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HOME > 遊戯王SS一覧 > 65話 使命、確信、脈動

65話 使命、確信、脈動 作:コングの施し

夜闇が染み込んだ教室。1人、教卓に顔を埋めたましろの姿が、そこにはあった。嬢が合宿以来消えてしまった事実。そして、彼女が倒れる瞬間を目撃していること。まるでそれが誰かに咎められたような、そして、彼女が最後に言葉を残したこと。担任であり監督であり、子供達を守護らなければならない立場にある身として、全ての責任と罪悪が、ましろを押しつぶしていた。



ましろ(……この一件、確実にやばい集団か個人か、関わってる。
どうすればいいんだよ、あたし一人で……)

あの時、彼女の身を貫いた閃光は、事故なんかじゃない。確実に何者かの故意によって起こされている。それが、自分の生徒の身を脅かしている。埋めた頭の中で響いているのは、先日の自分たちの生徒の言葉だった。


『……オレ、やっぱ納得できねえよ。』

『私も、納得なんかしてない……できるはずないじゃん。』


当たり前だ。納得できようはずもない。彼女を悩ませている要因の1つは、彼ら生徒の「ひたむきさ」だった。
自分たちの生徒たちである遊大、龍平、律歌と阿原、そして嬢。彼らは、それぞれの目標を持ちながらも「強くなるために」、ここまで研鑽と努力をしてきた。自分などの指導が無くとも、どこへでもずんずんと突き進む精神力を持っている。

しかしながら、その精神力は自分たちの思いだけで動いてしまうような「危うさ」になり得ると、そう思えた。動かねばならない。これまで自分から動くことができなかったのは恐れがあったからだ。それは言い逃れようのない事実だった。しかし生徒たちが動き出すという確信が込み上げてくると同時に、自分の身に降りかかる恐怖よりも、生徒たちの、そして嬢の命が脅かされしまうことのほうが、よほど恐ろしく思えた。

ましろ(……人が一人でできることなんて、たかが知れてる。)

懐から携帯電話を引っ張り出し、その指が画面上を滑っていく。たんたん、と画面を弾き、その端末を頬から耳にかざす。ゆっくりと話だしたその声は、ある人物の元へと届いていた。


ましろ『お世話になっております。私アオメ市立東雲中学校の侵介と申します。
……大石龍平くんのお父様でいらっしゃいますか。』







電話の向こうから、懐かしい声が聞こえる。その人物自体が懐かしいわけではなく、長らく自分を呼ぶ声を聞いていなかったことへの懐かしさだった。彼女も同じく特別講師の枠でアカデミア合宿で参加していながら、自分を呼ぶ声を聞いていなかったから。

竜也「はい、大石です。
……本日はどういったご用件で。」

家族の仲違いに起因した、妻と龍平の二人、娘と自身の二人の別居。春から始まってしまったそんな暮らしをしているせいもあり、龍平のことは妻に全ての連絡が行っていた。「プロデュエリスト同士」の関係ではなく「担任と保護者」の関係になってからは話す機会がなかったのが、この懐かしさの答えだ。

ましろ『……保護者ぶらなくて大丈夫ですよ、大石『プロ』。ご家族の事情も把握しているつもりですから。』

電話口の彼女の声色がプロ時代の呆れたようなものへと変わり、それが痛いところをついてきた。しかし4・5年ぶりに話しても、その年上を舐め切った態度は健在のようで、30を超えた自分でも胃液に気泡が一個浮かんだのがわかる。

竜也「相も変わらずデリカシーが無いな、侵介。学校教員がそれで務まるのか?」

ましろ『今の発言でもうお互い様でしょ。シンクロ使いのアンタに《ヴェルズ・オピオン》を反復横跳びさせたこと、根に持ってます?』

冗談を言っているようでも、この2人の声色は、1ミリたりとも笑っていなかった。竜也も、電話口のましろがそんな懐古トークをするためだけに電話を掛けてきてはいないことを知っている。お互いにある共通点を持っているからこそ、その腹の中に秘めたものをいつ出そうかと出方を伺っていた。

竜也「……本題に、入ってくれ。」

ため息の後に、彼女にそう尋ねた。なぜ自分に繋いできたのかなど知れている。自分と電話口のましろは、龍剛院 嬢と日暮 振士のアカデミア合宿最終日での戦いに立ち会っている。そして、自分は龍平の父親であり、彼女は息子と嬢の担任・監督の教師だ。

