第七十四話　謎の行方不明人物　作：くちなし

・咲夜が放課後、教室に残っていると灰原と名乗る少年が咲夜に警告をしに来た。「君じゃルシアスには勝てないよ」と。そして少しばかりルシアスの事を教えて消えた。彼は何者なのか、何故、彼は咲夜がルシアスに恨みがある事を知っていたのか⋯⋯


翌日。昼休み。

咲「⋯⋯」
蓮「どうかしましたか？」
咲「蓮、『灰原封佑』って奴、知ってるかい？」
蓮「いいえ、存じませんが。何故？」
咲「いや、何でもない。ありがとな」
　そう言って走って咲夜は去っていった。

放課後。部室にて。

ハ「遅いわよ、咲夜！」
　ああ、また説教か。

ハ「まぁ、いいわ」
　周りには誰もいない。

咲「なぁ、ハルヒ」
ハ「なに⋯？」
咲「『灰原封佑』って奴の事知らないか？」
ハ「知ってるわ。謎事件だもの！確かある日の放課後、行方不明になってるわ、このファイルに書いてあるわよ」
　そんな話をワクワクした表情で言うな。

咲「行方不明⋯⋯！？ちょっと見せて！」
　咲夜はハルヒが取り出したファイルを取り上げて、見る。確かにそいつの欄があった。

咲「『灰原封佑⋯⋯X年Y月Z日の放課後、アカデミアにて行方不明』って⋯⋯じゃ、昨日見たのは⋯⋯！？」
ハ「サキ、どうかしたの？」
咲「僕⋯⋯昨日、こいつに会ったぞ⋯⋯！そっくりこの顔写真と同じ顔で⋯⋯！」
ハ「有り得ないわよ。だって私が入学する前の話よ。生きてても成人さんよ」
咲「いや、同じ顔で会った⋯⋯！」
ハ「謎事件ね！題して『行方不明者そっくりそのまま目撃事件』！」
　ほんとにそっくりそのままだな。オイ。

そしてハルヒに連れていかれ教室に連れてこられる。
そして、放課後の教室で指紋採取を行った。

白「何してるんですの？」
　来たのは白桃。そして偶然か否か昨日の二人も来た。

み「な、なにしてるんですか？」
ハ「見てわかるでしょ。指紋採取中よ」
無「誰のですか？」
ハ「行方不明者のよ！」
み「なんでそんな事を⋯⋯？」
ハ「サキが昨日行方不明者に会ったんだって。なんか手掛かりがあるかもしれないから」
白「もしかして『灰原』とかいう人の事ですの？」
ハ「あら、なんで知ってるの？」
白「私も会ったんですの」
咲「な⋯⋯！？どこで？何の話をされた？」
白「昨日の部室でですの。確か『早柿ハルヒと水無月咲夜には関わらないことを勧める』でしたの」
　余計に解んなくなってきた。僕にはルシアスの事、何故西荻さんには僕らを遠ざける様な事を言ったんだ。

ハ「ますます気になるわね。あんた達も手伝いなさい！」
　そう言うと有無を言わせまいとした表情をする。３人は教室に入る。

さらに１時間後。
ハ「あったわ！」
咲「何がだ？」
ハ「このクラスの人以外の指紋が１つだけ！」
　場所はスクリーン。昨日、映像を見た時に指差してたな。その時に触れたのだろうか。

ハルヒはみんなを連れて校長室へ入った。
ヨハンはこの事を聞くと、指紋を受け取り、ファイルを開く。ある頁と照らし合わせるとぴったり重なった。

ヨ「これは、本人のだ⋯⋯！」
　僕、唖然。西荻さん、表情変わらず。ハルヒ、笑顔。例えるなら某有名アニメの「にっこにっこにー」だ。

その後、咲夜となぜか擬宝珠無花果までが取り残されて、事情聴取された。

無「私はアカデミアの神が解き放たれつつあると言われました」
　なんとこいつまでもが会っていたのだ。

そして、数十分後、部室に戻った時には西荻さんしか居なかった。

咲「西荻さん⋯⋯じゃなくて、桃さん」
白「⋯⋯？」
咲「なんで言わなかったの？」
白「貴方が遠ざけられるのが嫌だからです」
　いきなり何を言い出す。

咲「どういう事？」
白「前も言ったように早柿ハルヒに選ばれた貴方が一番狙われやすい。だから」
咲「何か都合が悪いのか？」
白「嫌な予感がするんですの」
　何を狙われるんだ。生命か？それともハルヒとの関係か？
　聞きかえそうとした瞬間、擬宝珠が入ってきて話は自動的に終了。

咲「擬宝珠さんももう帰るんですか？」
無「はい。では失礼いたします」
　そう言って部室を出て行った。

白「兎に角、気を付けてくださいね」
　そう言って白桃も荷物を持って部屋を出て行った。残された咲夜。その場に座り込む。

咲「なんなんだ⋯⋯！」
　ホントに。未来人がいたり、行方不明者に会ったり。超常だ。精神的に参っちまうよ。

そう思った咲夜であった。


第七十五話へ続く