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74話 血威の弾丸 作:コングの施し
嬢は知っていた。
父親であり、龍血組を牽引するその男が使用するデッキを。だからこそ、備えた。《竜破壊の剣士−バスター・ブレイダー》と《破戒蛮竜−バスター・ドラゴン》を中心とした制圧盤面。ドラゴン族+鳥獣族という《ドラグニティ》特有のシンクロ召喚の条件を、あらゆるモンスターをドラゴン族と化し叩き斬るその2体のモンスターで封じ、その中心に《破壊剣−アームズバスターブレード》を携える。表側表示の魔法・罠カードの効果発動を封殺するそれは、リソースを供給の核である《竜の渓谷》と装備状態の《ドラグニティ》を咎め、デッキとして完全に機能不全に陥らせるほどのピンポイントなメタ性能を発揮する。
どれもこれも、嬢が栄咲の使用するデッキを読み切っているからこそ成し得た戦術であった。
ーTURN2(スタンバイフェイズ)ー
龍剛院 栄咲(ターンプレイヤー)
LP :8000
手札 :6
モンスター:
魔法罠 :
フィールド:
龍剛院 嬢
LP :8000
手札 :3
モンスター:《破壊剣士の守護絆竜》・《星遺物−『星杯』》・《竜破壊の剣士−バスター・ブレイダー》・《破戒蛮竜−バスター・ドラゴン》
魔法罠 :《星遺物の守護竜》・《破壊剣−アームズバスターブレード》・セット×1
フィールド:
栄咲は笑っていた。不敵とも取れるその笑みに、嬢は一歩足を退いた。この男がどれほどの実力を持っているのかを知っている。デュエルマフィアという裏社会の世界を、この組の頭目として牛耳ってきたいわば支配者である。油断はしない、が、盤面を作ったとき「この布陣で勝たせてほしい」という天への頼みが、心の隙が生まれてしまった。そしてその事実に気づいていないからこそ、次の瞬間にその顔は青白く染まることとなる。
栄咲「………健気なものだよな。」
嬢「……え?」
ズガガガ!!!
と、鳴り響いた音と栄咲の言葉に呆気に取られた。フィールドに炸裂したのは黒い剣の雨。一刻前までそこにあった自分の布陣が、自分と仲間達が築いた《竜破壊》のモンスター達が、その姿が一瞬にして消える。
嬢「………何が起き……!?」
栄咲「健気だな、と言ったんだよ。」
そう言った栄咲のデュエルディスク上とフィールドに輝く1枚のカード。それが、この状況の全てを物語っている。そして、同時に彼女は自分の背中に冷ややかな汗が浮かんだことをはっきりと知覚した。読んでいたと、そう思っていたのだ。読まれていたのは、そんな勘違いをしていた自分だとも知らずに。
嬢「………《闇の護封剣》……って…!!」
栄咲「組が《竜破壊》のカード達を処理したのを忘れたのか?
ご丁寧に、助かったよ。そいつらまとめてこの1枚で十分だ。」
フィールドに映し出される《闇の護封剣》のカード。相手のフィールドのモンスターを全て裏側守備表示に変更し、さらにその表示形式変更すら封じる永続魔法。《竜破壊》のカードは一度組に処分されたものを日暮が回収し、それが今の嬢の手の中にある。となれば、答えは一つだった。
嬢(………読まれていたんだ、《竜破壊》を…!!)
嬢が構えた盤面では魔法カードの発動を封じることはできない。永続魔法ゆえの起動効果は《破壊剣−アームズバスターブレード》で封じていたが、そのカード自体の発動時に発生する効果処理は制約を貫通する。さらに破壊ではないことから《破壊剣士の揺籃》の墓地効果は適応できず、裏側守備表示という状態では維持されない装備カードはルールでの処理扱いで破壊される。今は墓地には存在しないが《破壊剣一閃》の墓地効果も対象を取らずに相手フィールド全体に効果が及ぶという性質で無視でき、理論上全ての制約を突き抜けて相手の盤面を壊滅させる。つまり、この対面における《闇の護封剣》というカードは、120%の性能を発揮する究極のメタカードとなっていた。
嬢(………来る…《ドラグニティ》が来る…!!)
栄咲「……さあ発動しろ________《竜の渓谷》!!」
そのカードは2人を包むソリッドヴィジョンを変化させていく。何度、その光景を見ただろうか。そのカード1枚で、《ドラグニティ》というデッキの中核を担う1枚のフィールド魔法だけで、全身に刻みこまれた自らのデュエルの歴史が鮮明に蘇っていく。
嬢「《竜の渓谷》………!!」
自分で何度も何度もそのカードを使用してきたからわかる。そのカードの重要性を。そして同時に、恐れていた。相手のフィールドで発動するそのカードの存在を、恐れてしまっていた。かつて龍平はそのカードを《土地ころがし》で奪取し、その効果の使用とリソース供給源の破壊を成してみせた。しかしその時とは違う。あの時の満たされるようなデュエルではない。これは命のかかった、殺し合いのデュエルだ。自分の尊厳と未来、そして仲間たちの未来に、嬢と共に戦った《ドラグニティ》が立ちはだかる。
栄咲「効果は知っているな。
手札の《アブソルーター・ドラゴン》を墓地に送り、《竜の渓谷》の効果を発動。デッキから《ドラグニティ−セナート》を手札に加え、さらに《アブソルーター》の効果。」
嬢「まさか……!!」
栄咲の手札から墓地へと溢れた《アブソルーター・ドラゴン》のカード。その瞬間に走る悪寒と頭に過ぎる1つの可能性。霞乃会を吸収することで昇華した《ドラグニティ》のカードたち。そうであれば、元々の組の武器はなんだったのか。荒田の《レッドアイズ》、小金井の《アームド・ドラゴン》、どれも違う。この組をここまで率いてきたのはこの男だ。だったら、組の頭目たるその男が率いるドラゴンは………。
栄咲「デッキから手札に加えるのは、《ヴァレット・トレーサー》。」
嬢(《ヴァレット》………いや、《ヴァレル》モンスターが、入ってるなんて………!!)
かつてハノイの騎士と呼ばれたハッカー集団。その長たる男が使用していたモンスター群。それが、その力がオリジナルであろうとレプリカであろうと、明らかに危険なカードたちなのは間違いない。さらにそれが《ドラグニティ》と噛み合わせる形で構築されている。そのカードが割れたことで、デッキの危険度は最高潮まで引き上がった。
栄咲「《ドラグニティ−セナート》を通常召喚し、効果を発動。
手札の《デュアルウィール・ドラゴン》を墓地に送り、デッキから《ドラグニティ−クーゼ》をこのカードへ装備。
______特殊召喚。」
《ドラグニティ−セナート》(守)
☆4 風属性・鳥獣族/効果
ATK:1800/DEF:600
《ドラグニティ−クーゼ》(守)
☆2 風属性・ドラゴン族/チューナー/効果
ATK:1000/DEF:200
瞬く間に2体のモンスターが出現する。この時点でかかっている制約はドラゴン族しかEXデッキから特殊召喚できないということのみ。《竜破壊》を謳うデッキを、ドラゴン族の力のみで正面から粉砕すべくそのデッキが動き出す。
嬢「合計レベルは6、いや8!!
……でも、《クーゼ》をシンクロ素材とする場合、《ドラグニティ》以外には……」
栄咲「シンクロ?
