FILE：010　立ちはだかる課題　作：ハコネの達人

エナ「これが私の…いえ、我が祖先の魂のカード！」

ユウラ（…驚いた。まさか彼女も「王」の末裔だったとは…）

レン「すげぇ…めちゃくちゃ覇気を感じる…」

　レンは思わず言葉を漏らした。ユウラの持つ『アスタロト』の静寂たるオーラとは違い、『アサルト』は英気に満ちた威圧感のあるオーラを放っている。

エナ「一気に行くわよ。私は墓地の『結束融合』を除外することによって、墓地のモンスターで融合召喚するわ。私は墓地の『サンガ』と『バルン』を除外し、『幻銃騎士アトス』を融合召喚！」

幻銃騎士アトス
風・星8・攻3000
戦士族／融合／効果

エナ「更に墓地の『デリート・フュージョン』を除外することで、除外されているモンスターをデッキに戻して融合召喚するわ！除外されている『ベル』『サンガ』『バルン』をデッキに戻し、現れなさい『幻銃騎士ダルタニャン』！」

　西風の騎士が召喚陣より飛び出し、幅広の帽子の縁をクイッ、と上げてみせた。

幻銃騎士ダルタニャン
風・星8・攻2500
戦士族／融合／効果

エナ「カードを2枚セットし、ターンエンドするわ」

レン「お、ようやく俺のターンか。俺のターン、ドロー！」

レン（2人はどうやら盤面を固めてきたみたいだな…なら俺は…）

レン「俺は手札から魔法カード『電戒の邂逅』を発動。デッキから闇属性サイバース族モンスター1体を手札に加える。俺は『電戒機　アウリー』を手札に加える！」

電戒機　アウリー
闇・星4・攻0／守0
スケール0
サイバース族／ペンデュラム
電脳世界の管理者の一人。
規律を破る者に制裁を下す。
[ペンデュラム効果]
自分は闇属性サイバース族モンスターしかP召喚できない。この効果は無効化されない。「電戒機　アウリー」のペンデュラム効果は1ターンに1度しか発動できない。①:このカードがPゾーンに置かれた場合に発動できる。デッキからレベル4以下の闇属性・サイバース族モンスター1体を手札に加える。

レン「俺はスケール0の『アウリー』をPスケールにセットし、効果発動！デッキからレベル4以下の闇属性サイバース族モンスター1体を手札に加える。手札に加えるのは、『電戒機　ヴァルカード』だ」

電戒機　ヴァルカード
闇・星2・攻／守0
サイバース族／効果
「電戒機　ヴァルカード」の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか発動できない。①:自分フィールド上に闇属性サイバース族モンスターが存在する場合に発動できる。手札のこのカードを特殊召喚する。②:自分フィールド上のこのカードをリリースして発動できる。EXデッキに存在するリンク2の「電戒機」リンクモンスター1体を特殊召喚する。この効果を発動するターン、自分はサイバース族モンスターしか召喚・反転召喚・特殊召喚できない。

レン「手札の『電戒機　ベージ』は自分メインフェイズに特殊召喚できる！」

電戒機　ベージ
闇・星1・守0
サイバース族／効果

レン「更に手札の『ヴァルカード』は自分フィールド上に闇属性サイバース族モンスターが存在する時に特殊召喚できる！」

電戒機　ヴァルカード
闇・星2・守0
サイバース族／効果

レン「現れろ、運命を導くサーキット！召喚条件は闇属性サイバース族モンスター1体！俺は『ベージ』をリンクマーカーにセット！
リンク召喚、リンク1『電戒機　マーリン』！」

電戒機　マーリン
闇・L1・攻300
サイバース族／リンク／効果

レン「『マーリン』の効果発動！このカードがリンク召喚に成功した時、墓地のレベル4以下の闇属性サイバース族モンスター1体を特殊召喚できる。俺は『ベージ』を特殊召喚する」

　小さい体の機械生物が小さな産声を上げ、『ベージ』が姿を表す。

レン「更に『ベージ』は墓地に送られた場合、デッキから『電戒機』モンスター1体を特殊召喚する。俺は『電戒機　プロット』を特殊召喚する」

電戒機　プロット
闇・星2・守700
サイバース族／効果

レン「『プロット』は特殊召喚成功時、自分フィールド上に『プロットトークン』1体を生成する！」

プロットトークン
闇・星1・守0
サイバース族／効果

レン「更に『ヴァルカード』の効果発動！自分フィールド上のこのカードをリリースすることで、EXデッキからリンク2の『電戒機』リンクモンスター1体を特殊召喚できる！」

