14枚目 戦乙女の契約書　作：紅瑠璃

猫山蜜柑の言葉でコロシアムの近くまで来てみたが非常に大きい…自分は本で見たぐらいだが実際に見ることができて何よりだ…。私が王女時代来てみたかったが王女と言う高い地位の人があまり関わりのないとこに行き、観光なんて不味かったのか行かせて貰ってない…。海を渡った…と言えば…幼少期に…。

「アスナさん？」
「ん？」
「あ、いや…大きいですね…。」
「オジネクスコロシアム…。確かここは…ヴァルキリーの神話があるだとか…。」

ヴァルキリーの神話…。確か…一人の戦乙女がボロボロの状態でこの地にやって来て瀕死の状態だったがこの地の一人の男性が看病したそうだ…。その後目を覚ました戦乙女に綺麗な水とパンを与えたがその地は綺麗な水がちゃんと流れず、食物もろくに育たない場所で戦乙女に渡したのが最後の水と最後の食料だった。それを知った戦乙女は御礼にと自らの心臓と体をこの地に捧げ、戦乙女が流した涙は川に…戦乙女の髪は草木に…戦乙女の肉体は牛や鶏、豚になり、この地…オジネクスを見守っている…だったか。
神話なんてあり得ないことが起こる。そのヴァルキリーを称え、今回のコロシアムだろう。町が異様に活気だ。コロシアムの回りに人が多い…。

「あれ？蜜柑は？」
「そ、そういえばいない！」

辺りを見回す時に気がついたが先程まで一緒だったはずの猫山蜜柑がいない…と思っていたら向こうの方から帰って来た。好奇心で動く…か。よく見ると何やら紙を手にしている。

「にゃっふー♪これ見て！」
「ヴァルキリー杯…契約書？」
「にししっ私…コロシアムに出ます！」
「み、蜜柑さん！コ、コロシアムに！？コロシアムってなんだか…。」
「ん？殺し会う…でしょ？」
「な、なんで参加するの！てか、容易に参加出来るのね！」

すると得意気に語った…ろくに知らないクセに…。

「優勝するとすっごい宝が手にはいるんだと。私はとっても強いから♪」
「お前…本当に強いかともかく…その宝が何か知ってるのか？」

蜜柑が楽しそうに子供のように語っているのを聞いていると蜜柑の後ろの方から知らない男…見た目は蜜柑と同い年か…。剣士が話しかけてきた。その剣士の問いに蜜柑は「知らにゃい」とまた「な」を「にゃ」と発音し、答えた。

「そうか…まぁお前がどう強いと豪語しても辿り着けない…」
「にゃ、にゃんと！」
「悔しいか。俺の名はサーチェス。せいぜい頑張ることだな。」

サーチェス。そう彼は名乗り、後にした。ともかく…どこか宿を探した方が良さそうだ。ヴァルキリー杯と言うのは紙を見ると明日の早朝に始まるらしい。蜜柑が勝手に参加したがちょうど良い…コロシアムがどうなのか気にはなっていた。このコロシアムから数分にある「コペルニクス」と言う宿についた。当たり前のことだが部屋は空いていない。あきらめ他の宿を探そうとしたときちょうど出ていく客がいたようで私たちはそのまま宿を借りることが出来た。ちらっと見えた名簿にはその人の名が書いてあったが…私にとってはどうでもよかった。クユリルと言う名前なんて…知らなくてもよかった。

～宿「コペルニクス」203号室～

「あのやろう！ぐにぃ…ふしー。」
「そんなに悔しいのね。」
「まぁ、行きなり現れて小馬鹿にされると悔しいですよ。」

私たちは先程までクユリルという女が使っていた部屋を使うことになった。蜜柑は先程から「ふしー…ふしー」と言っている。別に気にはしないが真保に大丈夫なのか聞いてみると…「大丈夫だと思います」と帰って来た。さすがにこの宿には食事がついてないためどこかで食べるしかない。しかしもう遅い…。こんな時間に空いてる店は酒臭いオヤジが飲んだくれ、可愛い子がいるとオヤジ達は目をハートにして絡んでくるような店しかない。

「明日…たくさん食べましょ。さぁ…寝ましょ。」

私たちはそのまま眠りについた。

～翌日～

「うみゃーっ！」

猫の朝は早い…。5時半から始まる。まずは口をゆすぐ…。食事はないがトイレとシャワー、洗面台がある。もう一度、戦乙女の契約書…ヴァルキリー杯の契約書に目を通す。会式は8:00から…。大きなあくびをし、二人の…真保とアスナの寝顔を見てみる。なにも面白くない。そして、時間になるまでベットで横になる。次に起きたのは真保だ。6:00に起き、眼鏡を拭く。そして退室してしまう。とても心配になりつつ10分後には帰った来た。

「起きてるよね？蜜柑さん」
「うみゃー。」

私は猫の姿になり、真保の膝の上に座った。その時真保は何を思ったのか…。撫で方でわかった…けどあえて言わない。それが猫なのかもしれない。そのまま時は流れ7:00…もう出発しなければならないがアスナさんが起きてない。真保が「起こしておくから、先にいってて」と言うので私は先に行った。

～コロシアム内部～

受付を済ませ、中に入ると難いの良い男達がいた。私は時間になるまで待機した。その中にサーチェスが居ることを確認したが知らないふりして待った。

～宿「コペルニクス」203号室～

「アスナさん！起きてください。」
「うーうぅ…。」

中々起きない。寝起きが悪い王女…それ嫌だな。しかし…なんの夢を見ているのか。夢を見ている時点で眠りは浅い。起こせると思ったが起きない。

「起きないな…。時間になっちゃうよ…。」

呆れて座り込むといきなりアスナ参入腕を捕まれ、強引にベットに連れてかれた。顔を見ると寝ている。この人はこう言う人なのか…私はアスナさんによって抱き締められた。頬にも口づけをされた…。完全に妹のシャーシと思っているのか。

「ごめんなさいっ！」

〈パチンッ！〉

アスナさんの頬にもビンタをしてようやく目を覚ましてもらえた。私を見るなり恥ずかしそうにし

「な、内密にね…。」

と言った。二人だけの秘密…もっと恥ずかしくなる。

「けどまぁ…真保ちゃんの頬…柔らかいわね」
「い、言わないでください！」

顔が暑い。私たちも支度を終え、コロシアムへと向かった。