第31話　虹とネギもんマスター　作：トマトところてん

もう二月で今年は百年に二度しかない節分らしいんですが、初夢にみると縁起がよい一富士二鷹三茄子を見る人って今いますかね？　四扇五タバコと続くらしいんですが、中々難しいはず。今回の話は虹について。第29話の女神さまが再び登場
　虹といえば雨なくして虹なしというハワイの言葉、危機一髪のピンチがあって一皮むけて今の自分があるとか前向きな言葉で、オズの魔法使いジュディガーランドやガンダムユニコーンの虹の彼方に、サトシのめざポケなど、自分の夢を叶えた先にある未来という良い意味の言葉なのですが、今回はネガティブです

本編

　人の思いやりや優しさや愛も乾いた心のせいでモノクロにみえた。素晴らしいものをみてもあたしの心には響かなかった。カラフルなものも、きっとうらやましく自分が惨めに思えて、真似しても僕はこんなものかと、強がって私らしさを出して、主語を、一人称を服を着替えるように使い分けて、態度をかえて、それでもなんとか自分は過ごしてきたわけだが、うぬぼれていたのに限界がきたか
　はなせよ
　きなこは黒子六人にかつがれて高いビルの屋上につれてこられた。そこで女神さまと出会った
　ごくろうさまです
　と、黒子たちにいうと、こちらに話しかけてくる
　心が疲れているようですね、今回は虹を見ましょう。きっと、感動して生まれ変わるはずです
　虹なんかみたってつまんないよ。帰らせろ、覚悟しやがれ！　このネギ野郎！
　ひょ！？　フフフ、それがですね、心象風景ってわかりますか？　ここはあなたの心の世界なんです。周りをよく見てください
　そういわれてビルの屋上から辺りを見渡すと
　え？　ここはどこの街？
　知らない街が洪水になって高いビル以外はほとんど沈没してしまっていた。地球の最期、終末感漂う。たとえ南極の氷がとけても、地震が起きて川が決壊しても、井戸の地下水や下水道が溢れても、津波が来ても、線状降水帯の雨が降ってもこうはならないような光景がひろがっていた。ほとんどの人が流されて沈んで亡くなってしまったのだろうか。川の水をせき止めて流れを人の手によってかえて土地が干上がることはあってもその逆、地球上の全てが沈むということはないと思われる
　女神さまが言う
　ここに更においうちが。滝のような雨が降って水位が更に上がり、双子の怪獣が竜巻を起こして大きな津波がやってきます
　え？
　あたしはたしかインフルエンザから回復してなんとか通信制の学校の支所に通ってことなきをえたはず。その後、冷凍のカキを食べるところ、生カキがいいと両親にねだって生カキを食べたあたしは腹を下してしまって、ノロウイルス、食中毒か。また胃腸にダメージが。またネギなのか、ネギを食べさせられるのか？　下痢やゲロが出そうで夢を見てるのか？
　これは試練です。苦しむから、辛い目にあうから人に優しくなれる。だからもっと苦しむのです
　嫌だよ！　達観してもっと簡単に人を切り捨てられるように強くなる、孤独になるだけだよ。あたしは嫌だ！　こんな世界嫌だ！　みんな沈んでなくなっちゃえってあたしが望んでたの？
　スタートラインはみな一緒だと思ってたのに病弱なあたしはどんどん遅れて追いつけなくなって、何もかも諦めてしまって、絶望して。そんなあとに虹が空にかかる？
　結局、きなこはなすすべもなく、不気味に空にかかる終末の光を前にして立ち尽くすのだった
　虹がちょっと嫌いになったところできなこは目をさました。自分の身体がボロボロになる悪夢ではなかったが、悪夢だった。スマホにラインの通知がれんげからきていた。新しいタクティカルトライデッキ、どっちが欲しい？　という内容だった。助けにいくレスキューエースか祈るエクソシスターか、命の安全か心の糧か
　うーん、ぶっちゃけね
　今回の話、女神によれば心の話だったけど逆張りオタクっぽくレスキューを選ぶきなこであった

続く

みたことないけどウルトラマンレオっぽい話。被害の描写はやめた。次回でデュエルえびガンマンときなこの夢の女神は食傷気味になるから打ちきりの予定。恵方巻ってよりは海苔が高いですね