さんがコンビニの制服を着てカーテンから申し訳程度に姿を出していた。
結花「あっ!もうすぐあの番組始まるっ!!」
要「いつもの料理番組だったか」
結花「んじゃ先に帰るねじゃあね遊二」
結花はささっと荷物をまとめて嵐のように去っていった。
恵那「速いですね・・・」
要「昔からそんな奴だしなぁ結花は。元気だけが取り柄」
恵那「だから仲がいいんですね、お兄さんと川澄さん。いいなぁ・・・」
要「今となっちゃ漫才師にもなれそうだけどな」
俺も荷物をまとめてカードショップからコンビニに移動したところで思いつく。そういえばコンビニの中だったな。のど乾いたりとかしたらすぐに買えるの便利だなここ。
退店しようとすると恵那さんがカゴにお弁当やらパンやらを入れていた。
要「何してるの?」
恵那「はわっ!?えっ、えっと・・・廃棄です」
要「び、びっくりさせるつもりはなかったけど・・・なるほど廃棄か」
さっきまで普通におしゃべりしていたのにこの反応はなんだかかわいい。
恵那「あっ、お兄さん。今日は廃棄多いので少し買ってくれませんか?安くしますので・・・」
要「おっ、安売りならぜひ買わねばな」
恵那「えへへ、ありがとうございます」
多いとは言っても弁当系が数個、パンも数個と少ないようにも見える。
恵那「この通り個人店ですから、廃棄はなるべく出さないようにしてます」
要「朝と夕方多くても残るものは残るんだな」
恵那「これでも出たほうなんですけどね・・・発注どうしようかなぁ」
弁当系はどうやらコンビニ「BOXY」特有のシステムなようで、ご飯が入った縦長のキットとおかずが入った正方形のキットを1つの長方形のプラスチック製の弁当箱にはめて、1箱500円というシステムのようだ。おかずやご飯単体でも販売はしているが割高になるのだろう。
要「好きなおかずを選んで食べられるのいいな」
恵那「おすすめは鯖の味噌煮です。今日はないですけど・・・」
要「食材に困ったら買ってみるかな」
コンビニから出る瞬間に振り返った時、恵那さんが小さく手を振っていたのが見えた。
帰宅する。そういえば早速大学での課題が出たんだった。その前に晩御飯だが・・・
ピンポーン
インターホンが鳴る。恐らく・・・ではなく確実に奴だろう。
要「何用」
結花「我、自炊姫也。白米無にしておかず進まず。お米頂戴致す!」
要「姫なのか泥棒なのか・・・ならば我はこっそりとそのおかずを頂戴せん・・・」
結花「な、なにーっ!?」
その後、何故か俺のキッチンで一緒に料理をすることになった。廃棄になる前に買ったおかずがあったが量が少ないので、料理の手間と合わせて俺も結花も助かる結果となった。
―――
2階の自宅、玄関から一番近い、左にある和室がおばあちゃんの寝室、中央のリビングを挟んで奥の部屋が私の部屋。今日のカードショップ開店は大成功に終わった。“シノビのユージ”ことお兄さんや川澄さん、そして近所の子供たちが来てくれたし、これからこのカードショップが遊び場になってくれれば私もうれしい。
おばあちゃんはすでに寝ているようだ。リビングにある机の上には虫が入らないようにするドーム状の布状の網の中に晩御飯が置いてあった。私が下で忙しい間に作っておいてくれたのだろう。おばあちゃんは夜になると眠気がきついみたいだからいつもは私が作るのに・・・
恵那「ありがとう、おばあちゃん」
テレビを見ながら晩御飯を食べる。ふとお兄さんの事を考える。ほぼ毎朝コーヒーを買いに来て、これからもコーヒーとカードショップに来てくれるお兄さん。遊戯王でも昔はかなり有名で、そんな方が常連になってくれると思うとなんだか嬉しくなる。でも私が本当に想っている感情はそれとは違う、ほんのり甘酸っぱい、ドキドキするようなものだった。
そもそも高校ではほとんど男の子とは話さないから年の近い、ましてや年上の異性と話すのはかなり緊張した。だけど、趣味の合う、毎朝コーヒーを買ってくれる、そしてやさしい。彼がいい人でよかった。カードショップを盛り上げるためにお兄さんの協力は不可欠だろう。もっと緊張せずにおしゃべりできるように頑張らなきゃ。
恵那「ごちそうさま。さて、お風呂沸かさなきゃ・・・」
要「そういえば今日の夕方だっけか」
例のコンビニでカードショップが開店する。一度引退し、エンジョイ勢として戻った身からすれば興味はある。しかし、客が来るのだろうか。
要「んー、一応デッキ持って行っとくか」