ましろ『察しは良くなったんじゃないですか。』

竜也「……あれから動きは?」

彼女が倒れたあの戦いから、すでに一週間以上が経過している。もちろん、あの事件が起きた時、警察は動いた。しかし、関係者と警察の中で出た結論は、『デュエルディスクのシステム不具合による、演出用ソリッドヴィジョン誤作動』である。

ましろ『……結論から言うと、何にも。
確かに現代ソリッドヴィジョンは、迫力のためある程度の物理的な演出を用いている。前時代の4DXみたいなモンで、完全に実体化させるのは危険だからって。でもそのソリッドヴィジョン誤作動に無理やりまとめ上げて、その後の動きもないってのは、警察も乱雑が過ぎます。』

竜也「それに関しては、ソリッドヴィジョンの運営各所に飛び火してるな。決闘連盟にまで連絡が来る始末だ。捜査する側も処理に困ってるんだろう。」

ましろ『……でしょうね。
病院からの連絡も変わってない。やべえ圧力を持った集団がバックにいるんだって、想像つきますよ。』

その言葉に、ハッとした。
そうだ。自分は知っているはずだ。彼女も情報を持っている前提で話を進めてしまった。脳裏を駆ける、合宿2日目の夜の出来事。特別講師と生徒で稽古をつける場において、嬢だけが夕飯の時間まで残ってデュエルの稽古をしていた。その時に、聞かされたはずだったのだ。彼女の身の上のことを。

竜也「……。」

ましろ『……大石さん?』

黙り込んでしまった自分の名前を、電話口でましろが呼んだ。憶測の域は出ないが、この情報を持っているのは自分だけだ。自分しか知らない。しかしそれを口にするのは、あまりに危険が伴う。彼女が担任であれ監督であれ、危惧の種を撒く事はできない。だからこそ、口を噤むことしかできないでいた。

ましろ『ヘッタクソですよね、隠し事。』

竜也「……危険なんだ。知ること自体が……!!」

ましろが大きくため息をついた。次に声を出した時、その色は強いものへと変わっていた。それは強い責任感に押されているようで、現状をなんとかしなければならないという足掻きが、その声だけでひしひしと伝わってくる。

ましろ『あたしだって今回の件に首を突っ込むの、正直メチャクチャ怖いです。…でもね、』

竜也「……」

ましろ『自分の息子と仲直りもできねえようなオヤジに、守護ってもらおうなんざ思ってねえです!!いらないです、そういう気遣い!!
……あるはずでしょう。アンタしか持っていない情報、嬢の特別講師だった大石さんしか持ちえなかったモンが!!』

タメ語で、15個も下の後輩に叱咤されてしまった。いや、然るべきだろう。事態を一変させられるほどの情報を持っていながら、恐れと迷いに足を絡め取られていた自分が情けなく思えてくる。責任感と罪悪感に苛まれながらも、子供達をこの状況を変えようとする意思が、痛いほどに伝わってきた。

竜也「……強いな、君たちは。」

ましろ『だ・か・ら!!そういうのいいですから!!!
アラフォー終了秒読みの妻帯者が、急にダンディーぶるのやめてくれません?
欲しいのは大石さんが隠してることだけですから!ほんとに!!』

竜也「言い過ぎだ。」

さっき彼女自身が言った通り、この件に関わっていることに大きな恐怖を抱いている。しかし彼女は同じ恐怖を抱く自分から情報を引き出そうとしている。命が関わるかも知れないからこそ、緊張感を持たせないように気を遣ってくれているのがわかる。減らず口を叩きながら、かつて後輩として、かつてライバルとして叩き合ったからこそ、自分の扱い方をわかっているのだ。

竜也「デュエルマフィア、聞いたことあるだろう?」

ましろ『……名前は?』

大きく息を吸った。ましろが自分の身に付いた緊張を払ってくれたとしても、心の準備が必要だった。万力のような力で喉を震わせる。覚悟を決めろと、何度も心の中で唱える。

竜也「………龍血組だ。彼女の父親が頭目、それ以上の説明がない。」

電話口のましろが、少しの間黙り込む。状況の悪さを察してしまっているのか、大きなため息だけが3回、無言の受話器の向こうに響いている。

竜也「……侵介?」

ましろ『アンタ、それを知っててなんで動かない?』

彼女の声が急に大きくなり、背筋が柄にもなくビンとなる。彼女の言う通りだ。しかし聴取の後も龍血組のことについては何度も警察に連絡をしている。ただしその結果が、今の状況なのである。動いていない。動かせていない。口に出しても言い訳にしかならないが、それまでに各所が扱いにくい盤面なのだ。