………知れたことを。お前だって知ってるはずだろう?《クーゼ》と《セナート》をリンクマーカーにセット、リンク召喚。
______リンク2《ドラグニティナイト−ロムルス》。」
《ドラグニティナイト−ロムルス》(攻)
L2 風属性・ドラゴン族/リンク/効果
ATK:1200[↙︎・↘︎]
びゅうう!!と風が巻き起こり、天空高く浮かんだサーキットより1対の龍騎が姿を現す。その風によって巻き起こるカードの嵐。栄咲はゆっくりとその嵐の中へと手を突っ込むと、1枚のカードを引っ張り出した。
栄咲「《ロムルス》のリンク召喚時、デッキから《ドラグニティの神槍》を手札に加え、これを《ロムルス》に装備。そして、効果で《ドラグニティ−ファランクス》を装備させる。
______現れろ、《ファランクス》。」
《ドラグニティ−ファランクス》(守)
☆2 風属性・ドラゴン族/チューナー/効果
ATK:500/DEF:1100
《ドラグニティの神槍》。デッキから《ドラグニティ》チューナーを装備モンスターに追加装備させる効果を持ち、さらにこの効果で装備された《ドラグニティ−ファランクス》は自身の効果で特殊召喚することができる。嬢自身何度も使用したコンボのはず、なのに凄まじい圧力を持って彼女を威嚇する。
栄咲「《ファランクス》1体を、リンクマーカーへセット。」
嬢「え……!?」
栄咲「いちいち喚くなよ。
______リンク召喚、リンク1《ストライカー・ドラゴン》。」
《ストライカー・ドラゴン》(攻)
L1 闇属性・ドラゴン族/リンク/効果
ATK:1000[←]
栄咲「《ストライカー》のリンク召喚成功時の効果を発動。デッキから《リボルブート・セクター》を手札に加え、これを発動。……お役御免だな、《ドラグニティ》。」
嬢の見知った《ドラグニティ−ファランクス》の姿が、発火装置を模ったドラゴンへとその姿を変えた。より凶暴で凶悪、そしてより殺意に満ちた姿に。さらに《リボルブート・セクター》の発動と同時に先程まで2人を包んでいた《竜の渓谷》が砕け散っていく。栄咲の背後へと出現する巨大な回転式拳銃のチャンバーが出現する。
嬢「これが……《ヴァレット》のフィールド魔法。」
栄咲「《リボルブート・セクター》の効果を発動。
1ターンに1度、手札から《ヴァレット》モンスターを2体まで特殊召喚する。
さあ来い、《ヴァレット・トレーサー》、《シェルヴァレット・ドラゴン》。」
《ヴァレット・トレーサー》(攻)
☆4 闇属性・ドラゴン族/チューナー/効果
ATK:1900(1600)/DEF:1300(1000)
《シェルヴァレット・ドラゴン》(守)
☆2 闇属性・ドラゴン族/効果
ATK:1400(1100)/DEF:2300(2000)
栄咲の背後に聳える巨大なチャンバーより、弾丸を模った2体のモンスターが出現する。残った手札は1枚。しかしそれ以上に嬢を威圧するのはその未知のモンスターたちの性能と、フィールドのモンスターのリンク数であった。
嬢(リソースの比重が手札からフィールドに移った……!!
これで全員リンクした場合のリンク数は………)
栄咲「………これでリンク数は計5。
だが、それだけでは済まさん。《ヴァレット・トレーサー》の効果を発動。フィールドの《闇の護封剣》を破壊し、デッキから《ヴァレット・リチャージャー》を特殊召喚する。」
《ヴァレット・リチャージャー》(守)
☆4 闇属性・ドラゴン族/効果
ATK:300(0)/DEF:2400(2100)
黒い鋼の攻殻を携え、さらにもう一体のドラゴンがフィールドへと出現する。同時に嬢の盤面に突き刺さっていた《闇の護封剣》のカードが消え、表示形式の変更が許される形となった。しかしその隙を与えんとばかりに、栄咲のデッキは、まるでリボルバーの回転機が廻るように脈動を続ける。
栄咲「《ヴァレット・リチャージャー》と《ヴァレット・トレーサー》をリンクマーカーにセットし、リンク召喚。
______来い、リンク2《デリンジャラス・ドラゴン》。」
《デリンジャラス・ドラゴン》(攻)
L2 闇属性・ドラゴン族/リンク/効果
ATK:1600[↑・↓]
嬢「また……リンクモンスターを!!」
栄咲「《ストライカー・ドラゴン》の効果を発動。
自分フィールドのモンスター1体を破壊し、墓地から《ヴァレット》モンスター1枚を手札に加える。
………俺が破壊するのは、《デリンジャラス・ドラゴン》。」
嬢「………!?」
嬢は困惑した。リンク2のモンスターを破壊し、ただのレベル4でしかないモンスターを手札に加えるというその行為に。しかしこの男が、そんなミスをするはずがない。だからこそ背筋に冷たいものが流れた。目の前に立つそのドラゴンたちを、凝視する。
栄咲「く、くはは……!」
栄咲は笑みを浮かべた。それは自分の行為と、その一挙手一投足に目を向けるしかない嬢の姿に。青い銅色の色のドラゴン。まるでピストルのようなフォルムで形成されたその龍は、今し方特殊召喚された《デリンジャラス・ドラゴン》のカードをその胸元に装填し、その引き金を引いた。それと同時にフィールドに爆炎が巻き起こり、嬢の目では何が起きたのか、確認できなくなる。
嬢(………見えない、一体何が……!!)
硝煙が晴れたその先に浮かぶ光景に、嬢は目を剥くことになる。そこにいるはずのないモンスターたちの姿に。
《ヴァレット・トレーサー》(攻)
☆4 闇属性・ドラゴン族/チューナー/効果
ATK:1900(1600)/DEF:1300(1000)
《ヴァレット・リチャージャー》(守)
☆4 闇属性・ドラゴン族/効果
ATK:300(0)/DEF:2400(2100)
《デリンジャラス・ドラゴン》(攻)
L2 闇属性・ドラゴン族/リンク/効果
ATK:1600[↑・↓]
嬢「なんで………!!?」
硝煙の先に待ち受けていたのは、破壊されたはずの《デリンジャラス・ドラゴン》、そしてそのリンク素材になったはずの2体の《ヴァレット》モンスターたち。一瞬にしてフィールドのリンク数が4つ増えたことになる。
栄咲「何が起きてんのか……わからねえって顔だな。
《ヴァレット・リチャージャー》は、EXデッキから特殊召喚されたモンスターが破壊された時、手札から墓地に送ることで闇属性モンスター1体を蘇生する。
さらに《デリンジャラス・ドラゴン》は、《ヴァレット》が特殊召喚された時に自己蘇生できる。」
嬢「でも……それじゃ《ヴァレット》が2体蘇っていることが………」
そう叫んだ嬢の目に、栄咲の墓地の1枚のカードが飛び込んでくる。それは《ドラグニティ・セナート》の効果で墓地に送られたモンスター。ただの手札コストとしか思っていなかったそのモンスターが、この状況での爆発力を後押しする火薬となっていた。
嬢「………《デュアルウィール・ドラゴン》………っ!!」
栄咲「く……ははは…。
わかってるじゃねえか、小金井の教育の甲斐があったな。さらに《デュアルウィール》の②の効果を発動。墓地に存在する自身を除外し、デッキから速攻魔法《ラピッド・トリガー》を手札へ。」
《デュアルウィール・ドラゴン》。自身をリリースすることで墓地の名称の異なる《ヴァレット》を2体特殊召喚する効果を持つそのモンスターを、栄咲は《ヴァレット・リチャージャー》の効果で蘇生。通常であれば《ヴァレット》を蘇生し《デリンジャラス・ドラゴン》を特殊召喚するその動きに《デュアルウィール・ドラゴン》を挟み込むことで、リンク数3つ分の展開を《ラピッド・トリガー》の供給を伴うリンク4つ分の増加という爆発展開へと変貌させた。
嬢(リンク数の4つの増加……!!
