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第9話 あなたに届け、恋の一品 作:コンドル
※リハビリのためしばらくの間1話1話のストーリーが短くなります。申し訳ありません。
魂魔の説明を受けてからすぐに遊駆は部屋に引きこもり、デッキと向き合い始めた。それから綾羽も自分にできることは何かと考えたところ、料理をするという答えにたどり着いた。自分の料理で元気付けとようと考えたのだ。
花嫁に憧れる健気な少女、小込綾羽。その足取りは軽く、脳内ではフルコースを描いていた。
そして現在。綾羽は床に落ちてある調理道具や食材を見つめていた。
第9話「あなたに届け、恋の一品」
恋愛好きの食堂のおばあちゃんから分けてもらった食材は全て床に落ちてしまった。感情を必死に押さえ込み、沈んだ顔で黙々と、ちりとりで床を片づける。頭に浮かべていた幸せなビジョンは幻想に変わり、暗闇に中に消えていく。現実には力のコントロールを間違えた結果、包丁一つ満足に握れず終わったのだから仕方がない。綾羽は失敗の原因である自らの力を呪うように、拳に力を込めた。
(昔からこんな女の子らしくない力のせいで失敗ばかり...やっぱり私って、何やってもダメなのね)
過去の過ちを繰り返させないために本当の自分を封印しても、諦めの言葉を心の中で呟くと、心が少し痛む。しかし現実はどうしようもないので、完全に諦めている。しかしなぜか、綾羽の眼から一粒、また一粒と涙が出てくる。
「大丈夫かい?」
涙を拭おうとすると、目の前から何者かの声がした。思わず前を向くと、苔緑色の髪の女性が立っていた。
「そんな顔をしないで?せっかくの美人が台無しだよ。さ、このハンカチを使って」
「ありがとうございます...」
どこか気取った言い方で、手触りの良い純白のハンカチが渡された。綾羽は弱々しい声でそれを受け取り涙を拭くと、相手をじっと見る。
女性は美しさと強さを兼ね備えたような顔立ちをしており、まるで歌劇の男性役のようだった。下はミニスカートではなくロングパンツを履いており、その印象をさらに強める。頭には有名アーティストが着用してそうなつば広のハットをかぶっており、それが中々様になっている。
胸元にはトレードマークだろうか、デフォルメされたラクダのワッペンを装着しており、ただのかっこいい人ではなく、女性のかわいらしさを持ち合わせていることがわかる。
(…黄色の制服。2年生ね)
数十年前、デュエルアカデミアは生徒同士の闘争心を煽るため、3つの階級によるクラス分けがなされていた。成績が最下層だった生徒には「赤」、平均以上の生徒は「黄色」、とりわけ優秀な生徒には「青」の制服を着ることが決まりだった。しかし現在では平等な教育を施すために廃止されている。
この1年生は「赤」、2年生は「黄色」。そして3年生は「青」の制服を着ているのは、当時のクラス分けの名残である。
綾羽はそのオシャレっぷりを感心するように見ていた。視線が合うと、女性は口元を緩めて帽子を深くかぶった。
「君のような綺麗な人に見つめられるのはありがたいね。ああ、自己紹介がまだだったね。わたしは『暮森 心(くれもり こころ)』。君は?」
「小込綾羽といいます。その、ハンカチ、ありがとうございます。洗って返しますので...」
「なぁに、泣いている女の子を無視できない性分でね。ところで、泣いてる原因は、好きな人に料理を作ってたところを失敗したってところかな?」
「えっ、なんでわかって...」
「簡単さ!ここは調理室だからね。乙女が料理で泣くとなればそれくらいさ。しかし君みたいな純粋なのも珍しいな...そうだ」
暮森は一回転して意味ありげに微笑んだ。綾羽はその独特のテンションに圧倒され何も言えなかった。
「君、恋愛部に入らないかい?」
「恋愛...部?」
「そう!正確には『人類恋愛文化研究部』。活動内容は部員の恋の応援。わたしも所属していてね。君みたいな子にピッタリな部活だ」
「はぁ...」