昼。いつも通り学食で今日はラーメンを食べる。値段も安いしおいしいのはいいことだ。これ3食で幽鬼うさぎあたりが買える。そう考えると遊戯王のカードって高いなぁと今更思った。
静流「要くんこんにちは」
要「ん、瀬戸さんも学食か。あれ、結花は?」
静流「選択が休講になったからって帰ったよ」
同じ学科だけど取っている選択講義はそれなりに違う。いわゆる得意不得意ってやつだ。そもそも結花はいつも瀬戸さんと行動しているし、俺も友人と動いているので一緒に行動することはほとんどなかったりする。
静流「そうだ要くん、私ともデュエルしてほしいな」
要「そうだな。今日とかどうだ?久々にカードショップに行くんだけど・・・」
静流「行きたいけど今日は用事あるから無理かな。折角のシノビのユージとデュエルだけどごめんね」
要「その名前はとうの昔にs」
静流「また言ってる。デュエルはまた今度だね。あっ、席ないから隣いい?」
要「いいぞー。俺はただただラーメンを啜る一般人だ」
放課後。俺は自転車を走らせ、いつものコンビニへのゆるやかな坂を上る。意識してみると確かに社会人がそれなりに歩いてるな。こりゃしばらくは開店どころじゃない気がしなくもない。
そういえば結花も行くって言ってたのに真っ先に帰っていったな。
要「・・・あいつなら逆に真っ先に行ってそうだけどな」
コンビニに到着する。案の定今の時間帯は帰りの社員寮のサラリーマンなどで若干忙しいようだ。落ち着くまでしばらく待とう。
俺がレジの方を見るとちょうど恵那さんと目が合った。恵那さんは手を合わせてごめんねのポーズをする。まぁこの忙しさなら仕方ないか。例のカーテンはまだ開かれてないし、誰かいる気配もない。
それよりも朝と同じくどんどん商品が減っていく。お菓子と日用品以外が。やっぱりコンビニって便利だ。
しばらくした時、騒がしい奴らが入店してきた。
結花「やっほーーーきたよーー!」
子供1「ゆうぎおうまだー?」
子供2「つよいひとどこー?」
子供3「そわそわ」
結花が何故か子供たちを連れてきていた。人気者だな、流石は子供っぽいだけのことはある。
恵那「も、もうちょっと待っててください。さっさと発注と整理済ませてきます・・・」
おばあちゃん「発注はわしがやっておくから、そっち開きんさい」
恵那「いいの?ありがとうおばあちゃん」
結花「見て!あれが元九良市最強の“シノビのユージ”よ!!」
要「だからその名はとうの昔n」
子供たち「???」
流石に子供には分からなかったか。昔のことだし。とりあえず黒歴史が再び晒されることは回避できそうだ。
しばらくすると恵那さんが私服姿で事務所から現れる。だがその私服には違和感があった。左腕だ。よく見なくてもわかる。それは・・・
結花「デュエルディスク!!」
子供1「いいなー!」
子供2「アニメみてー!」
子供3「すごーい」
要「恵那さんも割とガチ勢なのか・・・いや、店を開くぐらいだしガチ勢か」
恵那「えへへ・・・か、買ったのは最近ですけどね。さ、さて、ついにオープンしちゃいましょうか」
しかも割と本格的なものだ。流石にアニメのようにドローやシャッフル機能、そしてソリッドビジョンシステムはついていないけど光ったり効果音が出るのは本格的。
そして例のカーテンがついに開かれる。そこに広がっていたのは・・・
要&結花&子供たち「おおーーーっ!!」
狭いながらも壁一面に広がるパックやシングルカード、そしてサプライ。部屋の端っこにはいわゆる格安カードが入った箱がいくつもある。雑誌や店内用サプライなどもそろっていた。中央には安定のデュエルするための長机。そして入り口横に申し訳程度のレジ。
恵那「い、いらっしゃいませ。小さいですけど・・・よろしくお願いしますね」
要「めっちゃ充実してるな・・・」
結花「そこらのカードショップにも負けない品ぞろえだねぇ。お客さんも沢山いるしねっ」
要「・・・いるのか?」
恵那「えと、今日来てくれた子供たちもですけど最近、ここあたりの学区で遊戯王が流行っているらしくて・・・多分休日に沢山くるかも」
なるほどそういうことか。それならエンジョイ勢として楽しめそうだ。
結花「大会とかってどうするの?」
恵那「見ての通り狭すぎて大会なんてできないです」
確かにデュエルできても3組ぐらい。デュエルできる長机は2本で、うち1本は何やら大きいダメージ計算器のようなものが置いてある。ってこのダメージ計算器見たことあるが、もしや。
