FILE：005　駆動する機望　作：ハコネの達人

ユウラ「攻撃力を逆転させただと…ッ？」

追跡者「さぁ、ユウラ・レイセン、貴様はどうする？」

　追跡者のフィールドには攻撃力5000の『ダルタニャン』が存在する。正面突破は不可能だ。

ユウラ「バトルだ！俺は『Crate　ムーニア』で、『銃騎士エルリア』に攻撃！『フルムーン・キャノン』！」

　『ムーニア』がライフルを虚空より取り出し、銃口に膨大なエネルギーを溜め、一気に放つ。

追跡者「くっ…」

追跡者：LP 8000→6100

ユウラ「更に『Crate　サーニャ』で『幻銃騎士アトス』に攻撃！『シャイニング・レイ』！」

　『サーニャ』は手に持った戦斧で『アトス』に斬りかかった。『アトス』は1度剣でその一撃を受け止めるも、剣ごと叩き折られ直撃した。

追跡者：LP 6100→6000

ユウラ「カードを1枚セットし、ターンエンド」

追跡者（あれだけ驚いておいて、セットしたカードは1枚だけ…妙だな）

追跡者「私のターン、ドロー！」

追跡者SPC：2→3
ユウラSPC：2→3

追跡者「私は手札の『銃騎士ベル』を通常召喚」

銃騎士ベル
風・星4・攻1600
戦士族／効果

追跡者（この盤面だと、現在の攻撃力は…）

幻銃騎士ダルタニャン：攻2500→1600→2200→4200
幻銃騎士アラミス：攻2000→1100→1700
幻銃騎士ポルトス：攻1600→700→1100
銃騎士ベル：攻1600→700→1100

追跡者（早々に葬るべきは…『ムーニア』か）

追跡者「バトルだ！『幻銃騎士ダルタニャン』で『Crate　ムーニア』に攻撃！」

　『ダルタニャン』が突きの構えをとると、一気に距離を詰め、『ムーニア』に狙いを定める。

ユウラ「リバースカードオープン！『シンクロニティ・リフレクション』！」

追跡者「やはり罠カードか！」

シンクロニティ・リフレクション
通常罠

ユウラ「自分フィールド上のシンクロモンスターを任意の数まで墓地に送り、送った数だけ相手の特殊召喚されたモンスターを墓地に送る。俺は『ダルタニャン』と『アラミス』を墓地に送る！」

　『サーニャ』と『ムーニア』は光の粒子に分解されて爆発を起こし、『ダルタニャン』と『アラミス』が霧散した。

追跡者「しかしこれで『ムーニア』の効果は消え、『ポルトス』と『ベル』の攻撃力は元に戻る！」

幻銃騎士ポルトス：1100→1600→1900
銃騎士ベル：1100→1600→1900

追跡者「私は『ポルトス』と『ベル』でプレイヤーにダイレクトアタック！」

　軽装の騎士2人がユウラを取り囲み、強力な突きを放つ。

ユウラ「ぐあッ！」

ユウラ：LP 8000→4200

追跡者「私はメインフェイズ2に、手札の魔法カード『戦士の帰還』を発動」

戦士の帰還
通常魔法

追跡者「墓地の戦士族モンスター1体をEXデッキに戻し、戻したモンスターのレベルにつき200ポイントライフを回復する。私は『ダルタニャン』をデッキに戻す」

追跡者：LP 6000→7600

追跡者「これで私はターンエンド」

追跡者（フフフ…これでやつのフィールドはガラ空き…この勝負、もらった！）

ユウラ「俺のターン、ドロー！」

追跡者SPC：3→4
ユウラSPC：3→4

ユウラ（ッ！これは…！）

ユウラ「俺は『Sp（スピードスペル）-クリア・アクセル』を発動！」

追跡者「何ッ、スピードスペルだと！？」

　ユウラの発動した『Sp（スピードスペル）』はライディングデュエル中にのみ使用できる特殊な魔法カードのこと。スピードカウンターを消費して強力な効果を発動することができる。
　『Sp』は基本的にデッキに入らず、「サイドハンド」と呼ばれる場所に置かれており、スピードカウンターを消費すればいつでも発動できる。