でも、セットされた《竜破壊の剣士−バスター・ブレイダー》の効果はバトルステップに回復する。戦闘でこの状況を突破する気なら、まだ勝機は……)
栄咲「さらに《リチャージャー》と《トレーサー》を、リンクマーカーへとセット。
______リンク召喚、リンク2《ブースター・ドラゴン》。」
《ブースター・ドラゴン》(攻)
L2 闇属性・ドラゴン族/リンク/効果
ATK:1900[↙︎・↘︎]
《竜破壊の剣士−バスター・ブレイダー》の効果は、相手フィールド・墓地のドラゴン族の数×1000、攻撃力と守備力を増加させる。この状況であればとうに攻守は10,000を超える計算になり、仮に守備力の増加を見落としていた栄咲が戦闘での突破を試みるのであれば、反射ダメージで片が付く。と、そんなことを考えてしまっていた。そんな彼女を嘲笑うかのように、凶弾は嬢の元へと放たれる。
栄咲「______放て、《ブースター・ドラゴン》。」
その声と同時に、嬢の目前にセットされたカードたちが一斉に弾けた。凄まじい爆音が鳴り響き、ダメージは発生していないにしてしても衝撃で体が背後へと吹っ飛ばされる。
嬢「______なっ!?」
キーンと耳鳴りが響き、目の前は煙に包まれている。セットされた自分のモンスターたちが、《ブースター・ドラゴン》というリンクモンスターの降臨と共に壊滅した。状況を飲み込もうと呼吸は浅くなり、体温は上がっていく。
栄咲「《トレーサー》と《リチャージャー》が《ヴァレット》の本質ではない。このデッキの芯は…………『これ』だ。」
そう言って栄咲が掲げる1枚のカード。それはフィールドに存在していた《シェルヴァレット・ドラゴン》のカードであった。そして栄咲の盤面に鎮座する銃口を模ったモンスターたち、それが意味することを嬢は直感で理解した。
嬢「……『銃』と……『弾丸』……って、ことですよね……!!」
栄咲「………御名答。
《シェルヴァレット・ドラゴン》はリンクモンスターの効果対象となった時、自身を破壊し、同じ縦列に存在している相手モンスターを破壊する。さらにその弾丸は飛散し、破壊の波は両隣のモンスターゾーンまで伝播する。親切に3体も並べてくれたな。」
嬢(《ブースター・ドラゴン》から放たれたのは『散弾』………縦列の《破戒蛮竜−バスター・ドラゴン》を撃ち抜いて、両隣の《竜破壊の剣士−バスター・ブレイダー》と《星遺物−『星杯』》まで破壊したんだ。………たった一発で!!!)
栄咲「これでお前のフィールドの存在するモンスターは《破壊剣士の守護絆竜》のみ。文字通り死に体撃ちだな、ここからは。」
嬢「まだ……まだですっ、罠カード《レベル・レジストウォール》、発動!
破壊された自分のモンスター1体を対象とし、レベル合計がそのモンスターと同じになるように、デッキからモンスターを効果を無効にして特殊召喚しますっ!!!
______現れて、2人のモンスターたちっ!!」
《焔聖騎士−ローラン》(守)
☆1 炎属性・戦士族/効果
ATK:500/DEF:500
《妖醒龍ラルバウール》(守)
☆1 闇属性・ドラゴン族/効果
ATK:0/DEF:0
《魔晶龍ジルドラス》(守)
☆6 闇属性・ドラゴン族/効果
ATK:2200/DEF:1200
破壊された《竜破壊の剣士−バスター・ブレイダー》のレベルは8。合計レベルが8となるように、嬢のデッキから3体のモンスターが出現する。炎を纏った戦士族と、2体のドラゴン族。効果は無効化されど、攻勢に出るための壁であれど、戦友の、遊大と龍平の従えたモンスターたちが、彼女を守るべくフィールドへと呼び出された。
栄咲「なんだ、せっかく穴開けてやったのに。」
嬢(ごめん、みんな……!!
ここは壁だからとか守ってあげられないとか、言ってる場合じゃない……!!)
栄咲「性懲りもなく『おともだち』のモンスターか。……そんな奴らを引き連れて何になる?」
嬢「そんな……奴らって……。
……私の友達が、貸してくれたカードたちです。このカードたちと一緒にいることが、今ここで私がどういう存在なのかの証明になるから!」
その言葉か、減らしたモンスターが元に戻っていることか、どちらにせよ目の前の光景に辟易したようにため息をつく。まるでその言葉と行為の全てが薄っぺらいと言わんばかりに、圧倒的な力を振り下すべくディスク上のカードへと手を伸ばした。1枚、1枚と。
栄咲「………それだ、それだよ。
血の繋がりでもなんでもない、ただの他人。そんな奴らに何を求める?何を吹き込まれた?他人が自分の存在意義とイコールになる程、お前は薄っぺらかったのか?」
リンク2、《ドラグニティナイト−ロムルス》のカードが墓地へと送られる。毒を孕んだ言葉が、ゆっくりと滞留する空気に流れて嬢の耳元へと入っていく。血の繋がりを何よりも欲し、その結果として紡がれた命が嬢であるからこそ、彼女が血の繋がらない他人を慮ることの希薄さを、栄咲は言葉に乗せた。
嬢「薄っぺらいとか薄っぺらくないとか……知りません。
友達を思うことが、そんなに気に喰いませんか。私はこの血のしがらみに足を囚われている自分より、友達と一緒にいる自分が好きなだけです。すごく身勝手なことだってわかっているつもりです。私は血のつながりよりも、友達との繋がりを大事にしたい。それが叶わないのなら……この組との縁を断ってでも前に進みます。」
栄咲「………とことん話が噛み合わないな。
お前が見てきたものと俺と見てきたものの違いか?それとも単にお前が人を知らないだけなのか?それともこの世界の歯車になるよりかは、『おともだち』と夢を見ていた方がいいとでも言うつもりか。血の繋がりを捨て他者との繋がりを抱えるだと?信用も信頼もありはしない外へと…陽の元へと、一人で歩いていくと言うのか。」
疑念は渦巻く。栄咲のその手がリンク2の《デリンジャラス・ドラゴン》へと伸び、それがゆっくりと墓地へと吸い込まれていく。言葉を発する自分の口が動くと同時に、嬢をこの世に授けた時の花奈の言葉と表情がフラッシュバックしていく。血という鎖で自分と家族を繋ぎ、そこに信頼と信用、そして裏の社会に組み込まれる使命を混ぜ込んで縛る。いや『縛る』と言葉を浮かべた時点で、わかっていたのかもしれない。
嬢「………お父さん、これで聞くのは最後にします。
あなたにとって私は……いいえ。お父さんにとっての血の繋がりは、その価値は、何ですか?」
妙に落ち着きを孕んだその問いに、心臓が掴まれたのがわかった。デュエルでは下り坂に立たされている。現実的に見ても、自分と仲間の命すら揺らいでいる、首の皮もつながり切っていない状況で、その毅然とした声が響いた。
嬢「………答えて、お父さん。」
答えていなかった。答えたくなどなかった。デュエルをする前から何度も耳に入ったその問いに答えるのが、怖かった。自分は他者との繋がりに何の価値を見出すこともできなかった。血の繋がりも知らなかった。だからこそ、あるかもわからない揺るがない信頼を血の繋がりに望み、それを自分が生きていくしかない裏の世界に織り交ぜた。その問いをするということ自体が、嬢にとっての答えだったんだ。自分が望んだものは、少なくとも嬢と自分達の中になど無い。それが答えだと、嬢と最も強い血の繋がりを持った花奈が、あの涙と共に証明していたはずなのに、答えを直視することを拒んできた。人との繋がり、そこに血の是非は問われない。
栄咲「……ない……か……だったら……」
だったら。だったら何の意味があろうか。血の繋がりに何の意味があるのだろうか。娘の嬢と父親の自分。その2人を繋ぐものが血のみで、それ単体に意味が無いのなら、自分と嬢はどうなってしまうのだろうか。15年間かけて作り上げたこの鎖を、意味がないからと手放すのか。この血に繋がりとしての意味を持たせるのは、自分なのではないか。そんなドロドロとした感情が、栄咲の心を侵食していく。
栄咲「…………だったら……手放すのか?」
嬢「………え?」
ゆっくりと、その手が最後のカードへと伸びる。最後のカードはリンク1の《ストライカー・ドラゴン》。墓地はゆっくりとそのカードを飲み込み、ついにEXデッキの格納が音を立てて開く。姿を見せるのはたった1枚のカード。震える指先が掴んだのは、かつての自分の決意を貫き通せと訴えかける1体のモンスター。この繋がりを無意味に終わらせなどしない。そこに信用も信頼も無くとも、血の繋がりという鎖を這わせこの世界に縛り付ける。それが、変えられない生き方だから。
栄咲「……………違う……この血でお前を縛ってでも、俺は生きる道を曲げない。絶対に離さない。陽の当たる他者との繋がりが生んだ刃に、俺が作り上げたこの世界の真っ赤な鎖を、断ち切らせはしない。
_______このカードが、俺の決意を貫く弾丸だ。」
栄咲の掴んだ3枚のカードの全てが墓地へと呑まれると、これまでにない衝撃と地響きが大地を揺らす。浮かび上がるのは閉ざされた未来への回路。かつての決闘者ですら使用の形跡が不明であり、その存在そのものが都市伝説に近かった1体のモンスターカード。しかしレプリカではない、時代と共にその生きる場所を変え、戦う世界を変え、確かに最強のリンクモンスターと謳われる1体のドラゴンが、この血の繋がりを掴まんと出現する。
栄咲「……召喚条件は、効果モンスター3体以上。
《ロムルス》、《デリンジャラス》、《ストライカー》の3体をリンクマーカーへとセット………リンク召喚!!
