25枚目 燃えさかる大地　作：紅瑠璃

～水上バー～

「へい。いらっしゃい。」
「…抹茶ってありますかね？」

私たちは水上バーにやって来た。真保が抹茶を飲みたいから来たのだが、バーのマスターは首を横に降る。真保は聞いたこともない飲み物を行ってみるがこれまたマスターは首を横に降る。メニュー表を見せてもらうがお目当ての物はありそうにない。

「じゃぁ～…グリーム・シル・ティーをください…」
「ミカはね…このオレンジフレッシュ」
「私はコーヒｰを…。」

なぜ、抹茶はなくて、コーヒーやオレンジはあるのか理不尽だ。たまたま流れているテレビ…と言うかこの世界にテレビがあるのか…。驚きだ。そのテレビには道路があり、ビルが建ち並ぶ…そして人々はバイクらしき物に乗りながらデュエルをしていた。

「アスナさん。あれは？」
「Dホイールよ。蜜柑や真保の世界にはないのね。」
「そもそもデュエル何て遊びですし…まぁ、他のカードゲームより売れていますけど。」
「にゃぁにゃぁにゃ～？アスにゃはどうやってカードを手にしてるの？」

私たちは不思議に感じていた。カードショップは見当たらないが人々はカードを手にしている。それもデッキが組めるほど…アスナ・キルディムもそうだ。あのゴーブ・リン…愛称ゴブリンの店にはカードが山のようにそれこそカードショップのストレージ棚のようにあった。

「簡単よ…。結晶の力よ。三位一体…破壊と想像と維持の物語の続きね…１つの肉体、魂を３つの肉体、魂に分け、３つの肉体、魂は9つの魂に分けたと言ったわね？」
「はい。そう言ってましたね。」
「では、肉体はどうしたのかしら？」
「まさかっ！」

蜜柑はその手の話には理解が早い。なぜなら自分の体もそんな感じだからだ。アスナは微笑み答えを口にする。

「9つの肉体は9つの結晶へとなり、バラバラに別れた。そのうちの一つはヴァルコニア国の近くにある。その結晶はカードを生成する能力があり、私たちはそれを扱う。」

話をしていると頼んだ飲み物が運ばれてきた。

「「いただきます」」
「トリムルート…。さて、話を続けるけど、結晶はカードを生成する。つまり、力を与える。この世界ではデュエルは神聖なる戦い。儀式よ。力があると言うことはその国は強くなっていく。私のヴァルコニア王国もオジネクス王国も結晶の力を悪用してないから良いけど。完璧な王政国なら、力の差は激しくなる…。」

それもそうだ…。その結晶の使い方にも気を付けなければならない…訳か。

「んぅ～。」
「ふふっ真保と言えど分からなかったかしら？」
「んぅまい！」
「は、はぁ？」
「このグリーム・シル・ティー。抹茶とは違うけど、似た物を感じる。いや！感じ取った…。私は今…気分が良い！デュエルの１つをしてみたいものだぁ！」

やめろー恥ずかしい。あの団体客はなんだと…いや、見られてない。

「にゃら！ミカが相手ににゃるよ！こにゃいだの反省点から少し変えたからね！こんにゃとき、Dホイールで出来たら良いんだろうねぇ～。」

なんとこのバー。奥にフリーデュエルスペースがある。真保と蜜柑はそのデュエルスペースに向かった。それを微笑むアスナ。二人の姿が見えなくなるとふと、窓を眺めた。ここから水平線にうっすらと見える島…あれを見ていた。

「ハク…。元気かな…。村の人々は大丈夫かな…。最近、疫病が広まってるって聞いたけど…。」

～とある国～

「…悲惨な物ね。自分の手でやったとはいえ。」

クユリルはとある国にたどり着いたその国…そのまちはボロボロで人はいるのか。建物は崩れ、未だに人の亡骸がある。復興もされていない様子だった。

「ここに時計塔があったのよね…。」

クユリルは昔を懐かしみ、昔を悔やんだ。あの時の出来事を思い出して悲しみ、絶望し、恨み、怒り、あいつを…自分を殺してやりたいと思った。あの炎に闇に支配された町の事を…思い出しながら。