ミナ「リリースするだけで、リンクモンスターをEXデッキから…！？」

レン「来い『電戒機　アルコス』！」

電戒機　アルコス
闇・L2・攻1500
サイバース族／リンク／効果

レン「現れろ、運命を導くサーキット！召喚条件は闇属性サイバース族モンスター2体以上！俺は『プロットトークン』『電戒機　プロット』『電戒機　マーリン』の3体をリンクマーカーにセット！
リンク召喚、来てくれ『電戒機　バルベーユ』！」

電戒機　バルベーユ
闇・L3・攻2000
サイバース族／リンク／効果

レン「『バルベーユ』はリンク召喚成功時、手札から『電戒機』モンスターをこのカードのリンク先に可能な限り特殊召喚する！」

ミナ・エナ「「！？」」

　ミナとエナは同時に驚く。

シンリア『ふふふ、『バルベーユ』のリンクマーカーは左下・下・右下の3つ…つまり全てレン君側へついているから…』

ユウラ「そう。一気に3体もの大量展開が可能だ」

レン「俺が手札から特殊召喚するのは『パラソル』『ザラム』『バルバトス』の3体だ！」

電戒機　パラソル
闇・星3・守1500
サイバース族／効果

電戒機　ザラム
闇・星4・守0
サイバース族／効果

電戒機　バルバトス
闇・星4・守500
スケール5
サイバース族／ペンデュラム／効果

レン「このターン最後のリンク召喚だ！召喚条件は、闇属性サイバース族モンスター2体以上！俺は『バルベーユ』と『バルバトス』をリンクマーカーにセット！サーキットコンバイン！！！
電脳世界の守護者よ、大いなる大義を胸に、敵を殲滅せよ！
リンク召喚、リンク4『電戒機　アズガート』！」

　電子回路が張り巡らされた鎧を着た戦士がリンク・サーキットより現れた。

エナ「あれがレン君のエースモンスター…！」

レン「俺はカードを1枚伏せて、ターンエンドだ」

ユウラ（さて…今回は3人とも一巡目は保守的な展開だったな）

　そう言ってユウラは3人の盤面を見回す。

ユウラ（ミナの『AIDOLL PRINCESS』はDOLLカウンターを消費することで発動できる強力な効果がある。うまく使えば1人は倒せるかもな）

＜ミナのフィールド＞
AIDOLL PRINCESS
AIDOLL ペーナ
AIDOLL ベス
伏せカード1枚
手札3枚

ユウラ（エナは何よりあのカード…『アサルト・F・カイザー』だ。効果の委細は知らないが…『アスタロト・バイオレット』と同じような力を感じる）

＜エナのフィールド＞
アサルト・F・カイザー
銃騎士アルタ
銃騎士ミスラ
幻銃騎士アトス
幻銃騎士ダルタニャン
伏せカード2枚
手札0枚

ユウラ（そしてレンは…他の盤面より強固な分、リソースをかなり削られている。ここからどう展開するかが課題だな）

＜レンのフィールド＞
電戒機　アズガート
電戒機　ザラム
電戒機　パラソル
電戒機　アルコス
電戒機　ベージ
伏せカード1枚
手札0枚

ユウラ「さて、どうする3人とも…」

ミナ「私のターン、ドロー！」

[ミナのターン]

ミナ「手札から『サイバース・ガードナー』を通常召喚！」

サイバース・ガードナー
光・星1・攻0
サイバース族／効果

ミナ「『AIDOLL PRINCESS』の効果発動！さらに2個DOLLカウンターをこのカードに乗せます」

AIDOLL PRINCESS：DOLL C：2→4

ミナ「さらに手札から速攻魔法『AIDOLL SCREAM』を発動！自分フィールド上に『AIDOLL』モンスターが存在する場合、相手フィールド上のモンスター1体を破壊します！私が選ぶのは『アサルト・F・カイザー』！」