要「結花、勝手に持ってったな」
結花「ばれたか」
要「まぁ、家に置いてても邪魔だったしこの際譲るのもありか」
恵那「ほ、本当ですか?」
要「うん」
恵那「わあ、ありがとうございます・・・!」
オープンの興奮が落ち着いたところで子供たちは早速カードを漁っていた。そういえばここのシングルカードやサプライ、他のカードショップよりやたら安い気がする。見渡していると壁に注意書きの紙が貼ってある。内容は「表示は小学生~高校生限定金額、一般はおおよそ2倍です」だそうだ。納得。
子供1「ぼく、これかうー」
子供2「おれはこれ!おれのれいんぼーうぃんぐがもっとつよくなるぞー」
子供3「わたしはこれ・・・」
早速小遣いで色々買ってはデッキを編成し、デュエルしあっていた。それを見てなんだか和む。これがフレッシュなデュエリストということか。初心を思い出す。と思いきや子供たちは割とガチだけどファンなデッキを使ってて完全なる初心ではなかったようだ。
結花「んじゃ遊二、デュエルしよー・・・ってデッキわすれちった」
恵那「じゃ、じゃあこの私が作ったデッキ貸してあげます・・・ここにレンタルデッキおいてますので」
結花「おおー、いろんなデッキあるなー。んじゃこれで。遊二は?」
要「俺は一応持ってきたし・・・でもたまには違うデッキ使ってみるのもありだな」
結花「んじゃ遊二はこの<星杯>デッキね。ついでにリンクもあたしが教えてあげる」
要「リンクか・・・」
・・・
外が暗くなる。子供たちが帰り、ショップには俺と結花だけが残っていた。デュエルをし尽くしたので結花は雑誌を読んでいた。
結花「おっ、“遊戯王EM”から<SS>と<チアブルーム>収録かぁ・・・チアちゃんかわいいしバイト代溜まったら組んでみようかな?」
要「音速の燕でバーンダメージを与え、シンクロ召喚で加速せよ!か・・・カッコいいな<SS>」
アニメでの使用キャラが<SS>が何やら白いファーを羽織った女性「白鳥 ソニ子」で<チアブルーム>がそのままチアの格好をした少女「ミミカ=カンナカラー」。最近のアニメのキャラは遊戯王っぽさが若干薄れている気がしなくもないが、同時進行している“遊戯王VRAINS”は遊戯王っぽいようだ。
収録カードを見てもリンクだけではなく融合やシンクロなども含まれている。中には俺がこっそり買った<ライバル・アライバル>のように便利そうな汎用カードもあるのだ。
恵那「あのー・・・そろそろ閉店・・・」
要「ん、もうそんな時間か」
壁に掛けてある時計を見てみると時間はすでに8時すぎ。恵那さんがコンビニの制服を着てカーテンから申し訳程度に姿を出していた。
結花「あっ!もうすぐあの番組始まるっ!!」
要「いつもの料理番組だったか」
結花「んじゃ先に帰るねじゃあね遊二」
結花はささっと荷物をまとめて嵐のように去っていった。
恵那「速いですね・・・」
要「昔からそんな奴だしなぁ結花は。元気だけが取り柄」
恵那「だから仲がいいんですね、お兄さんと川澄さん。いいなぁ・・・」
要「今となっちゃ漫才師にもなれそうだけどな」
俺も荷物をまとめてカードショップからコンビニに移動したところで思いつく。そういえばコンビニの中だったな。のど乾いたりとかしたらすぐに買えるの便利だなここ。
退店しようとすると恵那さんがカゴにお弁当やらパンやらを入れていた。
要「何してるの?」
恵那「はわっ!?えっ、えっと・・・廃棄です」
要「び、びっくりさせるつもりはなかったけど・・・なるほど廃棄か」
さっきまで普通におしゃべりしていたのにこの反応はなんだかかわいい。
恵那「あっ、お兄さん。今日は廃棄多いので少し買ってくれませんか?安くしますので・・・」
要「おっ、安売りならぜひ買わねばな」
恵那「えへへ、ありがとうございます」
多いとは言っても弁当系が数個、パンも数個と少ないようにも見える。
恵那「この通り個人店ですから、廃棄はなるべく出さないようにしてます」
要「朝と夕方多くても残るものは残るんだな」
恵那「これでも出たほうなんですけどね・・・発注どうしようかなぁ」
弁当系はどうやらコンビニ「BOXY」特有のシステムなようで、ご飯が入った縦長のキットとおかずが入った正方形のキットを1つの長方形のプラスチック製の弁当箱にはめて、1箱500円というシステムのようだ。おかずやご飯単体でも販売はしているが割高になるのだろう。
