turn16:破滅の気配　作：どらっせ

　「こっから攻撃を仕掛けてぇけど、攻撃力が足りねぇな…。攻撃力4500は流石に強え。だが！対策はある！墓地の《無尽機関アルギロ・システム》の効果！墓地の《"ブルズ"アイン》をデッキに戻して手札に戻す！」

②:このカードが墓地に存在する場合、自分の墓地の「セリオンズ」カード１枚を対象として発動できる。そのカードとこのカードの内の１枚を手札に加え、もう１枚をデッキの一番下に戻す。

　「ここで！《セリオンズ・イレギュラー》の効果発動！手札の《無尽機関アルギロ・システム》を捨てて！テメェのフィールドのカード全てを破壊する！」

②:手札から「無尽機関アルギロ・システム」１枚を捨てて発動できる。相手フィールドのカードを全て破壊する。

　《セリオンズ・イレギュラー》の身体からとてつもない量の雷が解き放たれ、装介の場の《KINGレックス》を焼き尽くす！装備カードやセットカードごと…。

　「それを待っていた！破壊された《エボリューション・モノリス》の効果発動！墓地の《恐獣装　KINGレックス》を特殊召喚。更に墓地の「恐獣装甲」全てを装備。」

　これで攻撃力が4500になった《KINGレックス》が戻ってしまった…！誠弥はこれを承知で《イレギュラー》の効果を使ったのかもしれないが…大丈夫なのか？もう使える効果は全部使ったはずだし…。

　「こっちもそいつを待ってたんだぜ！罠発動！《奈落の落とし穴》！呼び出されたそいつを破壊して除外だ！」

　フィールドに空いた大穴が《KINGレックス》を飲み込む！これで今度こそ装介の場が空いた！

　「バトル！《イレギュラー》と《"キング"レギュラス》でダイレクトアタック！」

装介　LP4000→1700→0

　「ぐ…っ。ふふ、誠弥君。いいデュエルだったよ。私もまだまだってとこかな」

　「いや…。俺だってまだまだ。《奈落の落とし穴》引いてなかったら間違いなく負けてたし、《サイクロン・レシプロ》をテメェの手札にあったり《FORTスティラコ》を復活させてたりしてたら絶対に負けてらぁ。手ェ抜いたのかよ？レッドのために？」

　「まさか。君のエースに私は自身のエースでぶつかってみたかっただけだよ。敗因は私のそんな拘りかもね。」

　「へっ！よく言うぜ。嬉しそうな顔してる癖に！」

　2人共、デュエルが終わって仲が良さそうだ。そうだよな、デュエルってのは終わればお互いに仲良くなれるんだ！
　観客席も2人を讃える拍手でいっぱいだ。レッドもイエローも全員2人に熱い拍手を送っている！ブルーの奴らは帰っちゃったみたいだけど。

　寮対抗デュエルの後、港の灯台にて。

　「明津君。あなたに来てもらったのはあの騒動の後のブルーについて話しておこうと思ったからよ。」

　「まさか、あの後教頭が何か企んでいたりしてるんです？」

　俺は天上院先生に呼び出されていた。装介と誠弥のデュエルの後、話しておきたいことがあると言われたのだ。

　「そうじゃないの。この最近、ボナパルト教頭の姿がないのよ。校長にも伝えたのだけど、校長も知らないって言うのよ。」

　校長センセも知らない…。それだと休暇とったとかじゃないのか。ん？でも待てよ？それって…。

　「教頭が見つかんなかったら50勝してもレッド寮が潰されるってこと!?」

　「そうじゃないわよ。ボナパルト教頭が居なかったら誰がレッド寮を潰すのよ。」

　た、確かに…。でも何でだ？何で急に居なくなったんだろう…。

　『遊児。恐らくその「教頭」が居なくなったのに心当たりがある。』

　《シールド・バンカー》？突然出てきて、しかも心当たりって一体何だろう。

　『最近になって気配を感じるんだ。以前に《スター・ジョーカー》が察知した、万物を破滅に誘う光の気配を。私もそれは何なのかはわからないが…。』

　「破滅の光!?それって本当かよ!?」

　「どうしたの？明津君。」

　「あ…。えーっとその…な、何でも!?」

　しまった！《シールド・バンカー》の声は俺にしか聞こえないんだった…。

　「今、「破滅の光」って言ったけど、何か知っているの!?」

　「え！天上院先生こそ知ってるの!?」

　しばらく、天上院先生から破滅の光について教えてもらった。先生がこのアカデミアで生徒だった頃に突如現れ、人々やカードに取り憑いてあらゆるものを破滅させようとしていた概念、らしい。かくいう先生も操られていたらしいけど。
　あるデュエリストがこの学園からその破滅の光を撃退したそうだが、話を聞く限りこのアカデミアに戻ってきた、ってことなんだろうか？

　「とにかく、破滅の光は昔あなたと同じHEROデッキの使い手が倒したの。私も正気に戻してくれた…。
　そこで、あいつと同じHERO使いで精霊が見える…らしいあなたであれば倒せるはず。私達も協力するから、お願い！」

　突然話が進みすぎてどうなってんだ!?今はレッド寮の危機だし、精霊について知らなきゃいけないし、大禍津先生が言ってた幻魔のカードを複製しようとした奴をとっちめなきゃいけないし…あれ？

　「ちょっと待てよ？なんかここ最近で全部起きてるってことは…。幻魔のカードを複製しようとした奴と破滅の光、何か関係あるのか!?」

　『恐らく間違いない。今は抜け殻だが、《幻魔の鎧》には破滅の光が宿っていた跡と思えるものがあった。』

　「破滅の光と戦う決心はついたみたいね。でもお願いしておいて言うのもなんだけど気をつけて明津君。私でも操られる程の、普通の常識じゃ計り知れないものを相手にするってことなの。
　手伝えることがあったら私や蚕先生を頼って。」

　「わかったぜ先生。破滅なんて絶対させない。俺が必ず倒してやる！」