閉ざされし世界を葬る我が豪風……リンク5《ヴァレルエンド・ドラゴン》……!!!」
《ヴァレルエンド・ドラゴン》(攻)
L5 闇属性・ドラゴン族/リンク/効果
ATK:3500[←・↙・↑・↘・→]
空が裂け、今までに見たこともないほどの巨大なモンスターがフィールドへと産み落とされる。天空高く輝く未来回路から姿を現したその龍は、その巨体に見合わない動きで、その足から地面へと落とされた。伸びる3つの首と牙、そして嬢を睨みつける6つの瞳。その口からは鉄すら焼け切れた煙が立ち上り、見上げるほどの巨躯は細い月明かりを掻き消し、嬢の姿を暗闇へと埋める。
栄咲「………このターンの初め、お前は言ったな…『始めるよ』と。
………まさかもう終わる気じゃないだろう、夜はここからだ。」
続く
父親であり、龍血組を牽引するその男が使用するデッキを。だからこそ、備えた。《竜破壊の剣士−バスター・ブレイダー》と《破戒蛮竜−バスター・ドラゴン》を中心とした制圧盤面。ドラゴン族+鳥獣族という《ドラグニティ》特有のシンクロ召喚の条件を、あらゆるモンスターをドラゴン族と化し叩き斬るその2体のモンスターで封じ、その中心に《破壊剣−アームズバスターブレード》を携える。表側表示の魔法・罠カードの効果発動を封殺するそれは、リソースを供給の核である《竜の渓谷》と装備状態の《ドラグニティ》を咎め、デッキとして完全に機能不全に陥らせるほどのピンポイントなメタ性能を発揮する。
どれもこれも、嬢が栄咲の使用するデッキを読み切っているからこそ成し得た戦術であった。
ーTURN2(スタンバイフェイズ)ー
龍剛院 栄咲(ターンプレイヤー)
LP :8000
手札 :6
モンスター:
魔法罠 :
フィールド:
龍剛院 嬢
LP :8000
手札 :3
モンスター:《破壊剣士の守護絆竜》・《星遺物−『星杯』》・《竜破壊の剣士−バスター・ブレイダー》・《破戒蛮竜−バスター・ドラゴン》
魔法罠 :《星遺物の守護竜》・《破壊剣−アームズバスターブレード》・セット×1
フィールド:
栄咲は笑っていた。不敵とも取れるその笑みに、嬢は一歩足を退いた。この男がどれほどの実力を持っているのかを知っている。デュエルマフィアという裏社会の世界を、この組の頭目として牛耳ってきたいわば支配者である。油断はしない、が、盤面を作ったとき「この布陣で勝たせてほしい」という天への頼みが、心の隙が生まれてしまった。そしてその事実に気づいていないからこそ、次の瞬間にその顔は青白く染まることとなる。
栄咲「………健気なものだよな。」
嬢「……え?」
ズガガガ!!!
と、鳴り響いた音と栄咲の言葉に呆気に取られた。フィールドに炸裂したのは黒い剣の雨。一刻前までそこにあった自分の布陣が、自分と仲間達が築いた《竜破壊》のモンスター達が、その姿が一瞬にして消える。
嬢「………何が起き……!?」
栄咲「健気だな、と言ったんだよ。」
そう言った栄咲のデュエルディスク上とフィールドに輝く1枚のカード。それが、この状況の全てを物語っている。そして、同時に彼女は自分の背中に冷ややかな汗が浮かんだことをはっきりと知覚した。読んでいたと、そう思っていたのだ。読まれていたのは、そんな勘違いをしていた自分だとも知らずに。
嬢「………《闇の護封剣》……って…!!」
栄咲「組が《竜破壊》のカード達を処理したのを忘れたのか?
ご丁寧に、助かったよ。そいつらまとめてこの1枚で十分だ。」
フィールドに映し出される《闇の護封剣》のカード。相手のフィールドのモンスターを全て裏側守備表示に変更し、さらにその表示形式変更すら封じる永続魔法。《竜破壊》のカードは一度組に処分されたものを日暮が回収し、それが今の嬢の手の中にある。となれば、答えは一つだった。
嬢(………読まれていたんだ、《竜破壊》を…!!)
嬢が構えた盤面では魔法カードの発動を封じることはできない。永続魔法ゆえの起動効果は《破壊剣−アームズバスターブレード》で封じていたが、そのカード自体の発動時に発生する効果処理は制約を貫通する。さらに破壊ではないことから《破壊剣士の揺籃》の墓地効果は適応できず、裏側守備表示という状態では維持されない装備カードはルールでの処理扱いで破壊される。今は墓地には存在しないが《破壊剣一閃》の墓地効果も対象を取らずに相手フィールド全体に効果が及ぶという性質で無視でき、理論上全ての制約を突き抜けて相手の盤面を壊滅させる。つまり、この対面における《闇の護封剣》というカードは、120%の性能を発揮する究極のメタカードとなっていた。
嬢(………来る…《ドラグニティ》が来る…!!)
栄咲「……さあ発動しろ________《竜の渓谷》!!」
そのカードは2人を包むソリッドヴィジョンを変化させていく。何度、その光景を見ただろうか。そのカード1枚で、《ドラグニティ》というデッキの中核を担う1枚のフィールド魔法だけで、全身に刻みこまれた自らのデュエルの歴史が鮮明に蘇っていく。
嬢「《竜の渓谷》………!!」
自分で何度も何度もそのカードを使用してきたからわかる。そのカードの重要性を。そして同時に、恐れていた。相手のフィールドで発動するそのカードの存在を、恐れてしまっていた。かつて龍平はそのカードを《土地ころがし》で奪取し、その効果の使用とリソース供給源の破壊を成してみせた。しかしその時とは違う。あの時の満たされるようなデュエルではない。これは命のかかった、殺し合いのデュエルだ。自分の尊厳と未来、そして仲間たちの未来に、嬢と共に戦った《ドラグニティ》が立ちはだかる。
栄咲「効果は知っているな。
手札の《アブソルーター・ドラゴン》を墓地に送り、《竜の渓谷》の効果を発動。デッキから《ドラグニティ−セナート》を手札に加え、さらに《アブソルーター》の効果。」
嬢「まさか……!!」
栄咲の手札から墓地へと溢れた《アブソルーター・ドラゴン》のカード。その瞬間に走る悪寒と頭に過ぎる1つの可能性。霞乃会を吸収することで昇華した《ドラグニティ》のカードたち。そうであれば、元々の組の武器はなんだったのか。荒田の《レッドアイズ》、小金井の《アームド・ドラゴン》、どれも違う。この組をここまで率いてきたのはこの男だ。だったら、組の頭目たるその男が率いるドラゴンは………。
栄咲「デッキから手札に加えるのは、《ヴァレット・トレーサー》。」
嬢(《ヴァレット》………いや、《ヴァレル》モンスターが、入ってるなんて………!!)
