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HOME > 遊戯王SS一覧 > FILE:015 崩壊の黙示録

FILE:015 崩壊の黙示録 作:ハコネの達人

 ひとまず、機械の身体を横抱きにし、ユウラは帰路についた。彼を一番に出迎えたのは、先に帰ってきていたエナだった。エナは一瞬彼が抱いているものに目を見やると、視線を彼に戻す。

エナ「おーユウラ、おかえり。また随分厄介そうな拾いものしてきたね」

ユウラ「自分が厄介者って自覚はあったんだな」

エナ「えっへん(ドヤ」

ユウラ「ドヤ顔すな」

 そんなやりとりを交わしながら2人はリビングへと向かった。少年と少女の笑い声が聞こえる。レンとミナも帰ってきているようだ。

レン「ユウラ、おかえりー」

ミナ「また誰か拾ってきたんですか?」

 ユウナを抱えたままリビングに来たユウラを見ても、2人は冷静だった。どうやらエナで慣れてしまったらしい。

ユウラ「ああ。そのままにするのもアレなんでな」

 そういってユウラは彼女をソファにそっと横たわらせる。

エナ「で、どうしてこんなことになったの?説明してよ」

ユウラ「ああ。えっと…」

 ユウラは、事の顛末を3人に話し始めた。


エナ「なるほど、ユウラと引き分けるほどの実力者か…。ぜひ一度戦ってみたいものね」

 エナはふむ、と感心したように指を顎にかけ微笑む。

レン「にしても『竜魂』かぁ…ペガサス社のホームページにはそんなカード載ってなかった気がするけど」

ユウラ「…」

 ペガサス社。
 アメリカの一大エンターテイメント企業であり、カードゲーム「デュエルモンスターズ」を製造している会社である。本来であればカードは全てペガサス社の管理下に置かれ、ホームページに載せられているハズである。
 ちなみに、例外として王符は存在を隠匿されているためにホームページには載せられていない。

 そしてもちろんデータベース上の全てのカードを暗記しているユウラの脳内にも『竜魂』というカードがあった記憶はない。

ミナ「ってことは、ペガサス社以外の会社が作ったカードってことですか?」

エナ「…しかし、本来ペガサス社以外が作ったカードは決闘盤に反応しないはずよ」

 ペガサス社がどのような方法でカードを製造しているかはわからないが、不思議なことにカードをどれだけ分析し、製造方法を真似ても決闘盤には反応しないのだ。つまり、ペガサス社製以外は本来使うことができない。

ユウラ「一体どうやって…」

 4人は同時にため息をつくと、ユウラは話を再開させた。

ユウラ「とりあえず彼女が起きるまで待とう。その間に夕食をすませようか」

ミナ「じゃ、お料理手伝います」

 そう言ってミナはどこからかパッチワークの可愛いエプロンをつけ、服の裾を捲った。

エナ「お、やる気満々だね。じゃ私もー」

ユウラ「お前はつまみ食いするからリビングに取り皿並べてくれ」

 そう言われたエナは口を尖らせ、不満げに「はーい」と答えた。


 彼らが夕食を食べ終わってしばらくした頃、機械仕掛けの少女は目を覚ました。

ユウナ「あなたは…」

ユウラ「起きたか。すまん、あのまま放っておくのもどうかと思って」

ユウナ「ありがとうございます。助かりました」

ユウラ「まぁ、その見返りと言っては何だが、君について色々気になることがある。今から質問をしても?」

ユウナ「私が答えられる範囲でしたら、如何様にも」

 ユウナはそう言って、恭しく頭を下げた。

ユウラ「じゃあ最初に、君は組織…『Ruin World』の手のものか?」

 その言葉を聞いて、彼女は首を傾げた。

ユウナ「どこかで聞いたような気がしますが…わかりません」

ユウラ「じゃあ、君はそのデッキをどこで手に入れたんだ?」

ユウナ「…すいません、それもわからないのです...」

 彼女はそう言うと、ゆっくり俯いてしまった。

エナ「……もしかしてこの娘、一部の記憶データを失ってるんじゃないの?」

ユウラ「!」

エナ「だからこのデッキの出自も組織の名前もわからない…まるで意図して抜かれたかのように」

ミナ「じゃあ、質問は…」

レン「多分今してもあまり意味はないな。ま、気楽にいこーぜ」

ユウナ「あ、待ってください。一つだけ、役に立てそうな情報があります」

ユウラ「…それは何か、教えてくれるか」

 ユウナは一呼吸おくと、そっと言葉を紡いだ。

ユウナ「どういった意味かはわからないのですが…誰かに言われたような気がするんです。

お前は『崩壊の黙示録』だと」



ーーーー

2日目終了
○獲得ポイント
ユウラ:119ポイント
エナ:115ポイント
レン:93ポイント
ミナ:94ポイント

ーーーー



???「…審判の刻は、訪れた」



ーーーー

 大会3日目。
 予選を突破するため、街に繰り出したユウラ一行。今日はエナの案内でプレイヤーの溜まり場に訪れていた…一応ユウナはシンリアと留守番している。

ユウラ「ここは…」

 その広場では既に多くのプレイヤーがデュエルをしていた。

エナ「カードショップ前の広場だよ。カードを買ってすぐにテストも兼ねてデュエルする人が多くて、いつもデュエルで賑わってる場所なんだ」

レン「なぁ、せっかくだから、カードちょっと見ていかねえか?ポイントの余裕もまだあるし」

ユウラ「そうだな。もしかしたら掘り出し物が見つかるかもしれない。エナとミナも行くか?」

ミナ「私も行きたいです。サイバース族サポートがあればいいのですが…」

エナ「私は遠慮しておくよ。店の前で待ってるね」

 そう言ってユウラ、レン、ミナの3人は豊富なカードの種類がウリなカードショップに入っていった。

エナ「さて…どうしよーかな」

 そう彼女が待っている間の暇つぶしを考えている時だった。

???「おい」

 エナはその声の方へ振り向く。

エナ「何か?」

???「ユウラ・レイセンはどこだ?」

エナ「…結論からぶっ込んで来ましたね」

???「ごまかしは効かない。早く教えろ」

エナ「怪しさ満載のあなたに教えるとでも?」

 彼女は決闘盤を構える。

エナ「あなたがデュエルプレイヤーであるならば、デュエルで聞き出しなさい。それに誇りと尊厳を持てるならば」

 目の前の男も決闘版を構え、目の前の少女に向き合う。

エナ・???「「デュエル!!!!」」
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ハコネの達人
次回はエナちゃん回です。
久々(?)の銃騎士展開するので忘れてるかもシレネェ…
とりあえずがんばりまーす

次回、遊戯王ACCEL第16話「失楽の園」 (2022-11-09 09:15)

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