要「好きなおかずを選んで食べられるのいいな」
恵那「おすすめは鯖の味噌煮です。今日はないですけど・・・」
要「食材に困ったら買ってみるかな」
コンビニから出る瞬間に振り返った時、恵那さんが小さく手を振っていたのが見えた。
帰宅する。そういえば早速大学での課題が出たんだった。その前に晩御飯だが・・・
ピンポーン
インターホンが鳴る。恐らく・・・ではなく確実に奴だろう。
要「何用」
結花「我、自炊姫也。白米無にしておかず進まず。お米頂戴致す!」
要「姫なのか泥棒なのか・・・ならば我はこっそりとそのおかずを頂戴せん・・・」
結花「な、なにーっ!?」
その後、何故か俺のキッチンで一緒に料理をすることになった。廃棄になる前に買ったおかずがあったが量が少ないので、料理の手間と合わせて俺も結花も助かる結果となった。
―――
2階の自宅、玄関から一番近い、左にある和室がおばあちゃんの寝室、中央のリビングを挟んで奥の部屋が私の部屋。今日のカードショップ開店は大成功に終わった。“シノビのユージ”ことお兄さんや川澄さん、そして近所の子供たちが来てくれたし、これからこのカードショップが遊び場になってくれれば私もうれしい。
おばあちゃんはすでに寝ているようだ。リビングにある机の上には虫が入らないようにするドーム状の布状の網の中に晩御飯が置いてあった。私が下で忙しい間に作っておいてくれたのだろう。おばあちゃんは夜になると眠気がきついみたいだからいつもは私が作るのに・・・
恵那「ありがとう、おばあちゃん」
テレビを見ながら晩御飯を食べる。ふとお兄さんの事を考える。ほぼ毎朝コーヒーを買いに来て、これからもコーヒーとカードショップに来てくれるお兄さん。遊戯王でも昔はかなり有名で、そんな方が常連になってくれると思うとなんだか嬉しくなる。でも私が本当に想っている感情はそれとは違う、ほんのり甘酸っぱい、ドキドキするようなものだった。
そもそも高校ではほとんど男の子とは話さないから年の近い、ましてや年上の異性と話すのはかなり緊張した。だけど、趣味の合う、毎朝コーヒーを買ってくれる、そしてやさしい。彼がいい人でよかった。カードショップを盛り上げるためにお兄さんの協力は不可欠だろう。もっと緊張せずにおしゃべりできるように頑張らなきゃ。
恵那「ごちそうさま。さて、お風呂沸かさなきゃ・・・」
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70 | 第37話 ランダムデュエルデース | 561 | 0 | 2020-05-11 | - | |
52 | 第38話 きっかけ | 531 | 0 | 2020-05-28 | - | |
62 | EX-3前半 きっかけのきっかけ | 515 | 0 | 2020-06-01 | - | |
70 | EX-3後半 きっかけを与えてくれたもの | 532 | 0 | 2020-06-05 | - | |
36 | 第39話 小さなコンビニの要 | 408 | 0 | 2020-06-15 | - | |
52 | 第40話 静かで熱い場所 | 670 | 0 | 2020-06-27 | - | |
65 | 第41話 温泉の陣 | 550 | 0 | 2020-07-06 | - | |
68 | 第42話 混沌とした戦 | 606 | 0 | 2020-07-13 | - | |
71 | 第43話 ホルアクティ×3 | 637 | 0 | 2020-08-01 | - | |
56 | 第44話 おばあちゃんと封印のデッキ | 503 | 0 | 2020-08-17 | - | |
88 | 第45話 おばあちゃんからのメッセージ | 603 | 0 | 2020-08-31 | - | |
73 | 第46話 シノビのあの頃 | 617 | 0 | 2020-10-07 | - |
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日常的で穏やかな雰囲気がほのぼのしてて好きです。これからも楽しみに読ませてもらいます。 (2019-08-30 22:30)
シリアスや急展開っておいしいのレベルの穏やかストーリーなのですが楽しんでいただいているようでなによりです。 (2019-08-31 00:41)