第12話　ストラク開封の儀とはいうものの　作：トマトところてん

前回のあらすじ

2回目の面会が始まり、王者の鼓動を開封することになったが、その前にまず食事

本編

　面会の部屋にあるポットからお湯を注いでカップ麺を作る。部屋には他に電子レンジやキッチンシンク、本棚、長机、折り畳み式のパイプ椅子、エアコンがあり、エアコンは使用後に必ず消すことと注意書きが書かれていた。部屋は隔週で使われており、手入れはされているが利用者は少なめだった。診察券となるカードをリーダーに読み込み、チェックインをして何時間部屋を使ったか記録が残るようになっていた。
　インスタントコーヒーも作ってカップ麺を待つ間雑談する。
「王者の鼓動ってどんな感じなの？」
　きなこが質問する。動画やネット、雑誌で情報を集めるにせよ、そもそもみんなはどのようにして関心をもち購入に行き着くのだろうか。モチベーションとか情熱とか惹かれるものは人それぞれ、そして暇潰しだとして。自分にとって当たり前の事を他人に話す時こそ注意しなくてはいけなくて、そんなに書けることもないと思われるが、書く。
　二人はタクティカルトライデッキに勝てるデッキを持ってない、ガチ環境からは離れたぬるま湯に浸かっているという設定。それでも12期のパワーには届かないにしてもちょっと低いものなら手軽に安く組めると思われる。きちんと計画を立てて小遣いを使ったり、やたら金を持っててパックに金を使いすぎて親に没収される子供あるある。最新の環境カードを買っていくのが最短の道だとして一番長続きするのはどうでもいいものをどうでもいいペースで買うことなのかもしれなかった。
　れんげが応える。
「シンクロ召喚のデッキでカラミティが禁止になってるけど、他は問題なく回せると思うよ。ビーステッドとかカオスルーラーと相性がよかったんじゃないかな。あまり詳しくないけど」
　ストラクを綺麗にそっと開けると強化パックとデッキと解説書が。ちなみにこのストラクから新規がデッキの上からかたまっているらしい。そうこうしているうちにカップ麺ができたので中断。しょうゆ味二つ。
　れんげはほんの少しだけ落ち込んでいたのでズルズルと勢いよくすすって食べて、きなこはチュルチュルとよく味わって食べた。
「カップ麺はおいしいねぇ。それに比べて病院の食事はおいしくないねぇ。アレルギーを考えて卵不使用オムレツが出たりするんだけどねぇ」
「卵不使用のオムレツ？　きなこちゃんはアレルギー？」
「とくにないよ」
「そう」
「栄養も考えて出てくるんだけど味があんまりでねぇ」
「そうなの。特上カップシリーズもあったけど普通のにしといたよ」
　完食したのちに手を洗ってストラクを更に開けた。二人は一枚一枚テキストとイラストを確認しながら雑談をして過ごした。

続く


余談

　ネットじゃフラゲを見ていち早く反応する人達が多いように見えるけれど、まあそんな人達ばかりでもなく。自分なりに話題や時事ネタを集めて余談として書いてたが、まあ結局ニュースやSNSなんかみてもちっとも世界を把握することなんかできなくて自分がちっぽけに思えた。それでもエンタメは明日への活力であるらしく、くだらないニュースなんかも大事なんだと思った今日この頃。
　己は男性らしさを女性に求めてほしくないのに、女性には女性らしさを求める。まさに弱者男性。自分磨きをしないのに高嶺の花を求めてしまうのは純真無垢な子供の美しい心かもしれないが残念だなと思った。まあ恋なんてわからない。病弱な子こそ白馬の王子様がすきなのかもしれない。

　長くなった。ごめんね。ありがとう。SS30本目記念になったいまのいま。感謝