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Report#90「愛着障害」 作:ランペル
「いい引きです!まだまだこれからだよミアちゃん!」
梨沙ーLP :3200
手札 :5枚
モンスター :《メタモルポット》[伏]、《WAKE CUP! モカ》[伏]
魔法&罠 :《皆既日蝕の書》[適用中]
ーVSー [ターン2]
ワルトナーーLP :8000
手札 :5枚
モンスター :《地縛戒隷 ジオグレムリン》[伏]、《地縛戒隷 ジオグレムリーナ》[伏]
魔法&罠 :《幻夢境》[表]
梨沙がデッキから引き込んだカードを確認し、明るさを混ぜ込んだ声でそう口にする。そんな彼女の……デュエルをどこか楽しんでいる風にも思える様は、ワルトナーにとって異質以外の何物でもなかった。
「そんな足で…意味が…分かんない……」
装着しているイヤホンから梨沙の状態を聞き取ったワルトナーは、不気味な存在から遠ざかる様に後ずさる。梨沙はそんなワルトナーの言葉に驚きの声をあげた。
「え!?ミアちゃん……見えてないはずじゃ……?」
梨沙の左足はあり得ない方向に曲がってしまっており、挙句には完全に折れた膝下の骨が肉を突き破り飛び出してしまっている。見るだけでも痛々しく、痛みで発狂してもおかしくないはずの深手だ。
だが、当の梨沙本人はその傷を意に介さないどころか、目の見えていないはずのワルトナーにバレてしまっている事に困惑するばかりだ。
「お父様が…準備…してくれた…。聞いてるから…見なくても…分かる…」
ワルトナーが右手で自らに装着されたイヤホン部分を抑えながらそう口にすると、梨沙は乾いた笑い声を洩らす。
「あ、あはは……そういう事か。びっくりさせてごめんね。明らかにやばいなぁってのは、私も分かってるんだけど……。見ての通り……というよりは聞いての通りかな?ここに来てからいろいろあったから、痛いってのを感じなくなっちゃってるんだ……私」
「感じ…ない…?痛くないの…?」
ワルトナーは思わず、梨沙への怒りも忘れて問いかけてしまう。それ程に、耳で受け取った梨沙の深手と彼女の行動とのギャップが激しいのだ。
「うん、痛くないんだ。あんまり良くない事なんだろうけど……ここでならデュエルに集中出来るから悪くないと思ってるよ!」
呆気らかんとそう言いのけた梨沙は、新たに補充した5枚のカードから2枚を掴み取り、それぞれ裏と表でデュエルディスクへ差し込む。
「私はカードを1枚セット。さらに、永続魔法《亜空間物質回送装置》を発動だよ。そして、その効果を発動!」
手札:5枚→4枚→3枚
梨沙のフィールドへ新たに出現したのは、レンズを搭載した三脚型の機械だ。そのレンズが梨沙の指差すフィールドの伏せモンスターへと向けられると、赤い光線が照射されていく。
「セットされたこのモンスターを対象に、そのモンスターを除外。そして、すぐにフィールドへ戻すよ!」
光を受けたセットモンスターは、一瞬だけ揺らぐも特に変化が訪れない。効果を聞いても、梨沙が何をしているのか理解出来ないワルトナーは首を傾げる。彼女が状況を理解してない事を悟った梨沙は、得意げにモンスターを呼び起こす。
「一時的に除外した事で、さっきセットしたこのモンスターを反転召喚する事が出来る様になったんだ!
もう一回行くよ!《メタモルポット》を反転召喚!」
「セット…したのに…反転召喚…!?」
フィールドに再び表となった1つ目が特徴的な壺型のモンスター。ニンマリとした笑みを零しながらその効果が発動されていく。
「リバースした《メタモルポット》の効果発動!
さらにチェーンして、《黄金の雫の神碑》。さらにさらにチェーンして、《輝く炎の神碑》を連続して発動!」
手札:3枚→2枚→1枚
チェーン3まで積み上がる梨沙の効果の連打。ワルトナーは、その連撃に警戒を強めていく。
「まずは、《輝く炎の神碑》の効果で、EXデッキから《神碑の翼 フギン》をEXモンスターゾーンに特殊召喚するよ!
来て、レベル2《神碑の翼フギン》!」[守0]
ぱたぱたと黒い翼を羽ばたかせ妖精サイズのモンスターが梨沙のデッキの上へと現れる。そして、梨沙が右手を翳せば、手の甲へXによく似たルーン文字が浮かぶ上がるのだ。
「《黄金の雫の神碑》の効果で、ミアちゃんにはデッキから1枚ドローしてもらって、その後にデッキトップから4枚を除外させてもらうよ!」
ワルトナー手札:5枚→6枚
ワルトナーデッキ:26枚→21枚
梨沙が握り込んだ右手をワルトナーに向けて勢いよく開けば、浮かび上がったルーン文字が発光しワルトナーのデッキトップが飛び出す。彼女がそれを静かに引き抜くと同時に、デッキトップ4枚が弾け飛ぶ。
「最後に《メタモルポット》の効果処理で、お互いに手札全てを捨てて5枚ドロー!」
手札:1枚→5枚
ワルトナー手札:6枚→5枚
ワルトナーデッキ:21枚→16枚
互いに残された手札の全てが掻き消えると、素早くデュエルディスクより5枚のカードが排出される。これによって、再び互いの手札が初期状態へとリセットされたのだ。
「デッキ破壊…デッキ…」
「そう、私の目的はデッキ破壊。ミアちゃんの《幻夢境》のレベル変動効果もこれでタイミングを逃してるから使えない!
特殊召喚した《神碑の翼 フギン》の効果発動。手札1枚をコストにデッキから《神碑の泉》を手札に加えるよ!」
手札:5枚→4枚→5枚
そう口にしながら梨沙が手札を、デッキトップで待機するフギンへと手渡す。すると、フギンがそのカードを小さな光に変え、デッキへ埋め込む。その瞬間、1枚のカードだけが青く輝き始め、フギンがその光るカードをデッキより引っ張り出し梨沙へ手渡す。
「ありがとねフギン!手札に加えた《神碑の泉》をすぐ発動!」
手札:5枚→4枚
発動により梨沙の背後へ、悪魔を想起させる石像を中央に備えた噴水型の泉が地面からせり上がって来る。
「《神碑の穂先》を発動。デッキから同名以外の神碑カードを手札に加えて、相手のデッキトップを除外できる。
私は《凍てつく呪いの神碑》を手札に加えて、ミアちゃんのデッキトップを除外だよ!」
手札:4枚→3枚→4枚
ワルトナーデッキ:16枚→15枚
梨沙の手の甲にルーン文字が浮かび上がり、その手をデッキの上へと翳せば、対応するカードがデッキから飛び出す。それと同時にワルトナーのデッキトップのカードが吹き飛んで行く。
それに連動する形で、梨沙の背後で佇んでいた石像の左目が赤く光り輝き始める。
「神碑速攻魔法を発動した事で、《神碑の泉》の効果発動。
墓地から《黄金の雫の神碑》、《凍てつく呪いの神碑》、《神碑の穂先》の3枚を対象にデッキへ戻して、その枚数分ドローできる!」
「一気に…3枚…ドロー」
「そういう事!行くよ、ドロー!」
手札:4枚→7枚
デッキから3枚のカードを引き込んだ梨沙は、それらを確認する事無くディスク上のモンスター2体を重ね合わせる。
「さ、ここからが本番だよ!レベル2の《メタモルポット》と《神碑の翼 フギン》でオーバーレイネットワークを構築!
エクシーズ召喚!
来て、ランク2《ゴーストリック・サキュバス》!」[守1200]
2体のモンスターが飛び込んだエクシーズ召喚の渦からもやもやと煙が沸き立つ。その中より、赤い髪と妖艶な翼が特徴的なサキュバスが眠たげに枕を引きずりながらフィールドへと歩いて来る。
「サキュバス!眠い所悪いけど、続けていくよ!《ゴーストリック・サキュバス》を素材にオーバーレイネットワークを再構築!
