第九十四話　遺したもの　作：くちなし

・第2走者の白桃はノームの場に光子竜皇が復活したこと、そしてその追加効果に驚く。それを見た咲夜が、
デュエル中の白桃、待機中のハルヒ、擬宝珠、ルカナ、咲にある作戦を言う⋯⋯

☆★☆★

フィールド
・白桃⋯⋯閃珖竜アサルト・スターダスト(ATK3500)、伏せ4枚、手札5枚(除外⋯⋯閃珖竜スターダスト)
・ノーム⋯⋯銀河眼の光子竜皇(ATK8000)、銀河特攻、伏せ1枚、手札6枚


Turn14　player 白桃　手札5→6

「私のターン！罠発動！強化蘇生！」


『強化蘇生』　永続罠カード　(要約)
①自分の墓地に存在する☆4以下のモンスター1体を選択して特殊召喚する。そのモンスターが破壊された
　時、このカードを破壊する。
②このカードの①に効果で特殊召喚されたモンスターのレベルは１上がり、攻守は１００アップする。


「私が特殊召喚するのは⋯⋯ライト・スターダストよ！」

「何⋯！レッド・リゾネーターじゃないのか⋯⋯！？」

「手札を１枚捨て、ブースト・シンクロンを特殊召喚！このモンスターはクイック・シンクロンと同じ能力を持つ！」

「何⋯⋯！」

『ブースト・シンクロン』　☆4/地/機械族/チューナー/ATK/DEF 1300/0　(オリジナル)
このカードの①の効果は1ターンに1度しか発動できない。
①このカードは手札を1枚捨てて、手札及び墓地から特殊召喚できる。
②このカードは「シンクロン」Sモンスターのチューナーの代わりにすることができる。
③相手メインフェイズに発動できる。このカードを含むS素材を墓地に送りS召喚する。

「☆2となったライト・スターダストに☆4のブースト・シンクロンをチューニング！」

「☆6代替シンクロ⋯⋯！」

「⋯⋯シンクロ召喚！来て！ドリル・ウォリアー！」

「そのカードは、攻撃力を半分にして直接攻撃できるカード⋯⋯！」

「ドリル・ウォリアーで直接攻撃！ドリル・ウォリアーの元々の攻撃力は2400！よって1200のダメージよ！」

「うぉ⋯⋯！」　(ノームLP4000➡2800)

「私は2枚伏せてターンエンド」


Turn15　player ノーム　手札6➡7

「俺のターン！俺は手札からAR‐力の解咆‐を発動！」


『AR‐力の解咆‐』　魔法カード　(オリジナル)
①互いの場にドラゴン族モンスターが存在する時に発動できる。このターン、ドラゴン族モンスターの
　効果を無効にする。
②自分のターンに発動した時に使用できる。このターン、自分のモンスターの攻撃力を2倍にする。
③このカードの２の効果を発動したターンのエンドフェイズに発動する。効果を受けたモンスターを破壊する。


「ドラゴン族専用のリミッター解除⋯⋯！？でも効果が無効になる筈。ダメージはさらに小さくなるだけよ⋯⋯！」

「光子竜王の効果は永続だ！よって無効になっても数値の上昇は持続する！アサルト・スターダストの効果は☆８以上のSモンスターを除外しないと使えない⋯⋯しかし、墓地にはもうSモンスター自体が存在しない⋯⋯！よって蘇生はもう不可能！」

その時、白桃はもう1つ、驚愕な予想を立てる。それは、光子竜皇の「戦闘ダメージ軽減効果」も消えるのではないか、という事だ。白桃の推測通り、その考えは見事に当てはまってしまった。

「バトル！光子竜皇でアサルト・スターダストに攻撃！閃光のエタニティ・ストリーム！」

さらなる威力を得た光子竜皇の一撃が放たれる。光子竜皇の攻撃力は⋯⋯16000。
アサルト・スターダストとのバトルで発生するダメージは⋯⋯12500。

「キャー⋯⋯！！」　(白桃LP6500➡0)

