Episode13:ダイヤの煌めき　作：カズ

遊弥と花奈がデュエルをしている同時刻、精一、命慈、紅葉、凛の4人の封印竜から不思議な光が放たれていた。おそらく共鳴反応が起こっているのだろう。4人は急いで遊弥のもとへ向かった。

〜現在の状況〜
YUMI→LP:2000 手札:2 デッキ:31 Mゾーン:2 M・Tゾーン:1 Fゾーン:0 Pゾーン:0

HANA→LP:2000 手札:2 デッキ:31 Mゾーン:1 M・Tゾーン:1 Fゾーン:0 Pゾーン:0


「俺のターン、ドロー！」
なんとか前のターンは防げたけど、もし次にあの効果を使われたら今度こそ負ける…。でも、それを恐れてたら絶対に勝てやしない！負けを覚悟でやってやる！
遊弥はもう一度ソニック・スターを攻撃表示でシンクロ召喚し、自身の効果でフレア・ローズの効果を無効にして攻撃を仕掛けた。この攻撃が通れば、遊弥のエクストラからなら、どんなモンスターを墓地に送っても勝てると踏んだので、賭けに出た。だが、そう都合よくやらせてもらえなかった。
「私は永続罠、シンクロ・ウォールを発動！これにより私のシンクロモンスターは破壊されません。」
「チッ…だがダメージは受けてもらうぜ！」
「うぅっ…！」
HANA→LP:1800
わずかにダメージを与えることに成功したが破壊は出来ず、またしてもソニック・スターの効果を封じられてしまった。
「俺は…カードを1枚伏せてターンエンド！」
YUMI→LP:2000 手札:2 デッキ:30 Mゾーン:1 M・Tゾーン:2 Fゾーン:0 Pゾーン:0

遊弥は前のターン、フレア・ローズの効果がとんでもないことが分かったが、同時に対策も思いついた。フレア・ローズの効果の対象になるのは攻撃表示「だけ」。しかもフィールドと手札の計2枚を除外しなければならないから連発も難しい。更に、もし今の2枚の手札にモンスターがない場合、そして次のドローでモンスターを引けなかった場合には効果を発動できない。これならまだ勝つ可能性は残ってる！
だが、この強敵にそんな甘い考えは通じなかったことを彼は思い知らさられた。

「私のターン、ドロー！私は魔法カードシンクロ・トレジャーを発動！フィールドのシンクロモンスター1体につき、1枚ドローする。よって私は2枚ドロー！」
HANA→手札:4 デッキ:28

(くそっ…やっぱドローソースを入れてたか…)
苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる遊弥を見て、花奈は溜息を吐いた。
「私は再び、フローラル・トゥルヌソルを召喚し、フレア・ローズの効果発動！フィールドのトゥルヌソルと、手札のフローラル・リィスを除外！」
これでまた、4000vs0でソニック・スターが圧倒的に不利になったが、花奈の猛攻は止まらない。
「私は手札から除外されたリィスの効果発動！このターン終了時まで、フレア・ローズの攻撃力を800ポイントアップする！これで攻撃力は4800！さあ、バトルよ！ブラック・ローズ・エクスプロージョン！」
この攻撃が通ってしまえば、遊弥は今度こそ負ける。
「罠発動！ガード・ブロック！その戦闘ダメージを0にして、デッキからカードを1枚ドローする！」
YUMI→手札:3 デッキ:29 Mゾーン:0
そのカードを確認したからだろうか、彼は永続罠「スターダスト・アンビュランス」を発動せずに終わった。
「…私はターンエンドです。何故スターダスト・アンビュランスを発動しなかったのですか？」
「さあね。俺のターン、ドロー！俺は、モンスターを裏守備でセットしてターンエンド！」
YUMI→LP:2000 手札:3 デッキ:28 Mゾーン:1 M・Tゾーン:1 Fゾーン:0 Pゾーン:0

いつもよりハイテンションな口調の割に、行動がいつもより穏やかだ。あの伏せモンスターにはきっと秘策でもあるのだろう。一切伏せカードをセットしなかったのが何よりの証拠だ。
ちょうどその時、精一、命慈、凛、紅葉の4人が遊弥の所に現れた。そして、花奈のフィールドにいるドラゴンを見て息を呑んだ。
「り、凛ちゃん！あれは⁈」
「あれこそが…最後の封印竜。まさかこうも早くお見えになるとは…。」
「命慈…あのドラゴンから強い力を感じるよね。」
「そうだね、兄さん。僕らの封印竜も、さっきより共鳴反応が強くなってる。」
遊弥のフィールドにソニック・スターが存在しない事にも驚いた。紅葉が真っ先に質問する。
「ゆ、遊弥！ソニック・スターは⁉︎まさか…」
この答えに、彼女が絶対に聞きたくない言葉が含まれていた。
「わ、悪りぃ…そのまさかだ。やられちまった。」
こうも早くやられてしまうとは思っていなかった。しかも次は花奈のターン。これを凌なければ負けるかもしれない。だが、遊弥はまだ諦めた顔をしていなかった。遊弥の一番の親友が激励する。
「遊弥っ！勝ってよ！」
「言われなくても分かってるよ、紅葉！」