ランクアップ!エクシーズチェンジ!
来て、ランク4《ゴーストリックの駄天使》!」[守2500]
とぼとぼと歩くサキュバスの足元に穴が空き、驚くでもなくスポッとその穴へ吸い込まれたサキュバス。それと入れ替わるように、小さなシルクハットを頭に乗せ、ゴシックな黒いドレスに身を包む天使が継ぎ接ぎのハートに座って、穴から浮かび上がって来た。
「駄天使のオーバーレイユニットを1つ使って効果発動!デッキからゴーストリック魔法か罠カード1枚を手札に加えるよ」
駄天使が、自身の周囲を巡回する小さな継ぎ接ぎのハートを掴み取ると両手で包むように握り込む。
「私はデッキから《ゴーストリック・ショット》を手札へ。
トリック・プレゼント!」
手札:7枚→8枚
駄天使が包みこんだハートは姿を消し、代わりに1枚のカードが駄天使の手の中から溢れる。駄天使はウィンクと共に梨沙へとカードを投げ渡し、梨沙も笑顔でそれを受け取る。
「駄天使、ありがとう!
そのままサーチした《ゴーストリック・ショット》発動!墓地から《ゴーストリック・サキュバス》を特殊召喚だよ!」
手札:8枚→7枚
地面に小さな穴が空くと、まるでボールが飛び出すように《ゴーストリック・サキュバス》が打ち上げられる。あわあわと慌てる駄天使が、打ち上がったサキュバスの着地地点へと自身の座っていた継ぎ接ぎのハートを飛ばし、それがクッションとなりサキュバスを受け止めた。
「もう一度行くよ!サキュバスを素材にオーバーレイネットワークを再構築!
2体目の《ゴーストリックの駄天使》!」[守2500]
ハートの上でむにゃむにゃと寝惚けるサキュバスが枕を放れば、その場所に桃色のふわふわとした空間が出来上がり、その中へとサキュバスは転がる様に去っていく。夢の空間へ去っていったサキュバスと入れ替わる様に2体目の駄天使が、翼を羽ばたかせながら継ぎ接ぎのハートの元へと降り立つ。
「こっちの駄天使も効果を使うよ!今度は、デッキから《ゴーストリック・パニック》を手札へ」
手札:7枚→8枚
頭に乗せていたシルクハットを駄天使が掴むと、周囲を漂う継ぎ接ぎハートを詰め込みシャカシャカと振るう。それは瞬く間にサーチされたカードへと早変わりするのだ。
「ありがとね!
さ、2人共準備はいい?行くよ!」
梨沙の声掛けに明るく頷く2体の駄天使。
「何を…するつもり…?」
「私の展開も大詰めって事だよ。どんな風になるか、しっかり聞いててね。
同じランクの《ゴーストリックの駄天使》2体で、オーバーレイネットワークを構築!」
優しくワルトナーへ語り掛け、デュエルディスクに呼び出した2体の駄天使達を重ね合わせる。それにより、EXデッキが開放され1枚のカードが排出された。
「エクシーズ召喚!
来て、《FNo.0未来皇ホープ》」[守0]
エクシーズモンスター同士を重ね合わせたエクシーズ召喚。それによって呼び出されるのは、4枚に広がる白銀の装甲に加え、双剣を構えた未来を紡ぐ戦士だ。
梨沙はEXデッキから、さらに1枚のカードを引き抜くと高らかに翳す。
「さらに、このカードは未来皇ホープに重ねてエクシーズ召喚出来る。《FNo.0未来皇ホープ》を素材にオーバーレイネットワークを再構築!
エクシーズチェンジ!
未来を示そう、《FNo.0未来龍皇ホープ》!」[守2000]
未来皇ホープが手に持つ双剣を天高く放る。その身体を新たなる白銀の装甲が覆い隠して行き、全身を巡る橙色の文様が翠緑の文様へと変化していく。放った剣が再び未来皇の手へと舞い戻れば、その剣はまるで、未来を切り開かんばかりの鍵を彷彿とさせる形状へと変化していたのだ。
「未来龍王は戦闘と効果では破壊されず、相手がモンスター効果を使ったらオーバーレイユニットを1つ使ってその発動を無効に出来る。この効果でフィールドのモンスターを無効化したら、コントロールも得られるよ」
梨沙の効果説明に応えるように未来龍王が龍を想起させる巨大な白銀の翼を広げる。
「私はカードを3枚セットして、エンドフェイズに《皆既日蝕の書》の効果でミアちゃんのモンスター2体を表にして、その数だけドローさせるよ。つまり、2枚のドローだね」
手札:8枚→5枚
ワルトナーのフィールドへ光が差し込むと、姿を消していた雌雄の魔獣が再び姿を現わした。
「…2枚…ドロー」
ワルトナー手札:5枚→7枚
ワルトナーデッキ:15枚→13枚
「オッケー、私はこれでターンエンド。さ、ミアちゃんのターンだよ!」
[ターン3]
梨沙の明るい声でのターンエンド宣言。それを受けたワルトナーは、しばしの沈黙を挟むと首を横に振る。
「やっぱり…分からない…。
ワタシは…あなたの足…痛めつけたのに…なんで、そんなに…楽しそうなの…?ワタシの…事…恨まない…の?」
隠しきれない困惑と共に吐き出されるワルトナーの疑問。痛みを感じないとしても、梨沙の足はワルトナーの効果発動により機能不全に陥ってしまっている。そんな状況でも、梨沙はどこか楽しそうにデュエルを続ける。ワルトナーには、それが不気味で不安で仕方が無いのだ。
「恨んだりなんかしないよ。だって……ミアちゃんが今デュエルしてるのは、お父さんの為なんでしょ?」
「……!」
思いもしていない返答にワルトナーはビクリと身体を震わして動揺する。そんな彼女へ梨沙は想いを伝え続けるのだ。
「私がお父さんに何かしたと思ってて、だから私をデュエルで倒そうとしてるんだよね。その誤解を解きたいとは思ってるけど、ミアちゃんのその行動に腹を立てたりはしないよ」
「なんで…ワタシは、あなたを…傷つけてる…」
「だからって、私がミアちゃんを傷付けても良い事が何もないからだよ。私はただ誤解を解きたいだけ。
それに、デュエルでこれ以上誰かを傷付けるような事……したくないんだ」
「傷…つけない…?」
梨沙の柔らかな声色がワルトナーの心を掻き乱す。困惑や不気味さを超え、その得体の知れなさに恐怖してもおかしく無かった。だが、梨沙の優しげな声とデュエル中のどこか楽しげな雰囲気が、それを畏怖の対象と置いてしまうのも憚られた。
「うん!デュエルは争いの道具でも、人を傷つける為のモノでもなくて、本当はとっても楽しいものなんだって事をいろんな人に知って欲しいの」
ワルトナーの深まる疑念を他所に梨沙は懸命に自らの想いを訴えかけ続ける。
「私は、デュエルであなたを傷つけたりなんかしないよ。それと同じ様に、私はお父さんを傷つけたりなんかしない」
「じゃぁ…なんで…お父様が…」
「それは、私にも分からない……。でも、ミアちゃんの知ってる事を教えてくれたら、何か私にも分かる事があるかもしれないよ!」
「……」
俯き押し黙るワルトナー。梨沙は彼女が応えてくれるのをただひたすらに待つ。
「ワタシの…お父様…。捨てられたく…ない…」
沈黙を破り、掠れたワルトナーの声が零れ落ちた。
「捨てられって……。お父さんがミアちゃんにそう言ったの……?」
梨沙がそう問いかけた。問われた少女は、その言葉を受け俯いていた顔を持ち上げる。唇を震わせるワルトナーの包帯で覆い隠された目元。そこから……緩やかな雫が頬を伝い流れ落ちていく。
「あなたの話を…した後に…お父様、ワタシに…謝り始めた…。お父様は…何も…悪くないのに…」
震えるワルトナーが、言葉を繋げる。そんな彼女の想いを、梨沙は静かに聞くのみだ。
「ねぇ…どうして…お父様は…ワタシに…謝ったの?ひどいことをした…って、謝る必要が…あったの?」
「……ミアちゃんが分からなくても、お父さんがミアちゃんにした事が……人として良くないことだったんじゃないかな……?」
「ちがう……違う!!
