08 路地裏の再会　作：ギガプラント

（ジェネシック・エレクトロニクス本社・モニタールーム）


アストベリー「…やはり過度なＤオーラ反応な無しか。」


オペレーター「はい…該当のデュエルですが、振れ幅こそあるものの常時ライティー級。昨日のような大きな反応は見られません。」


アストベリー「むぅ…。」


アストベリー（彼とあのシンクロモンスターの反応であると踏んでいたが…違ったか？）


アストベリー（だとすれば…）





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（Ｍ.Ｃ.Ｃデュエルセンター・フリーデュエルスペース）












青年「俺はレベル４の修験者とレベル３の破術師にレベル２の術者をチューニング！」



冷たき闇より生まれし者…永劫の刻を経て今ここに再誕し、この世の全てを凍てつくさん！



シンクロ召喚！



目覚めよ！『氷結界の龍 トリシューラ』！星９・ＡＴＫ２７００





青年「トリシューラの効果発動！相手のフィールド・手札・墓地のカードを１枚ずつ除外する！」


夏武斗「何っ！？」


青年「俺はお前の手札１枚と墓地のスワローテイル・フェアリー、そしてフィールド上の突甲戦士 ギラファイターを除外する！」

フィールドに冷たい咆哮を上げるトリシューラ。夏武斗の手札墓地フィールドのカードが凍りつき砕ける。


夏武斗「くそっ！なんて強力な効果だ！！」


青年「バトルだ！トリシューラでダイレクトアタック！」


夏武斗「ぐあああ！」ＬＰ３２００→５００


青年「俺はこれでターンエンドだぁ！」


青年「どーだ俺のトリシューラの力は！お前にもう勝ち目はない！」


夏武斗「いや、まだライフは尽きてない！勝負はここからだぜ？」



夏武斗「いくぜ！笑顔百倍突き進む！」


夏武斗「笑う門には………ヴィクトリイイイィィィ！！！」




夏武斗「よし！俺は『次元ボタル』を召喚！」星２・ＡＴＫ８００

異次元からひょっこり顔を覗かせている蛍。


青年「そんなモンスターで何が…！」


夏武斗「次元ボタルの効果発動！自分フィールド上のカード１枚を墓地へ送る事で、除外されている昆虫族モンスター１体を特殊召喚する！」


夏武斗「俺は次元ボタルを墓地へ送って、除外されたギラファイターを特殊召喚！」星５・ＡＴＫ２０００

次元ボタルが空けた異次元への穴が大きくなり、中からギラファイターが帰還する。


青年「くっ！だが攻撃力はトリシューラの方が上だ！」


夏武斗「へへん！俺は装備魔法『アブソーブ・ウィップ』をギラファイターに装備するぜ！」


夏武斗「このカードを装備したモンスターが、自身より高い攻撃力を持つモンスターに攻撃する時、相手から攻撃力を１０００ポイント吸収する！」


青年「なんだと！？」


夏武斗「バトルだ！ギラファイターで氷結界の龍 トリシューラを攻撃！」


夏武斗「この瞬間！アブソーブ・ウィップが相手モンスターの力を吸収するぜ！」ギラファイターＡＴＫ２０００→３０００　トリシューラ２７００→１７００


青年「俺のトリシューラの攻撃力が！！」


夏武斗「よし！そのまま突っ込め！！クラッシャーダイブ！」

力を吸われたトリシューラに向かって突進するギラファイター。


青年「トリシューラ！」ＬＰ２５００→１２００


夏武斗「そしてギラファイターの効果発動！このカードが相手モンスターを戦闘破壊した時、このカードの攻撃力の半分のダメージを相手ライフに与える！」


夏武斗「３０００の半分、１５００ポイントのダメージだ！！」


夏武斗「メンダブル・パワーフォース！」


青年「うわあああぁぁぁ！！」ＬＰ１２００→０



ＷＩＮ・夏武斗




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青年「へっ…やるじゃんかお前。」


夏武斗「おまえもな！」


天音「好調ですね夏武斗君。」


夏武斗「あぁ！この調子でバンバン勝ってやるぜ！」


天音（で、でも…これで何戦目でしたっけ？休憩なしでよくここまで戦えますね…。）


天音（ここ毎日ずっとこの調子で…凄いバイタリティです…。）