　彼女がビシッと人差し指を『アサルト』に向け、高らかに宣言した。すると激しい波紋が『アサルト』に向かって疾る。

エナ「1番厄介で効果が不明なカードを先に処理するのは理にかなっているね。でも…」

『グオオオォォォォ！！！』

エナ「その手はこいつには通じない」

ミナ「！？」

　『アサルト・F・カイザー』が渾身の咆哮を放ち、波紋は霧散していった。それと共に、『AIDOLL SCREAM』のカードも破壊される。

ミナ「効果破壊に対して耐性がある…ってことなの…」

エナ「残念ながらそれだけじゃない」

アサルト・F・カイザー：攻2500→3500

レン「攻撃力が上昇した…！？」

エナ「こいつは自身を破壊する効果を無効にして破壊、そのしてその攻撃力を1000ポイントアップさせる。ま、1ターンに1度しか使えないけど…」

ミナ「く…ならばバトルフェイズ！『AIDOLL PRINCESS』は『AIDOLL』モンスターが戦闘を行う時に自身に乗ったDOLLカウンターを1つ消費することで、そのモンスターの攻撃力を倍にします！私は『AIDOLL PRINCESS』の攻撃力を倍にします！」

AIDOLL PRINCESS：DOLL C：4→3
AIDOLL PARINCESS：攻2500→5000

ミナ「『AIDOLL PRINCESS』で『アサルト・F・カイザー』に攻撃！『ドーリー・エーリング』！」

エナ「罠カード発動！『神風のバリア-エア・フォース-』！相手フィールド上の攻撃表示モンスターを全て持ち主の手札に戻す！」

ミナ「なッ！？」

　突風によりミナのフィールド上に存在するモンスター達が消えてゆく。

エナ「これでバトルは続行不可能。強制的にメイン2だ」

ミナ「くぅっ…」

ミナ（私の今の手札には『墓穴の指名者』、『AIDOLL HOLD』、そして『サイバース・ガードナー』…『サイバース・ガードナー』は召喚権を使ってしまったし、今使えるカードはないですね…仕方ない）

ミナ「私はカードを1枚セットし、ターンエンド」

[エナのターン]

エナ「それじゃ私のターン、ドロー。私は装備魔法『団結の力』を発動！これを『アサルト』に装備する！」

アサルト・F・カイザー：攻3000→7000

レン「攻撃力7000！？」

エナ「バトルフェイズ！『アサルト』でミナにダイレクトアタック！」

ミナ「キャァ！？」

ミナ：LP 8000→1000

エナ「更に『アルタ』でダイレクトアタック！」

ミナ「きゃあアアァァッ！？」

ミナ：LP 1000→0

エナ「さーて、『ダルタニャン』は自身の効果で攻撃力が上昇している」

幻銃騎士ダルタニャン：攻2500→4500

エナ「私は『ダルタニャン』で『バルベーユ』を攻撃」

レン「くっ」

レン：LP 8000→6000

エナ「更に私はリバースカードオープン！『風詠みの一族』！風属性モンスター2体を墓地へ送ることで、フィールド上の全てのモンスターを表側攻撃表示にできる！私は『アサルト』と『ダルタニャン』を墓地に送る！」

風詠みの一族
通常罠

レン「何ッ！？」

エナ「更に墓地に送ったカード融合素材の条件を満たしている場合、それらを融合素材として除外し、融合召喚を行う！」

エナ「復讐を誓う騎士よ、悲しき風を纏い、愚者に大いなる裁きを下せ！
融合召喚、風より出でよ『神風銃騎士デルタ』！！！」

神風銃騎士デルタ
風・星10・攻3000
戦士族／融合／効果

エナ「『デルタ』は、自分フィールドの『銃騎士』モンスターの数×800ポイントアップする。フィールドには4体、よって攻撃力は…」

神風銃騎士ダルタニャン：攻3000→6200

エナ「更にこの『デルタ』はバトルフェイズ中魔法・罠カードの効果を受けない！」

レン「なっ！？」

エナ「そのカード…おそらく逆転の一手なんだろう？」

レン「！」

エナ「バトルだ！『神風銃騎士デルタ』で『電戒機ザラム』に攻撃！」

レン「ぐああああぁぁぁぁ！」

レン：LP 6000→0

ENA IS VICTORY！

　♦︎

レン「あー負けた負けた」

ミナ「なんか…ずるいです、あのカード」

　デュエルが終わり、ユウラ、レン、ミナ、エナは早速反省会中だ。負けたレンとミナはエナのカードについて愚痴をこぼしている。

ユウラ「ほら、愚痴ってないで、次回以降の課題を見出そう」

ミナ「そ、そうですね…まずは今回のデュエルで見えた自分の弱みが見えたので、改善していかなくては」

レン「あーー…もっと入れるカード考えるべきかなぁ」

エナ「おー、気合い入ってるね。そんじゃ私も今回の反省をば…」

レン・ミナ「「いや、エナさんはそのままでも強いよ」」

　結局その日は全員夜なべして、デュエル研究に励むのだった。