アカデミアにも部活は存在する。しかしどれも知名度が低く、入学した後に部活動が存在することを知ったケースも珍しくはない。綾羽は一応目を通していたが、暮森が言った『恋愛部』なるものは知らなかった。突然の勧誘にどう反応すればよいか困り、一旦、どんな部活なのかイメージしてみることにした。
「恋の応援」と言えば、綾羽の中では何の苦しみも味わったことのないキラキラした人間がするのイメージだ。その時点で、自分とは全く違うタイプの人間がする行為だと想像した。ましてや自分は恋をした結果、人を傷つけ続けてきたのに、他人の恋愛を素直に応援できるわけがない。
「その、誘っていただいたのは嬉しいのですが、私には応援するのもされるのも向いてないので遠慮させていただきます」
「そうか...君ならピッタリだと思ったんだけどな」
「なんでそう思うんですか?」
「…わたしたちと同じ瞳をしていたから、かな」
放たれた言葉の意味が理解できず、思わず耳を疑う。暮森は変わらず自信に満ちた表情で佇んでおり、その目は綾羽を捉えている。
「どういう...」
「そうだなぁ。例えばだけど、過去に恋愛関連で誰かを傷つけていたか...それが原因で自分のことを嫌いになってるか...なんて思ったんだけど...もしかして、違ってたかな?」
当たっている。確かに綾羽は過去に何度も恋愛関連でトラブルを起こし、その都度自分の性格を呪っていた。
だが綾羽は過去と向き合い、少しずつ凶暴な性格を出さないように訓練してきた。女の子らしく見られるために、自身の異常な身体能力を表に出さないようにして、誰かを人を好きになっても異常な行為をさせないよう感情をコントロールするよう努めてきた。
それを見破られたことは人生において初めての体験であった。
「違ったならすまないね!笑って忘れて...」
「合ってます...」
綾羽は絞り出すように声を出した。認めたくないが、認めざるを得ない事実。それを見破られた以上、隠していてもどうしようもないと悟った。
「ですが...1つだけ違います。私...トラブルの原因になった怪力も性格も、本当の自分を出さないようにすることで乗り越えました。だから、もう問題ないんです」
「…それでいいの?」
「はい?」
「君の力も性格も、いわば君を形成する一部だ。それはどうあがいても抑えることはできないでしょ。なら、受け入れるしかない。君はそれができてるかい?」
「そ...れは...」
綾羽は暮森から目を逸らした。自分の力の一部という言葉は、頭では理解できるが、心ではどうしても理解できない。いや、したくない。
言うなれば、この力と性格は心を蝕む病原体だ。これのせいで何度も苦しめられたのに、なぜ向き合わないといけないんだ。もう乗り越えたことにして無理やりにでも納得させてここから出て行きたい。いや、しかし。
考えを巡らせていると、段々と頭に刃物で刺されたような痛みが襲ってきた。
何も考えたくないようにするが、意識はこの病原体に向いてしまう。
「君みたいに変わった人間が、自分と向き合うために入部する人もいる。わたしも力に苦しむ人を減らしたいんだだから君も...」
「そんなの...どうせ大した悩みじゃないでしょ...私の方が大変ですよ...あなただって...本当はそんな悩みなんかないんじゃないんですか?自信満々に話してますし...」
「…いや、そんな事はないさ」
「だったら証拠を見せて下さいよ。あなたにもあるんですよね...!私と同じ何かが...」
「ああ。でも、秘密にしてね?」
そういうと、暮森は心臓に手を当てて、目を瞑った。綾羽はその行為に既視感を覚えた。最近、似た行動を見た気がするのだ。そう考えていると、次第に暮森の体から1枚のカードが現れるのが見えた。
「魂魔...」
「おや、知っていたのかい?」
魂魔(シャクティマ)。一部の人間が所持する特殊なカードで、このカードを持つものは決まって人ならざる能力を持つ。この能力を持つ人間のことを「シャクティマ使い」という。
「知り合いに、いますので」
