60 狙われた夏武斗　作：ギガプラント

フードの男「私も新しいカードが欲しかったんですよ。とびきりのレアカードが…。」


夏武斗「ん…？アンタ誰だ？」


フードの男「名乗るほどの者ではありません。名乗る必要もありませんしね。」


夏武斗「はぁ！？なんだよそれ…？」



デュエルディスクを構える男



夏武斗「な、なんだよ？デュエルするってのか…？」


フードの男「はい。私が勝ったらあなたのカードを頂きます。」


フードの男「敗者は勝者に奪われる。実に分かりやすい。」


夏武斗「んなっ…！！」


夏武斗「ふざけんな！アンティデュエルは禁止されてるだろ！！……お前まさか雇われデュエリストか！？」


フードの男「雇われ……あんな低俗な物と一緒にされるとは心外ですねぇ。」


夏武斗「お前が誰かなんてどうでもいい！俺はこんなデュエル……」
フードの男「逃がすとでもお思いですか…？」


夏武斗「！？」


男の不思議な気迫に押され、一瞬怯む夏武斗。


フードの男（ﾆﾔﾘ）


辺り一面を禍々しい気が包み込む。


夏武斗「なんだこれ！？」


邪気は一気に渦を巻き、夏武斗達を囲むように円を描くように取り巻く。
黒い結界はドーム状になり二人を包み込む。


フードの男「この結界からは出ることは勿論入ることもできません。つまり貴方は私とデュエルする以外の選択肢が無いという事です。」


夏武斗「くっ…！」


夏武斗（夢でも見てんのかよ…。）


夏武斗（こうなったら、やるしかないのか…！？）






夏武斗「くそっ！！分かった！やってやる！！」


夏武斗「俺が勝ったらセキュリティに突き出してやるからな！！」


フードの男「ふふ…。」


夏武斗「んにゃろう！行くぞ！！」





dPhoneモードチェンジ！Ｄパッドモード！



ターゲットロックＯＫ！



ビジョンリンクＯＫ！



ファーストディールＯＫ！



デュエル！！






夏武斗「俺のターンだ！」


夏武斗「自分フィールドにモンスターが存在しない時、このカードは手札から特殊召喚できる！」


夏武斗「現れろ！『ウィング・シマー』！」星４・ＤＥＦ１５００


夏武斗「更に俺は『ブルズアイ・フェアリー』を召喚！」星３・ＡＴＫ１０００


夏武斗「俺はレベル４のウィング・シマーにレベル３のブルズアイ・フェアリーをチューニング！！」




燃え上がる命の焔よ！鮮麗なる羽音響かせ、深き夜天を照らしだせ！



シンクロ召喚！



羽ばたけ！『煌翅蝶（こうしちょう）－フェニックス・バタフライ』星７・ＡＴＫ２３００




フードの男「ほう…。」


夏武斗（まずは攻撃を防げるフェニックス・バタフライで様子見だ…！）


夏武斗「俺はカードを１枚セット！ターンエンドだ！」



フードの男「では私のターン。ドロー。」


フードの男「ふふ、私は『ダメージ・デプター』を召喚。」星４・ＡＴＫ１５００
薄気味悪い仮面をつけた男。なにやら書類のような物を抱えている。


フードの男「私はこれでターンエンドです。」


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（上波総合病院）


光輝「それにしても…大駕をデュエルでここまでするなんて…。」


奏「そうよ。アンタまさかチンピラ相手だからって手抜いたりしてないでしょうね！？」


大駕「デュエルにおいて儂が手を抜くなどありえん！正々堂々全力で闘い合うのが儂のモットーじゃ！」


奏「…分かってるわよ。それじゃ相当な手練れだったってことね。」




大駕「…手練れなどであるものか。」



光輝「えっ？」


大駕「奴は……デュエリストとして、否…人間としても風上にすら置けぬ輩じゃよ。」







大駕「あんなに性根の腐りきった奴は初めてじゃわい…！！！」




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フードの男「くく…ふふふ…！」


夏武斗「な、なんだよ！」


フードの男「いやはや…この状況にまだ勝機を感じているあなたが滑稽で面白いのですよ。子供らしい未熟な精神だ。」


夏武斗「なんだと！！お前っ！！？」


フードの男「おおっと…張り切るのは自分のターンになってからにしてください。」


夏武斗「うるせぇ！！俺のタ………」
？「俺のターン…」


夏武斗「！？」



目の焦点が合っていない３人の人影が夏武斗の後方より現れる。
スーツ姿の中年の男性、どこかの店の制服姿の女性、ラフな格好をした細身の男、とても正気には見えない面々が黒い結界の外から入ってくる。