お父様は…ワタシが…何をするべきか…教えて…くれた…!!人を殺す…方法…示してくれた…!!ワタシを…愛してくれていたから…!!」
「ミアちゃん……」
懸命に訴えかけるように言葉を揺らすワルトナー。彼女を落ち着かせる為には、きっと彼女の気持ちへ同調するのが得策だろう。梨沙はそれを分かっている。だが、分かっていても共感を示せなかった。ワルトナーは、間違いなく父親に利用されていた。その事を、父親が彼女に謝ったのならば……。正しい道を歩きだそうとする父親を否定などしたくない。そして、正しくない事を愛情と感じてしまっている彼女を肯定する事もしたくなかった。
「ごめんね……。でも、ミアちゃんを利用していた時のお父さんのそれは愛情なんかじゃないんだよ」
「……!?そう…言って…ワタシから…お父様を…引き剥がしたんだ……。ゆる…せない…ワタシには…お父様しか…いないのに……!!」
当然、梨沙の言葉にワルトナーは反発すると共に怒りが再び沸き上がり始める。だが、ワルトナーの感じる愛情は、間違いなく歪みきっていた。それを正す事もこの子には必要な事ではないのか。
「お父さんがミアちゃんに謝ったこと。私はその時に初めて、お父さんがちゃんとあなたの事を見始めたんだと思うんだ。ミアちゃんをまっすぐ見たからこそ、自分のしてしまった事が間違いだって気づいたんだって――
「聞きたく…ない…。ワタシに…するべき事…示してくれるのが…お父様。ワタシが…決めた事…失敗する…。だから…あなたが…何を…言っても…もう聞いたりしない…」
「ミアちゃん……」
父親は自らの過ちを清算しようとしている。その過程で彼女に謝罪をしたのだろう。父親とワルトナーとの間にあった細かなやり取りまでは分からない。しかし、父親の悪意を、ワルトナーは好意的に受け取っていた。彼女にとって、父親から向けられる悪意ですら……愛情でしか無かったのだ。
父親が悪意をワルトナーに向けなくなった事で、愛情を受け取れなくなるとワルトナーは感じてしまったのかもしれない。
「ワタシ…を、愛してくれるのは…お父様だけ…お父様だけなの……!!」
手札:7枚→8枚
ワルトナーデッキ:13枚→12枚
まるで縋り付く様にデッキからカードを引き抜くワルトナー。その震える声から、彼女が心の底から父親と離れ離れになってしまうのを恐れている事だけはハッキリと感じられた。
「ミアちゃんの気持ち……少しだけ分かった気がするよ……。大丈夫、きっとお父さんはミアちゃんの事を気に掛けてくれてる。愛し始めようとしているはずだよ」
梨沙が小さく呟いた。必死にカードを指でなぞり展開するワルトナーには、その呟きなど聞こえやしない。例え、彼女に聞こえるように声を張り上げたとて、今の彼女は梨沙の言葉を聞き入れなどしてくれないだろう。ならば、このデュエルに決着をつけるしかないのだ。
ワルトナーが墓地より排出されたカードを地面へと放る。すると、地面より鎖に繋がれた手が現れ、カードを掴み取れば地面へと戻っていく。
「墓地から…《地縛融合》…除外して…効果発動…!墓地から…地縛モンスター…特殊召喚」
「モンスターを特殊召喚する効果が発動された事で《霊王の波動》を発動だよ。その効果を無効にする」
放たれる波動が、地面に波紋を生み出す。ワルトナーは構わないと言わんばかりに、すぐさま次の手に出る。
「フィールド魔法…《地縛牢》…張り替えて…発動。その効果で…あなたの未来龍皇…対象に…このカードがある限り、効果…無効…」
手札:8枚→7枚
「ホープ、無力化されちゃったか……」
淡い光が消え失せ、フロアが深い緑の光で再び満たされていく。それと共に巨大な手が、未来龍王をまるで檻で囲うように現れる。囚われてしまった未来龍王は、力が奪われ地に膝をついていた。
「未来龍王…対象に…《地縛戒隷 ジオグレムリン》…の、効果…発動」
両腕を縛り上げられたジオグレムリンがうめき声をあければ、ホープの周囲が淡い青色のオーラで包まれる。
「あなたは…対象の…モンスターの…攻撃力分…ワタシの…ライフを回復。それか…対象モンスター…を…破壊。
どちらかを…選べる」
「未来龍王ホープの破壊か、ミアちゃんのライフ3000の回復が選べるって事ね……。破壊耐性が消えてるし、もちろん回復の方を選択だよ!」
ワルトナーLP8000→11000
回復効果が選択された事で、ホープを包みこんでいた淡い青色のオーラがワルトナーの方へと移り変わる。
「手札から…《地縛融合》…発動。
フィールドの…ジオグレムリン…ジオグレムリーナ…で融合…。
融合召喚。
現れろ…レベル10…《地縛戒隷 ジオグラシャ=ラボラス》!」[攻3000]
手札:8枚→7枚
雌雄の魔獣が地面へと溶け込んでいく。突如……その地面へと亀裂が走り、砕かれた地面より犬を彷彿とさせる頭部を持ち上げながら巨大な悪魔が姿を見せる。地上へと呼び起こされた巨獣は、黒い瘴気を撒き散らしながら勢い良く翼を広げた。
「攻撃力3000……穂香ちゃんとのデュエルでも使ってたモンスターだね」
大型のモンスターを呼び寄せたワルトナーだが、墓地より排出されるカードを掴む彼女の展開に終局の気配はない。
「まだ…。墓地から…《地縛神 スカーレッド・ノヴァ》…除外して、手札の…《地縛神 Uru》を…墓地へ…」
手札:7枚→6枚
地面の亀裂から現れる深紅の蛇がワルトナーの放ったカードを喰らう。その瞬間、彼女の手元に向かって、無数の深紅の蛇が亀裂より藻掻きながら飛び出す。
「EXデッキ…から…シンクロ召喚…扱いで…特殊召喚…」
深紅の蛇達が魂を奪われんばかりに、ワルトナーの手元へと吸収されていく。全ての蛇が吸い込まれれば、力を吸い上げたワルトナーの手に1枚のカードが生み出されていた。彼女はそのカードを、勢い良くデュエルディスクへと叩きつける。
「現れろ…レベル12…《スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン》!」[攻5000]
真っ赤に燃え上がる炎に包まれた深紅のドラゴンが、咆哮と共にフィールドへと顕現する。その佇まいはまるで悪魔をも彷彿とさせる程に禍々しく、しかしそれと同時に悪魔さえも従えてしまうのではないかというカリスマ性も兼ね備えていた。
「このカード…墓地のチューナー…の数だけ…500…攻撃力…アップ…」
「融合モンスターに続いて、攻撃力5000のシンクロモンスター。こんなに展開出来るなんてミアちゃん凄いよ!」
これ程に高レベルのモンスターを、巧みに扱うワルトナーに純粋な賞賛の感情を覚える梨沙。しかし、まだ展開を終えようとしないワルトナーが手札を指先でなぞり、新たな1枚を繰り出す。
「ワタシが…教わった…全部で、あなたを…倒す……。
フィールド魔法…あるから…《地縛囚人 ストーン・スィーパー》…特殊召喚」[守1600]
手札:6枚→5枚
鯨を彷彿とさせる魔獣が地面より浮き出る。それを押し潰すように巨大な蜘蛛のモンスターが上空より降ってきた。
「ストーン・スィーパー…リリース…《分裂するマザー・スパイダー》…アドバンス召喚」[攻0]
手札:4枚→3枚
