42枚目 戦士ダイ・グレファー　作：紅瑠璃

真保に向かって火炎弾が放たれる。私もアスナも動けない。

「我が盾よ……我が身と彼の身を守りたまえ！サウザンドイヤァズキングタム……グランドウォール！」

大きな盾が……いや、城壁がそびえ立つ。真保はそれに助けられた。真保を助けたのは1人の男……その男は手にしている剣でタイラント・ドラゴンと戦いタイラント・ドラゴンに傷を負わせた。さらに後ろから鎧を着た女性が現れ……

「あれは違う。グレファーさん。お願いします」

その言葉を待っていたのかその男はニヤリと笑みを浮かべ剣を構え、力をためた。

「彼は死の道を我は生の道を歩む……生のために勝利の星をつかみとる。眼前の勝利をもたらせ！レジェンドオブセイバー！」

剣から光が放たれ、タイラント・ドラゴンを倒して見せた。彼らは何者だろうか。私が名を聞こうとした所にアスナが驚きの言葉を言う。

「ハク？ハクなの！？」

この島に来た理由のハクの捜索……もしかしたら疫病で死んだのかさえちょっと考えたハクが目の前にいるといった。ハクと言われた彼女はアスナに気がつき歓喜の声をあげる。そしてお互いに手を合わせ、抱き合い、顔を近づけた。が、自分が今まで何をして来たのか思い出したのかアスナは彼女と距離をとり、うつ向いてしまった。

「アスナ……どうしたの？」
「ハク……私はあなたとの約束を守れてない。子供の時の約束だけど大事な事なの。」
「そ、そんなこと言ったかしら？子供の時の約束何て忘れるでしょ？」

アスナはそんなハクに唖然している。

「約束ってさ、お互いに内容を取り決めておくことだと思うのよ。片方が忘れてたら約束じゃないと思うのよ……ほら、アスナも約束したかしっかり覚えてないでしょ？」
「あぅ……でも……」
「そんなことより再開を喜ぼうよ！」

アスナの約束をなかったことにしたハク。それよりもこの竜を倒したグレファーと言う男だ。そんな視線を向けていたからかハクが紹介してくれた。

「この人はグレファーさん。旅人でねとある森を探してるんだって。私はハク……アスナから聞いてると思うわ。それでアスナ……この人たちは？」
「蜜柑と真保よ。別の世界から来たそうよ。闇の存在を倒すのが目的らしいけど……私は面白そうだからついているだけ。ねぇ、村の人たちは？」
「実は旅をしてからまだ帰ってないのよね。でも疫病を治す方法をグレファーさんから教えてもらったの」

その治す方法は竜角を粉末にして飲む方法だと言う。竜角……私は、猫山蜜柑はそのフレーズを聞いたことある。それにその鎧……見たことあるが使ったことないから忘れている、そんなものだろう。真保も同じような顔をしている。そんな気持ちのまま、ハクの言う竜角を持つドラゴンを探していく。

「グレファーさんはとある森を探していると伺いましたが、それはどんな森ですか？」
「それは……」

ハクさんの呆れた顔を見ると何度も聞いて何度も誤魔化されてる様子だ。私はなにも言わずに眼鏡を拭くが助けてもらったお礼をしていない。だが、宮野真保という人はタイミングが悪い。効果でいう常にタイミングを逃している。では何故逃したのか？またもやドラゴンに出くわしたからだ。いや、ドラゴンと言うより竜人と言えばよいのか。

「ドラゴニア島のドラゴニア村。ここにようがあってきた……彼らは私の知り合いだ」

私たち一行はこのドラゴニア村に来ていた。旅の道中、ドラゴニアの人を助けたことがあるとグレファーは語る。グレファーの過去に少し興味が出てきたがまたさっきのように誤魔化されてしまうのだろうか。

～ドラゴニア村～

しっかりとした壁のある建物がちらほらある。私たちはその中の１つに進み、それぞれ席についた。ここに訪れたのは食料調達のためだ……そういえばお腹が空いた。といっても蜜柑も真保も少食だ。グレファーはわからないがハクは私よかは食べないが食べ終えるのが非常に遅い。ふと、壁に飾られている剣を見つけた。

「それは竜殺しの剣だ」

グレファーがそう教えてくれた。竜殺しの剣……それを振り回せばドラゴン達を倒すのは用意だろうか。

「ソレハ……ドラゴンスレイヤーがノコシタケンダ」
「ドラゴンスレイヤー？」

ダメだ。今話しかけてきたドラゴニア村の村人の声が面白くて笑いそうだ。蜜柑は笑いを堪えてる。そんな中でもその村人は話を進めた。ドラゴンスレイヤーの名はバスター・ブレイダー。彼は多くのドラゴンを狩っていった……ある日この島でドラゴンにやられ負傷し、倒れていたところをドラゴニア村の村人が助けた。回復したバスター・ブレイダーは感謝し、ドラゴンの血筋である村人達を殺さず、あの剣を授けたという。 竜殺しの剣は名の通り、竜……すなわちドラゴンを殺すためだけに作られた剣、ドラゴンに一太刀浴びせれば命までは狩れずとも動けなくなるほどの痛みを与えられる……ただし、3回しかその効果を使えない。効果を使わなければただの鋼の塊らしい……すでに1回使用しているらしい。

「あと2回か……多いのか少ないのか」

やはり気になる。グレファーの存在だ。とある森とは……そもそも何故共に行動を……細かいようだが信用ができない。彼は何故ドラゴンを倒せた。真保を助けた盾は何か。疑問が止まらない。私は…アスナ・キルディムは立ち上がり、思いきって質問してみた。先程の真保みたいに誤魔化されないように力強く……最悪の場合も考え、レイピアに手をかける。

「そのように睨まれても困る」
「私はね……気になることがあると短気になるのよ」

グレファーは肩を落とし、話始めた。案外あっさり話してくれらものだと気が抜けた。