序章　作：ヒラーズ

ここは追放世界。
この世界は「世界追放刑」に処された者たちが流れ着く世界で、死の概念を消した特別な世界。この世界の住人の名は異世界の者たちからは「追放者」と呼ばれる。

しかし、ファンタジー要素のように様々な技術が集まり、今では魔法と科学が両立と調和を施し、もはや地球より平和な感じへと化している。

そんな中で私は、父が用意してくれた研究所で、古生物や錬金術、科学などの研究に勤しんでいた。

私は「白皇九重」。魔女と化け物兵士の間に生まれ、17歳の身でありながら職業を持つ。職業は…「科学者」だ。

「随分と大きな機械だな。差し詰め……転移装置か？」

作られた機械を見て少しドン引きしてるのは私の父「白皇陸也」。過去のデータでは父の姉「海理」と共に異世界を救った英雄であり、「決闘兵（デュエルアーミー）」だ。

「これさえ完成すれば、この街で使われるエネルギーを節約できるものだ」
「……だがこの国、資源が余り過ぎて逆に困ってないんだが？」

全くである。この国は資源大国の中でトップを納めている大国だ。この国では金や銀は特に希少価値がないためゴミの扱いになっている。故に異世界や他国に配るのが主になっている。

まぁ、父曰く「それほど資源が豊富」だとのことだ。
本当に恵まれてるなこの土地。

「まぁ……お前が始めた計画だ。最後まで付き合うぞ」
「……ありがとう」

後押しの言葉を受けながら最後の調整に入る。

「異次元エネルギー充電開始」
「鯨油タンク、3本注入完了」

バチバチと機械が大きな音を立てて起動する。

「コンデンサーも起動した、ゲートプログラム、異常なしだ」
「よし……出力を上げるぞ！」

レバーを引き上げ、機械のメーターのメモリが上がっていく。
しかしそれと同時に周囲に熱気が出始める。

「電離イオン化！異世界行きのゲート、開くぞ！！」
「ヘブンテレポーター起動、コレが科学と錬金術の力だ！」

放電と共に大きな歪みが現れ、裂け目が出る。

「これが……ゲートか？やけに小さいが…」
「……失敗か」

後少しだったのに！
そう悲観する私に父は怒らずに励ます。

「計算は合っていたはずだ…どこで間違えた？」

ゲートに背中を向け、ぶつくさと言いながら考える。
この時、私は背を向けたことを後悔すべきだった。

さっさとゲートを閉じれば、こんな事にはならなかっただろう。

「おい……あのゲートから磁場が発生してるぞ！？早く閉じろ！！」
「何？」

ゲートの方に向く、さっきより裂け目が大きくなってるのだ。
急いで閉じなければ被害が大きくなる。そうなる前に私はシステムの緊急停止ボタンに手を伸ばす。

後僅かな所で急な引力が私を襲った。そう、この裂け目は「ワームホール」だったのだ。

「ぐ…引っ張られる……！」

停止ボタンから少しずつ遠ざかっていく。父も負けじと近づいてボタンを押そうとするが、そうなる前に引力が強くなり、私は裂け目に吸い込まれそうになる。

「だ、駄目だ！吸い込まれる……！」
「…………かくなる上は…！」

父は謎の機械を取り出し、私に投げつけた。

「これは…？」
「九重！このままじゃ共倒れになる！吸い込まれるのを覚悟するしかない！どこの世界に繋がってるか分からないが、その機械なら、お前の助けになるはずだ！
必ず迎えに行く！」

私はゲートに吸い込まれ、異世界へと飛ばされた。

ここから、私の物語（メモリー）が始まる……手渡された機械と共に。