Sp-クリア・アクセル
スピードスペル

ユウラ「自分のスピードカウンターを4つ取り除き、効果を使用できる！」

ユウラSPC：4→0

ユウラ「自分の墓地に存在するシンクロモンスター2体を自分フィールド上に特殊召喚し、自分フィールドのモンスターでシンクロ召喚を行う！俺は墓地のレベル6『サーニャ』とレベル2の『メーニャ』を特殊召喚し、この2体でシンクロ召喚を行う！」

　するとユウラはポケットからカードを取り出す。それは意味不明な文字列が記された「白」の王符だった。

追跡者「まさか…貴様！」

ユウラ「廃墟を駆ける孤独な機士よ、時空を超える風を受け、新たな未来を斬り開け！」

⭐︎6＋⭐︎2＝⭐︎8

ユウラ「シンクロ召喚！困難と壁を超越せよ、『アスタロト・S（サーガ）・ライザー』！」

　光の道と共に現れたのは、複雑な機構が組み込まれた細身の人型ロボットだった。その目は眼前の敵を見据え、センサーアイを光らせる。

アスタロト・S（サーガ）・ライザー
地・星8・攻2500
機械族／シンクロ／効果

追跡者「これが…決闘王『白』の王符…！ッしかし、たった1枚のシンクロモンスターで何ができるって言うんだ！」

ユウラ「おいおい、こいつの効果も知らないでそんなこと言うのか？」

　ユウラが指をパチンと鳴らすと、『アスタロト』の体に光のオーラが発生する。

アスタロト・S・ライザー：攻2500→5800

追跡者「攻撃力5800ッ！？どうして…！？」

ユウラ「『アスタロト・S・ライザー』は自分の墓地のモンスターの数だけ自身の攻撃力を300ポイントアップさせる。俺の墓地には11体のモンスターが存在する。よって攻撃力は3300ポイントアップするのさ」

追跡者「ふんッ、しかしそれでも1体だけでは私は倒せんぞ」

ユウラ「もちろんそれだけじゃないさ。手札より魔法カード『全方位攻撃命令』を発動！」

全方位攻撃命令
通常魔法

ユウラ「自分の手札のカード1枚を除外し、自分フィールド上の特殊召喚された機械族モンスター1体を対象とし、対象のモンスターはこのターン、全てのモンスターに攻撃できる！」

追跡者「なんだとッ！？」

ユウラ「バトルだ！『アスタロト・S・ライザー』で『幻銃騎士ポルトス』と『銃騎士ベル』に攻撃！『インフィニット・レクイエム』！」

　『アスタロト』が腰に携えた大剣を手に取り、それを横なぎに斬りはらった。その一撃は時空さえも切り裂く勢いで『ポルトス』と『ベル』を襲った。

追跡者「うっ…うァああああアアアアアッ！」

追跡者：LP 7600→0

YURA IS VICTORY！



ユウラ「さて…あんたはなぜデュエルをふっかけてきたのか、教えてもらおうか」

追跡者「…」

　先ほどのデュエルでバイクから飛ばされた追跡者が横たわっており、衝撃で気絶していた。ユウラはそっと手首の脈を測る。

追跡者「……んぅ」

　どうやら命に別状は無いようだ。ユウラは脈が正常であることも確認すると、自分のバイクでクラッシュしたバイクをレッカーしながら、後ろに追跡者を乗せて家に向かった。

　♦︎

　今日、荒廃した街ーー「チェイス・シティ」では珍しく燦々とした太陽が雲から顔を覗かせていた。

ミナ「んーぅ…」

　デュエルを教えてもらい、夕飯も食べ、ふかふかのベットでぐっすり眠ったミナは、そんな天候も幸いし心地よい朝を迎えた。

ミナ（ふぅ…昨日はユウラさんとシンリアさんにデュエル教えてもらって、楽しかったなぁ）

　するとミナは違和感に気付く。ミナとレンは双子兄妹とはいえ13歳の男女である。思春期の兄妹にしては仲がいい方だが、流石にベットは別になっている。もちろんユウラが入ってくることもない。

ミナ（布団の中に、誰かいる…？）

　恐る恐るミナは布団を捲ると…

「んぅっ…んん…」

　穏やかに寝息を立てる美しい女性が眠っていた。