「攻撃力0のモンスターをアドバンス召喚……何かあるね」
マザー・スパイダーを警戒する梨沙の眼前で、突如蜘蛛糸を放つマザー・スパイダー。しかし、放たれた蜘蛛糸が向かう先はワルトナーのデッキと手札だった。
「マザー・スパイダー…をリリースして…効果発動。デッキ、手札…から…《ベビー・スパイダー》を…3体まで…特殊召喚。そして…全部が…レベル…5に変わる。
効果…発動後…ワタシは…エクシーズ召喚…しか…出来なくなる」[守0]✕3
手札:3枚→1枚
デッキ:12枚→11枚
《ベビー・スパイダー》:☆3→☆5
《ベビー・スパイダー》:☆3→☆5
《ベビー・スパイダー》:☆3→☆5
放たれた蜘蛛糸に捕らわれた3枚のカードがデュエルディスクへ置かれると共に、マザー・スパイダーが弾け飛ぶ。すると、弾けた体の中から3体の小蜘蛛がワルトナーのフィールドを埋め尽くす。
「一気に3体も……。これでエクシーズ召喚の準備も万端って事だね」
マザー・スパイダーの制約により、ランク5のエクシーズモンスターの出現を予感する梨沙。しかし、ワルトナーはディスクより掴み取った《ベビー・スパイダー》を、重ねる事なく墓地に送ってしまう。
「《ベビー・スパイダー》…の効果。自分を…リリース…して…他の《ベビー・スパイダー》…の、レベルを…リリースした…《ベビー・スパイダー》のレベル分だけ…上げる」
《ベビー・スパイダー》:☆5→☆10
《ベビー・スパイダー》:☆5→☆10
《ベビー・スパイダー》の1体がその場を跳ねると、母体と同じように弾け飛ぶ。それによって、フィールドへと並び立つのはレベル10となった《ベビー・スパイダー》達だ。
「レベルが10に……!?」
梨沙の予測を飛躍したワルトナーが、2体のモンスターを重ね合わせる。それに連動して解放されたEXデッキより飛び出したカードを、ワルトナーが手中へ手繰り寄せていく。
「レベル10…になった…《ベビー・スパイダー》2体、で…オーバーレイ…。
現れろ…《No.35 ラベノス・タランチュラ》!」[攻7800]
ワルトナーの頭上で勢い良く広がり形成される巨大な蜘蛛の巣。その上へ巨大な蜘蛛のモンスターが降ってくると、その自重で蜘蛛の巣そのものが激しく揺れ動く。腹部に位置する場所へ刻まれた35の番号を起点に淡い緑色のオーラが、巨大蜘蛛を妖しく彩る。
「攻撃力7800……」
スカーレッド・ノヴァを優に超える攻撃力の数値と、それに見合った巨体さへ圧倒され、ラベノス・タランチュラを見渡す梨沙。その巨大蜘蛛の単眼と目が合えば、ラベノス・タランチュラを包み込むオーラが、他のモンスターへと伝染していくのを見て取れた。
「ラベノス・タランチュラ…の効果…。ワタシの…モンスター全部の…攻撃力と守備力が…あなたとの…ライフの…差だけ…アップする…」
「ライフ差……!?」
ラベノス・タランチュラの元々の攻撃力は0。つまり、ラベノス・タランチュラの攻撃力がそっくりそのまま全体強化の数値となるのだ。
《地縛戒隷 ジオグラシャ=ラボラス》[攻10800]
《スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン》[攻12800]
「凄い……攻撃力だね……」
この場所において攻撃力の数値は、そのまま死に対する数値化でもある。一度でも、梨沙が妨害の打ちどころをしくじれば、生存の可能性など残さない無慈悲な攻撃力が降り注ぐ事となる。
「融合…シンクロ…エクシーズ……。
これが…お父様から…教わった力……。お父様が…ワタシに…授けてくれた力……。あなたに…負けたりなんかしない……!!」
ワルトナーが、絞り出した覚悟を示す。彼女の想いと、父親から教わった力の全てが梨沙を屠らんと牙を剥くのだ。
梨沙ーLP :3200
手札 :5枚
モンスター :《メタモルポット》[伏]、《WAKE CUP! モカ》[伏]
魔法&罠 :《皆既日蝕の書》[適用中]
ーVSー [ターン2]
ワルトナーーLP :8000
手札 :5枚
モンスター :《地縛戒隷 ジオグレムリン》[伏]、《地縛戒隷 ジオグレムリーナ》[伏]
魔法&罠 :《幻夢境》[表]
梨沙がデッキから引き込んだカードを確認し、明るさを混ぜ込んだ声でそう口にする。そんな彼女の……デュエルをどこか楽しんでいる風にも思える様は、ワルトナーにとって異質以外の何物でもなかった。
「そんな足で…意味が…分かんない……」
装着しているイヤホンから梨沙の状態を聞き取ったワルトナーは、不気味な存在から遠ざかる様に後ずさる。梨沙はそんなワルトナーの言葉に驚きの声をあげた。
「え!?ミアちゃん……見えてないはずじゃ……?」
梨沙の左足はあり得ない方向に曲がってしまっており、挙句には完全に折れた膝下の骨が肉を突き破り飛び出してしまっている。見るだけでも痛々しく、痛みで発狂してもおかしくないはずの深手だ。
だが、当の梨沙本人はその傷を意に介さないどころか、目の見えていないはずのワルトナーにバレてしまっている事に困惑するばかりだ。
「お父様が…準備…してくれた…。聞いてるから…見なくても…分かる…」
ワルトナーが右手で自らに装着されたイヤホン部分を抑えながらそう口にすると、梨沙は乾いた笑い声を洩らす。
「あ、あはは……そういう事か。びっくりさせてごめんね。明らかにやばいなぁってのは、私も分かってるんだけど……。見ての通り……というよりは聞いての通りかな?ここに来てからいろいろあったから、痛いってのを感じなくなっちゃってるんだ……私」
「感じ…ない…?痛くないの…?」
ワルトナーは思わず、梨沙への怒りも忘れて問いかけてしまう。それ程に、耳で受け取った梨沙の深手と彼女の行動とのギャップが激しいのだ。
「うん、痛くないんだ。あんまり良くない事なんだろうけど……ここでならデュエルに集中出来るから悪くないと思ってるよ!」
呆気らかんとそう言いのけた梨沙は、新たに補充した5枚のカードから2枚を掴み取り、それぞれ裏と表でデュエルディスクへ差し込む。
「私はカードを1枚セット。さらに、永続魔法《亜空間物質回送装置》を発動だよ。そして、その効果を発動!」
手札:5枚→4枚→3枚
梨沙のフィールドへ新たに出現したのは、レンズを搭載した三脚型の機械だ。そのレンズが梨沙の指差すフィールドの伏せモンスターへと向けられると、赤い光線が照射されていく。
「セットされたこのモンスターを対象に、そのモンスターを除外。そして、すぐにフィールドへ戻すよ!」
光を受けたセットモンスターは、一瞬だけ揺らぐも特に変化が訪れない。効果を聞いても、梨沙が何をしているのか理解出来ないワルトナーは首を傾げる。彼女が状況を理解してない事を悟った梨沙は、得意げにモンスターを呼び起こす。
「一時的に除外した事で、さっきセットしたこのモンスターを反転召喚する事が出来る様になったんだ!
もう一回行くよ!《メタモルポット》を反転召喚!」
「セット…したのに…反転召喚…!?」
フィールドに再び表となった1つ目が特徴的な壺型のモンスター。ニンマリとした笑みを零しながらその効果が発動されていく。
「リバースした《メタモルポット》の効果発動!
