第25話　クリスマスを一緒に　いやです　作：トマトところてん

ジャックロンドンのザ　ロード　アメリカ放浪記という自伝の本で彼が作家になるまえにもの乞いをやっていて、ものをもらうにはカモになる人をみつけてその人が聞きたそうな真実に近い嘘の話をしてお金や食料をもらっていた。それが作家になったときに活きた。リアリスト、リアリティのある嘘が大事らしい。そして自分の想像力だけの話でなく、相手が何を求めているか瞬時に見極める瞬発力が重要らしい。ただ、やり手のもの乞いの武勇伝みたいになって途中で見るのをやめた
　で今回は成金ゴブリンのイラストみたいにもの乞いがゴブリンに恵んでもらう話。といっても大して駆け引きとかしない

本編

　小野寺れんげの家は貧乏寺で父は寺の住職。禁欲的で煩悩をうち払い、精進料理を食べたりするのでクリスマスはケーキではなくアイスクリームやドーナツ、サンタが家に来ることはなく、代わりに父の友人の三田さんが来て過ごす。三田さんは独身貴族で毎年、冬になると世界中を飛び回り、数千万円のスポーツカーを乗り回す医者で腕は確からしいが、日本の公道を夜、車でぶっ飛ばして暴走するような人だった
　知ってるかい？　サンタさんはプレゼントを届ける時は道交法など守っていられないんだよ
　ごはんと焼き魚と味噌汁で夕食を済ませるとクリスマス会もとい三田忘年会だ
　ミッツマングローブが竹内まりあのイベントのゲストに呼ばれて、日本のクリスマスはやってくるのか、こないのか、毎年山下達郎の
　きっと君はこない　一人きりのクリスマスイヴ
　の、クリスマスイヴと竹内まりあの
　クリスマスが今年もやってくる
　の、すてきなホリデーがそこら中でかかってて、夫婦で逆のことを歌ってて日本人はどっちなんだろうかと、それでも世界に愛は溢れていると浮き足立つ季節に悩まされると言っていたが、れんげの家では成金ゴブリンのイラストのように三田さんからお布施としてプレゼントをもらう、ちょっとしたおもてなしをするイベントだった
　さて、暗黒界の取引だ。物々交換用の品は用意してきたかな？
　三田さんがいうのでれんげは用意してきた品物を見せるのだが、これが気に入られなければプレゼント交換はない。きなこちゃんはどうしてるかなとれんげは気になってラインを送ると、きなこから
　病院でつまんないクリスマス会があったけど、今は実家で過ごしてるよ
　と、返ってきた。きなこはサンタの格好をしてひげをつけていた
　そうか、こないなら自分がサンタになればいいのかなんて思ってから、品物交換に戻る。れんげが用意してきたのは、年越しそばにでもする赤いきつねとみどりのたぬき、ノートとペン、おもち用のきなこと三温糖とあずきの缶詰、おでんの具の入った袋と和からし、雪見だいふく、映画観賞用に加熱式のアルミ皿のポップコーンとコーラだった
　やる気に満ちていたが思いやりや愛に溢れていたかはわからない、冬の風物詩という感じだった。独身貴族の三田がわざわざ欲しがりそうなものでもなかったので、今年のプレゼントはなしかと、れんげは思っていたが、三田は意外にも
　若くして亡くなったじいさんの供え物は赤いきつねだな。生前、好きだったから。これと交換だな
　と言って赤いきつねとみどりのたぬきと半額シールのついた炎王の急襲のストラクと交換した。独りなのに独りではない。父の友人として15年近く付き合いのある人なのだ。そこから30年40年と続く友人でいると思うと、源氏物語が人の世の儚さを描いたといってもまだ恵まれてる人もいるんじゃないかと、れんげは思った。この人はそのうち結婚するんだろうか。出会いがあるから別れもあるんだけど。
　それより、炎王ゲットだとれんげは浮かれていた

続く

　企業理念やノブリスオブリージュはなんとなく伝わってくるらしく、問題になってた紙質や臭いのストラクもリターンズとして帰ってきて、過去や古参、昔の人を大切にしていると伝わってくるかどうか
　俵万智が出てたテレビでSNSは嫉妬製造機と言ってたけど、自分は他人の説の受け売りが多いかと

おまけ

　炎王ストラク一箱の使い道。
結局パーツ取りで終わるかスネークアイのパーツもほとんど制限カードなのでこの際ハイランダーにしてしまうか。屋敷わらしとロンギヌスも入れて除外対策。青眼ストラクから変わって一箱でも強いし、ネットには三箱改造文化は残ってるけど、子供の頃に一箱で遊んでた的な話の延長はほとんどない