FILE：007　受け継がれる意志　作：ハコネの達人

ルガラ「このターンで決着をつける…だト？」

ユウラ「俺は手札から魔法カード『天よりの宝札』を発動！」

天よりの宝札
通常魔法

ユウラ「この効果により、『互いのプレイヤーは手札が6枚になるようカードを引く』！」

エナ・ルガラ「「何だって！？」」

　エナとルガラの二人は同時に驚嘆の声をあげる。

ルガラ「おい！そのカードはそんな効果ではない！インチキだ、取り消せ！」

エナ「ん…？でもデュエルディスクはちゃんと反応している…ということはオッケー？」

ユウラ「ルガラ、お前の言わんとしていることは正しい。お前が言っているのは俺たちがよく知る『天よりの宝札』だ。だがこのカードは『王の記憶』のカード。この世に本来存在しないカードだ」

ルガラ「王の記憶…だと？」

ユウラ「そう。何百年と続く血脈に受け継がれてきた魂の記憶…俺はその一端を呼び覚ましただけに過ぎない」

　二人はデッキの上からカードを6枚ドローする。

ユウラ「俺は手札から魔法カード『メカニカル・アクセス』を発動！」

メカニカル・アクセス
通常魔法

ユウラ「手札の機械族モンスター1体を除外し、デッキからレベル4以下の機械族モンスター1体を守備表示で特殊召喚する！俺は『トゥルー・サーヴァント』を特殊召喚する」

トゥルー・サーヴァント
光・星4・攻0
機械族／ペンデュラム／効果
枠9

ユウラ「『トゥルー・サーヴァント』は自身をリリースすることで、デッキから『融合』または『フュージョン』通常魔法カード1枚を手札に加える。俺はデッキから『クリエイト・フュージョン』を手札に加える。そして発動！」

クリエイト・フュージョン
通常魔法

ユウラ「EXデッキに存在する機械族、または戦士族の融合モンスターによって決められた融合素材を墓地から除外し、融合召喚を行う！俺は墓地の『アスタロト』と『シルフィー』を除外！
荒野を駆ける機士よ、吹き過ぎゆく嵐を受け、一陣の風となれ！
融合召喚！現れろ、『アスタロト・バイオレット』！」

　突如竜巻がユウラのフィールドに巻き起こり、姿を変えた『アスタロト』が竜巻の中から姿を現す。

アスタロト・バイオレット
風・星10・攻2500
戦士族／融合／効果

ルガラ（『白』の王符が…変身しただと…！まずい、はやく処理せぬば…）

ルガラ「私は手札から魔法カード『美術天使の添削』を発動！」

ユウラ「何！？相手ターンに手札から魔法カードだと！？」

ルガラ「自分フィールド上にリンク3以上の地属性天使族モンスターが存在する場合、このカードは相手ターンに手札から発動できル！」

美術天使の添削
通常魔法

ルガラ「相手フィールド上のモンスターを2体まで選び、破壊する！私は『アスタロト・バイオレット』を選択し、破壊すル！」

　『ダ・ヴィーナス』から放たれる稲妻が、『アスタロト・バイオレット』へ疾走する…！

ユウラ「『アスタロト・バイオレット』の効果発動！相手がフィールド上のカードを破壊・除外する効果を発動した場合、自分フィールドのカードを全て除外することでそれを無効にし、相手フィールド上のモンスターを全て破壊する！」

ルガラ「ナニッ！？」

　『バイオレット』が光を放ち、巨大な爆発を引き起こすーー！

ユウラ「そして、この効果で破壊したモンスターの中で最も攻撃力の高いモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える！」

ルガラ「ッ！『ダ・ヴィーナス』の攻撃力は6000ッ！」

ルガラ：LP 8000→2000

ルガラ「グァツ！」

ユウラ「『アスタロト・バイオレット』は効果コストで除外されてしまったが、墓地の『クリエイト・フュージョン』の効果発動！このカードで融合召喚したモンスターがフィールドを離れた場合、このカードの効果で除外した融合素材のうち1体を、効果を無効にして特殊召喚する！」