かつてハノイの騎士と呼ばれたハッカー集団。その長たる男が使用していたモンスター群。それが、その力がオリジナルであろうとレプリカであろうと、明らかに危険なカードたちなのは間違いない。さらにそれが《ドラグニティ》と噛み合わせる形で構築されている。そのカードが割れたことで、デッキの危険度は最高潮まで引き上がった。
栄咲「《ドラグニティ−セナート》を通常召喚し、効果を発動。
手札の《デュアルウィール・ドラゴン》を墓地に送り、デッキから《ドラグニティ−クーゼ》をこのカードへ装備。
______特殊召喚。」
《ドラグニティ−セナート》(守)
☆4 風属性・鳥獣族/効果
ATK:1800/DEF:600
《ドラグニティ−クーゼ》(守)
☆2 風属性・ドラゴン族/チューナー/効果
ATK:1000/DEF:200
瞬く間に2体のモンスターが出現する。この時点でかかっている制約はドラゴン族しかEXデッキから特殊召喚できないということのみ。《竜破壊》を謳うデッキを、ドラゴン族の力のみで正面から粉砕すべくそのデッキが動き出す。
嬢「合計レベルは6、いや8!!
……でも、《クーゼ》をシンクロ素材とする場合、《ドラグニティ》以外には……」
栄咲「シンクロ?
………知れたことを。お前だって知ってるはずだろう?《クーゼ》と《セナート》をリンクマーカーにセット、リンク召喚。
______リンク2《ドラグニティナイト−ロムルス》。」
《ドラグニティナイト−ロムルス》(攻)
L2 風属性・ドラゴン族/リンク/効果
ATK:1200[↙︎・↘︎]
びゅうう!!と風が巻き起こり、天空高く浮かんだサーキットより1対の龍騎が姿を現す。その風によって巻き起こるカードの嵐。栄咲はゆっくりとその嵐の中へと手を突っ込むと、1枚のカードを引っ張り出した。
栄咲「《ロムルス》のリンク召喚時、デッキから《ドラグニティの神槍》を手札に加え、これを《ロムルス》に装備。そして、効果で《ドラグニティ−ファランクス》を装備させる。
______現れろ、《ファランクス》。」
《ドラグニティ−ファランクス》(守)
☆2 風属性・ドラゴン族/チューナー/効果
ATK:500/DEF:1100
《ドラグニティの神槍》。デッキから《ドラグニティ》チューナーを装備モンスターに追加装備させる効果を持ち、さらにこの効果で装備された《ドラグニティ−ファランクス》は自身の効果で特殊召喚することができる。嬢自身何度も使用したコンボのはず、なのに凄まじい圧力を持って彼女を威嚇する。
栄咲「《ファランクス》1体を、リンクマーカーへセット。」
嬢「え……!?」
栄咲「いちいち喚くなよ。
______リンク召喚、リンク1《ストライカー・ドラゴン》。」
《ストライカー・ドラゴン》(攻)
L1 闇属性・ドラゴン族/リンク/効果
ATK:1000[←]
栄咲「《ストライカー》のリンク召喚成功時の効果を発動。デッキから《リボルブート・セクター》を手札に加え、これを発動。……お役御免だな、《ドラグニティ》。」
嬢の見知った《ドラグニティ−ファランクス》の姿が、発火装置を模ったドラゴンへとその姿を変えた。より凶暴で凶悪、そしてより殺意に満ちた姿に。さらに《リボルブート・セクター》の発動と同時に先程まで2人を包んでいた《竜の渓谷》が砕け散っていく。栄咲の背後へと出現する巨大な回転式拳銃のチャンバーが出現する。
嬢「これが……《ヴァレット》のフィールド魔法。」
栄咲「《リボルブート・セクター》の効果を発動。
1ターンに1度、手札から《ヴァレット》モンスターを2体まで特殊召喚する。
さあ来い、《ヴァレット・トレーサー》、《シェルヴァレット・ドラゴン》。」
《ヴァレット・トレーサー》(攻)
☆4 闇属性・ドラゴン族/チューナー/効果
ATK:1900(1600)/DEF:1300(1000)
《シェルヴァレット・ドラゴン》(守)
☆2 闇属性・ドラゴン族/効果
ATK:1400(1100)/DEF:2300(2000)
栄咲の背後に聳える巨大なチャンバーより、弾丸を模った2体のモンスターが出現する。残った手札は1枚。しかしそれ以上に嬢を威圧するのはその未知のモンスターたちの性能と、フィールドのモンスターのリンク数であった。
嬢(リソースの比重が手札からフィールドに移った……!!
これで全員リンクした場合のリンク数は………)
栄咲「………これでリンク数は計5。
だが、それだけでは済まさん。《ヴァレット・トレーサー》の効果を発動。フィールドの《闇の護封剣》を破壊し、デッキから《ヴァレット・リチャージャー》を特殊召喚する。」
《ヴァレット・リチャージャー》(守)
☆4 闇属性・ドラゴン族/効果
ATK:300(0)/DEF:2400(2100)
黒い鋼の攻殻を携え、さらにもう一体のドラゴンがフィールドへと出現する。同時に嬢の盤面に突き刺さっていた《闇の護封剣》のカードが消え、表示形式の変更が許される形となった。しかしその隙を与えんとばかりに、栄咲のデッキは、まるでリボルバーの回転機が廻るように脈動を続ける。
栄咲「《ヴァレット・リチャージャー》と《ヴァレット・トレーサー》をリンクマーカーにセットし、リンク召喚。
______来い、リンク2《デリンジャラス・ドラゴン》。」
《デリンジャラス・ドラゴン》(攻)
L2 闇属性・ドラゴン族/リンク/効果
ATK:1600[↑・↓]
嬢「また……リンクモンスターを!!」
栄咲「《ストライカー・ドラゴン》の効果を発動。
自分フィールドのモンスター1体を破壊し、墓地から《ヴァレット》モンスター1枚を手札に加える。
………俺が破壊するのは、《デリンジャラス・ドラゴン》。」
嬢「………!?」
嬢は困惑した。リンク2のモンスターを破壊し、ただのレベル4でしかないモンスターを手札に加えるというその行為に。しかしこの男が、そんなミスをするはずがない。だからこそ背筋に冷たいものが流れた。目の前に立つそのドラゴンたちを、凝視する。
栄咲「く、くはは……!」
栄咲は笑みを浮かべた。それは自分の行為と、その一挙手一投足に目を向けるしかない嬢の姿に。青い銅色の色のドラゴン。まるでピストルのようなフォルムで形成されたその龍は、今し方特殊召喚された《デリンジャラス・ドラゴン》のカードをその胸元に装填し、その引き金を引いた。それと同時にフィールドに爆炎が巻き起こり、嬢の目では何が起きたのか、確認できなくなる。
嬢(………見えない、一体何が……!!)