さらにチェーンして、《黄金の雫の神碑》。さらにさらにチェーンして、《輝く炎の神碑》を連続して発動!」
手札:3枚→2枚→1枚
チェーン3まで積み上がる梨沙の効果の連打。ワルトナーは、その連撃に警戒を強めていく。
「まずは、《輝く炎の神碑》の効果で、EXデッキから《神碑の翼 フギン》をEXモンスターゾーンに特殊召喚するよ!
来て、レベル2《神碑の翼フギン》!」[守0]
ぱたぱたと黒い翼を羽ばたかせ妖精サイズのモンスターが梨沙のデッキの上へと現れる。そして、梨沙が右手を翳せば、手の甲へXによく似たルーン文字が浮かぶ上がるのだ。
「《黄金の雫の神碑》の効果で、ミアちゃんにはデッキから1枚ドローしてもらって、その後にデッキトップから4枚を除外させてもらうよ!」
ワルトナー手札:5枚→6枚
ワルトナーデッキ:26枚→21枚
梨沙が握り込んだ右手をワルトナーに向けて勢いよく開けば、浮かび上がったルーン文字が発光しワルトナーのデッキトップが飛び出す。彼女がそれを静かに引き抜くと同時に、デッキトップ4枚が弾け飛ぶ。
「最後に《メタモルポット》の効果処理で、お互いに手札全てを捨てて5枚ドロー!」
手札:1枚→5枚
ワルトナー手札:6枚→5枚
ワルトナーデッキ:21枚→16枚
互いに残された手札の全てが掻き消えると、素早くデュエルディスクより5枚のカードが排出される。これによって、再び互いの手札が初期状態へとリセットされたのだ。
「デッキ破壊…デッキ…」
「そう、私の目的はデッキ破壊。ミアちゃんの《幻夢境》のレベル変動効果もこれでタイミングを逃してるから使えない!
特殊召喚した《神碑の翼 フギン》の効果発動。手札1枚をコストにデッキから《神碑の泉》を手札に加えるよ!」
手札:5枚→4枚→5枚
そう口にしながら梨沙が手札を、デッキトップで待機するフギンへと手渡す。すると、フギンがそのカードを小さな光に変え、デッキへ埋め込む。その瞬間、1枚のカードだけが青く輝き始め、フギンがその光るカードをデッキより引っ張り出し梨沙へ手渡す。
「ありがとねフギン!手札に加えた《神碑の泉》をすぐ発動!」
手札:5枚→4枚
発動により梨沙の背後へ、悪魔を想起させる石像を中央に備えた噴水型の泉が地面からせり上がって来る。
「《神碑の穂先》を発動。デッキから同名以外の神碑カードを手札に加えて、相手のデッキトップを除外できる。
私は《凍てつく呪いの神碑》を手札に加えて、ミアちゃんのデッキトップを除外だよ!」
手札:4枚→3枚→4枚
ワルトナーデッキ:16枚→15枚
梨沙の手の甲にルーン文字が浮かび上がり、その手をデッキの上へと翳せば、対応するカードがデッキから飛び出す。それと同時にワルトナーのデッキトップのカードが吹き飛んで行く。
それに連動する形で、梨沙の背後で佇んでいた石像の左目が赤く光り輝き始める。
「神碑速攻魔法を発動した事で、《神碑の泉》の効果発動。
墓地から《黄金の雫の神碑》、《凍てつく呪いの神碑》、《神碑の穂先》の3枚を対象にデッキへ戻して、その枚数分ドローできる!」
「一気に…3枚…ドロー」
「そういう事!行くよ、ドロー!」
手札:4枚→7枚
デッキから3枚のカードを引き込んだ梨沙は、それらを確認する事無くディスク上のモンスター2体を重ね合わせる。
「さ、ここからが本番だよ!レベル2の《メタモルポット》と《神碑の翼 フギン》でオーバーレイネットワークを構築!
エクシーズ召喚!
来て、ランク2《ゴーストリック・サキュバス》!」[守1200]
2体のモンスターが飛び込んだエクシーズ召喚の渦からもやもやと煙が沸き立つ。その中より、赤い髪と妖艶な翼が特徴的なサキュバスが眠たげに枕を引きずりながらフィールドへと歩いて来る。
「サキュバス!眠い所悪いけど、続けていくよ!《ゴーストリック・サキュバス》を素材にオーバーレイネットワークを再構築!
ランクアップ!エクシーズチェンジ!
来て、ランク4《ゴーストリックの駄天使》!」[守2500]
とぼとぼと歩くサキュバスの足元に穴が空き、驚くでもなくスポッとその穴へ吸い込まれたサキュバス。それと入れ替わるように、小さなシルクハットを頭に乗せ、ゴシックな黒いドレスに身を包む天使が継ぎ接ぎのハートに座って、穴から浮かび上がって来た。
「駄天使のオーバーレイユニットを1つ使って効果発動!デッキからゴーストリック魔法か罠カード1枚を手札に加えるよ」
駄天使が、自身の周囲を巡回する小さな継ぎ接ぎのハートを掴み取ると両手で包むように握り込む。
「私はデッキから《ゴーストリック・ショット》を手札へ。
トリック・プレゼント!」
手札:7枚→8枚
駄天使が包みこんだハートは姿を消し、代わりに1枚のカードが駄天使の手の中から溢れる。駄天使はウィンクと共に梨沙へとカードを投げ渡し、梨沙も笑顔でそれを受け取る。
「駄天使、ありがとう!
そのままサーチした《ゴーストリック・ショット》発動!墓地から《ゴーストリック・サキュバス》を特殊召喚だよ!」
手札:8枚→7枚
地面に小さな穴が空くと、まるでボールが飛び出すように《ゴーストリック・サキュバス》が打ち上げられる。あわあわと慌てる駄天使が、打ち上がったサキュバスの着地地点へと自身の座っていた継ぎ接ぎのハートを飛ばし、それがクッションとなりサキュバスを受け止めた。
「もう一度行くよ!サキュバスを素材にオーバーレイネットワークを再構築!
2体目の《ゴーストリックの駄天使》!」[守2500]
ハートの上でむにゃむにゃと寝惚けるサキュバスが枕を放れば、その場所に桃色のふわふわとした空間が出来上がり、その中へとサキュバスは転がる様に去っていく。夢の空間へ去っていったサキュバスと入れ替わる様に2体目の駄天使が、翼を羽ばたかせながら継ぎ接ぎのハートの元へと降り立つ。
「こっちの駄天使も効果を使うよ!今度は、デッキから《ゴーストリック・パニック》を手札へ」
手札:7枚→8枚
頭に乗せていたシルクハットを駄天使が掴むと、周囲を漂う継ぎ接ぎハートを詰め込みシャカシャカと振るう。それは瞬く間にサーチされたカードへと早変わりするのだ。
「ありがとね!
さ、2人共準備はいい?行くよ!」
梨沙の声掛けに明るく頷く2体の駄天使。
「何を…するつもり…?」
「私の展開も大詰めって事だよ。どんな風になるか、しっかり聞いててね。
同じランクの《ゴーストリックの駄天使》2体で、オーバーレイネットワークを構築!」
優しくワルトナーへ語り掛け、デュエルディスクに呼び出した2体の駄天使達を重ね合わせる。それにより、EXデッキが開放され1枚のカードが排出された。
「エクシーズ召喚!
来て、《FNo.0未来皇ホープ》」[守0]
エクシーズモンスター同士を重ね合わせたエクシーズ召喚。それによって呼び出されるのは、4枚に広がる白銀の装甲に加え、双剣を構えた未来を紡ぐ戦士だ。
梨沙はEXデッキから、さらに1枚のカードを引き抜くと高らかに翳す。
「さらに、このカードは未来皇ホープに重ねてエクシーズ召喚出来る。《FNo.0未来皇ホープ》を素材にオーバーレイネットワークを再構築!
