第１羽　始まりと出会いは突然に　作：ハカラメ

～ナチュルの森～

この森は、たくさんのモンスター達が暮らす、穏やかで平和な森・・・



アトラ「だったんだけどなぁ・・・」


カズーラ「そうねぇ。今は見る影もないわねぇ。ウフフ♪」

アトラ「まったく、カズーラはのんきだな！ これは私たちにとっては死活問題なんだぞ！」
カズーラ「まぁ、怖い怖い。最近『エサ』が捕れないからって、私に八つ当たりはやめてねぇ～」




そう、この森は今荒れ果てている。

ここ最近の林業離れは著しく、この森を管理する人もいなくなってしまった。
人の手がかからなくなれば、里山なんてあっという間に荒れ果てる。
そんな森に、人が来るはずもなく・・・




アトラ「ていうか、お前はいいのかよ！ もう随分と『エサ』捕ってないんだろ！？」
カズーラ「あら～、私はアトラちゃんと違って植物族だから、水と太陽さえあればやっていけるのよ～」
アトラ「くっ、ずるいぞ！」
カズーラ「じゃあ～私はちょっと光合成してくるから～」ｻｻｯ

アトラ「あ、おい！・・・行っちゃった...」



どうしたものか。
この森をそのままにしておいては、私たちの生活が危ない。
なんとか、なんとかしなければ・・・



ｶﾞｻｶﾞｻｯ

アトラ「誰だっ！？」


ティオ「あっ、アトラさん！」

アトラ「何だ、ティオじゃないか。どうしたんだ、こんな所で」
ティオ「たっ、助けてくださいぃ！」
アトラ「！？　どうした、何があった...」


ｻﾞｻﾞｻﾞｯ

トリオン「ティィオちゃあああぁぁぁんっ！！！」ﾊﾞｯ！


ティオ「うわぁ、地面からトリオンさんが！！」

トリオン「ティオちゃん、つーかまーえた！」ｶﾞｼｯ
ティオ「うわぁ、アリジゴクに足がとられて...沈むぅ...」
ｻﾞｻﾞｻﾞｧ...
トリオン「ふっふっふっ・・・これで逃げられないよティオちゃん...」
ティオ「い、いやですぅ...」
アトラ「おいやめろトリオン！」

トリオン「これで・・・これで思う存分・・・」


トリオン「ティオちゃんをモフモフできるうぅぅぅ！！！」ﾓﾌﾓﾌ

ティオ「うぅ...やめてくださいぃ...」もふられ中

トリオン「今のうちに、モフモフ成分を補給しとかないとね～！」ﾓﾌﾓﾌ



アトラ「・・・はぁ。こっちもいつも通りか...」

アトラ「おーいトリオン！ ティオ嫌がってるだろーその辺にしとけよー」
トリオン「え～もうちょっとだけ～」ﾓﾌﾓﾌ
アトラ「はぁ...まったく、お前はいいのか？ お前だって大分『エサ』捕ってないんだろ？」
トリオン「私はモフモフ成分があれば生きていけるよぉ...」ﾓﾌﾓﾌ
ティオ「うぅ、よだれたらしてます...汚いです...」
アトラ「ティオはどうなんだ？」
ティオ「私はカズーラさんと同じ植物族なので、水と太陽さえあれば何とか...」
アトラ「・・・ですよね～...」



くそぅ、みんな何だかあんまり危機感持ってないぞ...
マズい、このままでは...


アトラ「・・・いや。まだもう１人いる...」

アトラ「蟲惑魔の中でも一番まともでしっかりしてて...」

アトラ「みんなの頼れるお姉ちゃん的存在の...」




？？？「みんな～！ ただいま～～！！」

アトラ「モカ姉！！」



フレシア「ふぇ、モカ姉って誰？」
アトラ「あ、いや、うん、何でもない。こっちの話だよ、アハハ...」


フレシア「そ・れ・よ・り・も！ 何と今日はみんなにお土産があります！」

アトラ「え、ホントに！？」

トリオン「お土産！？」ｻﾞｻﾞｯ
ティオ「お土産...ですか？」ｻｯ
カズーラ「あら、お土産ですって～？」ﾌﾗﾘ

アトラ「お前ら集まるの早すぎだろ！！」

トリオン「なになに！ なんなのお土産って！！」ﾊﾞﾀﾊﾞﾀ
ティオ「トリオンさん落ち着いて...」


フレシア「ふふふ・・・そ・れ・は・ねぇ～...」

バッ！

一同「！？」



私たちの眼に映ったのは...



『ウゥゥ...タスケテ...タスケテ、クレ...』

フレシア「見て、この大きな人参！ おいしそうでしょ～？」

一同「ヴェアアアァァァ！！！ 人参がしゃべったあああぁぁぁ！？！？」



そう。

この出会いが、後にこの森を再生させる重要な出来事になるとは、



その時は、まだ誰も知らなかったのです...








第２羽に続く