夏武斗「そうだ！さっきのシンクロモンスター。なんかすっげえ光ってて格好良いな！」


青年「トリシューラのことか？へへ…こいつはつい昨日手に入れた物よ。何年か前に出たシークレットレアの限定品なんだぜ！良いカード屋を見つけてなぁ。」


夏武斗「カード屋？」


青年「ああ。なんでも最近オープンしたとかなんとかでな。すっげえ掘り出しもんが沢山あるってんで行ってみたのよ。」


夏武斗「すっげぇ掘り出しもんかぁ…！俺も行ってみてぇぜ！」


天音「上波町内のカードショップはかなりの数ですからね。色々覗いてみるのも面白いですよ。」


青年「まぁ負けちまったしついでに教えてやるよ。…けど周りには内緒だぜ？」


夏武斗「うんうん！サンキュー！」








青年「うーん…昨日に引き続き今日も負けか。やっぱりこいつ用にデッキを組み直さなきゃ駄目だな。」



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（上波町）



夏武斗「あ～掘り出しもんかぁ～何があるんだろうなぁ天姉～！」


天音「か、夏武斗君…その台詞もう５回目ですよ…？」


夏武斗「だってさ～掘り出しもんだぜぇ？なんだかワクワクしてくる響きじゃん？」


天音「あはは…そうですね。」


夏武斗「っと、ここを右に…でいいのかな？」

dPhoneを確認し立ち止まる。


天音「えと…右じゃなくて左ですね。もう２箇所先にあるお店を…。」


夏武斗「あれ？そっか。ありがとな天姉！いやぁ都会の街って建物ばっかで全然道がわっかんねえやｗ」


天音（夏武斗君…よくお家に帰れましたね…。）


夏武斗「ようし！それじゃ行こうぜえ！！」


天音「…一緒に付いてきておいて良かった。」


夏武斗「ん？どーした天姉？」


天音「あ、すいません！今行きます！」




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（Ｍ.Ｃ.Ｃデュエルセンター）



楯山（むむ…どこを探してもマイスィートアンドロメダ天音さんがいらっしゃらない…。本日はお休みなのか？ふむ、確実に居る保障などどこにもないが…まさか風邪など挽いておられるのでは！？だとすればこの楯山英雄、急ぎお見舞いに……）


伊世「お～い青少年？お～い？」


楯山「やや！これはこれは…何かご用でしょうか？」


伊世「いや別に用って程じゃないけどね…通路の真ん中で棒立ちされると邪魔だからどいてくれる？ラヴァゴじゃあるまいし…。」


楯山「はっ！すいません！少々考え事をしていたもので。直ぐに退きます。」


楯山（いかんいかん僕らしくもない。…そうだ。きっとご自宅でデッキの調整でもしているに違いない！マイスィートアンドロメダ天音さんは勉強熱心だからな！）


伊世「…因みに天音ならあの角坊主（つのぼうず）と一緒にどっかのカードショップ行くって言ってたわよ。」


楯山「なあああぁぁぁ！！！？？？」


伊世「やーれやれ…。」



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（上波町・謎のカード屋）

怪しげな外観。両端のビルに挟まれ建物の小ささが引き立っている。


天音「えーっと……ここみたいですね。」


夏武斗「なんか秘密の場所っぽいな…！ワックワクするぜ！」


天音「この辺りはあまり来た事がありませんが…古いお店なんでしょうか…？」


夏武斗「ま、とりあえず入ろうぜ！！」







夏武斗「おっじゃまっしま～す！！」


奥から現れる若い女性。


女店員「はいはいようこそぉ！ゆっくり見てってくださいねぇ。」


夏武斗「へへ！そういや上波町のカード屋は初めてだぜ！」

ショーケースにへばりつく夏武斗。


天音「へぇ…。」


天音（こじんまりしたお店ですけど…中は結構可愛いかも。）


夏武斗「うおおおすっげえええ！！」


天音「！！？」


夏武斗「見ろよ天姉！『グレートモス』！本物だ！…うわこっちは『インセクト女王』！初めて見たぜえぇ！あ！あれは伝説の『究極害虫神－ゴキボール・アンリミデッドNeo』！！？」


