第１５話　好敵手との別れ　作：BLUE忍者

程なくして草原を抜け、山道に差し掛かろうとしていた。

ガエル・サンデス「さあ、おれ様が連れて行けるのはここまでだ」

カイ夫「ありがとうございます！　助かりました」

ひょうすべ「思ったより遠かったな！　歩いてたら何日かかったか！」

ガエル・サンデス「礼には及ばん……。　おれ様たちのような者の希望の光となってくれることを祈っている」

オタマジャクシ「おれっちたちも一緒に行ってやりたいけどよ……水気の無いところじゃ生きられない性分なんでな！」

　そこはちゃんと両生類なんだね……。

オタマジャクシ「代わりにおれっちのカードを特別に渡してやるぜ！　気が向いたら、手伝ってやるからよ」

　照れくさそうにそう言う姿を見て、僕とひょうすべさんは顔を見合わせて微笑んだ。

［カイ夫は「悪魂邪苦止」「ワン・フォー・ワン」を手に入れた！］

カイ夫「これは……使い道が多そうなカードですね」

ひょうすべ「そうかあ？　レベル1のモンスターを出してもしょうがないだろ」

オタマジャクシ「なんだと！？　お前はおれっちのデュエルで何を見ていたんだ！」

　冗談めかして言うひょうすべさんにオタマジャクシもいつもの調子で返した。
　その様子をガエル・サンデスさんが嬉しそうに見ていた。

ガエル・サンデス「おれ様のカードも渡しておこう。　お前たちには使いこなせないかもしれないけどな」

［カイ夫は「ガエル・サンデス」「融合解除」「フロッグ・バリア」を手に入れた！］

カイ夫「ガエル・サンデスさんもありがとうございます！」

ひょうすべ「これは……確かに使いこなすのが難しそうだな」

カイ夫「あ、このカードひょうすべさんの融合と相性いいんじゃないですか？」

ひょうすべ「カイ夫……お前まで俺のカードをバカにしてくるのか……。　どうせ俺は自分のカードすら使いこなせてないですよー！」

オタマジャクシ「ぎゃはははは！」

ひょうすべ「笑うな！　いいともよ！　いつかこのカードを使いこなせるようになってやるぜ！」

［ひょうすべは「融合解除」を手に入れた！］

カイ夫「よし！　それじゃあ、行って来ます！　氷結界に！」

オタマジャクシ「じゃあな！　カイ夫！　ひょうすべ！　ちったあ強くなって帰って来いよ！」

　僕らはお互いの影が見えなくなるまで手を振り合った。

　その後山道をいくらか進んだころ。
雨の上がった曇り空に遥か遠くの山を仰ぎ、氷の結界に囲まれた一角を見つけた。

カイ夫「あれが……氷結界ですかね？」

ひょうすべ「そうみたいだな。　なんだカイ夫いまさらビビってるのか？」

カイ夫「そんなことないですよ！　確かにシーラさんから話を聞いた時は少し不安でしたが……なんだかオタマジャクシから勇気をもらった気がします」

ひょうすべ「わかるぜ……俺も同じ気持ちだ。　あいつらのためにも頑張らないとな……って思えてくるんだ」

　僕らの背中を押すように、強い風が吹いた。

カイ夫「とりあえず夜も更けましたし、休憩しましょうか」

ひょうすべ「そうだな！　俺は食料を調達してくるから、カイ夫は寝床になりそうなところを探しておいてくれ！」

カイ夫「分かりました！　新しいカードも手に入りましたし、デッキも組み直しますか！」