四大天使降臨②　作：はにわ改

　
「ーー『ミカエル』が召喚された事で、『リューゼリッド』の効果発動！
攻撃力が３３００にアップだ！」

ミカエルの登場により、刹那の場の最高攻撃力モンスターが更新。
リューゼリッドの効果で攻撃力が１番高いミカエルの攻撃力の半分、１４００がリューゼリッドの攻撃力１９００に加えられた。

「（ちぇ・・・、あんな強力なモンスターをこうぽんぽん召喚されたら敵わねぇな）」

心の中ではそう毒づきながらも、透矢は不敵な笑みを見せていた。
まるで、計算し尽くされたかのような刹那のカード運びに、毎回驚かされるのと同時に惚れ惚れさせられてしまう。

「（とはいえ今のところ、リューゼリッドが攻撃力で勝ってるな。
ミカエルも効果を発動出来ないみたいだし・・・）」

そこで、再び気持ちを冷ます。
場を見れば、刹那の場には混沌天使シンクロモンスターが３体並んだとはいえ、攻撃力だけみればリューゼリッドが勝る。
ミカエルも現状、効果が封じられているため、リューゼリッドが倒されることはない。

「（それにこっちには『守護の鎧』と『アリアス』が護ってくれているーー何とか凌いで見せるぜ）」

何とか凌ぎ、自分のターンに返れば、またチャンスは生まれる。
透矢は自分の前に立ってくれている騎士たちを、心の中で鼓舞していた。

「ーー続けるわよ。
私は手札から『混沌天使リニア』を召喚」

刹那が行動を続ける。
前のターンでも召喚したリニアが再びフィールドにその姿を見せた。

「リニアの２つの効果を発動。
墓地から『リニア』と『ソニア』を除外して、リニアのレベルを４に、そして墓地から『混沌天使 ステルヴィア』を特殊召喚」

優秀な２つの効果でシンクロ召喚をサポートするリニア。
このカードを如何に使い回すかが、刹那のデッキを活かす上で重要なポイントととなる。
かくしてリニアのレベルが元々の２から４へ、そして墓地のステルヴィアが蘇る。

「透矢くん・・・これから私が何をしようとしてるかは、分かるよね？」

「・・・ああ。
最後の『天使』か」

「ーー四大天使を場に揃えるなんて、透矢くんが初めてよ」

「マジかよ？へへ、それだけで自慢出来たりしてな」

「君の実力があればこそよ。
ありがとう、透矢くん。
君と今日、デュエル出来たこと。
そして最高の形を見せられそうな事に、ね」

「へへ、よせって！
それよりも、早く召喚してみせてくれよ！」

「ふふ・・・分かったわ」

二人で言葉を交わしたあと、いよいよその時が来る。
最後の四大天使の召喚の時が。

「混沌天使ステルヴィアにーー混沌天使リニアをチューニング・・・」

素材となる２つのモンスターのレベルはそれぞれ４。
光が弾けるようにして二人の魂は、４つずつの光と闇の球体へと姿を変えて、それが次元の穴へと吸い込まれ行く。

「光と闇ーーその２つの力を刃と為して、その手に携えよ。
特異点の彼方にて・・・永久に封じられた天使ーー降誕せよ！」

ーー最後の四大天使。
その登場とあってか、観客席ではこれまでにない盛り上がりを見せる。

そして次元の穴から発せられた目映い光。
その中に浮かべる影。
透矢は眩しさに絶えながらその姿を必死に捉えようとしていた。

「混沌天使！『ウリエル』！」

全てを照らす光輝く剣、闇の暗さに染まった漆黒の剣と２つの剣を手にした天使。
海の蒼さを表すかのような透き通った長い髪を靡かせながら、今、刹那の場にその姿を現した最後の天使。

混沌天使ーー『ウリエル』。
リューゼリッドやアリアスに勝るとも劣らない、何らかの決意に満ちた切れ長の眼差しが透矢を見下ろす。

レベルは８。攻撃力は圧巻の３３００にも至る。

「う、『ウリエル』・・・！
す、すげぇ！
俺の戦士たちにちょっと似てるな！
カッコいいぜ！」

実際、身体の各部に装備した甲冑、そして２つの相反する剣を手に持つウリエルは所謂、戦士という役割なのかもしれない。
戦士族を操る透矢は共感を感じたのか、今までとは違った反応を示した。

「ーー『ウリエル』の効果、発動！
シンクロ召喚に成功した時、デッキから混沌天使モンスターを２枚墓地に送る」

「ウリエルは墓地肥やしか！」

「私はデッキから『ステルヴィア』、『ソニア』を墓地に送るわ」

ウリエルの力の一端がさっそく発動する。
デッキから２枚の混沌天使を墓地へ送るという効果であり、
このターン、リニアで除外した分を埋め合わせし、混沌天使デッキでは有益な効果だ。

「おっと、リューゼリッドの攻撃力が、更に上昇！
３５５０にアップだ！」

しかしウリエルの登場により、再びリューゼリッドの効果が発動。
ウリエルの攻撃力の半分、１６５０が加算された。

凄まじいウリエルの攻撃能力だが、それでもリューゼリッドが未だ上。
問題はウリエルの能力。
一体、どんな能力が隠されているというのかーー。
いよいよ、召喚フェイズを終え、バトルフェイズへと移行するーー。