「そうか!なら話は早い。わたしはこのシャクティマのせいで人生を狂わされた身でね。何度も恨んで、このカードを燃やそうと考えたよ。でもね、アカデミアに来て、恋愛部に入ってから考えが変わったんだ。この子も自分の一部なんだってね!」
「…私はシャクティマ使いではないので」
「関係ないさ。昔のわたしと同じような悩みを持った人間がいるんだ。なら、君の助けになりたい。少しでも力にならせてほしいのさ」
余計なお世話だ。と、綾羽は心の中で少しだけ考えた。
ああ言えばこう言う。綾羽が不機嫌な時の悪い癖が出ていた。それに加え、どうにも暮森の言葉に納得がいかなかった。そんな風に簡単に考えを変えられるなら苦労はしないと。
その表情から意思が変わっていないことを理解した暮森は笑顔のまま、「じゃあこうしよう」と言って、すぐ近くの調理台の引き出しを開け、中に入っているデュエルディスクを2つ取り出し、1つを綾羽に差し出した。
デュエルアカデミアの現理事長の『いついかなる時もデュエリストたれ』という考えにより、廊下や部屋の至るところにデュエルディスクが隠されているのだ。
「わたしは君のやり方が間違ってると思ってる。君はわたしの言うことが違うと思ってる。どちらも否定しあうなら、このままじゃ平行線だ。ここはデュエリストらしく、デュエルの勝敗でどちらが正しいか決めようじゃないか!」
綾羽はディスクを乱暴に受け取ると、腕に装着し、展開する。そのプロセスが完了すると、次第に頭痛は収まり、その目は敵を見ていた。
「上等です。私が、私なりのやり方で乗り越えたということを、証明して見せますよ!」
第9話 終
自分の力のせいで、数えきれない迷惑をかけてきたわ。それなのに、その原因と向き合えなんて無茶を言わないで!このデュエルで私は自分が正しいと証明して見せる。これは自分の一部じゃなくて、邪魔なものだってことを!
次回 遊戯王エターナルタイムRE: 第10話 「向き合う覚悟」
それは私には、あまりにも...。
魂魔の説明を受けてからすぐに遊駆は部屋に引きこもり、デッキと向き合い始めた。それから綾羽も自分にできることは何かと考えたところ、料理をするという答えにたどり着いた。自分の料理で元気付けとようと考えたのだ。
花嫁に憧れる健気な少女、小込綾羽。その足取りは軽く、脳内ではフルコースを描いていた。
そして現在。綾羽は床に落ちてある調理道具や食材を見つめていた。
第9話「あなたに届け、恋の一品」
恋愛好きの食堂のおばあちゃんから分けてもらった食材は全て床に落ちてしまった。感情を必死に押さえ込み、沈んだ顔で黙々と、ちりとりで床を片づける。頭に浮かべていた幸せなビジョンは幻想に変わり、暗闇に中に消えていく。現実には力のコントロールを間違えた結果、包丁一つ満足に握れず終わったのだから仕方がない。綾羽は失敗の原因である自らの力を呪うように、拳に力を込めた。
(昔からこんな女の子らしくない力のせいで失敗ばかり...やっぱり私って、何やってもダメなのね)
過去の過ちを繰り返させないために本当の自分を封印しても、諦めの言葉を心の中で呟くと、心が少し痛む。しかし現実はどうしようもないので、完全に諦めている。しかしなぜか、綾羽の眼から一粒、また一粒と涙が出てくる。
「大丈夫かい?」
涙を拭おうとすると、目の前から何者かの声がした。思わず前を向くと、苔緑色の髪の女性が立っていた。
「そんな顔をしないで?せっかくの美人が台無しだよ。さ、このハンカチを使って」
「ありがとうございます...」
どこか気取った言い方で、手触りの良い純白のハンカチが渡された。綾羽は弱々しい声でそれを受け取り涙を拭くと、相手をじっと見る。
女性は美しさと強さを兼ね備えたような顔立ちをしており、まるで歌劇の男性役のようだった。下はミニスカートではなくロングパンツを履いており、その印象をさらに強める。頭には有名アーティストが着用してそうなつば広のハットをかぶっており、それが中々様になっている。