エクシーズチェンジ!
未来を示そう、《FNo.0未来龍皇ホープ》!」[守2000]
未来皇ホープが手に持つ双剣を天高く放る。その身体を新たなる白銀の装甲が覆い隠して行き、全身を巡る橙色の文様が翠緑の文様へと変化していく。放った剣が再び未来皇の手へと舞い戻れば、その剣はまるで、未来を切り開かんばかりの鍵を彷彿とさせる形状へと変化していたのだ。
「未来龍王は戦闘と効果では破壊されず、相手がモンスター効果を使ったらオーバーレイユニットを1つ使ってその発動を無効に出来る。この効果でフィールドのモンスターを無効化したら、コントロールも得られるよ」
梨沙の効果説明に応えるように未来龍王が龍を想起させる巨大な白銀の翼を広げる。
「私はカードを3枚セットして、エンドフェイズに《皆既日蝕の書》の効果でミアちゃんのモンスター2体を表にして、その数だけドローさせるよ。つまり、2枚のドローだね」
手札:8枚→5枚
ワルトナーのフィールドへ光が差し込むと、姿を消していた雌雄の魔獣が再び姿を現わした。
「…2枚…ドロー」
ワルトナー手札:5枚→7枚
ワルトナーデッキ:15枚→13枚
「オッケー、私はこれでターンエンド。さ、ミアちゃんのターンだよ!」
[ターン3]
梨沙の明るい声でのターンエンド宣言。それを受けたワルトナーは、しばしの沈黙を挟むと首を横に振る。
「やっぱり…分からない…。
ワタシは…あなたの足…痛めつけたのに…なんで、そんなに…楽しそうなの…?ワタシの…事…恨まない…の?」
隠しきれない困惑と共に吐き出されるワルトナーの疑問。痛みを感じないとしても、梨沙の足はワルトナーの効果発動により機能不全に陥ってしまっている。そんな状況でも、梨沙はどこか楽しそうにデュエルを続ける。ワルトナーには、それが不気味で不安で仕方が無いのだ。
「恨んだりなんかしないよ。だって……ミアちゃんが今デュエルしてるのは、お父さんの為なんでしょ?」
「……!」
思いもしていない返答にワルトナーはビクリと身体を震わして動揺する。そんな彼女へ梨沙は想いを伝え続けるのだ。
「私がお父さんに何かしたと思ってて、だから私をデュエルで倒そうとしてるんだよね。その誤解を解きたいとは思ってるけど、ミアちゃんのその行動に腹を立てたりはしないよ」
「なんで…ワタシは、あなたを…傷つけてる…」
「だからって、私がミアちゃんを傷付けても良い事が何もないからだよ。私はただ誤解を解きたいだけ。
それに、デュエルでこれ以上誰かを傷付けるような事……したくないんだ」
「傷…つけない…?」
梨沙の柔らかな声色がワルトナーの心を掻き乱す。困惑や不気味さを超え、その得体の知れなさに恐怖してもおかしく無かった。だが、梨沙の優しげな声とデュエル中のどこか楽しげな雰囲気が、それを畏怖の対象と置いてしまうのも憚られた。
「うん!デュエルは争いの道具でも、人を傷つける為のモノでもなくて、本当はとっても楽しいものなんだって事をいろんな人に知って欲しいの」
ワルトナーの深まる疑念を他所に梨沙は懸命に自らの想いを訴えかけ続ける。
「私は、デュエルであなたを傷つけたりなんかしないよ。それと同じ様に、私はお父さんを傷つけたりなんかしない」
「じゃぁ…なんで…お父様が…」
「それは、私にも分からない……。でも、ミアちゃんの知ってる事を教えてくれたら、何か私にも分かる事があるかもしれないよ!」
「……」
俯き押し黙るワルトナー。梨沙は彼女が応えてくれるのをただひたすらに待つ。
「ワタシの…お父様…。捨てられたく…ない…」
沈黙を破り、掠れたワルトナーの声が零れ落ちた。
「捨てられって……。お父さんがミアちゃんにそう言ったの……?」
梨沙がそう問いかけた。問われた少女は、その言葉を受け俯いていた顔を持ち上げる。唇を震わせるワルトナーの包帯で覆い隠された目元。そこから……緩やかな雫が頬を伝い流れ落ちていく。
「あなたの話を…した後に…お父様、ワタシに…謝り始めた…。お父様は…何も…悪くないのに…」
震えるワルトナーが、言葉を繋げる。そんな彼女の想いを、梨沙は静かに聞くのみだ。
「ねぇ…どうして…お父様は…ワタシに…謝ったの?ひどいことをした…って、謝る必要が…あったの?」
「……ミアちゃんが分からなくても、お父さんがミアちゃんにした事が……人として良くないことだったんじゃないかな……?」
「ちがう……違う!!
お父様は…ワタシが…何をするべきか…教えて…くれた…!!人を殺す…方法…示してくれた…!!ワタシを…愛してくれていたから…!!」
「ミアちゃん……」
懸命に訴えかけるように言葉を揺らすワルトナー。彼女を落ち着かせる為には、きっと彼女の気持ちへ同調するのが得策だろう。梨沙はそれを分かっている。だが、分かっていても共感を示せなかった。ワルトナーは、間違いなく父親に利用されていた。その事を、父親が彼女に謝ったのならば……。正しい道を歩きだそうとする父親を否定などしたくない。そして、正しくない事を愛情と感じてしまっている彼女を肯定する事もしたくなかった。
「ごめんね……。でも、ミアちゃんを利用していた時のお父さんのそれは愛情なんかじゃないんだよ」
「……!?そう…言って…ワタシから…お父様を…引き剥がしたんだ……。ゆる…せない…ワタシには…お父様しか…いないのに……!!」
当然、梨沙の言葉にワルトナーは反発すると共に怒りが再び沸き上がり始める。だが、ワルトナーの感じる愛情は、間違いなく歪みきっていた。それを正す事もこの子には必要な事ではないのか。
「お父さんがミアちゃんに謝ったこと。私はその時に初めて、お父さんがちゃんとあなたの事を見始めたんだと思うんだ。ミアちゃんをまっすぐ見たからこそ、自分のしてしまった事が間違いだって気づいたんだって――
「聞きたく…ない…。ワタシに…するべき事…示してくれるのが…お父様。ワタシが…決めた事…失敗する…。だから…あなたが…何を…言っても…もう聞いたりしない…」
「ミアちゃん……」
父親は自らの過ちを清算しようとしている。その過程で彼女に謝罪をしたのだろう。父親とワルトナーとの間にあった細かなやり取りまでは分からない。しかし、父親の悪意を、ワルトナーは好意的に受け取っていた。彼女にとって、父親から向けられる悪意ですら……愛情でしか無かったのだ。
父親が悪意をワルトナーに向けなくなった事で、愛情を受け取れなくなるとワルトナーは感じてしまったのかもしれない。
「ワタシ…を、愛してくれるのは…お父様だけ…お父様だけなの……!!」
手札:7枚→8枚
ワルトナーデッキ:13枚→12枚
まるで縋り付く様にデッキからカードを引き抜くワルトナー。その震える声から、彼女が心の底から父親と離れ離れになってしまうのを恐れている事だけはハッキリと感じられた。
「ミアちゃんの気持ち……少しだけ分かった気がするよ……。大丈夫、きっとお父さんはミアちゃんの事を気に掛けてくれてる。愛し始めようとしているはずだよ」
梨沙が小さく呟いた。必死にカードを指でなぞり展開するワルトナーには、その呟きなど聞こえやしない。例え、彼女に聞こえるように声を張り上げたとて、今の彼女は梨沙の言葉を聞き入れなどしてくれないだろう。ならば、このデュエルに決着をつけるしかないのだ。
ワルトナーが墓地より排出されたカードを地面へと放る。すると、地面より鎖に繋がれた手が現れ、カードを掴み取れば地面へと戻っていく。
「墓地から…《地縛融合》…除外して…効果発動…!墓地から…地縛モンスター…特殊召喚」
「モンスターを特殊召喚する効果が発動された事で《霊王の波動》を発動だよ。その効果を無効にする」
放たれる波動が、地面に波紋を生み出す。ワルトナーは構わないと言わんばかりに、すぐさま次の手に出る。
「フィールド魔法…《地縛牢》…張り替えて…発動。その効果で…あなたの未来龍皇…対象に…このカードがある限り、効果…無効…」
手札:8枚→7枚
「ホープ、無力化されちゃったか……」
淡い光が消え失せ、フロアが深い緑の光で再び満たされていく。それと共に巨大な手が、未来龍王をまるで檻で囲うように現れる。囚われてしまった未来龍王は、力が奪われ地に膝をついていた。
「未来龍王…対象に…《地縛戒隷 ジオグレムリン》…の、効果…発動」
両腕を縛り上げられたジオグレムリンがうめき声をあければ、ホープの周囲が淡い青色のオーラで包まれる。
