第48話　ベンサンはいてどこへでも　作：トマトところてん

趣味回、まあ毎回趣味回なんだけど。ベンサンは便所サンダルのこと。どこへでもというけど山登りとかはちゃんとした靴で
　ある人は世界や地球は無限に広がるものと思っていたかったからあまり海外について知らないでいたが、旅をして地球上を素早く動くことで実は有限なものなんだと寂しく感じてしまうことに。そんな中、他者を介在して内情を知ることで世界に深みが生まれて、世界はもっと広いと元気を取り戻したんだとか
　で、トレカ好きが読んでると信じて遊戯王以外のカードゲームの話をすると、やはりキャラに特徴があって自身のパワー強化、相手のパワーダウン、ドロー、捨て札回収などあってこのキャラはどういう能力になるんだろと気になりますね。何のカードゲームかは後半で
　今回の話は感情を揺さぶられる共感と感動の嵐のような話ではなく、犬の散歩の動画くらいどうでもいい話と受け取ってくれたら
　あと、意外と気にしぃで皆はどんな話読みたいのか気になってるんですが知りようがないので好きなの書けたら。平安時代には源氏物語のような非凡な主人公の物語しか読まれなくて、平凡や日常ものは現代らしい、らしい

本編

　時代は変わったのか、ベンサンはおしゃれなファッションになっていた。カラフルでツートンもあり、ちょっとそこら辺に寄ってくるよと、実家に暮らしてるような、ご近所やアットホームな安心感から親しまれるようになっていた。平成にアムラーファッションとして厚底ブーツが流行っていたが、価格もリーズナブルなベンサンはちょっとだらしない感じもまた良かったらしい

れんげの家のリビングにて

　きなこ、れんげ、そしてごとうまいこの三人が集まっていた
　まいこちゃんがデュエルえびガンマンを描いてくれたっけ、水色の厚底ブーツは似合わないくらいだらしないんだけどね、デュエルえびガンマン。一年365日の内ほとんどクロックスをはいてるくらい
　と、れんげは言う。クロックスとは足の甲の部分にあたるサンダルの上面に水玉模様のように穴があいてるサンダルのことで、クロックスクラシックというらしい
　ま、姉上ママも休日はサンダルを履いてるね
　と、きなこが言う。サンダルは靴と違って走るのにはむいてないがすぐにはけてすぐにぬげる。手軽で、夏、猛暑も長くなった今に適していた
　自分も今日はベンサンはいてきたっすよ
　黄色の目立つサンダルだった。安くて丈夫で明らかにカッコいいやかわいいとは少しズレていて、ゆるいというか。それでいておしゃれというものについに手が届いたのである
　それで遊戯王の話なんすけどベンサンってやっぱり古いっすよね。古いカードは皆が忘れていって紙切れになって消えていく中で、　神の宣告　は凄いなって思ったんすよ
　そうだね
　れんげが相づちを打つと、きなこがまいこの話に続けて
　まあ、あたしは皆が忘れていってもあたしだけはおぼえていればいいなんて強気ではないけど、自分で自分を見つめていれば自分が消えることはない、我思うゆえに我ありなんて言葉で、いつかチャンスがあると良いねぇ
　流れに身をまかせる、大いなるものに運命をまかせることに子供心にワクワクすることはあっただろうか、おびえていたか。偉い人に評価されるにせよ大衆にひろくウケるにせよ、世界は深く、広かったのである
　ま、なんか良さそうなこと言ってるとこ悪いけど新しいカードを買って遊ぶのはデュエリストの義務だ
　それからしばらくして、まいこは
　自分、　ドラグマパニッシュメント　がけっこう気に入ってるんすけど、悩んでるっす。まるで仮面ライダーやウルトラマンの初期フォームの必殺技なんすよ、ドラパニは。本当はEXデッキを使ってパワーアップした強化フォームになるところをあえて行わない感じっす。スネークアイやレスキューエースみたいなエクストラを使わないテーマのデッキで、エクストラを使いながらもドラパニも入れて使いたい気持ちがあるっす
　ところで最終話に初期フォーム、エモいのか？　フランスの凱旋門を同じ服装で出立し、帰ってくるから凱旋の服、元ネタは遠征で戦争、ナポレオンとかか。知らんけど。そして、まいこは続けて言う
　最終回にラスボス相手に初期フォーム、最初に手に入れた力で大丈夫だったとか、戦争は哀しく虚しいものだとか、なんか重たいものをどっこいしょとするのはめちゃくちゃカッコいいと感じたり、とにかくエモ、感慨深く、エモエモなんすよ
　それからきなこは少し考えてつぶやく
　神の宣告も重たいデメリットがカッコいいんだねぇ
　れんげはふと質問する
　で、何に悩んでるの？
　それはまあ、早い話舐めプみたいなもんなんすね。確かにエモいっすけど、自分の心が腐ることなく輝いていたら普通に最終強化フォームで長所を活かして全力でデュエルしてるはずっすよ。れんげさんのトリックスターで例えると、トリックスターは本来、時械神みたいなビートバーン、フィフティフィフティのデッキっす。ビートダウン、フルバーン、全力でやってたらどっちかに傾いていたはずっす。苦手なビートの相性をバーンで埋めるとは言いながらもどっち付かずっす
　ありゃりゃ
　と、きなこが言う。きなこは続けて
　ま、そんなに気にしなくて良いんじゃない？　手札誘発の受けも問題だったりするしねぇ

続く

　お気持ち表明なんかよりは犬の散歩くらいに受け取ってほしい今回。で、冒頭のカードゲームはウルトラマンカードゲームでした。タクティカルトライデッキエクソシスターは買って満足。積みプラモならぬ積ん読ならぬ積みなんたら

残り目標3話。ここまで読んでいただき感謝