中年男性「………」


女性「………」


細身の男「………」


全員がデュエルモードとなったdPhoneを構えている。



夏武斗「なっ！！？」



フードの男「あぁ…先程の説明、少々訂正させて頂きます。」


フードの男「この結界は『私が許可した者以外』は出ることも入ることもできません。」


フードの男「言ったでしょう？私のデュエルを受けた時点であなたの負けは決まったも同然なんですよ。」


夏武斗「４人がかりだって……くそっ！卑怯だぞ…！」


フードの男「彼等に気づかない貴方が悪いのですよ。己の注意力の無さを棚に上げて卑怯呼ばわりしないで頂きたい。ふふ…。」


中年男性「俺は…カードを４枚セット…。」


中年男性「『シェイド・マージ』を召喚……。」星３・ＡＴＫ１０００
全身が真っ黒に染まった怪しい魔術師。


中年男性「シェイド・マージの効果……全てのプレイヤーは、フィールドにセットされたカードの数×２００ポイントのダメージを受ける…。」

シェイド・マージが杖を振り上げ、フィールド内に閃光を巻き起こす。


夏武斗「ぐわっ！！」ＬＰ４０００→３０００


中年男性「………」ＬＰ４０００→３０００


女性「………」ＬＰ４０００→３０００


細身の男「………」ＬＰ４０００→３０００




フードの男「ふふ…私はダメージ・デプターのモンスター効果を使わせて頂きます。」


フードの男「効果によって自分がダメージを受ける場合、そのダメージを無効にし、代わりにこのカードにダメージカウンターを１つ乗せます。」

書類の束が閃光を吸収する。


夏武斗（くっ…身体がピリピリする…。）


夏武斗（なんだよこのダメージ…まるで本物の電撃みたいな…。）


男「……ターンエンド。」


夏武斗「くそっ…！」





夏武斗（こいつら…普通じゃない。）


夏武斗（あんなダメージを受けて顔色一つ変えないなんて…。）


女性「私のターン…」



女性「私は…カードを４枚セット…。」


女性「『シェイド・マージ』を召喚……。」星３・ＡＴＫ１０００


夏武斗「また…！」


女性「シェイド・マージの効果……全てのプレイヤーは、フィールドにセットされたカードの数×２００ポイントのダメージを受ける…。」


夏武斗（セットされたカードの枚数が増えてる…さっきよりダメージが…！）


夏武斗「うわああっ！！」ＬＰ３０００→１２００


中年男性「………」ＬＰ３０００→１２００


女性「………」ＬＰ３０００→１２００


細身の男「………」ＬＰ３０００→１２００


フードの男「ダメージ・デプターの効果発動。」


フードの男「効果によって自分がダメージを受ける場合、そのダメージを無効にし、代わりにこのカードにダメージカウンターを１つ乗せる。」


夏武斗「てめぇ！！一人だけ涼しい顔しやがって！」


フードの男「人聞きが悪いですねぇ…これは戦術ですよ。」


フードの男「標的を確実にしとめる為の…ね。」


夏武斗「ぐっ…！」


細身の男「僕のターン…」



細身の男「僕は…カードを４枚セット…。」


細身の男「『シェイド・マージ』を召喚……。」星３・ＡＴＫ１０００


夏武斗「なっ…！」


細身の男「シェイド・マージの効果……全てのプレイヤーは、フィールドにセットされたカードの数×２００ポイントのダメージを受ける…。」


夏武斗「おい！そんなことしたら…！」


シェイド・マージが閃光を放つ。


夏武斗「くっそぉっ！！罠カード『スペリオル・ガッツ』発動！」


夏武斗「ライフを半分払い、このターン自分が受ける全てのダメージを０にする！」ＬＰ１２００→６００


フードの男「ほぉ…耐えましたか。思っていたよりはやるようですね。」


中年男性「………」ＬＰ１２００→０


女性「………」ＬＰ１２００→０


細身の男「………」ＬＰ１２００→０



ダメージを受けた３人は次々とその場に倒れる。



フードの男「ダメージ・デプターの効果発動。」


フードの男「効果によって自分がダメージを受ける場合、そのダメージを無効にし、代わりにこのカードにダメージカウンターを１つ乗せる。」