「あなたは…対象の…モンスターの…攻撃力分…ワタシの…ライフを回復。それか…対象モンスター…を…破壊。
どちらかを…選べる」
「未来龍王ホープの破壊か、ミアちゃんのライフ3000の回復が選べるって事ね……。破壊耐性が消えてるし、もちろん回復の方を選択だよ!」
ワルトナーLP8000→11000
回復効果が選択された事で、ホープを包みこんでいた淡い青色のオーラがワルトナーの方へと移り変わる。
「手札から…《地縛融合》…発動。
フィールドの…ジオグレムリン…ジオグレムリーナ…で融合…。
融合召喚。
現れろ…レベル10…《地縛戒隷 ジオグラシャ=ラボラス》!」[攻3000]
手札:8枚→7枚
雌雄の魔獣が地面へと溶け込んでいく。突如……その地面へと亀裂が走り、砕かれた地面より犬を彷彿とさせる頭部を持ち上げながら巨大な悪魔が姿を見せる。地上へと呼び起こされた巨獣は、黒い瘴気を撒き散らしながら勢い良く翼を広げた。
「攻撃力3000……穂香ちゃんとのデュエルでも使ってたモンスターだね」
大型のモンスターを呼び寄せたワルトナーだが、墓地より排出されるカードを掴む彼女の展開に終局の気配はない。
「まだ…。墓地から…《地縛神 スカーレッド・ノヴァ》…除外して、手札の…《地縛神 Uru》を…墓地へ…」
手札:7枚→6枚
地面の亀裂から現れる深紅の蛇がワルトナーの放ったカードを喰らう。その瞬間、彼女の手元に向かって、無数の深紅の蛇が亀裂より藻掻きながら飛び出す。
「EXデッキ…から…シンクロ召喚…扱いで…特殊召喚…」
深紅の蛇達が魂を奪われんばかりに、ワルトナーの手元へと吸収されていく。全ての蛇が吸い込まれれば、力を吸い上げたワルトナーの手に1枚のカードが生み出されていた。彼女はそのカードを、勢い良くデュエルディスクへと叩きつける。
「現れろ…レベル12…《スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン》!」[攻5000]
真っ赤に燃え上がる炎に包まれた深紅のドラゴンが、咆哮と共にフィールドへと顕現する。その佇まいはまるで悪魔をも彷彿とさせる程に禍々しく、しかしそれと同時に悪魔さえも従えてしまうのではないかというカリスマ性も兼ね備えていた。
「このカード…墓地のチューナー…の数だけ…500…攻撃力…アップ…」
「融合モンスターに続いて、攻撃力5000のシンクロモンスター。こんなに展開出来るなんてミアちゃん凄いよ!」
これ程に高レベルのモンスターを、巧みに扱うワルトナーに純粋な賞賛の感情を覚える梨沙。しかし、まだ展開を終えようとしないワルトナーが手札を指先でなぞり、新たな1枚を繰り出す。
「ワタシが…教わった…全部で、あなたを…倒す……。
フィールド魔法…あるから…《地縛囚人 ストーン・スィーパー》…特殊召喚」[守1600]
手札:6枚→5枚
鯨を彷彿とさせる魔獣が地面より浮き出る。それを押し潰すように巨大な蜘蛛のモンスターが上空より降ってきた。
「ストーン・スィーパー…リリース…《分裂するマザー・スパイダー》…アドバンス召喚」[攻0]
手札:4枚→3枚
「攻撃力0のモンスターをアドバンス召喚……何かあるね」
マザー・スパイダーを警戒する梨沙の眼前で、突如蜘蛛糸を放つマザー・スパイダー。しかし、放たれた蜘蛛糸が向かう先はワルトナーのデッキと手札だった。
「マザー・スパイダー…をリリースして…効果発動。デッキ、手札…から…《ベビー・スパイダー》を…3体まで…特殊召喚。そして…全部が…レベル…5に変わる。
効果…発動後…ワタシは…エクシーズ召喚…しか…出来なくなる」[守0]✕3
手札:3枚→1枚
デッキ:12枚→11枚
《ベビー・スパイダー》:☆3→☆5
《ベビー・スパイダー》:☆3→☆5
《ベビー・スパイダー》:☆3→☆5
放たれた蜘蛛糸に捕らわれた3枚のカードがデュエルディスクへ置かれると共に、マザー・スパイダーが弾け飛ぶ。すると、弾けた体の中から3体の小蜘蛛がワルトナーのフィールドを埋め尽くす。
「一気に3体も……。これでエクシーズ召喚の準備も万端って事だね」
マザー・スパイダーの制約により、ランク5のエクシーズモンスターの出現を予感する梨沙。しかし、ワルトナーはディスクより掴み取った《ベビー・スパイダー》を、重ねる事なく墓地に送ってしまう。
「《ベビー・スパイダー》…の効果。自分を…リリース…して…他の《ベビー・スパイダー》…の、レベルを…リリースした…《ベビー・スパイダー》のレベル分だけ…上げる」
《ベビー・スパイダー》:☆5→☆10
《ベビー・スパイダー》:☆5→☆10
《ベビー・スパイダー》の1体がその場を跳ねると、母体と同じように弾け飛ぶ。それによって、フィールドへと並び立つのはレベル10となった《ベビー・スパイダー》達だ。
「レベルが10に……!?」
梨沙の予測を飛躍したワルトナーが、2体のモンスターを重ね合わせる。それに連動して解放されたEXデッキより飛び出したカードを、ワルトナーが手中へ手繰り寄せていく。
「レベル10…になった…《ベビー・スパイダー》2体、で…オーバーレイ…。
現れろ…《No.35 ラベノス・タランチュラ》!」[攻7800]
ワルトナーの頭上で勢い良く広がり形成される巨大な蜘蛛の巣。その上へ巨大な蜘蛛のモンスターが降ってくると、その自重で蜘蛛の巣そのものが激しく揺れ動く。腹部に位置する場所へ刻まれた35の番号を起点に淡い緑色のオーラが、巨大蜘蛛を妖しく彩る。
「攻撃力7800……」
スカーレッド・ノヴァを優に超える攻撃力の数値と、それに見合った巨体さへ圧倒され、ラベノス・タランチュラを見渡す梨沙。その巨大蜘蛛の単眼と目が合えば、ラベノス・タランチュラを包み込むオーラが、他のモンスターへと伝染していくのを見て取れた。
「ラベノス・タランチュラ…の効果…。ワタシの…モンスター全部の…攻撃力と守備力が…あなたとの…ライフの…差だけ…アップする…」
「ライフ差……!?」
ラベノス・タランチュラの元々の攻撃力は0。つまり、ラベノス・タランチュラの攻撃力がそっくりそのまま全体強化の数値となるのだ。
《地縛戒隷 ジオグラシャ=ラボラス》[攻10800]
《スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン》[攻12800]
「凄い……攻撃力だね……」
この場所において攻撃力の数値は、そのまま死に対する数値化でもある。一度でも、梨沙が妨害の打ちどころをしくじれば、生存の可能性など残さない無慈悲な攻撃力が降り注ぐ事となる。
「融合…シンクロ…エクシーズ……。
これが…お父様から…教わった力……。お父様が…ワタシに…授けてくれた力……。あなたに…負けたりなんかしない……!!」
ワルトナーが、絞り出した覚悟を示す。彼女の想いと、父親から教わった力の全てが梨沙を屠らんと牙を剥くのだ。
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57 | Report#46「緊急回避」 | 491 | 0 | 2024-01-10 | - | |
68 | Report#47「狂気」 | 417 | 2 | 2024-01-20 | - | |
58 | Report#48「判断」 | 382 | 2 | 2024-01-30 | - | |
72 | Report#49「白化」 | 468 | 0 | 2024-02-10 | - | |
62 | Report#50「諦め切れない」 | 378 | 2 | 2024-02-20 | - | |
53 | Report#51「錯綜」 | 434 | 2 | 2024-03-01 | - | |
73 | Report#52「計画」 | 426 | 2 | 2024-03-05 | - | |
65 | Report#53「決意」 | 523 | 2 | 2024-03-10 | - | |
53 | Report#54「抜け道」 | 394 | 2 | 2024-03-15 | - | |
82 | Report#55「死の栄誉」 | 522 | 2 | 2024-03-25 | - | |
57 | Report#56「灼熱の断頭」 | 377 | 2 | 2024-03-30 | - | |
