第３９話　小さなコンビニの要　作：にしん

　おばあちゃんを病院に連れて行ってから数日後の朝。俺たちの夏休みは終わりに近づいたころ。

要「今日も忙しかったなぁ。さてカードショップ開店っと」

今日は結花たちが「デュエルの日だー」と妙に張り切っていたので本来ならば昼過ぎからオープンするはずだけど朝からオープンさせる。

あれからおばあちゃんはというと避けては通れない「老衰」がここ最近一気に進んでいたそうで、今日この後から暫く助っ人を呼ぶとおばあちゃんは言ってた。もちろん「恵那にはまだ秘密じゃ」。

恵那「いってきまーす」
おばあちゃん「いってらっしゃい」
要「・・・あ、そういえば今日そうか」

今日の恵那さんは友達と遊びに行く用事があった。つまりコンビニ店員は俺１人。まぁ結花たちなら勝手にデュエルするだろうしその助っ人が来るまで俺だけで大丈夫か。

考え事をしていると結花たちが到着。どうやら瀬戸さんの車で来たようだ。

結花「やっほい遊二」
静流「んじゃ早速練習といきましょうか」
マイケル「僕のデビュー戦の為デス」
要「ああ、市内の大きいカードショップで大会があるんだったな」
結花「遊二が出ないのだけは残念だけどねー」
静流「ねー」
マイケル「ネー」

“シノビのユージ”は既に引退したんだ。それに今の＜影忍＞では環境入りは厳しいだろうというのもある。

　カードショップでわいわい・・・というか割とガチでデュエってる結花たちをコンビニ側のレジから眺めながらゆっくり過ごす。朝のサラリーマンラッシュが過ぎればここは暇なのでむしろデュエルの様子を眺めるのがいい暇つぶしになっていた。


・・・・・

３時間後。デュエルが終わる。

結花「うーん、やっぱり汎用枠をもうちょっと増やすべきか、モンスターを増やすか・・・」
マイケル「もうちょっと“シノビのユージ”らしい構成はないカナ・・・」

流石ガチ勢。と、瀬戸さんだけレジでくつろいでいる俺の前に来た。

静流「さておばあさん、要くん借りますね」
要「は？」
おばあちゃん「助っ人もそろそろ到着するはずだし、大丈夫じゃよ」
静流「ありがとうございます」
要「ど、どゆこと？」

突然退勤させられ、ぱぱっと私服に着替えさせられた俺は瀬戸さんの車に連行されるように連れていかれた。

要「何かあったっけ？」
結花「忘れたの遊二？昼飯食って温泉リベンジからの温泉デュエル！」
要「ああー・・・って聞いてないぞ。てかいつの間に俺の着替えとデッキがここに！？」
静流「まぁまぁ気にせず」
マイケル「ちなみに大会実績のある要クンとのガチデュエルついでの温泉デス」
要「なるほどな。まぁ、いいか。飯どこで食うんだ？」


ーーー


おばあちゃん「また助っ人として来てもらってすまないねぇ」
？？？「こうなるとは思ってましたし大丈夫ですよ、桃井さん」
おばあちゃん「それにしても、息子さんには秘密にするのが気になるのう」
？？？「息子が偶然ここのバイトになっているのはびっくりしましたよ。でも理由は単純に息子には会社で働いてるって嘘ついちゃってますからできれば隠しておきたいんです」
おばあちゃん「まぁ息子さんも真面目じゃからのう、大学の合間によく働いてくれて助かってての。確かバイトの志望理由が生活費全額だったかのう。恵那もそうだけど若いにはちと働きすぎかと思ってるんじゃ」
？？？「・・・成長したわね、遊二。昔は学校をさぼってまで遊戯王だったわねぇ」