硝煙が晴れたその先に浮かぶ光景に、嬢は目を剥くことになる。そこにいるはずのないモンスターたちの姿に。
《ヴァレット・トレーサー》(攻)
☆4 闇属性・ドラゴン族/チューナー/効果
ATK:1900(1600)/DEF:1300(1000)
《ヴァレット・リチャージャー》(守)
☆4 闇属性・ドラゴン族/効果
ATK:300(0)/DEF:2400(2100)
《デリンジャラス・ドラゴン》(攻)
L2 闇属性・ドラゴン族/リンク/効果
ATK:1600[↑・↓]
嬢「なんで………!!?」
硝煙の先に待ち受けていたのは、破壊されたはずの《デリンジャラス・ドラゴン》、そしてそのリンク素材になったはずの2体の《ヴァレット》モンスターたち。一瞬にしてフィールドのリンク数が4つ増えたことになる。
栄咲「何が起きてんのか……わからねえって顔だな。
《ヴァレット・リチャージャー》は、EXデッキから特殊召喚されたモンスターが破壊された時、手札から墓地に送ることで闇属性モンスター1体を蘇生する。
さらに《デリンジャラス・ドラゴン》は、《ヴァレット》が特殊召喚された時に自己蘇生できる。」
嬢「でも……それじゃ《ヴァレット》が2体蘇っていることが………」
そう叫んだ嬢の目に、栄咲の墓地の1枚のカードが飛び込んでくる。それは《ドラグニティ・セナート》の効果で墓地に送られたモンスター。ただの手札コストとしか思っていなかったそのモンスターが、この状況での爆発力を後押しする火薬となっていた。
嬢「………《デュアルウィール・ドラゴン》………っ!!」
栄咲「く……ははは…。
わかってるじゃねえか、小金井の教育の甲斐があったな。さらに《デュアルウィール》の②の効果を発動。墓地に存在する自身を除外し、デッキから速攻魔法《ラピッド・トリガー》を手札へ。」
《デュアルウィール・ドラゴン》。自身をリリースすることで墓地の名称の異なる《ヴァレット》を2体特殊召喚する効果を持つそのモンスターを、栄咲は《ヴァレット・リチャージャー》の効果で蘇生。通常であれば《ヴァレット》を蘇生し《デリンジャラス・ドラゴン》を特殊召喚するその動きに《デュアルウィール・ドラゴン》を挟み込むことで、リンク数3つ分の展開を《ラピッド・トリガー》の供給を伴うリンク4つ分の増加という爆発展開へと変貌させた。
嬢(リンク数の4つの増加……!!
でも、セットされた《竜破壊の剣士−バスター・ブレイダー》の効果はバトルステップに回復する。戦闘でこの状況を突破する気なら、まだ勝機は……)
栄咲「さらに《リチャージャー》と《トレーサー》を、リンクマーカーへとセット。
______リンク召喚、リンク2《ブースター・ドラゴン》。」
《ブースター・ドラゴン》(攻)
L2 闇属性・ドラゴン族/リンク/効果
ATK:1900[↙︎・↘︎]
《竜破壊の剣士−バスター・ブレイダー》の効果は、相手フィールド・墓地のドラゴン族の数×1000、攻撃力と守備力を増加させる。この状況であればとうに攻守は10,000を超える計算になり、仮に守備力の増加を見落としていた栄咲が戦闘での突破を試みるのであれば、反射ダメージで片が付く。と、そんなことを考えてしまっていた。そんな彼女を嘲笑うかのように、凶弾は嬢の元へと放たれる。
栄咲「______放て、《ブースター・ドラゴン》。」
その声と同時に、嬢の目前にセットされたカードたちが一斉に弾けた。凄まじい爆音が鳴り響き、ダメージは発生していないにしてしても衝撃で体が背後へと吹っ飛ばされる。
嬢「______なっ!?」
キーンと耳鳴りが響き、目の前は煙に包まれている。セットされた自分のモンスターたちが、《ブースター・ドラゴン》というリンクモンスターの降臨と共に壊滅した。状況を飲み込もうと呼吸は浅くなり、体温は上がっていく。
栄咲「《トレーサー》と《リチャージャー》が《ヴァレット》の本質ではない。このデッキの芯は…………『これ』だ。」
そう言って栄咲が掲げる1枚のカード。それはフィールドに存在していた《シェルヴァレット・ドラゴン》のカードであった。そして栄咲の盤面に鎮座する銃口を模ったモンスターたち、それが意味することを嬢は直感で理解した。
嬢「……『銃』と……『弾丸』……って、ことですよね……!!」
栄咲「………御名答。
《シェルヴァレット・ドラゴン》はリンクモンスターの効果対象となった時、自身を破壊し、同じ縦列に存在している相手モンスターを破壊する。さらにその弾丸は飛散し、破壊の波は両隣のモンスターゾーンまで伝播する。親切に3体も並べてくれたな。」
嬢(《ブースター・ドラゴン》から放たれたのは『散弾』………縦列の《破戒蛮竜−バスター・ドラゴン》を撃ち抜いて、両隣の《竜破壊の剣士−バスター・ブレイダー》と《星遺物−『星杯』》まで破壊したんだ。………たった一発で!!!)
栄咲「これでお前のフィールドの存在するモンスターは《破壊剣士の守護絆竜》のみ。文字通り死に体撃ちだな、ここからは。」
嬢「まだ……まだですっ、罠カード《レベル・レジストウォール》、発動!
破壊された自分のモンスター1体を対象とし、レベル合計がそのモンスターと同じになるように、デッキからモンスターを効果を無効にして特殊召喚しますっ!!!
______現れて、2人のモンスターたちっ!!」
《焔聖騎士−ローラン》(守)
☆1 炎属性・戦士族/効果
ATK:500/DEF:500
《妖醒龍ラルバウール》(守)
☆1 闇属性・ドラゴン族/効果
ATK:0/DEF:0
《魔晶龍ジルドラス》(守)
☆6 闇属性・ドラゴン族/効果
ATK:2200/DEF:1200
破壊された《竜破壊の剣士−バスター・ブレイダー》のレベルは8。合計レベルが8となるように、嬢のデッキから3体のモンスターが出現する。炎を纏った戦士族と、2体のドラゴン族。効果は無効化されど、攻勢に出るための壁であれど、戦友の、遊大と龍平の従えたモンスターたちが、彼女を守るべくフィールドへと呼び出された。
栄咲「なんだ、せっかく穴開けてやったのに。」
嬢(ごめん、みんな……!!
ここは壁だからとか守ってあげられないとか、言ってる場合じゃない……!!)