胸元にはトレードマークだろうか、デフォルメされたラクダのワッペンを装着しており、ただのかっこいい人ではなく、女性のかわいらしさを持ち合わせていることがわかる。
(…黄色の制服。2年生ね)
数十年前、デュエルアカデミアは生徒同士の闘争心を煽るため、3つの階級によるクラス分けがなされていた。成績が最下層だった生徒には「赤」、平均以上の生徒は「黄色」、とりわけ優秀な生徒には「青」の制服を着ることが決まりだった。しかし現在では平等な教育を施すために廃止されている。
この1年生は「赤」、2年生は「黄色」。そして3年生は「青」の制服を着ているのは、当時のクラス分けの名残である。
綾羽はそのオシャレっぷりを感心するように見ていた。視線が合うと、女性は口元を緩めて帽子を深くかぶった。
「君のような綺麗な人に見つめられるのはありがたいね。ああ、自己紹介がまだだったね。わたしは『暮森 心(くれもり こころ)』。君は?」
「小込綾羽といいます。その、ハンカチ、ありがとうございます。洗って返しますので...」
「なぁに、泣いている女の子を無視できない性分でね。ところで、泣いてる原因は、好きな人に料理を作ってたところを失敗したってところかな?」
「えっ、なんでわかって...」
「簡単さ!ここは調理室だからね。乙女が料理で泣くとなればそれくらいさ。しかし君みたいな純粋なのも珍しいな...そうだ」
暮森は一回転して意味ありげに微笑んだ。綾羽はその独特のテンションに圧倒され何も言えなかった。
「君、恋愛部に入らないかい?」
「恋愛...部?」
「そう!正確には『人類恋愛文化研究部』。活動内容は部員の恋の応援。わたしも所属していてね。君みたいな子にピッタリな部活だ」
「はぁ...」
アカデミアにも部活は存在する。しかしどれも知名度が低く、入学した後に部活動が存在することを知ったケースも珍しくはない。綾羽は一応目を通していたが、暮森が言った『恋愛部』なるものは知らなかった。突然の勧誘にどう反応すればよいか困り、一旦、どんな部活なのかイメージしてみることにした。
「恋の応援」と言えば、綾羽の中では何の苦しみも味わったことのないキラキラした人間がするのイメージだ。その時点で、自分とは全く違うタイプの人間がする行為だと想像した。ましてや自分は恋をした結果、人を傷つけ続けてきたのに、他人の恋愛を素直に応援できるわけがない。
「その、誘っていただいたのは嬉しいのですが、私には応援するのもされるのも向いてないので遠慮させていただきます」
「そうか...君ならピッタリだと思ったんだけどな」
「なんでそう思うんですか?」
「…わたしたちと同じ瞳をしていたから、かな」
放たれた言葉の意味が理解できず、思わず耳を疑う。暮森は変わらず自信に満ちた表情で佇んでおり、その目は綾羽を捉えている。
「どういう...」
「そうだなぁ。例えばだけど、過去に恋愛関連で誰かを傷つけていたか...それが原因で自分のことを嫌いになってるか...なんて思ったんだけど...もしかして、違ってたかな?」
当たっている。確かに綾羽は過去に何度も恋愛関連でトラブルを起こし、その都度自分の性格を呪っていた。
だが綾羽は過去と向き合い、少しずつ凶暴な性格を出さないように訓練してきた。女の子らしく見られるために、自身の異常な身体能力を表に出さないようにして、誰かを人を好きになっても異常な行為をさせないよう感情をコントロールするよう努めてきた。
それを見破られたことは人生において初めての体験であった。
「違ったならすまないね!笑って忘れて...」
「合ってます...」
綾羽は絞り出すように声を出した。認めたくないが、認めざるを得ない事実。それを見破られた以上、隠していてもどうしようもないと悟った。
「ですが...1つだけ違います。私...トラブルの原因になった怪力も性格も、本当の自分を出さないようにすることで乗り越えました。だから、もう問題ないんです」
「…それでいいの?」
「はい?」
