第３０話　コンビニも夏休みモードです　作：にしん

　２泊３日のプール旅行から戻り、まだまだ続く夏休みを謳歌している今日この頃。今日も猛暑だ。これが地球温暖化か。今日という日こそバイトに行き自宅の電気代がかからない冷房の環境下でのんびりしつつ稼ぎたい。

とはいえここは自然に囲まれた俺の実家。帰省中である。自然に囲まれていて少しは涼しく感じる。周辺に家がない・・・お隣さんが遠いので窓全快で風を通すだけで冷房並みの涼しさを感じる。ことができたら苦労はしない。

お盆の時期は過ぎているけど長期休暇中の帰省は欠かせない。のだが両親共働きでこの昼の時間帯は家には俺しかいない。用意されていた昼食を食べ、テレビがあるリビングでのんびりしている。

帰省したけどあのコンビニは大丈夫だろうか。と思って事前におばあちゃんに聞いたらあっちもあっちでメインの客となるサラリーマンも短いながら夏休みらしくてあの静かな場所に似合った客足のなさになるとか。なので今日はそれを見越してある場所に行くことになっている。そろそろ来るだろう。

要「この音は・・・来たか」

外から実家のとは違う自動車の音が聞こえる。窓から覗くとその自動車から見知った顔が降りてきた。俺は小さいリュックを背負って外出する。

静流「要くんこんにちは」
マイケル「今日は温泉デュエルデス！」
恵那「こ、こんにちは、お兄さん」

いつもなら真っ先に結花の元気でおかしな挨拶が飛んでくるところだが、今日はマイケルしか元気な声がない。

要「あれ、結花は？」
静流「バイトで忙しいって。この時期やっぱりファミレスって混むみたい」
要「なるほどな。流石のあいつも多忙からは逃げられないか。それよりこの軽自動車は瀬戸さんの？」

いかにもというほど明らかに持ち主が分かる主張が激しい水色の軽自動車。ボンネットには初心者マーク。

静流「やっと免許取れたからね。親の車だけどこの色は私の好み」
マイケル「思わずブルーアイズカーって叫びそうになりまシタ」
恵那「マイケルさん、普通に叫んでましたよ・・・」
マイケル「イエー」
要「ターボ付きなのもそれか・・・」

ということで瀬戸さんの運転で九良市市街とは逆方向にある温泉へレッツゴー。帰り際に晩飯として結花のファミレスに寄ろうという話になった。というか昼から閉店までシフト入ってるのかあいつ。


　あっという間に温泉に到着。山奥で車もあまり通らない静かな場所だが道の駅としての役割もあるため多い時は多いらしい。今日は少ない日のようだ。

施設に入ると眼前に広がるのは広々とした休憩所。やはり家族連れや老夫婦が多いし、子供たちのおもちゃのほとんどが遊戯王だった。

マイケル「温泉入ったらデュエりまショー」
静流「個室の家族風呂なら温泉デュエルできそうね」
要「この面子が家族に見えるか？」
恵那「お、温泉は普通に入りましょう」
マイケル「今日という日の為にプールの時のデュエルディスク浮き輪を持ってきマシタガ・・・出番はなさそうデスネ」

いつの間に膨らましていたのやら。マイケルはショボーンとしながらデュエルディスク浮き輪から空気を抜く。というか瀬戸さんも温泉デュエルする気満々だったのか防水仕様のデッキケースと完全密閉スリーブ・・・というかネジやらを入れるような小さい密封パックを持ってきていた。

休憩所から更に奥にある温泉受付を済ませ、それぞれ男湯女湯の暖簾をくぐる。流石にアニメや漫画みたいに混浴は家族風呂以外ないので今回はいたって健全な温泉回になりそうです。

要「ってマイケルもその密封パックかよ」
マイケル「プールと温泉デュエルの為に用意してマシタ」
要「・・・一生出番ないだろうな。というかチャック部分が分厚いしデッキになってないだろ」

マイケルのデッキはチャック部分を交互にすることで厚さが偏らないようになっていたが、デッキ単体としてみるとやっぱりかなり分厚くなっていた。というかそれだとドローしにくいし手札の整理も面倒くさいだろう。

全裸になり、フェイスタオルを持っていざ温泉へレッツゴー。まずは身体を洗うかかけ湯で流して身体を清めるのがマナーだぞ。