28話　共同戦線Ⅲ　作：ヒラーズ

行動を開始して数分。
私は単独で第一～第三工場に潜入し、調査を進めていたが、結果は著しく、何もつかめなかった。

「拙いな…このままいけば尻尾が掴めないままだ」
『こちら、茜。こっちも成果無し』
『僕もだ』

お互いどこの工場に侵入しても、何も得られなかったことに焦るが出始めていた。となれば、残りは研究所を探すだけだが…。

「一旦合流する。次は研究施設を探し…ん？」
『九重氏、ソルです。ハッキングに成功したしました。結果は上々、居所と情報データを手に入れました』

でかした！

「よくやった。丁度手詰まりだったのだ」
『監視カメラのハッキングにも成功しました。此処からはナビゲートしつつ、特異点の監視も行います』
「了解だ。ナビゲートを頼む。二人とも、急いで合流するぞ」
『了解』
『僕も今行くよ』

*

一方、MA社の研究室にて

「クソ！完全にやられた！！ハッキング相手が奴らのサポートAIとは迂闊だった！勝てるわけがないだろう！！」

ハッキング対決は見事完敗。ソル達の前では手足も出なかった彼は、次の手段に出る。

「出来れば使いたくはなかったが、先ずは時間を稼ぐ要員が必要だ。お前に託すぞ。DG」

一つの機械を起動させ、命令する。

「九重、茜、黒泉という人物らを足止めせよ。捕獲できればベストだ」

*

「此処が奴の研究施設か…」
「意外とボロボロ」
「ボロボロなのはカモフラージュかもね」

扉を強引に開け、内部に突入する。
探索しながらソルに状況を聞く。

「遊音達はどうしている？」
『現在、感想戦に入っており、九重士たちの存在は無かったことになっております』

そうしてくれるとありがたい。

「では、感想戦が終わる前に犯人を捕えないとな」

探索は数分以上に時間がかかった。
地下へと続くエレベーターを見つけ、降りていくが、あまりにも長い。かなり地下深く作ったらしい。

暫くして最終フロアへと着いたのか、扉が開く。
目の前に広がっていたのは、追放世界の条約上で生産禁止になっている生物兵器、魔法生物、戦略兵器が目の前に映る、禁忌の研究所だった。

「何だ…これは！？」
「絶句してしまいそう……」
「これは拙いね…」

内部を進みながら、広い廊下を歩く。
いかにも何かを保管している部屋へと続く扉の前に、全長4mの大きなロボットが立ち塞がっていた。

『よく来ました。侵入者の方々』

喋っただと？

『九重氏、どうやらアレはセキュリティで使用されているデュエル型警備ロボット「デュエルガード（略名:DG）」です』

……よりにもよって面倒なものを配備したな。

『この吾輩を倒さない限り、この先には侵入はできません』
「フン、単純明快な答えだな」
「なら、僕が相手になってみるよ」

黒泉が私の前へ出る。自信があるようだな？

「…油断するな」
「負ける気は無いさ」
『最初の相手は黒泉氏ですね。了解しました』

黒泉はディスクを構え、デッキをセットする。
DGはデュエルシステムを起動し、LPを表示した。

「見せてもらおうか…君がポンコツじゃない事を期待させてもらうよ」

『「デュエル！」』

黒泉　LP8000
手札5

DG　LP8000
手札5