竜也「……足りないんだ、声も力も。
大きな組織が横たわっているという事実だけを、警察も誰も動かすことができない!!」

ましろはまた大きくため息をついて、か細く喉を鳴らす。そこには恐れと迷いが渦巻いていて、今にも潰れてしまいそうな声だった。

ましろ『……動いてしまう。あいつらが!!』

竜也「あいつら?」

ましろ『嬢も、遊大も、龍平も、阿原と律歌も、全員が強いんです。全員が仲間を想っていて強いから、前に進もうとしてしまう!!』

その言葉で、彼女の言いたいことが全てわかった。彼女自身も恐れているのだ。しかし彼女自身が傷つくことよりも生徒たちが傷つくことを恐れている。彼女は、デュエリストである前に教師で、大人だ。子供を守ることが責務で、彼らを愛しているんだと、その瞬間に理解できた。そして同時に思う。自分にも守らなければいけない人がいる。自分たちにしかできないことはあるはずだ、子供達を守るためにできることをするんだと、自分の背中を強く押した。

竜也「……わかった。私たちも、いや俺たちも動くぞ、侵介…!!」






「………」
ただ、竜也は気づいていなかった。彼に会いにきた一人の人物を。「子供達を守る」ために語った言葉の数々を、皮肉にも会いにきた彼が、聞いてしまった。竜也からすれば、もっとも守らなければならないその人物。一瞬たりとも忘れることのないその人物。竜也の言葉を聞いたもう一人の男が、確信を掴んだ瞬間だった。







橋の下、海へと続く川の岸辺で、4人の声がこだまする。
日暮は、自分の推測まじりに、その時の光景を語っていた。ディスクに残ったログまで確認しながらその推測を話す。彼女の背に見え隠れしている『何か』のこと、《ドラゴンバスターブレード》のこと、そしてその圧力は病院へも及んでいるかもしれないということ。

律歌「なんか、確信めいてるね。
……私はきみのことよく知らないけど…でもその感じ、証拠らしいものがあるんじゃないの?」

律歌はその目をまっすぐに見たまま続ける。いつもどこか抜けているような彼女が、日暮のつぐんだ口を見逃すことなく突いた。まいった、と言わんばかりに、日暮はため息をつく。命知らずな彼女の仲間たちだと言わんばかりに呆れた表情で、自分の肩にかかったバッグを漁り、中から1つのジップ付きの袋を取り出した。

遊大「カードケース……??」

日暮「このカードケース、中身が入ってるんです。ぼくが回収したものだけど。」

そう言って、彼は袋の中から、カラカラと音を立てる余裕を持ったカードケースを取り出した。遊大がそれを受け取り、中のカードを確認する。

遊大「《バスター・ブレイダー》!?」

そこに入っていたのは、《バスター・ブレイダー》、《破壊剣ードラゴンバスターブレード》を含む10数枚のカードたち。

律歌「なんできみがこれを……!?」

日暮「意外と、処分に関しては粗雑らしいです。
……3日前の夜、病院のゴミ置き場から漁って来ました。その時にも龍剛院さんは病院にはすでにいなかったんですけどね。」

阿原「ゴミ箱って……!」

日暮「それと……これ。」

日暮は笑みを浮かべたまま、バックから萎びたノートを引っ張り出して、コンクリートの上にポトリと落とした。地面に落ちたそれに、3人の視線が集中する。

阿原「……『聞き込み録』?」

遊大と阿原が首を傾げるのと同時に、律歌がそのノートを適当にペラペラとめくっていく。しかし1ページ1ページ捲っていくごとに、その顔が青ざめていく。

律歌「何……この量?」

律歌が口を押さえる。若干引いているのではないか、そんな顔をしていた。実際に中学生が行えることではないことはその時点でわかっていたが、口だけでなく証拠を並べられると、改めて目の前の少年が何者なのか怪しくなって来ていた。遊大と阿原がそんな彼女の顔を見て、同じくノートに顔をのぞかせる。そして……