「君の力も性格も、いわば君を形成する一部だ。それはどうあがいても抑えることはできないでしょ。なら、受け入れるしかない。君はそれができてるかい?」
「そ...れは...」
綾羽は暮森から目を逸らした。自分の力の一部という言葉は、頭では理解できるが、心ではどうしても理解できない。いや、したくない。
言うなれば、この力と性格は心を蝕む病原体だ。これのせいで何度も苦しめられたのに、なぜ向き合わないといけないんだ。もう乗り越えたことにして無理やりにでも納得させてここから出て行きたい。いや、しかし。
考えを巡らせていると、段々と頭に刃物で刺されたような痛みが襲ってきた。
何も考えたくないようにするが、意識はこの病原体に向いてしまう。
「君みたいに変わった人間が、自分と向き合うために入部する人もいる。わたしも力に苦しむ人を減らしたいんだだから君も...」
「そんなの...どうせ大した悩みじゃないでしょ...私の方が大変ですよ...あなただって...本当はそんな悩みなんかないんじゃないんですか?自信満々に話してますし...」
「…いや、そんな事はないさ」
「だったら証拠を見せて下さいよ。あなたにもあるんですよね...!私と同じ何かが...」
「ああ。でも、秘密にしてね?」
そういうと、暮森は心臓に手を当てて、目を瞑った。綾羽はその行為に既視感を覚えた。最近、似た行動を見た気がするのだ。そう考えていると、次第に暮森の体から1枚のカードが現れるのが見えた。
「魂魔...」
「おや、知っていたのかい?」
魂魔(シャクティマ)。一部の人間が所持する特殊なカードで、このカードを持つものは決まって人ならざる能力を持つ。この能力を持つ人間のことを「シャクティマ使い」という。
「知り合いに、いますので」
「そうか!なら話は早い。わたしはこのシャクティマのせいで人生を狂わされた身でね。何度も恨んで、このカードを燃やそうと考えたよ。でもね、アカデミアに来て、恋愛部に入ってから考えが変わったんだ。この子も自分の一部なんだってね!」
「…私はシャクティマ使いではないので」
「関係ないさ。昔のわたしと同じような悩みを持った人間がいるんだ。なら、君の助けになりたい。少しでも力にならせてほしいのさ」
余計なお世話だ。と、綾羽は心の中で少しだけ考えた。
ああ言えばこう言う。綾羽が不機嫌な時の悪い癖が出ていた。それに加え、どうにも暮森の言葉に納得がいかなかった。そんな風に簡単に考えを変えられるなら苦労はしないと。
その表情から意思が変わっていないことを理解した暮森は笑顔のまま、「じゃあこうしよう」と言って、すぐ近くの調理台の引き出しを開け、中に入っているデュエルディスクを2つ取り出し、1つを綾羽に差し出した。
デュエルアカデミアの現理事長の『いついかなる時もデュエリストたれ』という考えにより、廊下や部屋の至るところにデュエルディスクが隠されているのだ。
「わたしは君のやり方が間違ってると思ってる。君はわたしの言うことが違うと思ってる。どちらも否定しあうなら、このままじゃ平行線だ。ここはデュエリストらしく、デュエルの勝敗でどちらが正しいか決めようじゃないか!」
綾羽はディスクを乱暴に受け取ると、腕に装着し、展開する。そのプロセスが完了すると、次第に頭痛は収まり、その目は敵を見ていた。
「上等です。私が、私なりのやり方で乗り越えたということを、証明して見せますよ!」
第9話 終
自分の力のせいで、数えきれない迷惑をかけてきたわ。それなのに、その原因と向き合えなんて無茶を言わないで!このデュエルで私は自分が正しいと証明して見せる。これは自分の一部じゃなくて、邪魔なものだってことを!
次回 遊戯王エターナルタイムRE: 第10話 「向き合う覚悟」
それは私には、あまりにも...。
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自らの力と性格を拒絶する綾羽と力を己の一部として考える暮森。2人の意思が激突します。
次回も読んでいただけると嬉しいです。 (2025-07-25 11:47)