天音「えと…夏武斗君？お店では静かに…」


女店員「いいんですよいいんですよぉ！うちのお店品揃えだけはすんごいですから！ほらお姉さんもどーぞどーぞ。」


天音「は、はあ…。」


天音（でもホント…かなりのレアカードばかりですね…確かに掘り出し物満載です。）


夏武斗「はぁ～すげえ…迷うなぁどれにしよっかなぁ。」


女店員「ふふん…ここの商品は日によって様々ですからねえ。今買わないと次には売り切れてその後永遠に搬入しないなんてこともありえますよぉ…？」


夏武斗「なにぃ！？だったら尚更慎重に選ばねえと！えーっと…今の手持ちは…」


夏武斗「………」


夏武斗「……」


夏武斗「…」


夏武斗「あ」

ポケットに手を突っ込んだまま固まる夏武斗。



天音「夏武斗君？」


夏武斗「ああああｱあああぁぁぁァァァ！！！」


夏武斗「財布忘れたあああぁぁぁ！！！」










女店員「あれま…流石にお金がないならどうしようもないです…。」


夏武斗「俺の…俺のカー…ド。」


天音「あ、あはは…御愁傷様です。」


夏武斗「ぐぅ…やっちまったぜ…。」


天音「えーと…あの、良かったらお貸ししますけど？」


夏武斗「いや大丈夫…昔っから爺ちゃんに言われてんだ。『パラサイド借りても金は借りるな』ってね。」


天音「そ、そうですか…。」


夏武斗「それより天姉はいいのか？なんか買わなくて」


天音「私は……とりあえず今はやめておきます。」


女店員「そ～ですか？今じゃなきゃ手に入らないかもしれないですよ？」

ｸﾞｲと迫る女店員。


天音「ま、また次の機会にしておきます。」


夏武斗「んじゃ、そろそろ行くか。…ん？」

店のドアの裏側に張り紙。そこにはとある青年の顔写真がある。


夏武斗「こいつ…！！？」


天音「夏武斗君どうし……え？」


女店員「ああそれ？この近くにたむろってるデュエリストなんですよ。」


女店員「なんかこの近くで色んな相手をちぎっては投げちぎっては投げって感じらしくて…なんかちょっと怖いんですよねぇ。」


女店員「そうそう！その人に勝ってきたらここの商品どれか半額でサービスしますよぉ。」


女店員「近づくだけでデュエルを挑まれるらしいから、えーっと確かその人の名前は………」





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（上波町）




夏武斗「夜見原…仁。」

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女店員「知ってるならお話は早い！腕に自信があるのなら世の為人の為に懲らしめてきてもらえませんかぁ？」


女店員「勝ったらなぁんでもおまけします！あ、勿論ここでカード買ってデッキを強化していくのがおすすめですよお？」


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天音「…夏武斗君。もしかして行くつもりですか？」


夏武斗「…ああ。やっぱり、なんかよくわかんねえけど仁とはもう一度話がしたいんだ。」


天音「駄目ですよ！相手は雇われデュエリストですよ？また何か危ない事に巻き込まれるかもしれませんし…。」


夏武斗「分かってる…分かってるけど。」


天音「あの人とはたった一度戦っただけなんですよね？どうしてそこまで…」


夏武斗「なんでだろうな…ただ、あいつは何か無理してるような…そんな気がするんだ。」


夏武斗「仁は…本気でデュエルを楽しんでた。これだけは間違いない。」


夏武斗「だから」






天音「もう…聞かない子ですね…」






夏武斗「………」






天音「…な～んて。」


天音「多分私がどう言ったって、行ってしまうんでしょうね。」

えへへと笑う天音。


天音「だからもう止めません。その代わり私も付いて行きますからね！」


夏武斗「天姉…ありがとな！」





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（路地裏に拓けた空き地）






「うわあああぁぁぁ！！」


夏武斗＆天音「！！」


「くそっ！強すぎる…！」

夏武斗の横をすり抜け去っていくデュエリスト。


天音「今の…。」


夏武斗「っ！！」

駆ける夏武斗。


天音「あ、夏武斗君！」






拓けた空き地の端、立つ青年が一人。





仁「…次の相手はお前達か。」


夏武斗「仁！！」


仁「……おまえは」


天音「夏武斗君…！」


夏武斗「仁！俺はおまえに……」


仁「…構えろ。」


夏武斗「え！？」


仁「…おまえも俺と闘いに来たんだろう。ならば御託はいい、早くＤパッドを構えろ。」


夏武斗「違う！そうじゃなくて！俺は…」


仁「…それが『仕事』だ。」


夏武斗「！！」


仁「…闘う気がないなら失せろ。」


夏武斗「お前今仕事って…なぁ仁！なんで……」


仁「やるのか？やらないのか？」


天音（聞く耳持たずって感じですね…。）


夏武斗「…わかったよ。俺が勝ったら話を聞いてもらうからな！」


仁「………」







dPhoneモードチェンジ！Ｄパッドモード！



ターゲットロックＯＫ！



ビジョンリンクＯＫ！



ファーストディールＯＫ！



デュエル！！





終











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次回予告


夏武斗「仁…！俺は…おまえの事が知りたい！おまえと話がしたいんだ！」


天音「夏武斗君…落ち着いて。冷静さを失くしちゃ駄目です。」


夏武斗「あぁ分かってる！俺は絶対…お前に勝つ！」


夏武斗「次回！『夏武斗激昂！夜見原仁再び！』」


夏武斗「いっけえ！！シンクロ召喚だ！！」


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・本文中の波線（～～～ ～～～ ～～～ ）は一時的な回想の区切りとなります。
・プロフィール・設定的なのを見たいというありがたい意見を頂きました。一段落したら書くかもです。
◇角坊主（つのぼうず）……伊世さんが夏武斗に勝手に付けたあだ名。（夏武斗君はカブトムシの角のような尖がりがある髪型をしています。著しく想像しにくいでしょうが書いてる私も具体的な想像はできておりませんｗアニメ遊戯王特有のすばらしい髪型の一つというイメージで宜しくお願いします…。）