【第十話】三人目の刺客　作：うおさ123

―デュエルアカデミア支部、中等部の保健室―

「龍可……　龍可！」

　龍可の名前を呼ぶ少年がいた。

「龍亜……？」

　ベッドの上で寝ていた龍可は起き上がると、その少年の名前を呼んだ。

「龍可！　大丈夫！？　どっか悪い所ない！？」
「大丈夫よ、龍亞。ちょっとエンシェント・フェアリーに呼ばれてただけだから。心配かけてごめんね。」

　龍可がそういうと、龍亞はホッとした様に、

「よかった……　って、エンシェント・フェアリー・ドラゴンに！？」
「そう。だから体の問題は無いわ。それより、大事な話があるの。遊星たちと、龍亜にも。」
「う、うん」

　龍亜も少し、戸惑っているようだ。

「遊星に連絡取りたいから龍亜、携帯貸して。」
「え、え～っと……　五時間くらい待てば話ができるよ。こっちに来るから、飛行機で……」
「え～！！」


―１時間前―

「遊星！　龍可が大変なことに！！」
「なんだって！？」

　ジャックの病室から出た遊星は龍亜の言ったことに不安を覚える。

―――まさか奴らが龍可を……　そうでなかったとしても今襲われたらひとたまりもない。

「龍亜、何があったんだ？」
「詳しいことは解らないけど授業中に倒れたんだってさ、俺、別のクラスなんだよ。」
「解った。今からそっちへ行くからなるべく龍可を安全な所へ。俺が来るまで龍可を頼む」
「わ、わかったよ。じゃあね。」

　電話が切れた。


―そして現在―

「……という訳なんだ。ハハハ。」

　最後の龍亜の笑いは乾いていた。

「笑い事じゃないでしょ！」
「ご、ごめん……」

　龍可に怒られて、龍亜がへこむ。

「にしても、エンシェント・フェアリー・ドラゴンも考えて欲しいよな～。もうちょっと前に言っとくとか。」
「仕方ないでしょ、大事な用だったんだから。でも、ちょうど良いかもしれないわね、遊星には悪いけど。」
「で、大事な話って何なのさ？」
「それはね……」

ズゥウン

　突如目の前に紫色のゲートが開き、そこから紫のローブを着た人物が現れた。顔は服で隠れていて確認できない。

「シグナー、はっけ～ん。」

　男の声だ。体格も平均的だ。

「だれ！？」

　龍亜が驚く。

「お、シグナー二人もいんじゃん。やりー！　え、俺が誰かって？　そいつは決闘に勝ったら聞けるっていうのが……」

　その男は１枚のカードを取り出し、パチンッ、と上に放って腕を構えるとそのカードはデュエルディスクになり、腕にはまる。

「……世の常って、もんでしょうよ。」

―――アレはもしかして、エンシェント・フェアリーの言っていた精霊世界の使者！？

「何だかわかんないけど、決闘だったら受けて立つぜ！」
「龍亜！　危険だからやめて！　その人は……」

　龍可が危険なことを知っているため龍亞を止めようとするが、

「わかってる、でも危険ならなおさら俺がやらなきゃダメだろ。」
「でも……」
「俺だってシグナーの一員なんだ。こんな所で尻尾巻いて逃げられるかっての！」
「う、うん。わかった、私は龍亜を信じる。」

　龍可がそういうと龍亜はデュエルディスクをはめ、決闘を受ける体制をする。

「おー、ノリがいいじゃねぇかチビ助。お前、名前は？」
「龍亜だ、しっかり覚えとけよ！」

　それが合図のようにお互いがデュエルディスクを構え、

「決闘！！」

　同時に叫んだ。


　　続く

三回連続決闘シーンなしって大丈夫だろうか……