栄咲「性懲りもなく『おともだち』のモンスターか。……そんな奴らを引き連れて何になる?」
嬢「そんな……奴らって……。
……私の友達が、貸してくれたカードたちです。このカードたちと一緒にいることが、今ここで私がどういう存在なのかの証明になるから!」
その言葉か、減らしたモンスターが元に戻っていることか、どちらにせよ目の前の光景に辟易したようにため息をつく。まるでその言葉と行為の全てが薄っぺらいと言わんばかりに、圧倒的な力を振り下すべくディスク上のカードへと手を伸ばした。1枚、1枚と。
栄咲「………それだ、それだよ。
血の繋がりでもなんでもない、ただの他人。そんな奴らに何を求める?何を吹き込まれた?他人が自分の存在意義とイコールになる程、お前は薄っぺらかったのか?」
リンク2、《ドラグニティナイト−ロムルス》のカードが墓地へと送られる。毒を孕んだ言葉が、ゆっくりと滞留する空気に流れて嬢の耳元へと入っていく。血の繋がりを何よりも欲し、その結果として紡がれた命が嬢であるからこそ、彼女が血の繋がらない他人を慮ることの希薄さを、栄咲は言葉に乗せた。
嬢「薄っぺらいとか薄っぺらくないとか……知りません。
友達を思うことが、そんなに気に喰いませんか。私はこの血のしがらみに足を囚われている自分より、友達と一緒にいる自分が好きなだけです。すごく身勝手なことだってわかっているつもりです。私は血のつながりよりも、友達との繋がりを大事にしたい。それが叶わないのなら……この組との縁を断ってでも前に進みます。」
栄咲「………とことん話が噛み合わないな。
お前が見てきたものと俺と見てきたものの違いか?それとも単にお前が人を知らないだけなのか?それともこの世界の歯車になるよりかは、『おともだち』と夢を見ていた方がいいとでも言うつもりか。血の繋がりを捨て他者との繋がりを抱えるだと?信用も信頼もありはしない外へと…陽の元へと、一人で歩いていくと言うのか。」
疑念は渦巻く。栄咲のその手がリンク2の《デリンジャラス・ドラゴン》へと伸び、それがゆっくりと墓地へと吸い込まれていく。言葉を発する自分の口が動くと同時に、嬢をこの世に授けた時の花奈の言葉と表情がフラッシュバックしていく。血という鎖で自分と家族を繋ぎ、そこに信頼と信用、そして裏の社会に組み込まれる使命を混ぜ込んで縛る。いや『縛る』と言葉を浮かべた時点で、わかっていたのかもしれない。
嬢「………お父さん、これで聞くのは最後にします。
あなたにとって私は……いいえ。お父さんにとっての血の繋がりは、その価値は、何ですか?」
妙に落ち着きを孕んだその問いに、心臓が掴まれたのがわかった。デュエルでは下り坂に立たされている。現実的に見ても、自分と仲間の命すら揺らいでいる、首の皮もつながり切っていない状況で、その毅然とした声が響いた。
嬢「………答えて、お父さん。」
答えていなかった。答えたくなどなかった。デュエルをする前から何度も耳に入ったその問いに答えるのが、怖かった。自分は他者との繋がりに何の価値を見出すこともできなかった。血の繋がりも知らなかった。だからこそ、あるかもわからない揺るがない信頼を血の繋がりに望み、それを自分が生きていくしかない裏の世界に織り交ぜた。その問いをするということ自体が、嬢にとっての答えだったんだ。自分が望んだものは、少なくとも嬢と自分達の中になど無い。それが答えだと、嬢と最も強い血の繋がりを持った花奈が、あの涙と共に証明していたはずなのに、答えを直視することを拒んできた。人との繋がり、そこに血の是非は問われない。
栄咲「……ない……か……だったら……」
だったら。だったら何の意味があろうか。血の繋がりに何の意味があるのだろうか。娘の嬢と父親の自分。その2人を繋ぐものが血のみで、それ単体に意味が無いのなら、自分と嬢はどうなってしまうのだろうか。15年間かけて作り上げたこの鎖を、意味がないからと手放すのか。この血に繋がりとしての意味を持たせるのは、自分なのではないか。そんなドロドロとした感情が、栄咲の心を侵食していく。
栄咲「…………だったら……手放すのか?」
嬢「………え?」
ゆっくりと、その手が最後のカードへと伸びる。最後のカードはリンク1の《ストライカー・ドラゴン》。墓地はゆっくりとそのカードを飲み込み、ついにEXデッキの格納が音を立てて開く。姿を見せるのはたった1枚のカード。震える指先が掴んだのは、かつての自分の決意を貫き通せと訴えかける1体のモンスター。この繋がりを無意味に終わらせなどしない。そこに信用も信頼も無くとも、血の繋がりという鎖を這わせこの世界に縛り付ける。それが、変えられない生き方だから。
栄咲「……………違う……この血でお前を縛ってでも、俺は生きる道を曲げない。絶対に離さない。陽の当たる他者との繋がりが生んだ刃に、俺が作り上げたこの世界の真っ赤な鎖を、断ち切らせはしない。
_______このカードが、俺の決意を貫く弾丸だ。」
栄咲の掴んだ3枚のカードの全てが墓地へと呑まれると、これまでにない衝撃と地響きが大地を揺らす。浮かび上がるのは閉ざされた未来への回路。かつての決闘者ですら使用の形跡が不明であり、その存在そのものが都市伝説に近かった1体のモンスターカード。しかしレプリカではない、時代と共にその生きる場所を変え、戦う世界を変え、確かに最強のリンクモンスターと謳われる1体のドラゴンが、この血の繋がりを掴まんと出現する。
栄咲「……召喚条件は、効果モンスター3体以上。
《ロムルス》、《デリンジャラス》、《ストライカー》の3体をリンクマーカーへとセット………リンク召喚!!
閉ざされし世界を葬る我が豪風……リンク5《ヴァレルエンド・ドラゴン》……!!!」
《ヴァレルエンド・ドラゴン》(攻)
L5 闇属性・ドラゴン族/リンク/効果
ATK:3500[←・↙・↑・↘・→]
空が裂け、今までに見たこともないほどの巨大なモンスターがフィールドへと産み落とされる。天空高く輝く未来回路から姿を現したその龍は、その巨体に見合わない動きで、その足から地面へと落とされた。伸びる3つの首と牙、そして嬢を睨みつける6つの瞳。その口からは鉄すら焼け切れた煙が立ち上り、見上げるほどの巨躯は細い月明かりを掻き消し、嬢の姿を暗闇へと埋める。
栄咲「………このターンの初め、お前は言ったな…『始めるよ』と。
………まさかもう終わる気じゃないだろう、夜はここからだ。」
続く
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イイネ | タイトル | 閲覧数 | コメ数 | 投稿日 | 操作 | |
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74 | 0話 プロローグ | 1008 | 1 | 2020-10-25 | - | |
63 | 1話 転入生 | 813 | 0 | 2020-10-25 | - | |
77 | 2話 巨竜の使い手 | 824 | 0 | 2020-10-31 | - | |
77 | 登場人物紹介 〜東雲中編〜 | 868 | 0 | 2020-11-04 | - | |
109 | 3話 黒き刺客たち | 928 | 3 | 2020-11-14 | - | |
86 | 4話 暗く冷たく | 715 | 0 | 2020-11-23 | - | |
76 | 5話 己の意思で | 708 | 0 | 2020-12-24 | - | |
82 | 6話 廃材の竜/炎の戦士たち | 721 | 0 | 2020-12-30 | - | |
64 | 7話 スタート地点 | 683 | 0 | 2021-01-15 | - | |
77 | 8話 タッグデュエル-その0- | 693 | 0 | 2021-01-21 | - | |
70 | タッグデュエル・チームデュエルについて | 621 | 0 | 2021-02-07 | - | |
72 | 9話 タッグデュエルー①ー 竜呼相打つ | 583 | 0 | 2021-02-09 | - | |
73 | 10話 タッグデュエル-②- 重撃 | 654 | 0 | 2021-02-09 | - | |
60 | 11話 託す者 | 603 | 0 | 2021-03-15 | - | |
71 | 12話 紫色の猛者 | 745 | 2 | 2021-04-10 | - | |
69 | 13話 死の領域を突破せよ! | 668 | 0 | 2021-04-13 | - | |
72 | 14話 協奏のデュエル | 658 | 0 | 2021-05-01 | - | |
87 | 15話 刹那の決闘 | 649 | 0 | 2021-05-29 | - | |
101 | 16話 リベリオス・ソウル | 644 | 0 | 2021-06-08 | - | |
75 | 17話 リトル・ファイター | 561 | 0 | 2021-07-22 | - | |
73 | 18話 強者への道、煌めいて | 519 | 0 | 2021-10-30 | - | |
73 | 19話 黒い霧 | 739 | 0 | 2022-01-02 | - | |
60 | 20話 大丈夫! | 502 | 0 | 2022-03-08 | - | |
91 | 21話 魂を繋ぐ龍 | 648 | 0 | 2022-04-03 | - | |
79 | 22話 原初の雄叫び その① | 599 | 2 | 2022-05-02 | - | |
62 | 23話 原初の雄叫び その② | 587 | 2 | 2022-05-04 | - | |
50 | 24話 焼け野原 その① | 433 | 2 | 2022-11-10 | - | |