日暮「あは……そんな顔をしないでくださいよ。」

あまりの量。ノート一冊が黒い文字に覆い尽くされるほどの量の文字列。畏怖を覚えた3人を前に、日暮はノートの、ピンク色の付箋で栞られたページをペラりとめくる。「こっから先は引き返せませんよ。」と呟くと、そこにある文字を読み始めた。3人がごくりと息を呑み、暁の河岸で日暮の声だけがぽつぽつと響き始める。


『一昨日の夕方、看護師たちが、子供がいる搬送用のベッドを、外の救急車まで運んでいくのを見た。転院の搬送かと思ったけど、医者も看護師も乗り込むことはなくて、代わりにスーツの男が1人、ベッドの子供と一緒に乗って行った。胸元に金属製の代紋をつけた男で、いかにも関わっちゃいけない感じの風貌だった。
あのドラゴンの代紋を持ってるのは………』


そこまで読み上げたとき、続きを読もうとした日暮の背中から、1つの足音が聞こえた。誰も、その話を聞いていた人物に気がつくことはなかった。橋台のコンクリート壁の影、荒れていた時代のその街を思わせる壁の側面から1人の男が姿を見せる。その聞き覚えのある声が、日暮のものと重なる。


『『龍血組』』

重なった2人分の声にぎょっとし、4人が一斉にその声の方へと振り返る。そこにはこの街に来るにあたって、自分の父の元を訪れているはずの龍平の姿があった。彼の父親、事件に立ち会ってしまった者のもとで、龍平もまた、その結論に辿り着いていた。

日暮「キミは……!!」

遊大「……龍平!!」

律歌たちが振り返った先にいた彼の顔はいつになく険しくて、もし敵と呼べる者がそこにいたら、今にも噛みついてしまいそうな獰猛さを、その目に秘めていた。

龍平「話が繋がりました。
龍血組……あいつの血族で、今回の事件の大元です。」

その口から改めて放たれた一つのキーワード。禍々しい殺気と血の匂いすら感じられるその異名に、空気が凍りついた。彼らを待つのは、助けを乞う仲間か、赤黒い血沼か。







栄咲「嬢のこと、嗅ぎ回ってるガキ共だ。」

そう言って、ローテーブルに2枚の写真を投げた。ぽさっとした青黒い髪の色白の少年の写真が1枚。そして、4人の少年少女が映った写真が1枚。小金井と、彼の横に立つもう一人の男が、その写真を覗き込む。

小金井「まだ子供じゃあないですか、ガキをどうこうするんですか……?」

腰掛ける栄咲を前に立つ小金井は、そう口を開いた。同じくして横に立つ男が口元に手を翳してクスリと笑う。
男は分厚い体にシャツとベストをパンパンに着込んで、メガネをくい、と上げる。胸ポケットからライターを取り出し、テーブルを回り込んで、栄咲の咥えた煙草に跪いて火を灯した。

「なんですか小金井さん、あんたらしくもねえ。……親父もそう思うでしょう?」

栄咲「荒田、殺しは法度だ。
……小金井の言う通り、カタギのガキなんざ弾いてもこっちが面倒なんだよ。だがこの件は嬢が話の肝になってる。下を使ったって構いやしねえが、確実に黙らせろ。」

荒田と呼ばれたその男は、「へい」と返事をすると小金井の横に戻り、その肩にポンと手を置いた。まるで人の考えを見透かしているような声色で、冷たいナイフのように小金井を刺す。

荒田「ガキってのは世間を知らなくて困りますよねえ。
サツは口で黙らせられても、子供は意外とタチが悪い。変な気起こさないようにしやしょうね、小金井さん?」

小金井「……俺を誰だと思ってんだ。」

肩に乗った大きな手を払いのけ、荒井のその目を睨みつける。視線が重なり、そこには眉を顰めた小金井と黒い笑みを浮かべた荒井の顔があった。

荒田「……怖い怖い。
では親父、私はこれで失礼させてもらいます。なるたけ早く片付けますんで、ご心配なさらず。」

重たい扉が閉まり荒井が姿を消した。部屋に残された栄咲と小金井。自分にもこうしている暇はない。彼が、荒田が動くならば、自分もまた動かなければならない。『嬢が言ったこと』が本当ならば、あの推測が当たっているならば、荒田と『彼ら』を接触ささせては、ならない。

