2枚目 デーモン・ビーバー　作：紅瑠璃

あぁ…ようやくシャバの空気だ。異世界とはいえ空気は美味しい。私はある兵士の言葉で王室に向かった。そこには王様と蜜柑さんが楽しそうにしていた。王は私を呼び寄せ、座るよう命じたのでそれに応える。蜜柑さんは猫の姿になり私の膝の上に乗ってきては寝始める。

「反省はしたようだな」
「はい…。」
「それならよい。さて、蜜柑と話していたのだが…お主らは異世界から来たと？」
「えぇ…。」

目的を言われたのだがよくよく考えてみればこれをしてきなさい等言われてない…まぁオスクリタを倒さなければならない。何故かそう思ったのでそう答える。

「いきなり信じろと…無理があるのは事実だが蜜柑からそれ相応の証拠を見せてもらったのでまぁ良いとして。そのような面白い話…アスナが聞けば喜んでついてくだろうな。」
「ア、アスナ？」
「アスナ・キルディム…私の娘だ。5人家族でね。ここ、グリムゴートは私。トルマノでは妻が。ヴァルコニアではアスナと妹のシャーシが側近でいるのだが…。」
「えぇ確か…グリムゴート、ヴァルコニアの間に山とハルムという小さな村があって。ヴァルコニアとトルマノの間にグリニスという小さな村が…グリムゴートとトルマノの間にも山…でしたよね？」

王は頷き話を続ける…。そのアスナと言う人は面白い話が好きらしく話せばついてくだろうと答えた。父の目線で可愛い子には旅をさせたい…らしい。私と蜜柑さんの旅はそんな簡易的なものではない気がするがそんなことは言えない。親バカのように娘の話をするからだ…。旅はいくらでもさせたいと思い話していたがきっかけがなかったと…。そんな長ったらしい話を30分は聞いただろうか…。

「つまり、これからヴァルコニア王国に向かえば良いのですね。」
「そうだが待ってくれ。この手紙をトルマノ王国にいる妻に渡してくれ…こちらの紙を持っていればわからないと言う者はいない。」

私が渡されたのは１つの巻物と１枚の紙だった。私は蜜柑さんと出掛けようとしたが急ぎのようで王室に入ってきた兵士によって急変した。

「クヌス王っ！山にデーモン・ビーバーが現れたと！」
「兵士を向かわせろ。グニル兵長の指示で…」
「数が何の！目視しただけで万はいるかと。」

デーモン・ビーバー。私の脳内にはあのデザインが出てきていたがそれなのだろうか。

「すまない…どうやら手紙を出すのはあとのようだ…。」
「にょっと…にゃらミカが倒すよ。その兵長？の指示通り倒せば良いのね！」

蜜柑さんがそう王に申し出た。確かに蜜柑さんの力があれば…王もそれを認めているらしいが悩んでいる…。多分「この国の者でもないのに力を借りてよいのか…。」だろう。すると蜜柑さんが王の近くに行き、机を叩く。

「行かせて…じゃにゃきゃ数で負けるよ。その間に真保ちゃんに手紙を出してもらえば良い。」
「う、うぅ…。すまぬ…力を貸してくれ。」
「にししっ♪任せて…ほら、真保ちゃんは行ってきて。元の世界に戻りたいからまてにゃいよ」

蜜柑さんは兵士を連れ、退室する。私は蜜柑さんに言われた通りトルマノ王国に向かうことにした。門番をしている兵士からトルマノ王国に向かうための道に案内してもらいそこからトルマノ王国を目指した。兵士を護衛としているか聞かれていたが緊急事態らしいのでこちらのために貴重な兵士は持っていけないと言い、護衛を頼まなかった。

～ハルム～

グリムゴート王国の外には小さな村…ハルムという村があり、皆は怯えていた。いつもの数なら数百体…兵士たちで数分で片付くが今は数万体…数が違いすぎる。死守しなければならないのはこの村だ。グニル兵長の合図で兵士たちは向かう。皆は前線でデーモン・ビーバーを倒し、私は中間部で漏れてきたやつを倒す。

「にゃっ！ふにゃっ！数が多いから…漏れてくるのも多いにゃぁ～。」

真保ちゃんは大丈夫なのか…。今になって心配だ。

～トルマノ王国方角の山～

私は走る。この手紙をトルマノ王国にいる王妃に…。デーモン・ビーバーのような怪物が出るのならこの道も安全とは言えない…。吊り橋をわたる…。したには激しく流れる川がある。もし、あんなとこに落ちたら人溜まりもない。しかし吊り橋を支えているロープは太くしっかりしている。ここから山道だろうか木々が生い茂っている…。気がつくと日が沈んでいた。今になって少しだけ護衛をつけなかったことを後悔した…寂しいのだ。白衣のポケットに手を入れる…手紙と紙とフルカロリーが残り1本半…。しかないので、私はフルカロリーを食べ残り1本。後ろにはグリムゴート王国が見える。蜜柑さんが心配だ…。