さて、いよいよ花奈のターン。彼女はドローした後、そのままフレア・ローズで攻撃を仕掛け、裏守備モンスターを破壊した。だが破壊したそのモンスターが…遊弥のエースモンスター復活の鍵となった。
「俺は、破壊されたスターダスト・ファントムの効果発動！墓地から蘇れ！封印竜 ソニック・スター！」
これでエースが復活し、どうにか互角の展開に持ち込めた。
「さすがにやりますわね…私はカードを2枚伏せてターンエンドです。」
HANA→LP:1800 手札:1 デッキ:27 Mゾーン:1 M・Tゾーン:3 Fゾーン:0 Pゾーン:0


「よし。俺のターンだ…。」
父さんから託されたこのデッキには、まだ俺にも分からないくらいの力が眠ってる。俺だって…
「父さんから受け継いだこのデッキで、俺は勝つ！ドロー！！」
「っ…！」
父さんから受け継いだ、という言葉を聞いて、花奈は少し表情がひきつったが、それを遊弥は見ていなかった。
このドローで引いたカードは…
「このカードは、自分フィールドにいるシンクロモンスター1体のレベルを1つ下げることで特殊召喚できる！来い！ストリーム・シンクロン！」
4人が知る限り、彼が今まで召喚した事のなかった、水属性のチューナーモンスターだ。ということは…
「俺は、レベル7のソニック・スターにレベル2のストリーム・シンクロンをチューニング！万物を超越せし光沢を、その雄々しく美しき翼に宿し君臨せよ！シンクロ召喚！スターダスト・ドラゴン Clear Diamond！」
フィールドに舞い降りたのは、ガラスのように透明な翼を広げた、美しき星屑の竜だった。観ている4人も思わず「綺麗…。」と呟いた。
「新しいモンスター…ですが、そのモンスターの攻撃力は2400！フレア・ローズには及びません！」
「それはどうかな？Clear Diamondの効果発動！1ターンに1度、ターン終了時まで、自らの元々の攻撃力と守備力を入れ替えることができる！コイツの守備力は3000。よって攻撃力も3000になる！さあ、バトルだ！フレア・ローズに攻撃！トゥインクル・ソニック！」
これで400ポイントのダメージを与え、花奈のライフを1400まで減らせるが…
「私は速攻魔法、収縮を発動！Clear Diamondの元々の攻撃力を半分にします！」
今のClear Diamondの元々の攻撃力は3000。よって攻撃力は1500にダウンした。行った戦闘は止められず、遊弥はそのまま1100のダメージを受けてしまった。
「うわぁああっ！」
YUMI→LP:900
Clear Diamondには1ターンに1度だけ、戦闘では破壊されない効果を持っていたため、次のターンでの直接攻撃は免れたが、悪く言ってしまえば、フレア・ローズの効果対象にもなっている。
「くそっ…俺はカードを1枚伏せて、ターンエンド！」
YUMI→LP:900 手札:2 デッキ:27 Mゾーン:1 M・Tゾーン:2 Fゾーン:0 Pゾーン:0


一気に劣勢になってしまった。まさか小学生相手にここまで苦戦するとは思っていなかったのだ。
「へへっ…強いな。やっぱ楽しいや！」
だからこそ遊弥は、このデュエルを楽しんでいる。だが花奈は、今の彼に衝撃を与えるのに十分な材料を持っていた。
「さすがは中等部ベスト4といったところでしょうか…いや、あなたの父、藤堂 遊仁のデッキだからでしょうか…。」
「父さんを知ってるのか⁈」
「ええ…8年前、彼はデュエルのプロで様々な成績を残したけど、若すぎる引退をしてしまった…。後にその理由を知ってから、あなたのことを憎らしく思えるようになった…。」
今、遊仁は海外で仕事をしているので、彼がプロだった頃の話を息子である遊弥も、あまり耳にしたことがなかった。
だが、花奈から語られる事実に、遊弥は涙を流すことになる…。

〜現在の状況〜
YUMI→LP:900 手札:2 デッキ:27 Mゾーン:1 M・Tゾーン:2 Fゾーン:0 Pゾーン:0

HANA→LP:1800 手札:1 デッキ:27 Mゾーン:1 M・Tゾーン:2 Fゾーン:0 Pゾーン:0


次回 Episode14:友のために