小金井「親父、俺も失礼しま…」

そう言った時、栄咲が咥えていた煙草を灰皿に押し付けた。じゅう、と音が響いて、続けて栄咲の声が小金井を呼び止めた。まだ先端にしか火がついていなかったそれおを潰したにも関わらず、トントンとソフトパックを叩いて新しい紙巻きを抜き出している。

栄咲「まァ……待て。」

小金井は先ほどの荒田と同じ要領で跪いて、咥えられたそれにボッと火を灯す。一つ、ふうと白い煙を吹くと、しゃがれた喉を再び鳴らした。

栄咲「アイツは…インテリぶってんのに血の気が多くて困る。」

その目は今しがた閉じた重い扉に向いていて、出ていった荒田のことを言っていることは明白だった。いつもタキシードのようなベストを白いシャツに身につけていて、服装だけならバーテンなんかに近い。しかしその実はデュエルだけで解決できなかったことを片付ける実動隊の長。血の気が多くなければ、務まらない。

小金井「アイツはアイツで、それが自分の役割だと、わかってんでしょう。」

栄咲「俺はお前、買ってたんだ。
犬みてぇに忠実で、俺の言ったことをなんだって聞いてきた。仁ってのは大事だ。誠実さはどこの世界でも必要なことだろ?」

小金井「……光栄です。」

そこまで言うと、白い煙を、ふっと小金井の顔に吹きかけた。咽せることも無く、小金井は黙り込んだままである。

栄咲「だが情に厚すぎる節があるのは、お前も理解ってんだろ。
だから荒田にもこの件を頼んだ。なんてったって、面倒見させてきた嬢の『おともだち』だからな。」

小金井「変わりません。
親父への恩義に、お嬢は関係ない。子供だろうが、お嬢の友人だろうが、俺のやることは変わりません。」

栄咲「はン……恩義ね。期待してるよ。」


それだけ言うと、栄咲は今しがた小金井が火をつけたばかりの紙巻きをまたジウウ、と灰皿に押し付けた。
この件に関わった全ての人間が動き出す。龍剛院 嬢という一人の少女をめぐって、大きな渦が、その核が芽生えようとしている。個人の思惑が交錯し合い、まるで張り巡らされた血管のように、全体が脈打ち、鼓動を刻もうとしていた。



続く
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ランペル
せんせぇぇ…!!

明らかに危険な案件だが、まっすぐな子供たちは友達の為なら構わず突っ込んでしまうだろうという予感…。遊大達を見て来たからこそ、このまま嬢の事をなあなあにしておく訳にはいかなくなったましろ先生は、何か知っているであろう竜也プロへ連絡。
二人も事の重大さを分かってか、口先は軽口だとしても重苦しい雰囲気ですね…。嬢との会話の時とかでもそうでしたが、竜也プロがもう不器用な人間の極みみたいな感じで好きですねぇ。だが、彼も子供達の事を想うましろに動かされ、この危険な事に足を踏み入れる決意を決めましたね…!大人の底力ってやつを見せてもらいたい所ですが、相手が並みの大人は関りを持ちたくないであろう手合い…。しかも今回は、いろいろと口止めも出来る規模とマジで個人では太刀打ちできないですからね…。
なんとか、二人ないし打開の糸口を見出して欲しい所です!

だが!しかし!子供達ももう動き出してるんだよねぇ!
なんなら日暮の病的なノートやその情報収集力、さらにはたまたまましろと父親の会話の断片を聞いていた龍平により、嬢の背後にある龍血組の存在にまで辿り着いてしまう…。嬢が倒れ、さらにはいなくなってから1週間近くも経った事で、いろいろと調べ出したみんなですが、さすがに組の名からは知らずとも血なまぐさいものを感じている事でしょう…。知っているならなおさらやべぇですわな。
果たしてこれからどうなっていくのか…

と思った所で、みんなが嗅ぎまわってるのさえも組には筒抜けと言う!
情報収集力がえぐいんよ…これが組織ってやつか。
そんな親父がみんなの元へ差し向けるのは小金井と血の気が多いとのこと荒田の二人。嬢のお付きであった小金井の情の厚さを買っている親父はその危うさも見抜いている訳ですな…。小金井だけならば、多少は圧なりが強くとも穏便に話が済む可能性もありましたが、荒田の存在の影響で小金井も本腰入れてくる可能性もある訳ですね…。

マジでどうなって来るのか気になってくる所であります!
引き続き楽しみにしてますので、無理なく更新頑張ってくださいませ! (2024-06-19 20:30)

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