フードの男「そちらの彼のライフが０になったので強制的に次のターンですね。」


フードの男「お待ちかね。次はあなたのターンです。さぁどうぞ。」


夏武斗「てめぇ！！ふざっけんな！！仲間が３人も倒れたってのに……」


フードの男「仲間？ご冗談を。私は彼らの名前すら知りません。」


フードの男「あなたを倒す為の手駒として、ちょっと手伝ってもらっただけですよ。」


夏武斗「はぁ！？どういうことだよ！！」


フードの男「使えない脇役の事などもうよいでしょう。早くデュエルを続けてください。私もあまり時間をとりたくないのです。」


夏武斗「…もうあったまきた！！ぶっ飛ばしてやる！！」


夏武斗「俺のターン！ドロー！！」


夏武斗「俺は『クレストウィング・フェアリー』を召喚！！」星１・ＡＴＫ５００


夏武斗「そして俺はレベル７のフェニックス・バタフライにレベル１のクレストウィング・フェアリーをチューニング！！」





密林の王者よ！燃えたぎる闘志をその身に宿し、猛き一撃で勝利を掴め！



シンクロ召喚！



出でよ！『ヴィクトリー・ビートル』！星８・ＡＴＫ２５００




フードの男「おお…！」


フードの男「それですよ！まさに私の目的はそれ！『ヴィクトリー・ビートル』！！」


フードの男「いやぁ、素晴らしい。……今から手にできると思うとワクワクする！」


夏武斗「うっせぇ！！おまえなんかにやるかよ！！こいつは俺の一番大事なカードだ！！」


夏武斗「俺は墓地のクレストウィング・フェアリーのモンスター効果発動！」


夏武斗「このターン中、ヴィクトリー・ビートルの攻撃力は５００ポイントアップする！」ＡＴＫ２５００→３０００


夏武斗「あんな野郎ぶっとばせ！！行け！ヴィクトリー・ビートル！！ダメージ・デプターを攻撃！」


夏武斗「ヴィクトリーホーン・ストライク！！」




大角の一撃がダメージ・デプターの身体を大きく弾き飛ばす。



フードの男「………」ＬＰ４０００→２５００


夏武斗「これで終わりだ！ヴィクトリー・ビートルで………」
フードの男「ダメージ・デプターの更なる効果発動。」


夏武斗「何っ！？」


フードの男「このカードが相手によって破壊された時、このカードに乗っていたダメージカウンターの数×５００ポイントのダメージを相手ライフに与える。」


夏武斗「！！」


フードの男「…言ったでしょう？勝機を感じていた事自体限りなく滑稽なのですよ。」


フィールドに散らばっていた書類から３つのエネルギー弾が放出され、夏武斗に襲い掛かる。


夏武斗「っ！！」


夏武斗「うわあああぁぁぁ！！！」ＬＰ６００→０





ＷＩＮ・フードの男








フードの男「…まぁ予想よりは粘りましたよ。結果は見ての通りですが。」


夏武斗「くそっ…身体が…動か……な…！」


ゆっくりと夏武斗の方へ歩き出す。


フードの男「………」


男が手を翳すと、ヴィクトリー・ビートルのカードが浮き上がり、男の掌に引き寄せられる。


夏武斗「か、え……」


フードの男「あのダメージでまだ意識がありますか…。中々の執念です。」


フードの男「『ヴィクトリー・ビートル』…確かに頂きました。」


フードの男「私が責任をもって愛でさせて頂きますので……どうぞご安心を。」


一人歩き去る男。





夏武斗「ま………て」










夏武斗「ヴィ…ク………」








意識を失う。






終











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（次回予告）


夏武斗「………」


天音「夏武斗君…。」


夏武斗「………はあ。」


天音（こんな時、なんて言ってあげればいいんでしょう。）


夏武斗「…ヴィクトリー・ビートル。」


天音「次回、『奪われたヴィクトリー・ビートル』」


夏武斗「……クソッ！」
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・３人とも詰め込み？気のせい気のせい。