衝撃を受けてDホイールがクラッシュ寸前にまで追い込まれる。

「(咲夜⋯⋯！ゴメン、もう少し、疾走り(はしり)たかった⋯⋯でも、、あの時言われたことは⋯⋯)」

「あの時」言われたこと、そう、ピットインした時に咲夜がこっそり言った事⋯⋯

ーーー
咲「白桃。ちょっとさ、ある事をやってほしいんだ」
桃「ある事⋯⋯？」
咲「擬宝珠にバトンを回す時、アサルト・スターダストを残して置いて欲しいんだ」
桃「分かった、やってみるわ」
咲「頼んだよ」
ーーー

《アサルト・スターダストを守る事。それが作戦の1つの要⋯⋯》


白桃はぎりぎり持ち堪える。最後の一息。途切れ途切れに⋯⋯カードを発動する。

「Wリバース⋯⋯オープン⋯⋯！ARS‐希望の欠片‐⋯⋯！」
　

『ARS‐希望の欠片‐(パーツ・オブ・ホープ)』　速攻魔法　(オリジナル)
①自分が3000以上のダメージを受けた時に発動できる。EXデッキからSモンスター1体を特殊召喚する。
②この効果で特殊召喚したモンスターの守備力は0になり、攻撃力が500アップする。


「EXデッキから特殊召喚！？」

「LPが尽きても、希望はある！「夢の欠片がある限り、希望は永遠に紡がれる！一筋の光のもとへ
　舞い降りよ！」現れよ！スターダスト・ドラゴン！」

★☆★☆

咲「嘘だろ⋯⋯！白桃のLPが一撃で⋯⋯？」
擬「でも彼女はスターダスト・ドラゴンと1枚の罠を残してくれました。おそらく、あのカードは⋯⋯」

☆★☆★

「2枚目⋯⋯、罠カード、『緊急蘇生』！」

「蘇生⋯⋯！」

『緊急蘇生』　罠カード　(オリジナル)
①自分の墓地のモンスター1体を選択して、そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。
②発動したターンのエンドフェイズに発動する。①の効果で特殊召喚されたモンスターを破壊する。


「復活せよ！閃珖竜アサルト・スターダスト！」

「緊急蘇生」⋯⋯このカードはイリアが遺したカードの1枚だった。

☆★☆★

無「やはり、蘇生カードでしたか⋯⋯」
咲「でも、エンドに自壊するんでしょ？」
無「はい。しかし、スターダスト・ドラゴンの効果をご存知ですか？」
咲「カードを破壊する効果を自身をリリースし、無効にし破壊、エンドフェイズに自己蘇生、、そうか⋯！！」
無「緊急蘇生の自壊効果はエンドフェイズ発動なので、実質ノーコストでアサルト・スターダストを守れます」

一方、少し離れた所にて。

イ「白桃⋯⋯使ったのね。「緊急蘇生」を⋯⋯」
ル「それより、早く行かないと！」
　ルカナの声に同意し、みんなでピットへ向かう。

★☆★☆

「ふん、本家スターダスト・ドラゴンを出したところでどうせ何もできんだろう。俺はこれでターンエンド」

「エンドフェイズ時⋯⋯緊急蘇生の自壊効果が発動。この効果をスターダストをリリースし、無効にして破壊！」

「成程。そういう事か⋯⋯！」

「発動ターンのエンドフェイズ時、つまり今、スターダストは自身の効果で帰還する！舞い戻れ！スターダスト！」

司「ここで『チームSDA団』第二走者西荻が敗れる！しかし、場にはスターダスト・ドラゴンを残した～！」

☆★☆★

そして、ピットに白桃が戻ってくる。

咲「桃⋯⋯！大丈夫か⋯⋯！」
桃「さく⋯⋯や⋯⋯わたし、、遺した、、よ⋯⋯。後は⋯⋯」
　気が抜けて、力尽きたのか、そう言い残して、咲夜のもとへ倒れる白桃。

イ「白桃ちゃん！？」
咲「白桃！しっかりしろ！おい！」
ル「早く！白桃ちゃんを医務室に！」
梨「緊急手当てを申請する」
咲「⋯⋯頼んだよ⋯⋯擬宝珠、、いや、無花果⋯⋯」
擬「はい。白桃さんの遺したチャンス、絶対活かします。そして、あの事も⋯⋯」


第九十五話へ続く