第46話　入部届を出す前の扉　作：トマトところてん

勉強で大切なのは予習と復習、押さえておくべきポイント。でも曖昧な記憶。あんまり勉強してたことすらおぼえてないような。この作品の主人公たちは学生で昨年の夏休みから始まってるので一個進級して後輩ちゃんがでてくるのが今回の話
　後輩ちゃんは作品中最強のデュエリスト、ゴルゴ13が元ネタで国籍年齢不明で赤い帽子赤い服を着たコナミくんのような格好をした謎の男に負けた過去がある。謎の男の切り札はデステニーヒーローデストロイショップボックスガイというありそうなオリカで、効果は場に出たらデュエルを中断してボックス開封して当たったカードを使えるという効果。これで謎の男は店の棚を全部買い占めて店を困らせたとか。
　なので後輩ちゃんはデュエル強いけどそんなに好きではないという設定だけども活きるかなこの設定

本編

れんげの通う特殊な学校の部室の扉の前にて

　私、佐藤しほは、扉の前で立っていた。四月から入学したこの学校は私の学力でも行けた近くの学校だった。学校は嫌いだった。5月になっても友達が一人もできていない。中学までの義務教育もすごく辛かった、それでもなんとかくぐり抜けてきた
　私は思うのです、人生はドッジボールだと。ボールに当たるのが怖くて、当たったらアウトなのに避けると相手の攻撃が続く。味方の誰かがボールを受け止めてキャッチするか、誰かが当たって犠牲にならないと、永遠に相手の攻撃が続く。私みたいな馬鹿は弱い癖にリタイアしないからずっと逃げて恐怖を味わうことになる、ドッジボールは嫌いだ。
　皆、自分より凄いボールを投げる強い人に出会ったら、好きなことも怖くなって嫌いになるんだ。強い人の味方について太鼓持ちになってへこへこするのが私の人生かもしれない
　入部届の期限がもうじき来てしまう、入学して一ヶ月見学期間があったのに、もう新入部員歓迎会の時期も過ぎてしまっただろうか、完全に出遅れた。いや、嫌だった。このまま不登校になって二ヶ月で学校を辞めてしまうかも。今、通えてるだけ奇跡なのだ
　入学した日、生徒会主催、つまり学生主導の新入生歓迎会で国際交流デュエル部の皆さんの登場です、と司会が言って出てきた3人によるコントが始まったかと思ったらライブが始まったっけ、アルフィーのパクリだ。デュエルならお兄ちゃんの相手をしていたから自信があった。この部活ならなんとか続けられそうだ。ちなみにコントとライブはこんな感じだった。　以下　コントとライブ

　ギターの人が前に出てきてマイクに向かって話す
　えー、新入生の皆さん入学おめでとうございます、最近バンド始めました。祝いの曲を届けたいと思います。えー、桜の舞う季節ですね、なので森山直太朗のさくら独唱を、では、アカペラで。　ぼーくらはー　きっとーまっーてるー　きみとーまた　あえる日々をー
　ちょっと待つっすよ、これ卒業ソングっすよ。やめた方がいいっすよ
　と、もう一人が横に出てきてつっこむ
　これは失礼。ではレミオロメン、粉雪　ギターで特徴的なイントロを演奏し、
　こーなーゆきー　舞う季節はー
　一発アウトっすよ！　雪なんて降ってないっすよ
　ちょっと待つの
　と、最後の一人が出てきて話す
　ボーカルは私なの、そいつは、ギターコーラスなの。ボーカルはベースの私なの
　すみません部長
　と、ギターの人が謝る
　それじゃ、始めるの
　三人は位置についた。ギター、ベース、ドラム。つっこみを入れていた人がドラムだった。ベースの部長が言う
　それでは聴いてください、入学して四月だけどまだ三月の気分、新生活にホームシックになるかもね。別にいいんだよ　GLAY　Winter Again
　そういって曲が始まって三人は曲を完走した。私は、なんでやねん、なんて思ったから妙に印象に残っていた

以上

私が部室の扉の前でうじうじしていると後ろから声をかけられた。ドラムの人だった
　あれ？　もしかして入部っすか？
　は、はい。そんなところです
　じゃあ一緒に入るっすよ
　そんな風に言われて部室に入ると、ギターの人とベースボーカルの部長が話していた
　アルゴスターズやリバースモンスターはなんだか処理が難しいの
　そうだね、あ
　二人とも私を見るとすぐに会話を切り上げた。ドラムの人が私を紹介する
　この子、見学か入部希望みたいっすよ。えっと自己紹介からっすね、自分はごとうまいこであっちが部長でこっちがれんげさんっす
　どうも
　どうやら新入部員は他に一人もいないようだった。部長の後鳥羽院宣子さんが言う
　このまま入れば未来の部長なの、えっと
　えっと、佐藤しほです
　しほちゃん、私が始めた部活だから私が卒業したら廃部になっちゃっても構わないけど、やっぱりそのあと一人は寂しくない？
　え？　あ、はい
　帰宅部って手もあるよ？　帰宅部は文化部、うつりゆく近所の景色を楽しむこともできるの
　あの、部長先輩、本当に廃部が決まったら悲しくないですか？
　と、私が言うと、れんげ先輩が言う
　言うね、見込みありだよ
　そうっすけどやっぱり心配っすよ、一人になって自動的に廃部じゃかわいそうっすよ
　そうなの。でももし入ってくれるならこの子が部長で確定なの
　な、なんでですか？
　と、私がおそるおそる聞くと、まいこ先輩が答えてくれた
　まあ自分たち、煩悩をうち払う禁欲の学校でドカ食い気絶部とかバンドとかデュエルをやってて、部長は他にも色々やってみるつもりみたいっすけど、つまるところ最期、命の終わりに何が残るか、余生を輝かせるものは何かって考えてて、その鍵を握るものはなぜかやっぱり次の人で、自分たちのあとの人が、自分たちの明日を輝かせるってことで、うーん
　まいこ先輩がつまっていると部長がおいしいところをもっていく
　かわいい後輩ちゃんの笑顔が私たちの全てになるの
　まぶしい人だなと思ったが私は少し嬉しかった。それにれんげ先輩が続けて、
　命を繋ぐ意味を写す君の瞳。扉を開けると、代償に一番大事なものを失う。でも立ち上がって前に進めばいいんだよ。ってでもわりぃ、やっぱつれぇわ
　ん？？
　心配してくれるのは嬉しいが私は困惑したのだった


続く

今回、ラドウィンプスの賜物なりYOASOBIの群青なりパクリがいっぱいです