ルガラ「何ッ！？」

ユウラ「再び我がもとに来たれ、『アスタロト・S・ライザー』！」

『グオオオオォォォォッッッ！！！』

　細身の機士が異次元から現れ、雄叫びをあげた。

ユウラ「バトルだ！『アスタロト・S・ライザー』で、プレイヤーにダイレクトアタック！『インフィニット・レクイエム』！」

　『アスタロト』が巨大な剣でルガラを大きく切り裂いた。

ルガラ「こッ…ここでッ…負ける…ノカッ」

ルガラ：LP 2000→0

YURA IS VICTORY！



エナ「やったぁ！ユウラが勝った！」

　エナはその場でピョンピョン跳ねながらユウラの勝利を喜んだ。

ユウラ「いやぁ、なんとか勝てたよ…」

　少し安心したような表情でユウラはエナに笑いかけた。

ルガラ「グ…グググゥ…」

　すると横からうめき声が聞こえてきた。2人が見やると、ルガラが上半身を起こしている。

ルガラ「これデ…終わったと思うなよ…」

ユウラ「はぁ…気を失ったかと思ったが、それほどの口が聞けるとはな…」

ルガラ「キサマの新たな『力』についても報告させていただク。覚悟することだな」

ユウラ「…お前に次があるとでもーー」

『キェェェエエエエ！！！』

　ユウラがルガラの煽りに応えようとした瞬間、鳥のような鳴き声が辺りに響き渡った。

エナ「ユウラ、上！！」

　エナの声に気付かされハッと上を見上げると、そこには炎を纏った鳥獣が空を駆け、ユウラたちに向かって急降下し始めた。

ユウラ「モンスターの精霊…！？」

　ユウラが即座に自身のデュエルディスクを展開させると、『アスタロト』をディスクにセットする。

アスタロト『グオオオォォォォ！！！』

　ガキンッッッッ！！！

　召喚された『アスタロト』がその腰に携えた剣を引き抜き、炎の鳥獣の突撃を受け止めた。『アスタロト』は剣を横に薙ぎ、それを吹き飛ばす。

？？？「フフフ…それが噂の…『王符』ですか…」

　炎が一瞬消え去ったかと思うと、その奥に人間と宙に浮かぶ少女の姿があった。

ユウラ「お前たち…何者だ？」

？？？「フフフ…今は『レッド』とだけ伝えておこう。ユウラ・レイセン君？」

ユウラ（こいつ…俺の名前を…）

宙に浮かぶ少女『ねぇ、マスター。この人殺っちゃってもいい？』

レッド「だめだよ朱南。今回は『狂気の芸術家』を回収しに来ただけだ」

朱南『はぁ〜い、マスター』

レッド「そう言うわけだ、早々に退場させてもらうよ」

　そう言ってレッドがルガラに近づこうと手を伸ばす。

ユウラ「……みすみす逃すと思うか？」

　次の瞬間、『アスタロト』がレッドとルガラの間に割って入り、輝く剣を振り下ろした。

レッド「『朱南』」

朱南『はい』

　『朱南』がすぐに間に入り、『アスタロト』の渾身の一撃を受け止める。そしてその剣を思い切り弾いた。

ユウラ「…」

　いつの間にかそこにレッドと『朱南』、そしてルガラの姿はなかった。

　♦︎

？？？「…そうか、『狂気の芸術家』をもってしてもだめだったか」

黒装束の男「申し訳ありません、取り逃しました」

？？？「謝る必要はない。それほどの脅威だということだ」

黒装束の男「ですがこのままでは計画は始動できませんが…」

？？？「案ずる必要はない。来週にも計画を始めるつもりだ」

黒装束の男「不安要素もある中…ですか」

？？？「フフフ…たとえそうだったとしても、運命を変えることなど出来はしない」

黒装束の男「フッ…そうでしたな」


？？？「それでは、『フェーズ1』を始めよう」