49 | 25話 焼け野原 その② | 490 | 0 | 2022-11-11 | - | |
40 | 26話 蒼の衝突 その① | 409 | 0 | 2023-02-28 | - | |
43 | 27話 蒼の衝突 その② | 391 | 0 | 2023-03-24 | - | |
49 | 28話 憧れゆえの | 533 | 2 | 2023-04-15 | - | |
39 | 29話 黒い暴虐 | 292 | 0 | 2023-07-20 | - | |
60 | 30話 決闘の導火線 | 494 | 2 | 2023-07-30 | - | |
34 | 登場人物紹介 〜光妖中編〜 | 354 | 0 | 2023-08-03 | - | |
33 | 31話 開幕!決闘王杯! | 266 | 0 | 2023-08-12 | - | |
35 | 32話 ガムシャラ | 411 | 2 | 2023-08-25 | - | |
27 | 33話 目覚める龍血 その① | 282 | 2 | 2023-09-02 | - | |
35 | 34話 目覚める龍血 その② | 308 | 2 | 2023-09-06 | - | |
57 | 35話 雨中の戎 その① | 426 | 4 | 2023-09-19 | - | |
25 | 36話 雨中の戎 その② | 256 | 2 | 2023-09-23 | - | |
30 | 37話 チャレンジャー | 387 | 2 | 2023-09-30 | - | |
50 | 38話 心に傘を | 386 | 2 | 2023-10-07 | - | |
27 | 39話 龍の瞳に映るのは その① | 344 | 3 | 2023-10-22 | - | |
31 | 40話 龍の瞳に映るのは その② | 319 | 2 | 2023-10-26 | - | |
43 | 41話 花と薄暮 | 386 | 2 | 2023-10-30 | - | |
32 | 42話 燃ゆる轍 その① | 360 | 2 | 2023-11-07 | - | |
28 | 43話 燃ゆる轍 その② | 269 | 1 | 2023-11-09 | - | |
27 | 44話 襷 | 259 | 1 | 2023-11-14 | - | |
24 | 45話 星を賭けた戦い | 353 | 3 | 2023-11-17 | - | |
27 | 46話 可能性、繋いで その① | 307 | 2 | 2023-11-28 | - | |
36 | 47話 可能性、繋いで その② | 297 | 2 | 2023-12-07 | - | |
28 | 48話 揺れろ。魂の… | 241 | 2 | 2023-12-28 | - | |
28 | 49話 エンタメデュエル | 266 | 2 | 2024-01-07 | - | |
38 | 50話 乗り越えろ! | 312 | 3 | 2024-01-26 | - | |
58 | 51話 Show Me!! | 312 | 0 | 2024-02-01 | - | |
31 | 52話 モノクロの虹彩 | 369 | 1 | 2024-02-08 | - | |
32 | 53話 激昂 | 265 | 2 | 2024-02-22 | - | |
27 | 54話 火の暮れる場所 その① | 221 | 0 | 2024-03-02 | - | |
52 | 55話 火の暮れる場所 その② | 333 | 2 | 2024-03-07 | - | |
31 | 56話 赫灼の剣皇 | 325 | 2 | 2024-03-11 | - | |
43 | 57話 金の卵たち | 239 | 2 | 2024-03-18 | - | |
30 | 合宿参加者リスト 〜生徒編〜 | 207 | 0 | 2024-03-20 | - | |
42 | 58話 一生向き合うカード | 310 | 2 | 2024-03-24 | - | |
31 | 合宿参加者リスト〜特別講師編〜 | 255 | 0 | 2024-03-31 | - | |
39 | 59話 強くならなきゃ | 297 | 2 | 2024-04-03 | - | |
32 | 60話 竜を駆るもの | 169 | 0 | 2024-04-20 | - | |
55 | 61話 竜を狩るもの | 291 | 2 | 2024-04-22 | - | |
36 | 62話 反逆の剣 | 193 | 2 | 2024-04-26 | - | |
35 | 63話 血の鎖 | 263 | 1 | 2024-05-01 | - | |
46 | 64話 気高き瞳 | 322 | 2 | 2024-06-02 | - | |
24 | 65話 使命、確信、脈動 | 289 | 2 | 2024-06-16 | - | |
32 | 66話 夜帷 | 206 | 0 | 2024-07-14 | - | |
30 | 67話 闇に舞い降りた天才 | 249 | 2 | 2024-07-18 | - | |
27 | 68話 陽は何処で輝く | 211 | 2 | 2024-07-30 | - | |
26 | 69話 血みどろの歯車 | 232 | 2 | 2024-08-16 | - | |
24 | 70話 災禍 その① | 207 | 2 | 2024-08-28 | - | |
27 | 71話 災禍 その② | 203 | 2 | 2024-09-01 | - | |
23 | 72話 親と子 | 148 | 2 | 2024-09-09 | - | |
26 | 73話 血断の刃 | 137 | 2 | 2024-10-10 | - | |
27 | 74話 血威の弾丸 | 161 | 2 | 2024-10-17 | - | |
17 | 75話 炉心 | 95 | 0 | 2024-11-01 | - | |
15 | 76話 ひとりじゃない | 90 | 1 | 2024-11-03 | - |
更新情報 - NEW -
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皆の力と竜破壊とを組み合わせた嬢のデッキ。龍を扱う父、栄咲を相手に万全の布陣を敷いていましたが、まさかの《闇の護封剣》1枚で突破されてしまう事態に……。一度は竜破壊を処分したという事は、当然それをデュエルでも処理できるカードを搭載している訳ですものね。発動時の効果処理という、発動された瞬間に適用される効果を防ぐことが出来ず、築いた盤面が無力化!打開したのが《闇の護封剣》というのも、裏社会味のあるカードでいろんな意味でお見事と言わざるを得ません。
そして、嬢にも授けていたドラグニティ、それを組のトップである栄咲の展開が始動。ドラグニティへと混ぜ込まれているのは、裏社会を象徴する銃の弾丸……ヴァレットをも交えたデッキ!ドラグニティとヴァレットの混合ドラゴンデッキの脅威の展開力で、どんどんと展開が進んでいきます。さらに、その展開過程で用済みの《闇の護封剣》も活用し、《シェルヴァレット・ドラゴン》の散弾でモンスターも除去していくと無駄がありませんね。裏社会特有の用済みの切り捨てが、デュエルの中にも表現されている気がして、展開のうまさと共に描写のうまさが際立ちますな……。
そして、血の繋がりに家族の繋がりを求めた栄咲と、血に囚われながらも友を作りそこに繋がりを感じる嬢。薄っぺらいと嬢の考えを否定する栄咲ですが、彼も自分の言う繋がりこそが薄っぺらく感じてしまっているのでしょうね……。でも、嬢の築いた物こそが繋がりであると認めてしまえば……繋がりを求め縋った血の繋がりさえも失われる。娘が友達と築いている友情や信頼や、愛にも似たものを、嬢とは何も築けていない栄咲が、唯一嬢と繋がっているものがなくなってしまう……。あぁ、そりゃ怖いですよね。今まで手にしたことがなかった、他者との繋がりを形式だけとは言え手に出来ていたんですから。
その唯一のモノの価値を自ら捨てるなんて事が今の栄咲に出来るはずもありません。15年もの間、変わることなく裏社会へと縛り付けたこの鎖はもうこのまま。決意したのか、それとも決意が出来なかったのか……。そんな彼が呼び出したのはヴァレルエンド!
まだまだ、二人の夜は続いていくわけですねぇ……。
展開とキャラクターとの絡め方がすごく上手くて素敵です。栄咲の不器用な寂しさと言うか孤独感が絶妙ですね。自分が寂しいのだと気づいているなら、素直になるだけでいいですが、裏社会に居る事もあり、自分がどんな感情なのかもうまく言語に落とし込める状態にない事でしょう……。
それはそれとして、やはりこの血の繋がりは断って欲しいとも思っている訳ですので、負けるなお嬢! (2024-10-21 05:10)
うわぁ〜〜用済み要素汲み取って頂いてありがとうございます!と、言いたいところですが闇の護封剣は私も読んでみて気づきました。確かに!って感じです。
と言いつつも情け容赦ない感じをデュエルに取り入れたくて、ドラグニティを展開の初動にしか使わず、ご丁寧に「お役御免だな」なんて言ってくれる感じにしました。
そして栄咲の心の内。対外的関係、外との繋がりに希望を持てないからこそドメスティックな繋がりに固執し、それを裏社会に混ぜ込む。しかし外の世界に希望を持った嬢を見て「薄っぺらい」と言ったのは、それを否定しないと自分の行動と決意を肯定できなかったからなんですね、、、《ヴァレルエンド》を突破するために、嬢ができる行動は……。
次回以降もお楽しみに待っていただけると幸いです! (2024-11-01 18:40)