66 | Report#57「憧れの主人公」 | 379 | 0 | 2024-04-05 | - | |
60 | Report#58「記憶にいない娘」 | 308 | 2 | 2024-04-20 | - | |
48 | Report#59「蝕みの鱗粉」 | 322 | 4 | 2024-04-25 | - | |
68 | Report#60「歪み」 | 409 | 4 | 2024-04-30 | - | |
43 | Report#61「新たなステージ」 | 356 | 2 | 2024-05-10 | - | |
71 | #被験者リストB | 435 | 0 | 2024-05-10 | - | |
50 | Report#62「狂気の残党」 | 349 | 2 | 2024-05-20 | - | |
58 | Report#63「窒息」 | 366 | 2 | 2024-06-15 | - | |
55 | Report#64「護衛」 | 325 | 2 | 2024-07-10 | - | |
60 | Report#65「格付け」 | 331 | 2 | 2024-07-20 | - | |
80 | Report#66「赤い世界」 | 487 | 2 | 2024-08-05 | - | |
91 | Report#67「悪夢の始まり」 | 605 | 6 | 2024-08-15 | - | |
55 | Report#68「見せかけの希望」 | 357 | 4 | 2024-08-25 | - | |
54 | Report#69「未来を懸けて」 | 300 | 2 | 2024-09-05 | - | |
57 | Report#70「救われたい」 | 336 | 2 | 2024-09-15 | - | |
66 | Report#71「決意の隼」 | 481 | 2 | 2024-09-25 | - | |
47 | Report#72「勝者の在り方」 | 310 | 2 | 2024-10-05 | - | |
49 | Report#73「救われない」 | 328 | 2 | 2024-10-15 | - | |
40 | Report#74「死の責任」 | 308 | 4 | 2024-10-25 | - | |
48 | Report#75「喪失」 | 320 | 2 | 2024-11-05 | - | |
37 | Report#76「黙殺」 | 237 | 2 | 2024-11-10 | - | |
37 | Report#77「残されたモノ」 | 235 | 2 | 2024-11-20 | - | |
62 | Report#78「死別反応」 | 445 | 2 | 2024-11-30 | - | |
32 | Report#79「メモリアリティ」 | 205 | 2 | 2024-12-10 | - | |
30 | 観察報告レポート | 333 | 2 | 2024-12-10 | - | |
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44 | Report#82「揺れ惑う正義」 | 404 | 2 | 2025-01-10 | - | |
36 | Report#83「研ぎ澄まされし逆鱗」 | 280 | 4 | 2025-01-25 | - | |
29 | Report#84「解と答え」 | 249 | 0 | 2025-02-10 | - | |
27 | Report#85「序曲-死という舞台」 | 283 | 0 | 2025-03-20 | - | |
25 | Report#86「終幕-道化な生き方」 | 228 | 0 | 2025-03-25 | - | |
37 | Report#87「白き魚と朱の花」 | 323 | 2 | 2025-04-25 | - | |
37 | Report#88「死線」 | 364 | 4 | 2025-05-10 | - | |
35 | Report#89「衝撃」 | 262 | 4 | 2025-05-30 | - | |
33 | Report#90「愛着障害」 | 282 | 4 | 2025-06-10 | - | |
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14 | Report#92「募る心労」 | 198 | 1 | 2025-08-25 | - |
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- 2025/08/30 新商品 LIMITED PACK WORLD CHAMPIONSHIP 2025 カードリスト追加。
- 09/10 11:30 評価 8点 《ライディング・デュエル!アクセラレーション!》「原作5Ds独特…
- 09/10 11:20 掲示板 知ってるSSあるあるやオリカの作り方を語って
- 09/10 11:12 評価 8点 《サイバース・シンクロン》「《サイバース》と《シンクロン》の名…
- 09/10 10:45 SS 前日譚フウラ・ジンキ編2
- 09/10 09:10 評価 10点 《魔轟神ガミュジン》「魔轟神待望のEXに入るレベル4チューナー。…
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- 09/10 01:42 評価 10点 《リンク・デコーダー》「「《ファイアウォール・ドラゴン・ダー…
- 09/09 23:34 評価 6点 《創星神 tierra》「【焔聖騎士】デッキにデモンスミス、ス…
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- 09/09 21:38 掲示板 オリカコンテスト(R)計画処
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- 09/09 20:50 一言 最近創作意欲が湧いてくるのはいいけど、比例するように承認欲求が暴走…
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- 09/09 16:01 評価 6点 《糾罪巧-Archaη.TAIL》「リバースしやすそうで実は非常…
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融合・シンクロ・エクシーズを出して盤面は強固に。
その覚悟が相手に通ずるか…! (2025-06-11 00:23)
地縛戒隷にスカノヴァの登場もあり、地縛神も結構強くなった気がしますね~。加えて、マザー・スパイダーも搭載し高ランクのエクシーズも呼び出し一気に勝負を決めに行きます。
たとえ、それが悪意だとしても彼女にとってはまごうことなき愛情でした。失う恐怖を乗せたワルトナーの覚悟が、梨沙へと襲い掛かります! (2025-06-11 06:59)
雰囲気は合いますが、この組み合わせのデッキを回すのは並のデュエリストではできない……
世界観的にスカノヴァや四天の龍のような重要そうなカードを誰が使っても問題無いのは利点かもしれませんね。 (2025-06-12 10:38)
やはりエクストラへの制約がかかる部分があるので、脳死で効果発動!とはいきませんね。しかし、制約がかかるのはベビー・スパイダー増殖効果使用後になるので、マザー・スパイダー自体を融合シンクロ素材に活用したり、展開したベビー・スパイダーをリリースしての地縛神の召喚など応用力のある差し込みとなりました。そんなカードを扱うワルトナーの実力は、最初に出会った時より高まっている事でしょう。
普通にゲームとして流通している世界線の中で、闇のゲームが行われている関係上、アニメや漫画で特別なカードでも、誰でも気にせず使えるのはキャラのデッキ幅の自由さがあり利点かもですね。殺伐とした実験ですが、設定された演出等はカードに沿ったものになっているようで、設定している人はデュエルそのものを愛している人なのかもしれません。 (2025-06-12 21:51)